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黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録(69) 2つのショック(3234の2)

2009年08月01日 | 浜矩子語録
『現在、世界と日本の経済に何が起きていて、わたしたちの生活はどうなるのか?』
09年7月26日、富山県女性財団が、この難題を解くために妖艶なエコノミスト・浜矩子を富山市・サンフォルテに招いて問うた2つ目は「これから、何が起こるのか?」だった。

語り始める浜矩子のファッション。
レイヤード風にも見える3枚重ねのスカートは濃紺で洒落ていた。
白いスタンドカラーのジャケットはサッカー織りで縦縞がストライプに見える。
その長袖を折り返したり、右手首の金色の時計をずらしたり、紫色の右前髪を整えたりするしぐさを繰り返すのは、講演を佳境に導く巧妙な手法、良い意味で言うところの「人を飲んだ」証だった。
イメージカラーである紫色に包まれた顔は、頬と口紅とが柔らかに赤く、眉毛のカーブも柔和だ。
「地球経済の混沌から国際を救いたい」との一心の講演を聞く小欄は、満場の聴講者と同じく、白衣の観音を仰ぎ見る気持ちだった。

■これから、何が起こるのか? 2つのショック
今、世界を闊歩している3人の妖怪たち、それが愛国尽くしであり、統制経済であり、元の木阿弥だということでございますが、この怖い3つのことが進行しているということになると次に何が起こるか?というのが2番目の課題でございますが、ここに起こる事にくっ付いてくる数字が2でございます。
2つの衝撃が待ち構えている、2つのショックということになります。

●ショックその1・・・・通貨戦争
通貨戦争が何を云わんとしているか?
G8やG20というような会議に集まってくる主要な国々で為替切り下げ競争が起こっている。これを通貨戦争と言っております。
為替切り下げ競争というのは自分の国の通貨の価値を他のどの国の通貨価値よりも低い所に持って行くことによって超割安で輸出を伸ばし、外からあんまり輸入品が入ってこないように操作する、こういうやり方を為替切り下げ戦争と言い、為替ダンピングという言い方もします。
要するに輸出は割安になり輸入品は割高になる。自分の輸出はどんどん伸びるけれども、外から我が国にはあまり物が入ってこない、という状態を演出しようとする、これを為替戦争と言います。
この為替切り下げをすべての国々がやり出すと、「我こそは誰よりも低い為替で誰よりもたくさん輸出をしてゆく。誰よりも外から物が入ってくることを防いで一人勝ちしよう」というやり方を各国がやり出すようになると、これが通貨戦争という状態になるわけです。

通貨戦争が火ぶたを切る日が近いと私は思っています。
なぜかそう思うかというと、愛国づくしが国々を襲っているからでございます。
これも歴史の教訓ですが、各国が保護主義に走る、愛国づくしに走る、ということになりますと、その最終場面に出てくる末期的な深刻な症状が為替戦争、通貨戦争なのであるということを歴史が鮮明に教えてくれている。

いみじくも1930年代がそういう時でした。今の、世界同時不況的な状況が1930年代と比べて語られていることはご承知のとおりでございますが、30年代はまさに愛国合戦の時代だったわけです。各国が保護主義に走るという展開だったわけです。
その保護主義を何とかしよう、というので当時は、G3くらいでしょうか、を中心に国々が集まって、保護主義回避を打ったのでありますが、その合意に誰も従わずに愛国の方向に走って行き、最終的には当時の3大主要通貨国、イギリス・フランス・アメリカの3カ国の間で、熾烈な為替切り下げ競争が展開するという状態になり、お互いに誰よりも低い為替レートを実現して、我が国の品物を安くゴリ押しで売り込んでいって、相手からは物が入ってこないようにした。
過激な通貨戦争を3カ国が仕掛け合う中で、世界経済はどんどん状況が悪化して行き、そのことが第二次世界大戦に向かっての道を開いてしまった。通貨戦争転じて本格的な戦争への道がついてしまった。
このように「自分さえ良ければ病」が昂じてくると、必ずそこに通貨戦争出てくる。

そろそろ今回も、通貨戦争の火ぶたが切って落とされる、ということを思わせる今日この頃でございますし、いろんな国々のいろんなものの言い方を聞いていると、そういう雰囲気が結構出ております。
特に中国。人民元に対してどういう政策をとるか?世界中が注目しているのですが、中国が「これ以上、人民元の為替相場が上がることを容認しない」と言っているのは「場合によっては、切り下げもやっていきますよ」ということで、ちらちらっと、為替戦争の宣戦布告宣言であると感じさせるようなものの言い方が出てきています。
通貨戦争間近かな?と感じるわけで、それが衝撃その一でございます。

●ショックその2・・・・国家倒産
衝撃その2として挙げましたのが、国家倒産という話でありますが、今の世の中、ふと気が付くと国家倒産の懸念が世界中に広がっている気がいたします。
と申しますのも、元の木阿弥化を目指して各国がガンガン財政の大盤振る舞い状態、公共事業をどんどんやるというふうにやるというようになっているのです。
大盤振る舞いといっても、各国が持っている金ではなくて、持っていない金を使っているわけです。ただでさえ各国、結構厳しい財政状態、火の車状態でございます。その上にさらに元の木阿弥化の高い山に登るというので必死になっている、その分だけ借金がどんどんどんどん嵩んでいくということでございます。
アメリカが然り 日本もそうです。
この国の国債を買って大丈夫か?この国は明日借金が返せなくなるのではないか?心配される国々が次々と出てきている現状です。

そういうことを反映して、いつどの国が倒産してもおかしくないということを反映して、為替市場は大暴落でございます。
「ドルをあんまり持っていると、アメリカが明日倒産したらどうしよう」
「イギリスが先に倒産するか?」「はたまた、フランスか?日本か?」「どの国が一番早く倒産するか?」ということを人々が心配するようになってきておりまして、いずれかの国が借金返済不能になるならば、為替市場、債券市場も大荒れになり、大衝撃が世界を駆け巡ることになるわけですが、これも「まさかそんなことはないだろう」と思っているうちに、いずれかの国が「もう借金を返せません」と言ってしまうかもしれない。
以下、次編

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