むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

台湾派の歌手・バンドによる番組公開録音(コメント可)

2005-06-29 03:37:10 | 台湾音楽
 台湾語の歌にこだわる台湾独立派シンガーソングライター豬頭皮こと朱約信が謝長廷・行政院長に近いラジオ局「緑色和平」(FM97.3MHz)で平日午前1時(正確には25時)からDJをしている「萬國★仔標」(ban7-kok ang-a2-phiau、直訳すると世界のメンコ<*>、あるいは世界よりどりトレードマーク)の公開録音が、6月28日午後9時から翌日午前零時半まで、台北市公館のライブハウス「The WALL」で開かれた。(★=[杭の編を骨に]、*=これも日本の地方ごとに呼び名が異なる。私が育った石川県では「ペッタ」だった)
 わたしは今月初めに、約信本人からチケットをもらっていたので見に行った。
 テーマは盲人への労わりということで、登場歌手・バンドは、盲人バンドの魔鏡樂團を筆頭に、盲人歌手の蕭煌奇、それから緑色和平のステーションジングル作曲者の林家、約信と同じ長老教徒の歌手・蕭福、台湾大学出身のバンド・濁水溪公社といった、この手の音楽ファンには垂涎もののラインナップだった。
 蕭煌奇は聞きしに勝る圧倒的な声量と重量感のある声で、ライブで聴くと惚れ惚れする。あとは、濁水溪公社は前々から会いたかったのだが、この日は有名な「左派」は来ず、「小柯」だけが来ていた(ほかには脱拉庫などのメンバーが応援)。
 さて、「盲人をいたわる」のがテーマだが、台湾らしいあっけらかんとしたところがあって、「この人は目が見えない人。こっちはちょっとは見える」「この人は歌うときは目を大きく開く」などと、むしろ洒落にしているところが、すごかった。日本の障害者プロレスを連想するノリだ(障害者プロレスでは無理な体位になったときにアナウンスが「さあ、これで障害がまた増えるかあ」などという)。いやむしろそのくらいのほうが、普通に接しているという点でいいと思う。逆に日本の主流で障害者に接するときに下手に意識してそういった「差別用語を避ける」という感覚のほうが実は差別になっていると思う。こういう点では、台湾のあっけらかんさがプラスだと思う。
 終わってから小柯に挨拶したところ、わたしの名前を知っていた。台湾独立というと、「それは基本」と即座に回答。濁水溪公社といえば、このテのアングラ、ヘビメタバンドの走りともいえるバンド。そういえば台湾のアングラもしくはヘビメタ系バンドの多くは、みんな台湾独立派でしかも左派志向だ。閃靈、四幸丸、拷秋勤、929、薄荷葉、芭娜娜、滅火器、天譴九歌、DIGIHAI、Doodle、歌與他的沒有朋友們、壞女兒、光景消逝、牛皮紙樂團、1976、HOTPINK、仙樂隊、Claire、Emily、murmur、慢燒機、男子漢樂團、那夜、水龍頭樂隊、夾子電動大樂隊、董事長、脱拉庫、無政府、Tizzy Bac、 手那卡西、交工樂隊(美濃の客家人)...。これは同時に現在の若者の政治志向でもある。
 ちなみに、歌手以外の知人は、台湾語運動の女性、台湾大学台語社の元会長、教会公報の記者、台湾大学学生会で活動する学生が来ていた。
 (ところで、この話題、カテゴリー分類が困った。台湾政治でも、台湾言語でも、台湾社会運動でもいいのだが・・)

【一部追加】台湾「漁民」抗議・軍艦外交は一部統一派の策動(コメント可)

2005-06-26 17:26:33 | 台湾政治
 最近、台湾と日本との間で漁業権をめぐる紛争が生じた。日本の排他的経済水域に侵入した台湾漁船を日本の海上保安庁が相次いで摘発、これに怒った漁民が海上で抗議行動を展開、さらに野党からの突き上げで台湾海軍がフリゲート艦を仕立てて、尖閣諸島近海で示威行為を行うなどした。「親日的」とされる台湾で反日的な示威行動が行われたことで、日本の一部には台湾を非難する声も上がった。だが、一連の示威行動を詳細に観察すると、これは純粋な漁民による示威行動ということでもないし、「領土主権問題」で台湾全体が日本と対立しているわけでもない事実が浮かびあがる。一連の漁民・海軍示威行動は、一部急進統一派勢力が漁業権と領土問題を軸に、日本との対立をあおって、中国への接近を図ろうとした、跳ね上がりの行動であって、大方の台湾住民・庶民の意思とは無関係、というのが実態だ。

