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黛信彦の時事ブログ

5大紙社説にみる小沢辞任、民主は呪縛から解放

2009年05月12日 | 5大紙社説
12日付5大紙は「民主党・小沢一郎代表辞任」を第一面で報じるとともに社説にした。
主張に共通するのは、辞任は遅すぎた、開かれた代表選挙とせよ、ということである。
毎日のタイトルは、「やっと政治が動き出す」だった。

■朝日新聞(社説)小沢代表辞任―政権選択に向け再起動を
民主党の小沢代表がようやく辞意を表明した。妥当な判断だ。もっと早く踏み切っていれば、民主党が被った損失は小さくて済んだろう。
この2カ月というもの、国会に提出された多くの法案や予算案について、すっきりとした対応が定まらず、総選挙向けのマニフェストづくりの作業はほぼストップしていた。

どこかひ弱な民主党にとって、その(さきの参院選に勝利をもたらした小沢氏の)腕力は政権につくのに欠かせない「劇薬」と受け止められた。
副作用もあった。小沢代表になってから、社会保障財源のための消費税引き上げ、公共事業受注企業からの献金禁止といった民主党独自の政策が、いつの間にか政権公約から姿を消した。高速道路の無料化や子ども手当などの政策には「財源の裏付けがない」という与党などの批判が浴びせられた。
外交面でも、例えば「第7艦隊で米国の極東におけるプレゼンスは十分」などといった、小沢氏の迷走発言が続いた。

■産経新聞【主張】小沢代表辞任 判断遅すぎ、信頼を失う 後継選びで基本政策を競え
(西松事件は)当初から小沢氏の政治的かつ道義的な責任は明確であり、代表辞任は遅すぎたと言わざるを得ない。離党もしくは議員を辞職するような事態であることを認識すべきである。小沢氏の続投を容認し、十分な自浄能力を発揮できなかった党執行部の責任も重大だ。

小沢氏は会見で、自分自身が挙党態勢の支障になっている点は認めた。
同時に「衆院選を通じた政権交代の実現が国民生活重視の政治への転換を可能にする」と述べ、新体制を支えていくという名目で引き続き衆院選対策の実務に取り組む強い意欲も隠さなかった。

これでは、辞任要求が拡大する前に自発的に辞任し、影響力を残したということではないのか。小沢氏は「政治資金について、一点のやましいところもない」と強調したが、事件について反省し、説明責任を果たそうとはしなかった。辞任するだけで、違法献金事件の批判や疑念を一気に払拭できると思っているのだろうか。
今回の事件でも、小沢氏個人の力量に依存しすぎていたために、有権者の多数が辞任を求めていても、党内で党首の責任をほとんど追及しなかった。その背景にも、党内での政策論争の不足が指摘されよう。

■日本経済新聞(社説)民主党は「小沢辞任」踏まえ政策勝負を
辞任は当然だ。
小沢氏の秘書が逮捕されてから、民主党は思考停止に陥った感があった。衆院解散・総選挙を求める勢いが弱まり、2009年度補正予算案の審議でも精彩を書いている。次期衆院選のマニフェストの策定作業も停滞していた。

衆院選は間近である。選挙の争点を明確にするためにも、代表選で政策論争を深めたうえで、政権公約を練り直す作業が急務である。
小沢氏の辞任で政局の潮目が変わる可能性が出てきたが、政策への信頼感を高められなければ、政権交代は絵に描いたもちになりかねない。

■毎日新聞(社説)小沢氏辞任表明 やっと政治が動き出す
小沢氏の進退問題という呪縛から民主党はやっと解き放されたと前向きにみることもできる。近づく政治決戦に向け、民主党は新代表のもと早急に態勢を立て直さなくてはならない。そして機能停止のような状況に陥っていた政治が再び動き出すことを望みたい。 

次の衆院選で首相を目指す民主党の代表が「古い自民党の体質を引きずっている」と多くの有権者を失望させた責任は大きい。決断が遅れたことを含め、そうした点に関して、小沢氏が記者会見でほとんど言及しなかったのは残念だった。

オバマ米大統領に見るように、日本でもオープンな場で、強く分かりやすいメッセージを国民に向けて発信する力がリーダーには求められている。密室での駆け引きに剛腕を発揮してきた小沢氏だが、今回の辞任はそうしたスタイルの政治が終わりを告げていることも意味しているように思われる。

■読売新聞(社説)小沢代表辞任 世論に追い込まれた末の退場
厳しい世論の背景にあるのは、小沢代表が西松建設事件の実態について、説明責任を果たしていないことだ。
鳩山幹事長らは再三、小沢代表に国民向けの説明を行うよう進言したが、実行されなかった。小沢代表の辞任記者会見でも、事件で「心配をかけた」支持者への謝罪はあっても、政治献金に関する具体的な説明はなかった。
小沢代表は自らを「口べた」と称するが、野党第1党党首として首相を目指す以上、そうした言い訳は通用しない。自らの立場を国民に説明し、理解を得るのは、首相に不可欠な基本的資質だ。
民主党の国会対応が最近、精彩を欠いていたのも、小沢代表の進退問題と無縁ではない。

