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黛信彦の時事ブログ

5大紙社説に見る、クライスラーの次、次の次

2009年05月02日 | ビジネス・経済
りー・アイカコッカが救ったクライスラーは破たんした。
次に6月1日、『晴れた日にはGMが見える』で、ジョン・デロりアンが憔悴したGMが岐路に立たされる。
ならば、次の次はヘンリー2世がアイアコッカを追い出した、フォードなのだろうか?

クライスラーが米・連邦破産法11条(日本の民事再生法にあたる)の適用を申請し破たんしたことを、日本の5大紙社説は2日付、揃ってコメントした。
読売は、「GMは最近、追加リストラ策をまとめ、債権者や労組などに巨額債務の圧縮を求めた。政府にGM株の5割を取得してもらい、事実上の国営企業となる案もある。
しかし、再建交渉は難航中で、クライスラーと同様に、破産法申請が選択肢となる可能性も高い。GMの経営規模は、はるかに大きく、米国や世界経済に与える影響が懸念されよう。」
としている。また、産経は
「GMも債権放棄交渉が難航しており、クライスラー再生に失敗すれば、米自動車産業は共倒れになってしまう。」と、その次と次に次を憂慮している。

以下、各紙社説から抜粋
■朝日新聞(社説)クライスラー ―オバマ流の「静かな破綻」
これまでの交渉で大半の利害関係者から譲歩を引き出しており、法的処理に伴う混乱はかなり抑えられそうだ。しかも、度重なる金融対策で米国経済はやや小康を得ており、「クライスラー破綻(はたん)」を落ち着いて受け止める素地が生まれていたようだ。
裏を返せば、クライスラーの「静かな破綻」は、オバマ政権が打ってきたさまざまな経済対策の総合的な成果と評価できるだろう。

政府資金による巨額の融資が、世界中に「産業と雇用の保護のためなら何でもあり」というムードを広げた面も否定できない。
それだけに、オバマ大統領が今回の処理で「利害関係者のゴネ得は許さない」という態度を貫いたことは前進だ。1カ月後に期限が来るGMの再建交渉にも影響を与えるだろう。

■産経新聞【主張】クライスラー破綻 連鎖倒産回避で終わるな
米経済はいくつかの経済指標にようやく最悪期を脱する兆候がみえはじめたとされる。もしも再生がうまくいかなければ、米経済を後戻りさせかねない。米国向け輸出の依存度が高い日本経済にとっても悪影響が懸念される。
今回の破綻処理はGMの再建協議にも影響を与えるだろう。GMも債権放棄交渉が難航しており、クライスラー再生に失敗すれば、米自動車産業は共倒れになってしまう。米政府は目標とする60日以内に裁判所の管理下から抜け出せるように利害関係者との調整を急ぐべきだ。
政府支援に頼らないと民間企業が生き残れない事態は正常な姿ではない。今の経済状況下ではやむを得ない救済とはいえ、「消費者が求める良い車を造れない企業が破綻するのは当然」という声は今も根強い。クライスラーは相当な痛みを覚悟した上で、公的支援に甘えることなく再生への一歩を踏み出してもらいたい。

■日本経済新聞(社説)変革怠ったクライスラー
米政府は法的整理に伴う「二次被害」の対策に注力してほしい。クライスラーへの破産法適用で、部品会社が痛手を被り、部品供給が滞る事態になれば、日本企業を含めて業界全体に混乱が広がる。

5月末にはGMの再建計画の提出期限も来る。GMがクライスラーと同じ道をたどることになれば、影響は甚大だ。米政府は最大50億ドル(5000億円弱)の部品メーカーの支援制度を用意しているが、早晩支援枠の拡大が必要ではないか。

日本企業にとってもクライスラーの教訓は大きい。同社の不振の根底には、自己変革能力の欠如がある。巨大な米国市場に安住し、グローバル展開に出遅れた。燃費のいい小型車の必要性が指摘されながらも、大型車依存の体質は改まらないままだ。深刻な経済危機が引き金になったのは確かだが、それだけで破産法申請に至ったわけではない。

■毎日新聞(社説)クライスラー破綻 再建は容易ではない
GMやクライスラーを苦境に立たせたのは、今回の経済危機だけが原因ではない。
80年代には日本が自動車の輸出を自主規制し、米国の自動車メーカーは時間的猶予を与えられたものの、抜本的な経営改革にはつながらなかった。燃費効率の悪い大型車に依存する収益構造を改めることができず、高い労働コストと高額の役員報酬という問題も放置された。
研究開発でも後れをとり、消費者の選好の変化に対応した新型車を開発できなかった。そして、今後の自動車産業のカギを握る省エネ技術で、先行するトヨタなどに大きく差をつけられた。

自動車メーカーにとって最も大切な点は、技術を磨き続け、時代の要請に応える車をつくることだ。政府の支援や業務提携で時間を稼いだとしても、そうした地道な努力を怠れば、再び淘汰(とうた)の波に洗われることになるだろう。

■読売新聞(社説)クライスラー 破綻後も続くいばらの道
将来展望がないまま、政府が自動車支援を続けることに、米国の世論は批判的だ。大統領は、際限ない巨額支援の泥沼に陥る事態を懸念し、法的整理で再生させる道を選んだのだろう。
連邦破産法11章を使うと、自動車生産を継続しながら、裁判所の管理下で、巨額債務や、労働コストの削減などを盛り込んだ再建計画をまとめやすくなる。
クライスラーは、大口債権者や労組とは、債務削減などで合意済みだ。米国とカナダ政府はつなぎ融資を実施する。「事前調整型の破綻」に近いといえる。
米国政府は「30~60日でのスピード再建」を想定しているが、コスト削減などの課題は多い。今後の道のりは楽観できまい。
懸念されるのは、クライスラーと取引関係にある部品メーカーなどの連鎖倒産だ。日本メーカーにも悪影響が広がる恐れがある。

クライスラー破綻 日系部品メーカー 影響は限定的(産経新聞) - goo ニュース

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