その昔、自分も、秋霜烈日を信じていた時代は有った。しかし年月を経て振り返ると、30年以上前から、其の権力の行使は、時の権力と一体だったことを思い知らされる。裁判官が基本的に一人であるのに対し、検事は検察庁という大きな組織として機能している。勿論裁判官とても、最高裁判所の事務局の支配を受けているが、法律上の建前は一人一人の裁判官が法律のみに基づいて判決を下すことになっている。しかし最近四国各県の警察が絡んだ裁判で示されているように、一方的に検察の判断に基づいた判決が続いている。今日示された東京高裁の、鈴木宗雄議員に対する判決も、又納得出来ない判決である。被告の主張をすべて退け、検察による調書のみを正しいものとして判決を下している。国家の最大の目的は、法の元下にはすべての人間が平等であることが、其の根本にあり、裁判所はそれを保障するものでなくてはならない。わが国においては、検察が起訴をする事案の99.9パーセント以上が有罪となり、検察の判断が対象人の有罪か無罪の決め手としまう。今日、東京高裁で判決の下った鈴木宗雄議員の場合も正にそうであろう。外務省の政策に強い影響力を持っていた鈴木議員を排除すべく、ほとんど終っている事案を穿り返し、一年以上もの長期間拘留し、無理やり起訴をした。鈴木議員が全く法律に触れなかったかどうか自分が知るところではない。しかし世に言うように、自民党の道路族議員のごとく、自己の選挙区にトンネルや道路を工事させ、工事業者から政治献金を受けながら、何のチェックも受けていない多数の議員もいることを考えると、検察の正義がどこに向いているのか、疑問に思わざるを得ない。また検察の裏金をめぐって、TV証言の前日に告発者たる公安部長を逮捕、起訴したこともありましたよね。そして指摘された裏金は、いつの間にか額が1/10になりうやむやのうちに消えてゆきましたよね。今は裁判所の裏金が問題になり始めていますよね。いずれも第二次大戦の敗戦後、全く政権の交代が無かったことが、これほどのモラルハザードを生んだ要因であり、おごりを生んでいるのであろう。今でも記憶の片隅にあるが、佐藤内閣の時に、最高裁判所の裁判官を当時の自由党の意のままになる裁判官を任命し、その後の司法の方向を決定付けた事があった。もし政権の交代が行われていれば、次の任命は別の政権で行われることになるが、残念ながらわが国では、そうは成らず、数十年の永きにわたり同じ権力に因る任命が続いている。総選挙で政権が交代しても検察や、裁判所を変えることは難しい。しかし、何度も政権を交代させることにより、新しい血を導入させることは出来る。数十年は掛かるかもしれないが、まず政権交代を信じて訴え続けてゆく以外に無いのだろう。別に革命を起こそうというのではないのだから・・・
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