今日は何の日?

昔の今日は何があったのでしょうか?ちょっとのぞいてみましょう。

世界初の潮汐発電所

1966-11-26 00:00:20 | 生活全般
1966/11/26

海にはたくさんのエネルギー源が眠っています。潮の満ち引きもそうですし、潮の流れや押し寄せる波などをうまく使って、電気エネルギーに変える方法が考えられています。

その一つがこの潮汐発電です。
月や太陽の引力によって地球の表面にある海水は、普通1日に2回,潮の満ち引きが生じます。この潮位差は地球の自転や海底の地形によって様々な影響を受けるので,どこでも一定ではありませんし,一つの場所でも一定ではありません。
潮汐発電は,一定区間の湾を堤防で締め切り,堤防の内外の潮位差を用いて水力発電のように落差を利用して発電をしようという物なのです。

世界で最初の潮汐発電所は,フランスのランス発電所です。
フランス北部ブルターニュ地方のランス川河口に設けられた発電所です。
この付近の潮位差は、何と平均8m。この潮位差を有効に活用し,24万Kwという世界でも最大規模の出力を誇るのです。

この8mという潮位差を想像できるでしょうか。日本で最大の潮位差を誇る有明海でも,潮位差は4.9m程。いかにランスの潮位差がすごいのかわかってもらえるでしょうか?

有明海はムツゴロウで有名です。豊かな干潟が広がり,独特の生態系が維持されています。潮汐発電所を建設する事になると,このバランスが崩れてしまう事になります,実際,有明海でも潮汐発電の実用化調査が行われた事もあります。
しかしこの環境問題などが壁になり実現していません。

ランスではどうだったのでしょうか。やはり、潮汐を人為的にコントロールしてしまう事になりますから,干潟としての機能は失われてしまいます。実際に生態系は崩れてしまいましたが、その後新しい生態系が生まれ,それなりに機能しているようです。
結局、何が何でも発電所建設をしなければならないという偏った考え方ではなく,様々な面を総合的に評価分析した判断が必要になるのではないでしょうか。

さてこのランス潮汐発電所は,開業の年から30年以上に渡って無事故で安定した運行をしています。発電効率は15%ということです。
先ほども紹介したように,日本では最大の干満差が4.9m。それでペイするのかというあたりをしっかり分析する事が必要になってきます。これは日本国内だけの問題ではありません。

ただ,ランスの潮汐発電所としてつくった堤防の上は道路になっています。湾を渡るために利用する事ができますから,これによる経済効果も相当なものであると言われています。

2005/10/13 HA作成