民主党に今、求められているのは、迅速かつ民主的な手続きによる後継選びと、新たな党首の下での結束だろう。
小沢執行部の退陣は、小沢代表主導による政局・選挙一辺倒の姿勢を是正し、政策の見直しを図る好機でもある。小沢代表が決定した政策や方針には異論を唱えられないような風潮は当然、改めるべきだ。

「変身」に努め3年…小沢民主党、最後につまずいた(朝日新聞) - goo ニュース

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美人キャスターにマジギレ寸前 (安藤 伊代)
2009-05-14 13:10:36
小沢代表が辞任会見で美人キャスターにマ
ジギレ寸前

 民主党の小沢一郎代表(66)は11日、党本部で会見を開き、代表を辞任することを発表した。麻生太郎首相(68)との党首討論を2日後に控えていながら、急転直下の辞任劇。悔しさを押し殺そうと笑顔で記者会見に臨んだ小沢氏の化けの皮をはがしたのは、あの美人キャスターだった。

 11日午後5時から民主党本部(東京都千代田区)で記者会見に臨んだ小沢氏。黒のスーツに薄い水色のネクタイで笑顔で記者団の前に現れた。
 「わぁ~、マイクが一杯だ」
 辞任に追い込まれた悔しさを隠すかのように、小沢氏の会見はそんなとぼけた第一声から始まった。
 小沢氏は記者会見の冒頭、用意してきた紙を読み上げ、「衆院総選挙での必勝と政権交代の実現に向け、挙党一致態勢をより強固にするため、あえてこの身を投げうち、民主党代表の職を辞することを決意した」と述べた。
 辞任の理由については、「今度の総選挙は悲願の政権交代を実現する最大のチャンス。党内が乱れていたのでは勝利できない。代表の職にとどまることで、挙党一致の態勢を強固にする上で少しでも差し障りがあるとするならば、本意でない」と党内の混乱を最大要因に挙げた。
 辞任を決意したのは大型連休中に進退問題をゆっくりと熟慮した結果だという。小沢氏は自らの辞任が次期衆院選での民主党の勝利に貢献するとしている。次期代表については「辞めていく者が次の人について、論ずべきではないと思っています」と答えを避けた。
 時折言葉に詰まりながらも、終始笑顔で語り続けた小沢氏。党内からも辞任を求める声が上がりながら続投を貫いてきた政界の“壊し屋”は、辞任の悔しさを見せまいと必死の笑顔を振りまき続けた。

 記者との質疑応答の際は、発言する記者には一目もふらず、ただじっと前を見つめながら応答した。しかしテレビ局の女性キャスターからの質問に態度が急変する。
 「党内や有権者からも辞任自体が遅すぎたことによって党にダメージを与えたという声もあります。離党や議員辞職も選択肢として考えられるのですか?」
 その質問に小沢氏は会見で初めて質問者の方を向き「なぜ離党、議員辞職しないといけないのですか」とブチギレ寸前。
 「献金事件というカネにまつわるイメージを民主党から離すために離党すべきじゃないかと」と続ける記者の質問をさえぎるように小沢氏は「私は、政治資金の問題についても一点のやましいところもありません。政治的な責任で身を引くわけでもありません」と強調した。さらに「あなたどこだっけ、会社?」と聞き返し、記者が「日本テレビです」と答えると「日本テレビでもよく国民のみなさんの調査をするべきだと思います」と小沢氏が言い返す一触即発の雰囲気に場内は静まり返った。

 質問したのは帰国子女で東大卒のエリートとして有名な七尾藍佳キャスター(30)。日本テレビ系「NEWS ZERO」でリポーターを務めながらフリーキャスターとして活動している。
 超エリートという肩書の一方で、一部では場の空気が読めない女性との声も。最近ではフジテレビ系列のクイズ番組「ネプリーグ」に東大美女軍団チームの一員として出演。英語問題で得意のネイティヴ発音を披露してみせれば、チームのメンバーが答えられなかった質問を「簡単すぎるのに」と堂々と言ってのけ、共演者らがどん引きする場面も。
 また、山口県光市母子殺人事件で死刑判決が出た際には、記者会見に答えた被害者遺族の男性に「死刑判決が出て果たして、あなた自身は、いつか癒やされるのか、救われることがあるのか、その気持ちを聞かせていだだけますか?」と質問し、周囲の記者を驚かせるとともに遺族男性を困惑させた過去もある。

 しかし、今回はそんな歯に衣着せぬ物言いの美人キャスターの活躍で、小沢氏が最後まで西松建設事件の説明責任を果たすつもりがないことが露わになった。金権政治と揶揄される巨大な利権を手放す気は小沢氏には毛頭ないようだ。次期衆院選まであと4カ月。小沢氏が神経をとがらせる矛先はもっと別にある気がするのだが…。(関 淳一)
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