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黛信彦の時事ブログ

オバマ氏平和賞は、建設仮勘定

2009年10月11日 | 5大紙社説
10日付5大紙は、オバマ大統領のノーベル平和賞受賞決定を報じた。
しかし、産経が「評価に見合う成果が課題」と書いたように、BSの勘定科目に例えれば、多分に仮払いや前渡し的であり、『建設仮勘定』に繰り入れられそうな意味合いを強く感じる。
オバマ氏への期待は、近い将来『建設仮勘定』を「核廃絶」という固定資産に科目替えしてもらうことだが、損金に振り替わる可能性も高く、世界が注目することになる。

では、オバマ氏の何を、世界が注目するか?
妖艶なエコノミスト・浜矩子が憂慮する『オバマはどこまで不本意男化するか』である。
~・~・~ 不本意男ということで私が言わんとしているのは、「不本意ながら」と言いながら、「私の本意ではございませんが」と言いながら、だんだんだんだん、まずい方向に引っ張られていってしまう人、という意味でございます。
実は私は、オバマ大統領が就任した当初から「不本意男化していってしまうのではないかな」と、気にしておりました。(浜矩子)~・~・~

『大統領は今回の受賞を「行動への要求」と受け止めた。(日経)』とあるように、オバマ氏は受賞によって梯子を外されたのも同然。やるしかない。
将来、「ノーベル賞金1000万クローナは慈善団体に寄付した」との言い訳を聞きたくないのだ。

ところで小欄は、オバマ氏に「不本意男化するな」とのプレッシャーを与えたノーベル賞委員会こそ受賞に相応しいではないか、と思っている。

以下、5大紙社説の論評抜粋
■朝日新聞(社説)ノーベル平和賞―オバマ変革への深い共感
難題ばかりだ。どこまで成果に結びつくかは未知数な部分が大きい。アフガニスタン戦争も出口がなかなか見えない。ノーベル平和賞を受賞したからと言って、国際社会の複雑な利害対立が解けるわけでもない。
だが、それも承知で委員会は、オバマ流の国際政治こそ、初の授賞から108年の間ずっと後押ししようとしてきたものだ、とたたえている。
むろんオバマ大統領が無謬(むびゅう)であるはずもない。それでも、希代の指導者による挑戦を頓挫させることは、世界の公益に大きなマイナスとなる。

■産経新聞(社説)【主張】オバマ氏平和賞 評価に見合う成果が課題
オバマ政権をめぐるこうした現実を見ると、「オバマ氏ほど世界の注目を引き、人々によりよき未来への希望を与えた指導者はいない」という委員会の評価に見合う成果を挙げていくのは容易なことではないだろう。

■日本経済新聞(社説)「核兵器なき世界」への行動促した平和賞
大統領は今回の受賞を「行動への要求」と受け止めた。米国とオバマ氏自身の今後の貢献への期待を込めた平和賞である。これを機に、核軍縮をはじめ国際社会の懸案解決に、一段と指導力を発揮してほしい。

■毎日新聞(社説)オバマ氏平和賞 さあ次は理想の実現だ
オバマ氏へのノーベル賞を苦々しく思う人々のことも忘れてはならない。中東和平は進展せず、「オバマのベトナム」とも言われるアフガニスタン情勢は悪化する一方だ。北朝鮮の核兵器やミサイル、イランの核開発の脅威も増している。オバマ政権下で世界は平和の果実を必ずしも味わっていないのだ。
これからオバマ氏に問われるのは、うたい上げた理想を実現する実行力である。来月アジアを歴訪するオバマ氏は、どんなに同盟国・日本が北朝鮮の核兵器やミサイルに脅かされているか、そして広島・長崎の人々がどんなに大統領訪問を待ち望んでいるかを肌で知ってほしい。それこそ「核なき世界」への新たな出発点になるのではないか。オバマ氏の戦いを日本も全力で応援したい。

■読売新聞(社説)ノーベル平和賞 オバマ「変革」への大きな期待
就任9か月のオバマ大統領の場合、期待が先行しているきらいがある。今後、いかに実のある成果を上げるかが重要な課題だ。
米国が最重視するアフガニスタン情勢は混迷を深める一方だ。タリバンが攻勢を強めるなか、今後の対応については、一層の増派か戦略の転換か、政府部内でも見解が割れている。
北朝鮮やイランの核問題も、まだ解決への具体的な成果は上がっていない。核実験全面禁止条約(CTBT)の批准など米国が率先して実行すべき問題も残る。
受賞を機に、オバマ大統領には平和実現へのさらなる努力を期待したい。同時に、各国指導者も協力しなければならない。

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