4月に、ちくまプリマー新書で出版された同志社大学大学院教授・浜矩子著「地球経済のまわり方」を、9月14日放送の日テレ・久米書店(BS141)で紹介した際、MCの久米宏が「登場人物の多彩さに驚いた」と語った。 小欄は同書を読んでいなかった事を恥じながら本日入手して登場人物をチェックしてみた。
「登場人物の多彩さ」ということでは、09年出版の「ザ・シティ金融大冒険物語」には実に69人が登場したが、「地球経済のまわり方」でも、40人の実在・故人・劇作の登場人物が出演し、“2014年エコノミストの旅”をガイドしていて、浜矩子によれば構成は次の様だ。
①プロローグ:エコノミストの三種の神器とは
その1、独善的であること
その2、懐疑的であること
その3、執念深いこと
②第一章:三種の神器その1の基本に関わる部分を抑える
③第二~四章:基本編で、日米欧という世界の奇妙な三兄弟について考える
④第五章:応用編で、21世紀の地球経済を展望しながら、エコノミストの十分条件を満たすまとめを目論む
ということである。
浜矩子が「細工は流々仕上げを御覧じろである」と自信を持つ本著は、以下の、40人の登場で「地球経済のまわり方」が平易に理解できる。
(1)黒澤明:「用心棒」などの世界的映画監督
(2)三船敏郎:映画「用心棒」で主人公の賞金稼ぎの浪人を演じた
(3)タイガー・ウッズ:ゴルフ界のスーパー・ヒーロー
(4)イエス・キリスト:本著では「先のものが後になり、後のものが先になる」、いわゆる神の果樹園の話をする
(5)神:(4)が云うところの万物の創造主
(6)我が友:浜矩子のフランス人の友人
(7)スティーブン・キング:「狼男の一周期」など、血も凍る恐怖小説の作家(米)
(8)風間賢二:前作を「人間の四季」として邦訳した
(9)ジミー・カーター:インフレとの攻防で惨敗した第39代米大統領
(10)ウイリアム・シェイクスピア:「ベニスの商人」を書いた劇作の巨人
(11)アントーニオ:「ベニスの商人」の主要登場人物で、豪商
(12)パッサーニオ:「ベニスの商人」の主要登場人物で、アントーニオの友
(13) ポーシャ様:「ベニスの商人」の主要登場人物で、ベルモントの姫君
(14) シャイロック:「ベニスの商人」の主要登場人物で、ユダヤ人の高利貸し
(15)モーツァルト:オペラ史を彩った作曲家
(16)ロッシーニ:オペラ史を彩った作曲家
(17)ドニゼッティ:オペラ史を彩った作曲家
(18)ヴェルディ:オペラ史を彩った作曲家
(19)ワーグナー:オペラ史を彩った作曲家
(20)プッチーニ:オペラ史を彩った作曲家
(21)リチャード・バックマン:(7)の第二のペンネームで、「痩せゆく男」の作者
(22)間野明裕:(21)の邦訳者
(23)ロマ:「痩せゆく男」で主人公の弁護士に車で引かれた恨みから、主人公に「thinner(どんどん細くなれ!)」と呪いをかけるジプシー老人
(24)ルチアーノ・ババロッティ:イタリアが誇る名テノール歌手。(25)(26)と共に「三大テノール」と称され、その親分格
(25)プランド・ドミンゴ:「三大テノール」の一人として共に全世界ツアーを挙行
(26)ホセ・カレーラス:「三大テノール」の一人として共に全世界ツアーを挙行
(27)バラク・オバマ:第44代米大統領。 就任当初、浜矩子が「不本意男」になることを懸念したが、現在はその極みにあるという
(28)大江健三郎:「遅れてきた男」などの著作を持つノーベル賞作家
(29)浦島太郎:昔話の主人公。 浜矩子は「アベノミクスは浦島太郎の経済学」「ユーロは浦島太郎通貨」など、遅れてきたモノの代名詞に使っている。
(30)ウィンストン・チャーチル:1940年5月10日、第一次チャーチル内閣を組閣。「欧州に対して与えるべき助言はただ一言『統合すべし』である」と、誰よりも先に欧州合衆国という言葉を口にした頑固者の独善家
(31)ウォルタ・ハルシュタイン:EC(欧州共同体:当時)委員会の初代委員長。 「欧州統合プロセスにおいては政治的理念の達成が経済的効用の達成に優先する」という意味のことを主張した
(32)ウェルナー:1970年代を迎える頃、欧州統合に関する「ウェルナー委員会報告」の中心人物となったルクセンブルク首相
(33)マリオ・ドラギ:ECB(欧州中央銀行)第三代総裁。 「財政破綻寸前諸国の国債を買いましょう」という意味のことを言った。 これを受けて浜矩子は「欧州統合はもはやこれまで」と感じた。
(34)エンリケ:「大航海時代」、アラブの商人たちに対抗して東方直接貿易に乗り出す
(35)パスコ・ダ・ガマ:(34)に続いた
(36)アメリゴ・ベスプッチ:(34)に続いた
(37)クリストファー・コロンブス:(34)~(36)に続いた。 新大陸発見
(38)ヤグディッシュ・バグワッティ:「自由貿易こそ戦争に対する至高の防波堤なり」と語った、貿易理論の大家
(39)ロバート・フランク:仮想国「リッチスタン(金持ち国家」という造語を作った米ジャーナリスト
(40)ロバート・A・ハイライン:「強い酒にはご用心。 飲むと徴税人に発砲し、しかも打ち損じる」と書いた米SF作家
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