■事件の経緯

 まずは事件の経緯を簡単に追ってみよう。まず、6月初め、台湾漁船「載億漁」一號が日本の排他的経済水域に侵入したところを拿捕、また8日には「漁津號」など5隻の漁船も同じく摘発された。これに怒った宜蘭県蘇澳漁民が9日、数十隻の漁船を仕立てて、海上保安庁の巡視船を取り囲み抗議、ここで台湾の海保にあたる海巡署は巡視艇を派遣して台湾漁民を解散させた。これについて台湾で反日親中的な傾向がある野党・国民党などが台湾民進党政権を「日本海保を保護して逆に台湾漁民を蹴散らすのか」と猛烈に非難。野党の突き上げで海軍が日本に対する示威行動を行うことに同意、21日国民党籍の王金平立法院長(国会議長)以下国民党などの立法委員と、国防部長の李傑がフリゲート艦に乗り込み、尖閣諸島周辺海域を視察した。王金平ら立法委員は、甲板で中華民国国旗を揚げて、「釣魚台(尖閣諸島)は我々の領土である。国家の主権を守ろう。中華民国万歳」などとスローガンを連呼した、という。

■急進統一派「夏潮」の策動

 この事件については、当初与党民進党と台湾政府は、「漁民の権益」という点から、関心を示していた。ところが、事態が推移するにつれて、「漁民の抗争」から距離を置く姿勢が目立つようになった。
 それはなぜか。
 どうやら事件の背景に、中国および急進統一派の影を嗅ぎ取ったからだと思われる。
 というのも、漁民示威行動については、漁民勞動人權協會という団体が主導したと見られ、この団体が急進統一左派「夏潮」グループに属しているからである。
 「夏潮」系統のホームページをチェックすると、漁民勞動人權協會などの名義で、「我們要求陳水扁表態及立即撤換陳唐山、許世楷、許惠祐──對漁民被逐、立委受辱的嚴正聲明」(われわれは陳水扁が態度を明確にし、陳唐山・外交部長、許世楷・駐日代表、許惠祐・海巡署長を更迭することを要求する 漁民が追い払われ、立法委員が侮辱された問題に対する厳重なる声明)、「為漁民被逐、立委受辱向日本當局抗議之聲明(漁民が追い払われ、立法委員が侮辱を受けたことについて、日本当局に抗議する声明)」という二つの声明文が出てくる。(http://www.xiachao.org.tw/?act=page&repno=706)
 いずれも、6月17日付けで、声明には漁民勞動人權協會のほか、人間出版社、中國統一聯盟、台灣人間報導學社、台灣地區政治受難人互助會、夏潮聯合會、勞動人權協會と、いずれも夏潮・労働党という中国共産党に従属するグループの関連組織が名を連ねている。
 ここで「立法委員が侮辱を受けた」というのは、高金素梅が「日本の靖国神社に抗議に出かけて、警察から阻止され、バスの中に閉じ込められた」と統一派側が主張していることをさしている。高金はかねてから、「原住民工作隊」という団体を介して、夏潮や中国との密接な関係があることを指摘されてきており、夏潮系統の声明がわざわざ漁民と高金を同時に扱っているところを見ると、今回の示威行動が高金の訪日と合わせて、民間交流が密接な台湾と日本との離間を狙い、台湾を中国に併合されやすくするために夏潮系統が仕組んだ反日中華民族主義行動の一環だったと見ることができるであろう。
 後者の声明では、スローガンとして、
 一、釣魚台を返せ!日本軍国主義に反対する!
 二、祖先の霊を返せ!靖国神社参拝に反対する!
 三、大国の強權に対抗しよう!国賊を排除しよう!
などというものが記載されている。
 日本の軍国主義と靖国神社参拝に反対するという点では私もまったく同意するが、「大国の強権」というなら日米と同時に中国にも反対しないと筋が通らないし、また「国賊の排除」という文言にいたっては、それこそ日本の軍国主義者と同類ではないか。まあ、夏潮系統は社会主義を名乗っていても、実態としては大中華帝国主義者で、マルクス主義理論も反日も、単に台湾を中国に併合させるための方便として使っているだけなので、こういう指摘は無駄なのだが。
 また、急進統一右派のマイナーな新聞「世界論壇報」6月21日付け1面には、「台灣蘇澳地區漁民一同涙ながらの訴え」とする意見広告が載っていて、「世界にはひとつの中国しかなく、台湾は中国の一部であり、われわれは台湾宜蘭蘇澳地区の漁民である。現在日本の野郎どもの圧迫と侮辱を受けている。、早く軍艦を派遣してわれわれを保護してほしい。ありがとう、胡おじさん(胡錦涛のこと)」と書かれている。ここまで公然と中国に追随したことを書くと、むしろ逆効果を狙っているのかと勘ぐりたくもなるが、同紙の色彩を考えると真面目にやっているのであろう。
 実際、今回示威を行った漁民は、「台湾を名乗っているから日本から馬鹿にされるのだ。だからいっそのこと中華人民共和国の旗を掲げたほうがいい」と言ったと伝えられる。

