key person

「どうする日本!」

右と左の真ん中で日本と世界を眺める

黛信彦の時事ブログ

新銀行東京 追資1千億で蘇る

2008年03月14日 | ビジネス・経済
追加出資は心臓マッサージ 徹夜審議の新銀行で知事(共同通信) - goo ニュース
新銀行東京への400億円の追加出資をめぐって、東京都議会は久しぶりに徹夜審議で紛糾している。石原都知事は「追加出資は心臓マッサージ」というが、マッサージで生き返る保証はない。新銀行東京を蘇生させるには、どうすればよいのだろうか・・・

●新銀行東京、B/Sの主要科目残高
(新銀行東京HPより)単位:億円
貸借     H19.9残高(H19.3比)
≪資産の部≫
①現金・預け金―→130(▲90)
②有価証券――→2994(▲637)
③貸出金―――→2218(▲249)
≪負債の部≫   
④預金預かり―→4284(▲353)
⑤譲渡性預金―→181(▲307)
⑥支払承諾――→637(▲105)

※弊ブログの分析
①②の▲は、有価証券(国債・社債)を取り崩して貸付金・営業費用に回すという自転車操業に陥っていることの表れ。
③貸出金残高の減少、原資の欠乏で貸付行為ができていない。
④預金残高減少、貸し出し原資欠乏の要因になる。更に預かり預金4284億円の内訳は、普通預金が149億円、定期預金が4135億円となっているが、定期預金のうち貸付金に対する担保性のない定期預金の割合(最大2000億円)によっては、取り付け騒ぎに陥る。

●最も怖い、保証債務637億円
新銀行東京は、保証協会のように一般金融機関が企業・個人等に貸付を行う際に、その保証業務を積極的に行った。その保証債務残高が、B/Sに⑥支払承諾という負債勘定科目で計上されている。尚(▲105)の意味は、保証債務が105億円増加したということである。支払承諾科目は、資産科目で支払承諾見返科目で同額が計上され、保証した借入金がきちんと返済されれば、この2科目は同額が貸借から減額され、保証料収入が利益計上される。

しかし、この保証債務637億円のうち、今後どれだけの貸し倒れが発生するのだろうか?これが弊ブログの一番の危惧である。

新銀行東京 信金が踏み台
なぜなら、新銀行東京は積極的に信金をはじめ地銀、都銀に保証業務の売込みをしていたが、保証協会よりも保証料がはるかに高率で、余裕ある企業は、そこに走らない。

信金等は、自らの与信では貸せない、また保証協会も保証してくれない、国民生活金融公庫でも貸してくれない、要するに「箸にも棒にも掛からないような企業」に対して新銀行東京の保証付きで、安心して貸付を行い、債務者が返済不能に陥ったら、新銀行東京に対して「代わりに返してくれ!」といえばよいのである。

●追加出資、1千億円なら蘇る
今、なぜ追加出資を400億円と計算しているのか?、1桁違うような気がする。端金では1年後に同じことが繰り返されることになるだけだ。

最低、1千億円追加出資しなければ、蘇生させることはできない。
東京都議会の紛糾ついでに、石原都知事は現状をもう一度精査して、本当にそれでよいのかを再吟味していただきたい。
400億円では、貸付原資が不足するはずだ。

●原点に立ち返れ
もともと、新銀行東京の設立の目的は、東京発BKで、「箸にも棒にも掛からないような企業」を救済することが目的であった。その原点に立ち返って、保証業務を中止し、少数精鋭の融資審査部隊が「直接貸し付け」にのみ力を注げば、間違いなく黒字転換できるはずである。2010年に。

●石原都知事は、任期中に黒字化を!
石原都知事は、400億円追加出資で2011年度に黒字にすると言うが、任期は2011年4月である。遅くとも2011年3月期、即ち、2010年度に黒字達成しなければならないのではないか?
知事を退任してから、「やっぱり赤字だった」では、無責任もいいところである。
そのために、『もう一度、開設当初と同額の1千億円を出資したい』と都議会に諮るべきであるというのが、弊ブログの提言である。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北京五輪はジェノサイド五輪... | トップ | 北京五輪、参加しない!に意義 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ビジネス・経済」カテゴリの最新記事