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黛信彦の時事ブログ

5大紙社説:野田首相の人事オンチと民主党人材払底

2012年06月05日 | 5大紙社説

野田佳彦首相が第二次改造内閣を4日発足させた。

目玉は何と言っても拓殖大教授・森本敏氏の起用であり小欄は大いに期待する。 

しかし森本氏よりも先に、前の防衛大学校長・五百旗頭真氏の防衛相就任を「野田首相自ら要請して断られていた」という。 これを報じた6日付夕刊フジは「野田、やっぱり人事オンチ」とし、五百旗頭氏は「日本は前の戦争で中国を侵略し多くの迷惑をかけたなどと言い、よりリベラル色が濃い」とも書いている。

5日付5大紙社説も一斉に論評したが、森本氏を防衛相に充てた人事は、ノーコメントの朝日以外は評価が高い。 しかし民主党に対しては「民主党の人材払底(毎日)」「民主党の人材不足を証明した(読売)」と厳しい見方をしている。

以下、社説の抄録である。また、毎日新聞社説を未読の方は是非お読みいただきたい。

タイトル

●朝日:一体改革協議―首相が陣頭指揮に立て

●産経:第2次改造内閣 首相自ら難局打開せよ 与野党で成長戦略の再構築を

●日経:首相は態勢を立て直し修正協議を急げ

●毎日:野田再改造内閣 修正合意への重い使命

●読売:野田再改造内閣 日本の命運かかる6月政局 

改造の評価

●朝日:野田首相の記者会見からは、一体改革にかける決意は伝わってきた。 ただし、この改造は、法案の修正協議を進めるにあたって、のどにささった「とげ」を抜いたにすぎない。民主党が患う「病」が治ったわけではない。 自民党の谷垣禎一総裁は、病の正体を、こうたとえている。 「民主党には頭がいくつあるのか。それぞれの頭が好きな方向に動き、政治生命をかけるという総理の意思が、党運営に通ってきていない」

●産経:前途は厳しく険しいものの、首相自らが難局をひとつひとつ切り開く覚悟を見せていることは評価したい。

●日経:修正協議の実現を阻んでいるトゲを1つ抜いた形だ。 改造に先立ち小沢一郎元代表と2回会談した首相は、法案に反対する小沢氏の説得を見切る姿勢も明確にした。

●毎日:自民への協調をアピールするにしては、遅きに失した改造であった。

●読売:一体改革を前進させるための環境整備であり、国会審議を円滑にする「守り」重視の改造人事にほかならない。 

修正協議への臨み方

●朝日:修正協議の担当者の顔ぶれも重要だ。首相の意を体し、自民党との合意づくりに真剣にのぞむ人材を選ぶべきだ。

●産経:与野党協議で成長戦略をテコにデフレを脱却し、よりよい社会保障と税の一体改革を実現することが求められる。自民党も歩み寄るべきだ。

●日経: 修正協議では民主党が2009年の衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた「後期高齢者医療制度の廃止」などの公約撤回が焦点になる。民主党内には根強い反対論があるが、譲るべきところは大胆に譲歩して成案をまとめるべきだ。首相は党内取りまとめの先頭に立つ必要がある。

●毎日:会期はまだ2週間以上ある。すみやかに修正協議を進めれば合意が不可能な日程とは言えまい。 毎日新聞の世論調査では次期衆院選比例代表で大阪維新の会を投票先にあげた人は28%で、民自両党を圧倒した。 会期末の攻防で国会の緊迫は避けられまい。 だが、「決められない政治」からの脱却を自覚しなければ、既存政党は自沈である。

●読売:民主党は、修正協議で成果を得るため、政権公約(マニフェスト)に掲げた最低保障年金を柱とする新年金制度創設や、後期高齢者医療制度廃止という看板政策を棚上げしなければならない。 自民党が強く反発しているからだけではなく、内容にも問題が多い。 自民党の提案する「社会保障制度改革国民会議」を受け入れて、有識者も交えてじっくり議論するのが現実的だ。

交代させられた問責議員など

●田中直紀:防衛相としての資質に欠けていた。(日経)

●前田武志:公選法違反疑惑を抱えている。(毎日)

●小川敏夫:国会の委員会室で携帯電話で競馬サイトを見ていた。(日経)

●鹿野道彦:書類送検された中国大使館1等書記官との関係が取りざたされる(日経) 

防衛相に森本敏を起用

●産経:森本氏は海空軍力を増強する中国を踏まえ、南西方面の防衛態勢強化などを重視している。 それを裏付ける防衛費をいかに獲得するかなどが課題だ。 そのためにも、野田政権は必要な防衛力を整備する姿勢を明確にすべきだ。

●日経:長年、外交、防衛問題に携わっており、自民党にも多くの人脈を持つ。防衛相に求められる知見という点では、ふさわしい人選といえる。 ただシビリアンコントロール(文民統制)の要である防衛相に必要な能力はそれだけではない。 目の前の懸案を解決し、危機に対処していくには、まず大きな組織を統率する力が必要だ。法案の審議では野党との駆け引きも要る。

●毎日:安全保障政策に精通した森本氏であれば前任者と違い、野党も「クイズ形式」で知識を試すような国会質問などするまい。だが、結局際立ったのは民主党の人材払底である。

●読売:見識、説明能力ともに難のない「玄人」を充てたのだろう。 自民党などから「国防上の問題で責任を取れるのは、選挙で選ばれた政治家しかない」との批判も出ている。 

党役員人事に手を付けず

●朝日:改造にあわせて党役員人事に踏み切る選択肢もあったのに、首相は避けた。ならば首相の意向に沿って動くよう、党のたがを締め直さなければなるまい。

●毎日:増税に首相として取り組むことを「天命」とまで語る首相が本当に背水の陣を敷いたかも疑問が残る。 首相は党内融和を主張する輿石東幹事長をはじめ、党執行部を続投させた。


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