1日で建国60周年を向かえた中国。
北京五輪では1100発を放ったという消雨ロケットを準備して悪天候に備え、警備も五輪をはるかに超える重装備の大部隊を投じ、万全の体制で祝いの日を迎えた。
国家は富み続け、軍事力は欧米に比肩するが、なおも拡大し続けている。
その自信が、人民解放軍にも表れているようだ。
彼らの行進に、過去には感じられた北朝鮮軍のような悲壮感が消え、余裕さえ感じる。
この、華々しくも物々しい中国「建国60周年記念式典」にあたり、日本の5大紙は特集記事を組み、朝日を除く4紙が社説で論評した。
※以下は各紙の社説タイトルで、内容は大きく違わない。
■産経新聞【主張】中国建国60周年 開かれた大国へ民主化を
■日本経済新聞(社説)「還暦」迎えた中国は生まれ変われるか
■毎日新聞(社説)中国建国60年 強い国より豊かな国に
■読売新聞(社説)中国建国60年 膨張主義からの脱却が必要だ
そのなかで、小欄が中国の首脳や国民に一番読ませたい社説として選んだ毎日の全文を転載させていただいた。逆なでしない書き方が良かった。
■毎日新聞9月1日社説:中国建国60年 強い国より豊かな国に
中国はきょう建国60年の記念日を祝う。「中国人民は立ち上がった」と毛沢東が宣言した天安門の前を、新型戦車やミサイルの軍事パレードが通る。
かつて帝国主義列強に侵略された中国にとって強国は理想だろう。だが、この軍隊は共産党が指揮権を握る党軍であり、国軍ではない。「銃口から政権が生まれた」(毛沢東)60年前から変わっていない。
昨年、中国は改革開放30年だった。最大の行事は北京五輪だった。世界第2の経済大国目前の国力を存分に発揮した。中国は大きく変わった。
建国以来の60年は、前半が毛沢東の革命の時代、後半がトウ小平の改革の時代である。前半は、経済がほとんど成長せず、政治は文革の混乱と権力闘争に明け暮れた。中国が経済大国に変わったのは後半に入ってからである。トウ小平の強い指導力で市場経済システムに転換した。外国資本を導入し、勤勉な労働力に恵まれ、世界の工場となった。
トウ小平がまっ先にやったことは軍縮だった。100万人兵員削減によって資源配分の重点を経済建設に移した。「先富論」を唱え、強い国より豊かな国を目指した。全方位外交で諸外国との摩擦を避けた。「韜光養晦(とうこうようかい)・有所作為」(力をひけらかさず、やるべきことはやれ)の金言を残している。
中国の軍備拡張は江沢民前国家主席になってからだ。中国の市場経済は自由で公正な市場競争ではなく、共産党の指導する「社会主義市場経済」だった。権力を独占する共産党幹部がコントロールすれば、富は権力者に集中する。権力者と資本家が結合した「官商癒着」という言葉が生まれた。
農民を農地から追い立てた官僚の手には土地の転売益が入る。地方では、官僚ポストを金銭で売る「売官」が横行して暴力団員が警察官になり治安が悪化した。中国の極端な貧富の格差は、この政治体制から生まれたものだ。中産階級が育たず、成長の結果、貧困層が増えて社会は不安定になった。
権力の崩壊を防ぐ究極の装置が軍である。共産党指導部は「国体擁護」を叫んでいる。「三つの勢力」すなわちテロリスト、民族分裂主義、過激主義が社会主義を転覆しようとしているという。共産党統治の腐敗に不満を持つ大衆が、テロリストなどに見えるのではないか。軍事増強は外国に向けただけでなく、中国内部への威嚇でもある。
胡錦濤国家主席になって、「民のための政治」「調和社会の建設」が叫ばれている。その実現のかぎは政治の民主化だ。中国は強さより豊かさを目指すべき段階だ。
北京五輪では1100発を放ったという消雨ロケットを準備して悪天候に備え、警備も五輪をはるかに超える重装備の大部隊を投じ、万全の体制で祝いの日を迎えた。
国家は富み続け、軍事力は欧米に比肩するが、なおも拡大し続けている。
その自信が、人民解放軍にも表れているようだ。
彼らの行進に、過去には感じられた北朝鮮軍のような悲壮感が消え、余裕さえ感じる。
この、華々しくも物々しい中国「建国60周年記念式典」にあたり、日本の5大紙は特集記事を組み、朝日を除く4紙が社説で論評した。
※以下は各紙の社説タイトルで、内容は大きく違わない。
■産経新聞【主張】中国建国60周年 開かれた大国へ民主化を
■日本経済新聞(社説)「還暦」迎えた中国は生まれ変われるか
■毎日新聞(社説)中国建国60年 強い国より豊かな国に
■読売新聞(社説)中国建国60年 膨張主義からの脱却が必要だ
そのなかで、小欄が中国の首脳や国民に一番読ませたい社説として選んだ毎日の全文を転載させていただいた。逆なでしない書き方が良かった。
■毎日新聞9月1日社説:中国建国60年 強い国より豊かな国に
中国はきょう建国60年の記念日を祝う。「中国人民は立ち上がった」と毛沢東が宣言した天安門の前を、新型戦車やミサイルの軍事パレードが通る。
かつて帝国主義列強に侵略された中国にとって強国は理想だろう。だが、この軍隊は共産党が指揮権を握る党軍であり、国軍ではない。「銃口から政権が生まれた」(毛沢東)60年前から変わっていない。
昨年、中国は改革開放30年だった。最大の行事は北京五輪だった。世界第2の経済大国目前の国力を存分に発揮した。中国は大きく変わった。
建国以来の60年は、前半が毛沢東の革命の時代、後半がトウ小平の改革の時代である。前半は、経済がほとんど成長せず、政治は文革の混乱と権力闘争に明け暮れた。中国が経済大国に変わったのは後半に入ってからである。トウ小平の強い指導力で市場経済システムに転換した。外国資本を導入し、勤勉な労働力に恵まれ、世界の工場となった。
トウ小平がまっ先にやったことは軍縮だった。100万人兵員削減によって資源配分の重点を経済建設に移した。「先富論」を唱え、強い国より豊かな国を目指した。全方位外交で諸外国との摩擦を避けた。「韜光養晦(とうこうようかい)・有所作為」(力をひけらかさず、やるべきことはやれ)の金言を残している。
中国の軍備拡張は江沢民前国家主席になってからだ。中国の市場経済は自由で公正な市場競争ではなく、共産党の指導する「社会主義市場経済」だった。権力を独占する共産党幹部がコントロールすれば、富は権力者に集中する。権力者と資本家が結合した「官商癒着」という言葉が生まれた。
農民を農地から追い立てた官僚の手には土地の転売益が入る。地方では、官僚ポストを金銭で売る「売官」が横行して暴力団員が警察官になり治安が悪化した。中国の極端な貧富の格差は、この政治体制から生まれたものだ。中産階級が育たず、成長の結果、貧困層が増えて社会は不安定になった。
権力の崩壊を防ぐ究極の装置が軍である。共産党指導部は「国体擁護」を叫んでいる。「三つの勢力」すなわちテロリスト、民族分裂主義、過激主義が社会主義を転覆しようとしているという。共産党統治の腐敗に不満を持つ大衆が、テロリストなどに見えるのではないか。軍事増強は外国に向けただけでなく、中国内部への威嚇でもある。
胡錦濤国家主席になって、「民のための政治」「調和社会の建設」が叫ばれている。その実現のかぎは政治の民主化だ。中国は強さより豊かさを目指すべき段階だ。
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