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黛信彦の時事ブログ

豊田社長、アイアコッカに学べ

2010年02月19日 | ビジネス・経済
●19日、トヨタ自動車・豊田章男社長がリコール問題で現地24日予定の米国下院公聴会の召致を受けると発表した。
17日には「現地法人の経営陣に信頼を置いている」として北米トヨタ自動車(TMA)の稲葉良睍(よしみ)社長を出席させるとしていたものの、米国議会の不満が死活問題と悟った結果であろう。
ともあれトヨタ社長の決断は遅かったとはいえ英断である。

ネット検索で、韓国・中央日報09年2月20日の記事に出会った。稲葉TMA社長について次のように書いている。
~・~・~  トヨタ自動車が「セールスの達人」と呼ばれる稲葉良●(=目へんに見)元米国トヨタ販売社長を復帰させ、北米市場再建に乗り出す。これによりトヨタはこれまで市場拡張一辺倒だった渡辺捷昭社長体制から稲葉氏を中心とした販売・マーケティング中心に変わるものとみられる。トヨタは6月から創業家の豊田章男副社長が社長を務める。
稲葉氏は、米国でレクサス販売に成功し米国トヨタ販売の社長に上り詰め、また中国担当社長時代には中国盤カムリも大ヒットさせた偉大な人物である。
中国での「カムリ」の善戦で北京現代自動車が出した「NFソナタ」は苦戦を強いられることになった。 ~・~・~

1970年代、『技術の日産・販売のトヨタ』と言われて、次第にトヨタが日産を大きく引き離してきた。
しかし、そのトヨタの『力』とは実は、販売力に勝る技術力だったのではないか?
カローラやハイエースの人気、トヨタ社の耐久性はその証明である。

メーカーが、その隆昌を営業力に託して存亡の危機に立った例は珍しくない。
勿論、稲葉氏は傑人であるが、今回の問題では、「営業の達人」に任せるよりも「カーキチ」である豊田社長自ら公聴会に望むことで、必ず良いことがあるだろう。
世界のユーザーと市場に不信感を与え、米国議会を敵に回してしまっては世界のトヨタも一朝にして三流企業に転落してしまうところだった。

●豊田社長には、「アイアコッカに学べ」と申し上げたい。
幸い、トヨタの米国拠点では4州知事がトヨタを応援し、従業員・関係者数十万人がトヨタの沈没を防ごうとしている。
今、豊田社長に求められるのは、議会を味方につけることである。

第二次オイルショックで打撃を受けた米国自動車業界にあってクライスラーは破滅寸前に追い込まれ、社長リー・アイアコッカは議会に対して債務保証を求めるが、フォードなどに妨害される。
しかし、アイアコッカの熱意は、まず市場の心を捉え、次に債権者の心を動かし、最後には、議会を動かした。
煮え切らない下院の評決直前に議長ティップ・オニールが議長席から降り、マサセッツ州選出の一議員として演壇に立ち、大恐慌下の1930年代ボストンで失業者が雪かきをしながら生計を立てた話を引き合いに、感動的なスピーチをした。
「私は、100名の職を救うにも全力を尽す。今日ただいま、50万以上の家庭が、我々の表決を待ち受けているのです。そんなときに、漫然と議論を続けるが如き行為は、どこか間違っているのではないだろうか」
下院ではダブルスコアでクライスラーの復活を決し、上院でも可決された。

ところで昨春、GMとクライスラーのCEOが自家用機で公聴会に臨んでひんしゅくを買った。
豊田社長には、そうであって欲しくない。
アイアコッカに学べ。

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