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黛信彦の時事ブログ

5大紙社説:民主に「与党お願い」と言い難い

2015年01月19日 | 5大紙社説

民主党代表選で岡田克也新代表が決まり、19日の5大紙社説が一斉に論評した。

 ところで、20129月、野田佳彦代表を決めた民主党代表選を、同23日のTV番組で妖艶なエコノミスト・浜矩子が評して「葬儀委員長を誰にするか決めているという印象でした」と語った。 その言葉を借りれば、同年12月誕生の海江田万里代表は亡き民主党の49日法要の幹事選出選挙であり、今回は丸三年の法要の幹事選出選挙のようだった。

 その原因を日経は『今回の代表選が凡戦になった最大の要因は、解党的な出直しによる野党再編に前向きだったはずの細野豪志元幹事長が維新の党などとの合流に消極姿勢をみせたからだ。投票直前の候補者演説では労組系の議員票を取り込もうと「連合と一緒」とまで言い切った』と分析している。

 会見で「自民党は右にシフトし、ど真ん中が空いている」と言い切ったという岡田克也新代表だが、決選投票で長妻昭候補を取り込まざるを得なかったために、新体制は大きく左に舵を切った。

 産経によれば、13日に行われた『3候補と学生との対話集会では、民主党が安保政策を確立しなければ「与党をお願いしますとは言いにくい」と指摘を受けた』というが、全く期待薄だ。  

以下、5大紙社説抄録

■朝日:民主党新代表「穏健中道」からの再起

昨年、民主党は「穏健中道」の理念を掲げる報告書をまとめた。「分極化」が指摘される今の日本の政治地図を広げれば、真ん中に空いているのが、穏健中道のスペースだといえる。

その実現を目指すなら、戦後70年の歩みのうえに日本の将来像を描くことだ。歴史認識の問題では、アジアの人々に「痛切な反省とおわび」を表明した村山談話を堅持し、国際社会との協調を示すべきである。

もうひとつのカギは、立憲主義という基本ではないか。安全保障問題で民主党は、集団的自衛権をめぐる閣議決定について「立憲主義に反するため、撤回を求める」と公約した。議論を深め、穏健な安保政策を追求してほしい。

民主党の再起は日本政治にとって重要だ。自民党の目が届かない人々への心配りを大切に、投票先を見失った有権者の受け皿づくりを進めることが岡田新体制の使命となる。

■産経:岡田新代表 マイナスからの再生急げ

岡田氏は政権の受け皿に向けて新たな国家像作りに取り組み、安全保障など主要政策の方向性を早急に定めるべきだ。それなしに「1強」の自民党に本格的論戦は挑めない。

岡田氏には、党内の左派勢力が支援した長妻氏との連携を強める姿勢もみられる。憲法や安全保障を積極的に論じる動きを抑えるような党運営はとるべきでない。

維新の党との連携や野党再編については一定の方向性が見えた。政策面の開きは大きく、合流など見通せない。野党第一党としての理念、政策の確立が先決だ。

巨大与党に対抗する国会での野党共闘に知恵を絞るのは当然だが、与党のすることには何でも反対の共闘なら願い下げである。

■日経:「自主再建」で民主の信頼回復はなるか 

今回の代表選が凡戦になった最大の要因は、解党的な出直しによる野党再編に前向きだったはずの細野豪志元幹事長が維新の党などとの合流に消極姿勢をみせたからだ。投票直前の候補者演説では労組系の議員票を取り込もうと「連合と一緒」とまで言い切った。

代表選に敗れたからと、再び方向転換したら信用を失う。党内の再編論者は当分、沈黙せざるを得ない。 岡田氏は代表選出後の記者会見で維新との合流について「考えられない」と明言した。

民主党はどこに向かうのか。岡田氏は会見で「自民党は右にシフトし、真ん中が空いている。そこを目指す政策展開が必要だ」と説明した。

具体例として、長島昭久氏らが中心になってまとめた安保基本法案は白紙に戻し、集団的自衛権の憲法解釈見直しに基づく安保法制の制定や、安倍政権のもとでの憲法改正は阻止する考えを示した。

代表選の決選投票で、旧社会党系が軸になった長妻昭元厚生労働相の陣営の支持を得て逆転勝ちしたことで、従来の立ち位置よりもやや左に寄った印象だ。

保守系を切り離して自民党との対抗軸を鮮明にするのか。それとも従来通りに党内融和を優先して政策論争を封印するのか。多難な党運営が予想される。

■毎日:岡田民主新代表 原点回帰では済まない

「過去との決別」を主張した細野氏が党員・サポーターも含めた地方票など1回目の投票を制したことは、ベテランの岡田氏による党再生を疑問視する見方が根強くあることの反映でもある。岡田氏が掲げた「原点回帰」もひとつ間違えば、現状の安易な肯定に陥りかねない。

新代表がなすべきことは明白だ。 民主党は現実性を欠く政策で政権運営に失敗したにもかかわらず、野党に転落してからも政策の統一を怠ってきた。 党首を真剣に支えず、執行部もまた政策の不一致を放置するような党運営を繰り返してきた。「民主党は(党内の対立を乗り越えて)決める厳しさに欠けていた」などと岡田氏が投票直前に訴えた現状からの変化を本当に実現できるのか。

■読売:岡田民主新代表 「原点回帰」で党は再生するか

党の再生へ、急進的ではなく、穏健な改革路線を選択したのだろう。

岡田氏は今後、集団的自衛権の行使の是非に関する統一見解の策定など、先送りしてきた外交・安全保障政策に関する党内論議を主導することが求められる。 非現実的な最低保障年金制度の創設など、2009年衆院選の政権公約(マニフェスト)の抜本的な見直しも急務である。

看過できないのは、岡田氏が安倍政権下では憲法改正論議に応じない考えを示したことだ。

岡田氏は、首相が「GHQ(連合国軍総司令部)の素人が8日間で作り上げた代物」と発言したとして、「首相は憲法をさげすんでいる」と主張している。 だが、憲法制定がGHQ主導だったのは事実だ。 党が一丸となって政権奪還を目指すのなら、憲法改正論議は避けて通れない。


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