PCBとは、ポリ塩化ビフェニル(Polychlorinated biphenyl)という化学物質のことです。(2つのベンゼン環がつながった「ビフェニル」の水素原子の1つ以上が塩素原子に置き換わった構造をしています。広い意味では「ダイオキシン」の1種です。)1929年にアメリカで工業的な製造が始まりました。日本でも1954年に製造されるようになりました。
PCBは絶縁性(電気を通さない性質)に優れているので、トランス(変圧器=交流の電圧を変える装置)やコンデンサ(蓄電器=電気回路で静電気を蓄える装置)の中の絶縁用の油にPCBを混ぜたものが使用されました。そのようなトランスやコンデンサは、工場などの大掛かりな機械のほかに、蛍光灯やテレビ、電子レンジなど、家庭での電化製品にも使われていました。また、熱によって分解されにくいため、いろいろな機械の加熱/冷却用の油にもPCBが混ぜられていました。
ところが、1968年に「カネミ油症事件」が起きました。福岡県のカネミ倉庫株式会社で製造されたコメ油を食べた人たちの身体に異常が発生したのです。皮膚が黒くなったり、肝臓が働かなくなったり、手足のしびれが起きるなどしました。コメ油の製造ラインに使用されていたPCB油が製品のコメ油に混入していたのです。この事件によってPCBの問題が大きく注目されるようになり、1972年3月21日に通商産業省からPCBの生産、使用禁止の通達が出されました。(のちになって、カネミ油症の原因はPCBに混入していた別のダイオキシンだという可能性も指摘されています。)
国内では使用されなくなってもう30年以上経つわけで、PCBに対する人々の意識は薄れてきています。しかし回収されていない製品から漏れ出したPCBが土や水を汚していることは、まだ現在でも考えられます。それが生物の体内に蓄積されて害を及ぼす可能性もまだあるのです。また、世界的には2028年までにPCBを全廃しようという条約が2001年にようやくできたところです。そういうわけですから、PCBの問題は古くないと言えるのではないでしょうか。
2006.03.14 作成 KT
PCBは絶縁性(電気を通さない性質)に優れているので、トランス(変圧器=交流の電圧を変える装置)やコンデンサ(蓄電器=電気回路で静電気を蓄える装置)の中の絶縁用の油にPCBを混ぜたものが使用されました。そのようなトランスやコンデンサは、工場などの大掛かりな機械のほかに、蛍光灯やテレビ、電子レンジなど、家庭での電化製品にも使われていました。また、熱によって分解されにくいため、いろいろな機械の加熱/冷却用の油にもPCBが混ぜられていました。
ところが、1968年に「カネミ油症事件」が起きました。福岡県のカネミ倉庫株式会社で製造されたコメ油を食べた人たちの身体に異常が発生したのです。皮膚が黒くなったり、肝臓が働かなくなったり、手足のしびれが起きるなどしました。コメ油の製造ラインに使用されていたPCB油が製品のコメ油に混入していたのです。この事件によってPCBの問題が大きく注目されるようになり、1972年3月21日に通商産業省からPCBの生産、使用禁止の通達が出されました。(のちになって、カネミ油症の原因はPCBに混入していた別のダイオキシンだという可能性も指摘されています。)
国内では使用されなくなってもう30年以上経つわけで、PCBに対する人々の意識は薄れてきています。しかし回収されていない製品から漏れ出したPCBが土や水を汚していることは、まだ現在でも考えられます。それが生物の体内に蓄積されて害を及ぼす可能性もまだあるのです。また、世界的には2028年までにPCBを全廃しようという条約が2001年にようやくできたところです。そういうわけですから、PCBの問題は古くないと言えるのではないでしょうか。
2006.03.14 作成 KT