今日は何の日?

昔の今日は何があったのでしょうか?ちょっとのぞいてみましょう。

日本初のX線天文衛星「はくちょう」打ち上げ(1979/02/21)

1979-02-21 00:00:00 | 宇宙開発
1979/02/21

夜空に輝いている星々は、数限りなくあるように見えますが、私たちは「可視光」という人の目に見える範囲の光を出している星しか見ていないのです。実際には目に見えない光を放っている星々が、宇宙にはまだたくさんあります。光の波長は温度と密接に絡んでいて、表面温度が約6千度の太陽は、可視光を強く出しています。一方X線は約100万度~1億度という高温の天体から放出されており、このような星は私たちには肉眼で見ることができないのです。

X線は大気に吸収されてしまうので、宇宙からのX線を検出するには、できるだけ高い所へ検出器を運び出さなければなりません。世界初のX線天文衛星は1970年アメリカの「ウルフ」でした。日本はそれから6年後、X線天文衛星「CORSA」を打ち上げましたが、失敗に終わります。そしてさらに3年後の1979年2月21日、「CORSA-b」は打ち上げに成功し、90分で地球を1周し、データレコーダに蓄えられた1周分のデータを、内之浦上空で約10分間地上に送り続けました。これが日本で初めてのX線天文衛星となり、はくちょう座のX線星にちなみ、「はくちょう」と名付けられました。

「はくちょう」は「すだれコリメーター」という日本独自の広視野のX線コリメーターを備え、X線バースト源を次々と発見し、X線パルサーの周期の異常変化やブラックホール候補のX線星を観測するなど、国際的に高い評価を得ました。「はくちょう」の成功により、日本はX線天文学の分野で世界をリードするまでに至ったのです。

この「はくちょう」は、6年間活躍した後、1985年4月16日、大気圏に突入して消滅しました。日本は「てんま」(1983年2月打ち上げ)、「ぎんが」(1987年2月打ち上げ)、「あすか」(1993年2月打ち上げ)と次々にX線天文衛星を送り出し、数々の貴重な成果を上げてきました。現在は「すざく」(2005年7月打ち上げ)が観測を続けていますが、昨年8月に起きた、目玉となる観測機器の故障が懸念されるところです。

2006.01.31 作成 KS