むじな@金沢よろず批評ブログ

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12月2日NHK「新シルクロード・レバノン編」は解説に誤りが多すぎ!

2007-12-24 01:10:40 | 中東
 先日日本に戻った際、NHK総合で12月2日(日)午後9時~9時49分から放映されたNHKスペシャル「新シルクロード 激動の大地をゆく(全7集) 最終集  祈り 響く道」で、シリアとレバノンを取り上げていたが、解説がかなり不正確で噴出してしまったw。

 たとえば、最初にシリアのマアルーラを「イエスが生きていたころの教えをそのままに伝えている村」みたいに解説していたが、これは間違い。マアルーラは宗派的にはギリシャ・カトリックなので、原始キリスト教そのものでもなんでもない。信仰と典礼の形式でいうなら、よっぽどホムスに総主教座があるシリア正教(シリア教会)のほうが原始キリスト教に近いだろう。
 強いていうなら言葉で、「言葉は歴史的イエスの母語であったアラム語の系譜を受け継ぐ現代シリア語を今でも話しているところ」といえるが、それもイエスのころのアラム語とは違うし、海外移民には現代シリア語を保持しているコミュニティもいくつかある。

 また、レバノンに入ったところでマロン派の説明もかつて単意論宗派として出発した時代の教義を説明していて、それが現在もそうであると誤解を与えるものだった。マロン派は典礼と組織がカトリックとは独自性を保っているとはいえ、教義上はいまでは完全にカトリックと同一で、単意論だったころの面影はないはずである。

 こんなことは、ちゃんとしたものの本を調べればわかることなのだが、NHKともあろうものが、いまどきこんな間違いをしているのはいかんね!

ちなみに番組のHP:http://www.nhk.or.jp/special/onair/071202.html


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