夏バテだ。
例年通りこの時期はもう、そうめんとざるそば以外食べられなくなっている。
あとはソフトクリーム。
このように猛暑だと溶け出すスピードに負けず急ぎ食べなければならないのがややつらいが。
年代のせいか、ソフトクリームは日世のマスコット人形が立っていると、素通りできない。
驚いたことに、あのマスコットは昭和30年代から存在していたのに、ニックンとセイチャン、5歳でともにアメリカ人、という(公募で)名前とキャラづけされたのは21世紀になってからだそう。なんて悠長な会社だ。
その割に、「ソフトクリーム」というネーミングは創業者が考え、日本中に爆発的に広がり、定着している。
僕はけせもい市亀島にあるウエルカムターミナルで土日のどちらかに食べることにしている。
ただ食いしん坊だからというわけではなく、亀島への観光客の入り込みを、ニックンとセイチャンの隣に置かれたテーブル席からにさりげなく観察するためだ。
なにせ、昨年度事業譲受した亀島ぽらんは、島内最大の事業所なのだそうで、僕はその雇用を守ったということになる。
こう書くと、表彰までは要らないけれど、あえて火中の栗を拾って偉かったね、とソフトクリーム1年分くらいの副賞があってもいいんじゃないかな、と思えてくる。
まあ、それはともかく、島の人口動静や人流に注意を払うことは経営者として必要な姿勢だ。
少し前の赤日新聞の連載エッセイの中で、三谷幸喜が毎晩10歳の息子に「快盗ルビイ・マーチンスン」を読み聞かせている、と書いていた。
彼らしいチョイスだな、と感心した半面、ヘンリー・スレッサーの小説は自分自身で出会い、紙のページをめくりながら読んだ方がいいのでは、とも思ったけれど、あと10年後に日本人の若者がヘンリー・スレッサーの作品に出会える確率はほぼゼロかもしれない。
今回、円の新札が20年ぶりに発行されたが、次の20年後がデジタル円かもしれないように。
それは冗談として、僕らはテレビで繰り返し放映されていた新旧「ヒッチコック劇場」や「ミステリー・ゾーン(トワイライト・ゾーン)」のシナリオライターとしてスレッサーを知ったが、もうそんなきっかけもない。
そう考えると、スレッサーやチャールズ・ボーモント、あるいはジョン・オハラのような大衆作家の訳本や原書を処分するのがひどくためらわれてくるのだ。
和田誠による映画化作品(1988年)。主題歌は大瀧詠一作曲。