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黛信彦の時事ブログ

5大紙社説にみる、GM愛国救済

2009年06月02日 | 5大紙社説
クライスラーに続いて破綻したGMは、読売新聞・産経新聞などが「用意周到」と評するほど見事な「事前調整型破綻」で国有化が決定した。

ところで、妖艶なエコノミスト浜矩子が、オバマ大統領就任の2日前、1月18日付毎日新聞に、「オバマへ、神のくせ玉」を寄稿し、「今世界は挙げて「自分さえ良ければ病」にかかりかけている。その蔓延を野放しすれば、結局は全員が破滅する。この点から目を背けて、自国の中だけをみる視野狭窄に陥るようだと、これまた若大将の輝きは色あせる」と書いて、若大将たるオバマ氏に、保護主義を強くけん制していた。

その浜矩子は5月3日、大阪の講演で「愛国雇用」を批判して非難されたが、今まさにオバマ政権が保護主義に走って「愛国救済」に陥ろうとしている。
GMの再生は米国に留まらず世界経済復興のキーになるけれども、オバマ政権の復興支援策に「保護主義」が見え隠れしていることは憂慮させられる。
2日付5大紙は揃ってGMの破綻を社説にしたが、産経新聞がタイトルに「保護主義を排した再建を」と書いたように、救済過程での保護主義に懸念を寄せている。

又、社説でもっとも目を引いた表現は日本経済新聞の次のフレーズだ。
「こうなった理由の一つは「強すぎる労組」だろう。全米自動車労組はグローバル競争の現実を直視せず、譲歩を拒み、退職者向け年金負担などレガシーコスト(負の遺産)は膨らんだ。新車1台当たりの同コストは1000ドルを超えるとされ、これが米国車の価格競争力を縛った。労使一体でコスト削減する日本的慣行があれば、事態はここまで悪化しなかったに違いない」

以下、社説から抽出
■タイトル
●朝日:米GM破綻―クルマ文明変革の機会に
●産経:GM国有化 保護主義を排した再建を
●日経:自己変革怠った巨大企業GMの破綻
●毎日:GM国有化 再生への道のりは長い
●読売:GM破綻 “売れる車”が再建のカギだ

■破綻の原因
●朝日:何より、燃費のいい小型車を作ることが不得手だった。
日経:こうなった理由の一つは「強すぎる労組」だろう。労使一体でコスト削減する日本的慣行があれば、事態はここまで悪化しなかったに違いない。
●毎日:GM破綻の究極的な原因は、魅力のある車をつくることができなかったところにあるわけだが、この点には日本の自動車産業も留意してもらいたい。
●読売:燃費の良い小型車の開発に出遅れ、競争力を失って、赤字経営が続いていた。金融危機と世界不況にとどめを刺された形だ。

■保護主義
●朝日:世界市場が縮む中で、米政府のてこ入れが保護主義を招くような事態は防がなければならない。
●産経:特に問題なのは、売掛金の補填が米国で生産される部品に限定され、日本から輸出される部品は除外される可能性があることだ。米政府には内外無差別の原則を守り、米自動車産業の再建で保護主義に陥ることがないよう強く求めたい。
●日経:新生GMは米政府が60%の株式を持つ国有会社になるが、GMの特別扱いは許されない。「危機対応」を保護主義の口実にしてはならない。一日も早くGMが再建に成功し、政府が株を手放すのが、望ましい姿である。
●毎日:米政府はGM本体だけでなく部品メーカーなどにも支援を行うというが、米国外からの部品調達も多い。内外無差別で対応するのが筋だろう。

■再生の鍵
●朝日:鍵を握るのは、経営陣と働く人々の意識変革だ。日本や欧州の車づくりから謙虚に学び、新しいグリーンな歴史を作るのだという気概を持てるか。突破口はそこにある。
●産経:再生にはスピードが大事だ。米政府はまずクライスラーともども「60~90日以内に裁判所の管理下を脱する」という「公約」の実現をめざしてほしい。
●日経:自動車会社の復活は「売れるクルマ」があってこそ可能になる。時代に対応した魅力的な新車の開発が、再建には欠かせない。新生GMの首脳人事にも注目したい。従来の企業文化を打破し、「GMは変わった」と社内外に示すためにも、実績ある経営者をスカウトするのも一案ではないか。
●毎日:かつては多くの人が自動車に夢を感じていた。しかし、最近は若い人を中心に自動車への興味が薄れている。魅力ある車づくりへの感性の劣化がないか、自らの足元を見直すことも必要だ。
●読売:最大の問題は、エコカーなどの「売れる車」を開発し、競争力を回復することができるかどうかだ。

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