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黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録⑬郵政民営化に、矩子の箴言(毎日新聞)

2008年07月20日 | 浜矩子語録
浜矩子は、20日付毎日新聞“時代の風”欄に、“米国版「官製民業」の顛末”を寄稿した。
この中で、サブプライム禍で共倒れの危機に瀕しているファニーメイとフレディマックの顛末と、2017年9月末に完全民営化を目指している郵政問題を同心円で描き、憂いのなかに箴言を込めた。

ところで、グローバル矩子は、“グローバルがなくてもグローバル”。この寄稿に“グローバル”を一切用いていない。グローバルを超えた瞬間だ。

浜矩子は、1938年にルーズベルト政権を親として生まれたファニーメイをお姉さん、後年生まれたフレディマックを年の離れた弟と見立てた。
●ファニー姉は、米住宅ローン市場で民間の住宅ローン債権を買い取り、民間金融機関はこのお金を元手に更に住宅貸付を増やす。
民間補完機関として誕生したファニー姉は、1968年に嫁ぐ。即ち民営化された。
ところが、民営化されたとはいえ余りにも大きく御用金融機関的なファニー姉は、力が付いた一般金融機関たちにとって助け舟もやがては邪魔者になる。
そして肩身が狭くなったファニー姉の、良きパートナー或いは良きライバルとして1970年に設立されたのがフレディ弟だった。
 
しかし、以来二人三脚を続けてきた連邦認可法人の「ファニーとフレディが、サブプライム問題を発端にして共倒れの危機に瀕している。」

姉弟ともに政府認可法人であるから、直接的にサブプライム融資のようなハイリスク商品に直接関わっていない。むしろ住宅ローン市場の屋台骨たることが使命の存在である。
それなのに何故、共倒れの危機なのか? 
それが、官製民業の性。
「住宅市場が資金枯渇に陥るような場面こそ、屋台骨役の姉弟の出番である」、とばかりに、政府が姉弟の与信上限を引き上げ、ついには新規組成住宅ローン債権の75%を姉弟に保有させる格好になった。

しかし、ねずみたちがいっせいに退去した船上に巨人コンビが取り残された現状は、もはや助け舟ならぬ泥舟だ。(末尾、ロイター伝参照)

●なりふり構わぬ大救援作戦で、姉弟が抱える不良債権は550兆円という、とてつもないものになった。まさに大きすぎて潰せない。
この、本質的な問題は、民業であって民業でなく、官業でないのに官業であるような巨大金融機関の存在を放置してきたことだ。
そのことの矛盾と不合理をサブプライム問題が顕在化させた。急場しのぎはともかく、とうに役割を終えていたはずのファニーとフレディに、どのように安らかにご退場願うかが次の課題なのに・・・・・、
官的民業の存続は純粋な民業から優良顧客を奪うという。そうこうするうちに金融危機が到来した。そこで(姉弟に)公的資金が注入される。ちょっと、気にならないだろうか?」

「ここで、ふと日本のかつての巨大官製金融機関が頭に浮かぶ。2017年9月末の完全民営化を目指している。その中で、彼らはこの米国での顛末をどのような思いで見守っているのであろうか」

浜矩子(はまのりこ)語録 目次へ


[17日 ロイター]
 米メリルリンチは、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の優先株について、ボラティリティを好まない投資家はエクスポージャーを減らすべき、との見方を示した。配当を取りやめる可能性があるとしている。
 メリルリンチは顧客向け報告書で「ファニーメイとフレディマックが優先株配当を継続する可能性が最も高いが、ボラティリティが高いため一部投資家に両社の株は適切でない」と指摘した。
(こうなれば、ネズミのいなくなった船上から、猫も消える)


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1 コメント

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さすが (コロラド)
2008-07-22 21:55:16
なるほどの意見ですね。
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