■オルグのプロは参画したのか

 ところで、在日台湾人右派系メールマガジン「台湾の声」では、漁民示威行動の背後にいた人物として農民運動家・詩人の朝立を名指ししている。この朝立という人物だが、1988年に台湾で最初の庶民階層による大規模反政府デモ「5・20デモ」を企画・指揮したことで知られるオルグのプロである。かつては民進党左派に近かったが、おそらくそのオルグ能力を評価されたのであろう、90年代になって中国に抱き込まれたのか中国によく行くようになり、左派のまま統一派となり、民進党政権成立後は民進党を批判、2002年11月の農民大デモを企画指揮、さらに国民党と接近して、今年5月の国民大会選挙では国民党の名簿6位に指名されてもいる。
 私は朝立自身が今回の事件の背後にいるかどうかまでは断定するだけの証拠がない。たしかに朝立は「全国農漁自救會弁公室主任」になったことがあり、漁民のオルグもそれなりに行っているのかしれないが、今回のオルグに関与しているかわからない。もっとも、今回の漁民示威が台湾で大きな波紋を呼び、国民党が盛んに動いたところを見ると、せいぜいが十数人程度しかいおらず、たいした組織力もない「夏潮」系統だけで起こしたとは思えず、朝立の関与を疑うだけの理由はある。
 ただ、今回示威を行った職業漁民グループは、原住民も多く含まれる関係上、高金らの「工作隊」や夏潮とは関係があっても、同じで統一派でも極右派保守派の外省人が香港や中国と提携して展開している尖閣諸島奪取運動「保釣運動」系統とは、若干距離があるように思える。統一派はいまや台湾では圧倒的少数派だから、主流となった民進党的な考え方に対抗するために、左右の枠を超えて統一派が連携することはよくある。夏潮が1996年総統選挙で、林洋港・カク伯村を、2000年総統選挙で宋楚瑜を支持したのはその好例である(「反ファシズム」をうたい文句にしながら、最もファッショ的な陣営を応援するのはそもそも狂っているが)。だが、それでもイデオロギーやロジックが異なる以上は、左右両派は完全に融和することはなく、微妙な関係にあるといえる。2003年9月6日独立派による「正名運動デモ」があった翌日、統一派がその対抗デモを行ったが、午前中は右派・新党系が、午後は左派・夏潮系が別々にデモを展開した(午後は五星紅旗も掲げられた)。

■砲艦外交で「日本軍国主義反対」?

 というのも、今回の漁民の示威行動の波紋があまりにも大きかったからである。そもそもその主体が漁民である点で、長年「虐げられた人びと」の代弁者を自認してきた民進党の琴線にも触れることで、民進党も当初は漁民への同情が広がった。
 実際に、台湾の漁民の間では以前から、「日本は中国漁民に甘いが、国交がない台湾の漁民への取り締まりは厳しい」という不満があったからだ。まして、今回問題となった宜蘭県は25年にわたって党外・民進党が県政を握る、民進党の金城湯池である。今回の対日示威は実際には一部統一派が仕組んだものだったにせよ、漁民に不満が共有されていることは事実で、それを無視できない。
 また、一方、国民党や親民党は、その指導部には外省人が多く、「日本との対立」となると反日の血が騒ぐようで、民進党とは違う意味から漁民に同情した。民進党も一歩間違えば反日統一戦線に乗せられる可能性があった。それは統一派活動家の目論見でもあっただろう。
 しかし、国民党があまりにも騒いだことは逆効果を招いた。
 国民党陣営では「軍艦を派遣して、日本に対して威力を示してやれ」という声があがったが、19世紀の砲艦外交ではあるまいし、まったく国民党は何を考えているのであろう。「日本軍国主義」に反対すると言いながら、自らは砲艦外交というのでは話にならない。まあ、そんな言動の前後不一致があるから、夏潮系統にしても、国民党の保守派にしても、どんどん台湾の中で支持と勢力を失うのであろう。
 そして砲艦外交が実現する直前になると、民進党は今回の一連の騒動に中国の影を感じるようになり、騒動からは距離を置き、国民党の行き過ぎを非難するようになった。ここで、統一派漁民活動家の目論見は国民党の愚昧さによって、崩れたことになる。

■過剰パフォーマンスはむしろ孤立化を狙ったもの?

