このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。
大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。
また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。
遠方への転勤で日舞の会から離れている姉弟子の真千園さん(私たちはお互い芸名で呼び合うのが習わしだ)から電話をいただいた。
その声はひどく弾んでいた。
「お師匠さんからお手紙が届いたの。
『ずいぶん前にいらした際、この年寄りに忠義立てして踊りをやめていると話してらしたけど、どこで何を踊ろうとも、あなたは私の一番弟子で、これまで会った中で最高の踊り手であることに変わりはない。
ぜひとも、またお稽古を始めて、その優れた芸にさらに磨きをかけ、置かれた場所で咲きなさい。そして、一人でも多くのひとに幸せを届けなさい。』
そう書いてくださっていた。
私は胸の内のもやもやが晴れたような気がした。
例えば台風被害の大きかった地域へ慰問に行って、ゴザやむしろの上でもいいから踊り、みなさんを笑顔にしたい、元気づけたいと願っていたところだったから。」
ああ、お姉さんのマグマがとうとう地表に噴出した。
でも、内心私はそれを待っていたような気がしていて、とても嬉しく感じていた。
遠方への転勤で会を離れている一番弟子の方が久しぶりに浴衣会のお稽古を見学にいらした。
とても可愛がっていただいた姉弟子だったので、私は隣に座ってあれこれ話しかけた。
真千園さん(私たちはお互い芸名で呼び合うのだ)、あちらでは踊ってらっしゃるのですか?
ううん。私はこの藤園会ですべてを学んだの。
だから、別のお師匠さんについてまで踊ろうとは思わない。
この会も、みんなも、大好きだったから。
なんだか違うなって思えて。
いつもは広いお稽古場の上座に厳然と着座している高齢の師匠が、ハンカチを取り出した。
―お姉さんたら、お師匠さんを泣かせて。
たぶん師匠も心の奥ではそれを望んでいたのだろう。
本当に師匠孝行な姉弟子だ。