「私が管理者を務めるなめとこデイサービスは日曜日と祝日が定休日です。その日は日曜でしたが、運営指導を来月に控えていることもあり、無人の事業所へ午前中短時間出て、ファイル類の整理を行なっていました。
すこしして、防犯のため鍵をかけていた玄関サッシがガチャガチャ幾度か音を立て、チャイムが鳴りました。恐る恐るモニターを覗くと、顔の半分が映っていたのは、いつもいらしている女性利用者様でした。
徒歩で1時間ほど離れた自宅から、(明日の入浴支度等、別に住まわれている娘さんが準備していた)重たい荷物を3つ抱え、トンネルをくぐって、長い坂道をここまでいらしたのです。
「今日は集りの日ですよね」と素敵な笑顔を私に向ける。
お疲れでしょう?と急ぎ中へお通しして、冷たいお茶を飲んでいただきました。
娘さんに連絡したところ、ご多忙のようでしたので、私がお送りすることにしました。
重い認知症でも、私たちぽらんの場所だけはご記憶の中にあるのでしょうか(普段は事業所の車での送迎です)。
本当に愛おしく、ありがたい思いで胸がつまりました。」