7月13日、NHK日曜討論は、洞爺湖サミットで不完全燃焼だった経済問題についての、国民の不安を解消するために太田弘子・経済財政担当大臣をスタジオに呼び、満を持して、グローバル・矩子こと、浜矩子を討論の対抗馬に充てた。
太田大臣といえば白やピンクやブルーといった、明るいユニカラー・スーツでのTV出演が定番。これを見越した浜矩子は、緑で迎えた。
タンクトップとパンツはエメラルドに近く、ジャケットは同色にアップルグリーンのストライプ。唇は文字通り紅色で、同志社大のトレードマークである十字のネックレスは今日も離さない。
以下、QはNHK・島田敏男解説委員、Aは妖艶なエコノミスト浜矩子
●・Q・~ サミットでの経済部分の宣言について、厳しいご意見と聞きましたが?
~・A・~ まれに見る、のほほんとした中身だと思います。
これだけ状況が厳しい、問題は原油・食料の問題だけではありません。
金融危機という状態も、必死に政策で支えて小康を保っているに過ぎない状況ですし、原油と食料の問題があるので、下手をすれば大インフレが大不況をもたらすかも知れないというのが、今のグローバル経済の実態だと思います。
そうなると、世界中の人々、企業たち、そして政府も、みんな自分さえよければという発想になってゆくと思います。(参考、我欲の3点セット)
そうすると、グローバル経済というのは大いなる分断の危機にも直面する、そんな環境、雰囲気の中で開かれたサミット。 で、あったにもかかわらず、これか?と。
特に大田さんは、経済政策担当大臣としては、実はこの内容にはご不満ではないかと思いますし、あるいは不満を持たれて然るべきだと思います。
●・Q・~ 原油・食料の高騰への処方箋は?
~・A・~ 今の日本にとって大問題だと思いますのは、ガソリン価格に象徴されるインフレ圧力が格差経済化・格差社会化の中で進行していることです。
そうすると、格差がないところでは痛みが皆同じですけれども、格差の最下層に位置付いている人たち、ワーキングプアといわれる人たち・ネットカフェ難民となってしまったような人たち、彼らは、ことのほか強く痛みを感じていくわけです。
いまだかつてない、こういう状態でインフレが来る、原油高に見舞われる。原油が高くなればすべての食料が上がる。ワーキングプアの人々が食べて生きていかなければいけないものも値段が上がるというところに響いていくわけです。
こういう状態は今までの日本は経験したことがない事ですから、新しい状態に対して徹底的に、格差化の中のインフレ化というところまで見据えた対応が必要になってくると思います。
●・Q・~ G8は投機マネー問題の前にお手上げだったが?
~・A・~ 全くお手上げ状態だったというか、触れたくないから、問題はないフリをした、そういう意味では、逃げ腰がキーワードのサミットだったと思います。
世界的にどうしてこんなに金余りになっているのかという事がありますが、もう一つ、投機問題を厄介にしているのは、ある意味ではドル安がもたらした投機マネーであるという面があるわけです。
ドルという、今日なお基軸通貨である“フリ”をしている通貨が実はそうじゃない、ということに、だんだん皆んな目覚めているのがグローバル経済の今日的状況ですが、その表れとしての投機マネーが悪戯をしている、その表れとしての原油高という側面にどう対応するのか?に全然触れない、そこが問題だ、ということを言わないのは、激烈に言えば“さぼりサミットだった”、私は思います。
●・Q・~ 投機マネー対策は?
~・A・~ 投機マネーであるからといって、統制的に対応するのはまずいという(太田大臣の)ご指摘は、そのとおりだと思います。
けれども問題は、そういうところではなくてむしろ、まさにG8、成熟国たちの通貨政策の問題であり、金融政策の問題であり、経済運営の問題だと思います。
そのあたりに彼ら(G8首脳)が、もっとしっかりした知恵を出していく、協調体制をとっていく、という格好で、がっちりしたシステムを作れば、投機マネーというのがトンでもない所に行って悪さをすることも防いでいくことができると思います。
オイルマネーが悪いとか投機筋が悪いと言うのは責任転嫁であって、アメリカのドル政策はどうするのか?日本は大債権国として通貨政策をどうして行くのかという発想が必要なのだと思います。
●・Q・~ 国内対策で、政府への注文は
~・A・~ 格差問題が根底にある、ということを認識したうえでのきめ細かい対策といえると思います。
(政府は)これから金融支援もやっていくということですが、おそらく貸し渋り・貸し剝がし問題が相当きつくなるだろうと思います。
そして格差の最下層の人たちは、実際に“食べるものが買えない”というようになって行く。我々日本では、豊かさの中に貧困問題を抱えています。
「こんなに豊かな国の中に、どうしてワーキングプアの人がいるの?」
「どうして格差に痛む人がいるの?」
この、豊かさの中における貧困問題を我々は解決しなければいけない、という大きな枠をもって政策に対応していただきたいと思います。
●・Q・~ 政府の具体策については?