 一方、国民党の王金平が軍艦に乗り込んで示威行動を行ったことはどういう意味があるのか。
 国民党内では本土派(台湾派)で李登輝に近いとされている。しかし、国民党には外省人一世を中心とする統一派も数こそ少ないが隠然たる力をもっている。おまけに現在国民党主席選挙で、王金平と馬英九が争っている真っ最中だ。主席選挙で動員力があるのは保守派の外省人の票であり、王金平は劣勢とみられる外省人の中での支持を挽回するためには、外省人受けのする「反日」姿勢を示しておく必要があった(ただし実際には外省人は個人的には反日どころか親日だったりするのだが、ここでは集団意識として反日を建前にするという意味)。しかし、それがさらに台湾全体としては逆効果を招いた。台湾では現在、日本が再び台湾を侵略すると思っている人間はほとんどいない。台湾にとって最大の敵はあくまでも中国であって、中国については何もいわずに日本に過剰に反発して見せる国民党の反応は、多くの台湾人の疑念を引き起こした(ただ、うがった見方をすれば、王金平の反日示威行動に対して李登輝がほとんど無反応だったことから考えると、実はこれは李登輝の差し金で、王金平が必要以上の反日ポーズを示させることで、一連の問題の本質をあらわにして、台湾民衆に違和感を感じさせ、統一派を孤立させることが狙いだったのではないか)。
 しかも面白いことに、王金平とともにフリゲート艦に乗り込んだ国防部長の李傑は外省人軍人出身であるが、台湾主権意識が明確な人物として民進党からも信頼がある人物なだけに、軍艦視察には積極的に同調しなかった。報道によれば、李傑は6時間半の視察の間、ずっと船室に引きこもっており、フリゲート艦が台湾北東部の蘇澳港に到着すると、やっと姿を見せ、取材陣の質問に、「(王金平)立法院長がどうしても乗船してくれと言うから仕方なく乗船した」と回答するなど、王氏の尖閣諸島領有権主張に関心を示さない様子だった、という。

■一般庶民は尖閣問題には無関心

 ここで、統一派活動家の目論見は完全に破綻したことになる。台湾住民はそれほど馬鹿ではないのだ。
 そもそも、それ以前に、多くの台湾民衆は、尖閣に代表されるような領土問題に関心がないのだ。その根底には、台湾人は身の回り以外のことにはもともと関心がなく、まして台湾が実効支配もしていない尖閣諸島には興味がないということがある。領土拡張の野心もない。だから、金門・馬祖はもちろん、蘭嶼あたりも「住民が独立したければどうぞ」という感じだし、極端な話、台湾本島が南北で別の国になっても許容はするだろう。
 日本が実効支配し、中華民国が後になってから主張しはじめた尖閣諸島問題について関心があるわけがない。わざわざ中華民国のものだといって煽るのは、普通の台湾人から見てすでに異常なことなのだ。
 尖閣諸島近海を漁場とする宜蘭県の普通の漁民にとっても、漁業権問題さえ解決するなら、主権や領土の主張はしない。生活できればいいからだ。
 反日を掲げて、中華民国の国家主権だのと騒いでいる時点で、すでに騒いでいる人は文化的に台湾人ではないことを公言しているようなものである。

■日本は台湾政府と交渉を明言すべき

 ただ、私がさらにだめ押しとして日本側に期待したいのは、今回の事件を逆手にとって日本政府が「そんなに漁民の方々の生活に影響がある重大な問題なら、台湾政府とは政府間で漁業交渉をしましょう」と表明することである。
 中国政府は例によって抗議してくるだろう。そうしたら、日本側は6月9日の「漁民」の示威行動が、実際には中国共産党の差し金で行われてた事実を示して、「あなたがたが仕組んで望んだことではないか」と切り返せばよい。
 もっとも、今の日本政府にそれほどの度胸と能力があるとは思えないが。
 実際、私が日本政府の外交関係者にこの方策を話したところ、「外交でそこまで幼稚で乱暴なことはできない」といった。幼稚で乱暴というなら、日本国内ですら反対論が強くいろいろな問題がある靖国神社に首相が公式参拝することで、中国や韓国と喧嘩する、という現在の小泉政権の手法ほど幼稚で乱暴で近視眼で無意味なものはない。それを棚に上げて、真面目な情報にもとづく外交を幼稚だと切り捨てているようでは、日本政府に「外交」なるものは期待できないかもしれない。

