1834/01/27
元素の間の性質の規則性(周期律)を見出し、現在の
周期表のもとになるものを提案した、ロシアの化学者ドミトリ・メンデレーエフは、この日に生まれました。
あらゆる物質は、元素で形作られています。例えば、水(H2O)という物質は、水素(H)と酸素(O)という二つの元素でできています。
そして、元素はその原子量(水素であれば1、酸素であれば16)などをもの差しにして、似た性質をもつ元素どうしでグループ分けすることができます。それを表にしたものが元素の周期表であり、元素の性質を知る上での大きな手がかりとなっています。
19世紀半ばまでに、既に様々な元素が見つかっていましたが、それらを書き表す方法や重さなどを比較する考え方は、化学者によって異なっており、決まったルールはありませんでした。
しかし、1860年に初めて開かれた国際化学者会議で、イタリアの化学者カニッツァロが、現在用いられている原子量の算出方法を初めて提案しました。この考え方を用いることで、異なる元素について、一定のルールで算出した原子量を用いることで比較することができるようになりました。
この会議には、当時西ヨーロッパに留学していたメンデレーエフも出席していました、カニッツァロの考え方は、メンデレーエフにとって大きな影響を与えました。
メンデレーエフは留学から戻った後、ペテルブルク大学で化学の教授として学生に化学の基礎についての講義をしなくてはならなくなりました。しかし、当時出版されていた教科書の内容では、自分が教えようとする内容に足るものではないと感じていました。
このため、メンデレーエフは、自ら化学の教科書を記そうとしました。そのことは、カニッツァロの提案を初めとして、現在の化学の基礎となる様々なことが明らかになっている時期でもあり、そのような仕事は時代の趨勢でもありました。
教科書を書くに当たって、メンデレーエフは、元素の分類に目を付け、類似した性質の元素のグループをつくり、それぞれのグループについての性質を説明していこうと考えました。留学から戻った時点で、すでに世界では60余りの元素が発見されており、それらが性質が似ていることを根拠にグループ分けされている研究成果がありましたが、彼は、さらにその分類の考え方を突き詰めていこうとしました。
メンデレーエフは、元素の分類の基準として、「原子価」という考え方を用いました。
「原子価」とは、元素1原子が直接または間接に水素原子(H)何個と化合しうるかを表す数です。例えば、酸素(O)であれば、水素原子(H)2個と化合して水(H2O)をつくるので、原子価は2となります。そして、原子価が1のもの(水素など)、原子価が2のもの(酸素など)、原子価が3のもの(窒素など)、原子価が4のもの(酸素など)・・と元素を分類しながら教科書を書いていきました。
そして、教科書を書いていくうちに、彼は二つの事実に気がつきました。
一つは、元素は原子量の順に並べると明らかにその性質ごとの周期性を表すということでした。
具体的には、当時明らかになっていた元素を原子量が小さいものから大きいものへと並べると、
H,Li,Be,B,C,N,O,F,Na,Mg,Al,Si,P,S,Cl,K・・・
となります。
また、
原子価が1である、Li,Na,K
原子価が2である、Be,Mg
原子価が3である、B,Al,
原子価が4である、C,Si,
などが、似た性質持っているグループですが、これらを先ほどの原子量順の元素記号に対応させてみると、
元素記号 H,Li,Be,B,C,N,O,F,Na,Mg,Al,Si,P,S,Cl,K・・
原子価 //1/2/3/4//////1//2/3/4//////1・・
となり、周期性があるというわけです。
もう一つは、科学的特性の類似する元素はほぼ同じ原子量であるか、原子量が規則的に増加するということでした。
また、例えば、先の原子価が1のグループの元素の原子量は、
Li=7 Na=23 K=39となっており、
Liの原子量に16を足すとNaの原子量23に
Naの原子量に16を足すとNaの原子量39になっており、規則的に増加しているわけです。
メンデレーエフは、これらの仮説を1869年3月にロシア化学学会で発表しました。
そして、さらに研究を進め、1871年までに現在の周期表のもとになる表を作成しました。また、その表の中で空白となっている部分についても、そこに対応する元素があることと、その元素の原子量、融点などの数値を予言しました。その後、その予言の多くが正しいことが明らかにされ、その周期表の考え方が有効であることが立証されました。
メンデレーエフは、化学者としての業績もさることながら、当時の著名な画家や作家とも交友を持ち、ロシア政府の工業や経済のブレーンとしても活動するなど、幅広い活躍をしました。
2005/12/28 作成 YK