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黛信彦の時事ブログ

元旦5大紙社説:新元素113は「ジャポニウム」か

2016年01月01日 | 5大紙社説

理化学研究所は2015年の大晦日、同所が合成した「原子番号113番の新元素を認定する」とのメールを、国債純正・応用化学連合(IUPAC)から受信。

2016年元旦の5大紙は、紙面割りの苦労を伺わせるように、各誌が一面で「命名権獲得」を報じた。

未定の名称について産経は、『日本にちなむ「ジャポニウム」が有力』、『現在の周期表には「J」で始まる元素名がなく、存在感を出せる』とも書いた。

ところで元旦社説、朝日と毎日は政府批判の立場、日経と読売は安倍晋三首相を激励、産経は日韓の慰安婦問題決着合意に関する少々の不満、を論じた。

理研の快挙は2年前の汚名を晴らして余りある。 日経の社説タイトル『新たな時代の「追いつき追い越せ」へ』に相応しい、日本にとって歴史的慶事である。

■朝日:分断される世界―連帯の再生に向き合う(★)

「包摂」より「排除」に傾くナショナリズムは、ポピュリズムと同様に社会を統合するより分断する。 

克服には何が必要だろうか。

慶応義塾大学経済学部の井手英策教授も、実際的な考え方の重要性を指摘する。

教授によると、日本では中高所得層と低所得層の間に溝ができ、人々の間の共感が消滅しつつある。 修復には理念ではなく「お互い助け合った方が得をする、自分も受益者になる、幸せになるという視点が必要だ」と話す。

理念より実際的な解決への理解を広める。 連帯や共感の再生への取り組みを可能にするための重要な手がかりではないか。

■産経:再生に向かう力の結集を(年のはじめに:論説委員長・石井聡)(★★)

意を用いてもらいたいのは、希望を持って未来を見つめられるような方向へ、国民の気持ちを大きくまとめ上げることだ。

もとより、首相一人に難題を押しつけて事足れり、とはならない。 今年は「18歳選挙権」の導入に伴い、有権者が約240万人増えることに注目したい。

国民一人一人が日本の未来像を描き、ふさわしい社会や政治の針路を見定める。 民主主義の中で主権者が担う責任は重みを増すだろう。

権利を行使する先に再生の看板も掲げよう。 それを阻む要因を取り除くには強い力が必要だからだ。

■日経:新たな時代の「追いつき追い越せ」へ (★★★) 

2016年、新しい年があけた。 日本経済は景気回復基調にあるものの、力強さに欠け、企業マインドも消費者心理もすっきりしない。 将来に対する不安をぬぐい去れないためだ。

世界的な競争に打ち勝ち、生き残っていくにはどうしたらいいのか。 1歩、前に踏み出す道を考えたい。

明治、戦後と日本は2度にわたって外にモデルを求め、内を改め、世界に伍(ご)してきた。いままた新たな追いつき追い越せの時代がやってきている。

■毎日:2016年を考える 民主主義 多様なほど強くなれる(★★)

日本の社会は今、二つの大きな潮流の岐路に立っている。 

一つ目は、政治でも経済でも、国が目標を掲げて国民を引っ張る、国家主導型の社会である。 

そうしたリーダーシップには、決断の正しさへの信念はあっても、国民への説明責任の意識は希薄になりやすい。国民が理解しなくても、歴史が評価してくれる、という独善に陥りがちな懸念がある。 

もう一つは、一人一人が自分で情報を集め、考え、発言し、決定に参加する社会を目指す流れである。それは、自律した個人の多様な声が反映される社会のことだ。 

民主主義を鍛え直すには、国民が決定の主役となる、後者の道を選びとるべきだろう。 若者の政治参加もそのために生かしたい。  メディアも、公平・公正な報道で民主主義の一翼を担う。 

20世紀前半に多くの作品を残した英国の批評家・小説家のフォースターに、次の言葉がある。 

「民主主義には『万歳二唱』しよう。一つは、それが多様性というものを認めているから。 二つ目には、それが批判を許しているからだ。この二つさえあればいい」  

「民主主義とは何か」の答えは、これで十分ではないか

■読売:世界の安定へ重い日本の責務(★★★)

国際秩序の安定をどう取り戻すか。 世界は今、大きな試練に直面している。

米国が大統領選を迎え、指導力が低下する今年、日本は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を主催し、国連安全保障理事会の非常任理事国に就任する。 国際社会の結束や利害調整に、これまでにない重い責務が課される。

国内では、人口減少が進む中で成長力の底上げが急務だ。 「1億総活躍社会」を掲げる安倍政権は、今夏、参院選で有権者の審判を受ける。 経済再生をより確かにする道筋を示す必要がある。

鳴動する世界の中で、日本の未来を明るいものにするため、歩を進める年にしたい。

 


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