~・A・~ (政府が)言われるところの骨太の方針の中で今回、全員参加ということ言葉を使われた訳ですから、参加できていない人がどこにいるのか?、落ちこぼされている人がどこにいるのか?を積極的に見つめていく、見つけていく、発見していく政策姿勢が必要だと思います。
(太田さんが言う)併せ技というのも良くわかりますけれども、技の併せ方だけに神経が集中するようだと、落ちこぼされている人を見落としてしまう恐れが出てくると思います。
政策のスタンスであり、心意気であり、意気込みというところ、そこが相当に問われる局面に来ていると思います。
●・Q・~ 財政政策について、政府は「秋の臨時国会で」と言っていますが?
~・A・~ 秋の話はちょっと飽きた(オヤジギャグ)という感じが致します。
待ったなしというか、グローバル経済の怖い側面はすぐそこに来ているわけですから、それに対して(政府は)どうするのか?
そもそも“今の状況をG8が言わなかった事の深刻さについて、日本はこういうふうに認識している”、という事を日本政府が言えなかったのは仕方がないと思いますが、その分を補うという、しっかりとした現状認識を示して頂く事については、それは秋まで待てる話ではないと思います。
融合と連鎖のグローバル時代であったはずのものが、下手をすれば“分裂と排除のブロック化時代に足を踏み込むかも知れない状況(参考、潰し合いの魔界)になっている”と言って過言ではなく、そのことを重く受け止め過ぎるという事はないと思いますので、その辺の大局観を持って欲しいと思います。
浜矩子(はまのりこ)語録 目次へ
太田大臣といえば白やピンクやブルーといった、明るいユニカラー・スーツでのTV出演が定番。これを見越した浜矩子は、緑で迎えた。
タンクトップとパンツはエメラルドに近く、ジャケットは同色にアップルグリーンのストライプ。唇は文字通り紅色で、同志社大のトレードマークである十字のネックレスは今日も離さない。
以下、QはNHK・島田敏男解説委員、Aは妖艶なエコノミスト浜矩子
●・Q・~ サミットでの経済部分の宣言について、厳しいご意見と聞きましたが?
~・A・~ まれに見る、のほほんとした中身だと思います。
これだけ状況が厳しい、問題は原油・食料の問題だけではありません。
金融危機という状態も、必死に政策で支えて小康を保っているに過ぎない状況ですし、原油と食料の問題があるので、下手をすれば大インフレが大不況をもたらすかも知れないというのが、今のグローバル経済の実態だと思います。
そうなると、世界中の人々、企業たち、そして政府も、みんな自分さえよければという発想になってゆくと思います。(参考、我欲の3点セット)
そうすると、グローバル経済というのは大いなる分断の危機にも直面する、そんな環境、雰囲気の中で開かれたサミット。 で、あったにもかかわらず、これか?と。
特に大田さんは、経済政策担当大臣としては、実はこの内容にはご不満ではないかと思いますし、あるいは不満を持たれて然るべきだと思います。
●・Q・~ 原油・食料の高騰への処方箋は?
~・A・~ 今の日本にとって大問題だと思いますのは、ガソリン価格に象徴されるインフレ圧力が格差経済化・格差社会化の中で進行していることです。
そうすると、格差がないところでは痛みが皆同じですけれども、格差の最下層に位置付いている人たち、ワーキングプアといわれる人たち・ネットカフェ難民となってしまったような人たち、彼らは、ことのほか強く痛みを感じていくわけです。
いまだかつてない、こういう状態でインフレが来る、原油高に見舞われる。原油が高くなればすべての食料が上がる。ワーキングプアの人々が食べて生きていかなければいけないものも値段が上がるというところに響いていくわけです。
こういう状態は今までの日本は経験したことがない事ですから、新しい状態に対して徹底的に、格差化の中のインフレ化というところまで見据えた対応が必要になってくると思います。
●・Q・~ G8は投機マネー問題の前にお手上げだったが?
