今日は何の日?

昔の今日は何があったのでしょうか?ちょっとのぞいてみましょう。

通産省がPCBの生産、使用禁止を通達(1972/03/21)

1972-03-21 00:01:23 | 化学系
 PCBとは、ポリ塩化ビフェニル(Polychlorinated biphenyl)という化学物質のことです。(2つのベンゼン環がつながった「ビフェニル」の水素原子の1つ以上が塩素原子に置き換わった構造をしています。広い意味では「ダイオキシン」の1種です。)1929年にアメリカで工業的な製造が始まりました。日本でも1954年に製造されるようになりました。
 PCBは絶縁性(電気を通さない性質)に優れているので、トランス(変圧器=交流の電圧を変える装置)やコンデンサ(蓄電器=電気回路で静電気を蓄える装置)の中の絶縁用の油にPCBを混ぜたものが使用されました。そのようなトランスやコンデンサは、工場などの大掛かりな機械のほかに、蛍光灯やテレビ、電子レンジなど、家庭での電化製品にも使われていました。また、熱によって分解されにくいため、いろいろな機械の加熱/冷却用の油にもPCBが混ぜられていました。

 ところが、1968年に「カネミ油症事件」が起きました。福岡県のカネミ倉庫株式会社で製造されたコメ油を食べた人たちの身体に異常が発生したのです。皮膚が黒くなったり、肝臓が働かなくなったり、手足のしびれが起きるなどしました。コメ油の製造ラインに使用されていたPCB油が製品のコメ油に混入していたのです。この事件によってPCBの問題が大きく注目されるようになり、1972年3月21日に通商産業省からPCBの生産、使用禁止の通達が出されました。(のちになって、カネミ油症の原因はPCBに混入していた別のダイオキシンだという可能性も指摘されています。)
 国内では使用されなくなってもう30年以上経つわけで、PCBに対する人々の意識は薄れてきています。しかし回収されていない製品から漏れ出したPCBが土や水を汚していることは、まだ現在でも考えられます。それが生物の体内に蓄積されて害を及ぼす可能性もまだあるのです。また、世界的には2028年までにPCBを全廃しようという条約が2001年にようやくできたところです。そういうわけですから、PCBの問題は古くないと言えるのではないでしょうか。

2006.03.14 作成 KT

「日米渡り鳥保護条約」調印(1972/03/04)

1972-03-04 15:42:02 | 生物系
1972/03/04

日本には数多くの渡り鳥が訪れます。
渡り鳥というのは長距離を移動する鳥の事で、その理由は食餌の関係だったり繁殖だったりします。
【夏鳥】普通繁殖のために日本に来て夏の間を過ごす鳥。ツバメやアマサギなど。
【冬鳥】冬期間を日本で過ごす鳥。マガモやツグミなど。
【旅鳥】シベリアなどで繁殖し、東南アジアで越冬するために日本を通過する鳥。
移動の際には太陽や星の位置、地磁気や地形などを参考にしているといわれています。
キョクアジサシのように、北極圏から南極周辺までの32000kmという超長距離を渡る種もあります。
このように渡りをする鳥たちは、それぞれの渡り場所が適切に保持されていかなければいけないのです。
そのために乱開発される傾向のある湿地を守ろうという事で締結されたラムサール条約など、様々な条約が結ばれています。

この「日米渡り鳥保護条約」は、正式名称を「渡り鳥および絶滅の恐れのある鳥類ならびにその環境の反古に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約」と呼ばれてています。
鳥だけの保護だけではなく、環境もあわせて総括的な保護が必要なのです。輸出入の規制や渡り鳥に関する研究などを定めたものです。
渡り鳥として対象になっているものはアホウドリやミズナギドリなど190種。絶滅の恐れのある鳥として対象になっているものはアメリカハクトウワシなど67種です。
いずれにしてもこの2国間だけの条約ですべてが解決という訳ではありません。その辺りを十分認識して私たちが取り組める運動を進めていく必要があるのではないでしょうか?