~・A・~ 全くお手上げ状態だったというか、触れたくないから、問題はないフリをした、そういう意味では、逃げ腰がキーワードのサミットだったと思います。
世界的にどうしてこんなに金余りになっているのかという事がありますが、もう一つ、投機問題を厄介にしているのは、ある意味ではドル安がもたらした投機マネーであるという面があるわけです。
ドルという、今日なお基軸通貨である“フリ”をしている通貨が実はそうじゃない、ということに、だんだん皆んな目覚めているのがグローバル経済の今日的状況ですが、その表れとしての投機マネーが悪戯をしている、その表れとしての原油高という側面にどう対応するのか?に全然触れない、そこが問題だ、ということを言わないのは、激烈に言えば“さぼりサミットだった”、私は思います。
●・Q・~ 投機マネー対策は?
~・A・~ 投機マネーであるからといって、統制的に対応するのはまずいという(太田大臣の)ご指摘は、そのとおりだと思います。
けれども問題は、そういうところではなくてむしろ、まさにG8、成熟国たちの通貨政策の問題であり、金融政策の問題であり、経済運営の問題だと思います。
そのあたりに彼ら(G8首脳)が、もっとしっかりした知恵を出していく、協調体制をとっていく、という格好で、がっちりしたシステムを作れば、投機マネーというのがトンでもない所に行って悪さをすることも防いでいくことができると思います。
オイルマネーが悪いとか投機筋が悪いと言うのは責任転嫁であって、アメリカのドル政策はどうするのか?日本は大債権国として通貨政策をどうして行くのかという発想が必要なのだと思います。
●・Q・~ 国内対策で、政府への注文は
~・A・~ 格差問題が根底にある、ということを認識したうえでのきめ細かい対策といえると思います。
(政府は)これから金融支援もやっていくということですが、おそらく貸し渋り・貸し剝がし問題が相当きつくなるだろうと思います。
そして格差の最下層の人たちは、実際に“食べるものが買えない”というようになって行く。我々日本では、豊かさの中に貧困問題を抱えています。
「こんなに豊かな国の中に、どうしてワーキングプアの人がいるの?」
「どうして格差に痛む人がいるの?」
この、豊かさの中における貧困問題を我々は解決しなければいけない、という大きな枠をもって政策に対応していただきたいと思います。
●・Q・~ 政府の具体策については?
~・A・~ (政府が)言われるところの骨太の方針の中で今回、全員参加ということ言葉を使われた訳ですから、参加できていない人がどこにいるのか?、落ちこぼされている人がどこにいるのか?を積極的に見つめていく、見つけていく、発見していく政策姿勢が必要だと思います。
(太田さんが言う)併せ技というのも良くわかりますけれども、技の併せ方だけに神経が集中するようだと、落ちこぼされている人を見落としてしまう恐れが出てくると思います。
政策のスタンスであり、心意気であり、意気込みというところ、そこが相当に問われる局面に来ていると思います。
●・Q・~ 財政政策について、政府は「秋の臨時国会で」と言っていますが?
~・A・~ 秋の話はちょっと飽きた(オヤジギャグ)という感じが致します。
待ったなしというか、グローバル経済の怖い側面はすぐそこに来ているわけですから、それに対して(政府は)どうするのか?
そもそも“今の状況をG8が言わなかった事の深刻さについて、日本はこういうふうに認識している”、という事を日本政府が言えなかったのは仕方がないと思いますが、その分を補うという、しっかりとした現状認識を示して頂く事については、それは秋まで待てる話ではないと思います。
融合と連鎖のグローバル時代であったはずのものが、下手をすれば“分裂と排除のブロック化時代に足を踏み込むかも知れない状況(参考、潰し合いの魔界)になっている”と言って過言ではなく、そのことを重く受け止め過ぎるという事はないと思いますので、その辺の大局観を持って欲しいと思います。
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