高金素梅、北京・中央民族大学を受験(コメント可)

2005-06-25 22:14:47 | 台湾政治
きょう25日付けの大中国派「聯合報」にべた記事で次の話が載っていました。
ここまでわかりやすく、背景と動機を自ら暴露してくれるとは、思いもよりませんでした。

高金素梅 到北京考大學
特派記者陳東旭/北京報導
立委高金素梅昨天到北京參加大陸的港澳台大學招生考試,她報考中央民族大學人類學系,希望能多了解各地少數民族的分布情況。
高金素梅日前到日本靖國神社迎回原住民祖靈的抗議之舉,在大陸引起高度注意;她前天飛抵北京時,海關關員看到她的名字,特別問候了一番;連到下榻飯店登記時,也被飯店人員認出。
高金素梅昨天連同其他近廿名台灣學生到北京大學,參加今年大陸大學的港澳台招生考試。
中共國台辦官員獲悉她來考試後,還特別電話致意。
高金素梅還提到日前的靖國神社抗議行動。她說,九月聯合國抗議之舉仍密集準備中,她會尋求NGO(非政府組織)單位的協助,到聯合國發聲,要世界各國重視日本靖國神社問題。
【2005/06/25 聯合報】
http://udn.com/NEWS/WORLD/WOR1/2753002.shtml

こんな記事見つけた→中国広州で「軍艦マーチ」放送(コメント可)

2005-06-22 22:42:24 | 中国
「軍艦マーチ」放送、抗議受け幼稚園が中止 中国・広州
2005年06月20日01時57分
 中国広東省広州市天河区の幼稚園が毎朝、日本の「軍艦マーチ」を流しているという情報が中国のインターネット上に流れ、抗議の書き込みが殺到している。同区教育局が調査に乗り出し、幼稚園側は軍艦マーチの放送を中止。幼稚園責任者が地元メディアに公開謝罪する騒ぎに発展している。
 この幼稚園の女性責任者は「抗日戦争は生まれる前の出来事で、日本の軍歌だとは知らなかった」と説明。園児も「この曲が好きだ」などと話していたという。幼稚園は指摘を受け、「曲を選ぶ際に文化的背景に注目する」ようにし、園内で流す曲をトルコ行進曲などに替えたという。(時事)
http://www.asahi.com/international/update/0620/002.html

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 「日本の軍歌がいかん」なんていったら、北朝鮮はどうなるんだろう?あそこの革命歌の7割は軍歌とそれをちょっと変えたものだといわれている。有名な「チョソンはひとつ」も軍歌をじゃっかんいじったものだし。
 「日本の軍歌だとは知らなかった」というのはすっとぼけた言い訳だろうが、>園児も「この曲が好きだ」などと話していたという<というのは、笑える。さすがに、軍国主義・愛国主義教育を行っている中国では軍歌の調子はフィットするのかも。
 まあ、少なくともこれからわかることは「中国」はひとつではなく、地域によって人によってばらばらで、対日観も大きく違うってことでしょう。そういう意味では、日本の右翼が中国の「反日」に敏感に反応するのも、ずれているといえる。
 ちなみに「トルコ行進曲」などに替えた、とあるが、モーツァルトとベートーベンのどっちのほうだろ?しかもそれって西欧帝国主義によるオリエンタリズムの典型であって、「トルコとの関係を悪くするもの」という批判が出てこないあたりも、なんだかお粗末な感じがする。誰も「インターナショナル」といわなかったのか。
 それから、最近朝日新聞は微妙に中国に批判的になっている感じがする。社説はまだまだ親中的だが、特集記事や普通の記事は、わりと批判的。ま、この記事自身は時事電だが、わざわざ採用するあたりが、よくわかっているというべきか。

パンツァ・テレビ設立準備へ(コメント可)

2005-06-22 22:20:53 | 台湾言語・族群
 アミス族ことパンツァ族によるパンツァ語を使ったテレビ局開設準備が進められている。
 関係者によると、現在募金を集めている段階で、まずコンテンツとしてパンツァ語によるドキュメンタリー映画を制作、コンテンツと設備がある程度整った段階で開局するという。具体的な時期は未定。
 パンツァテレビ開設を目指す背景としては、7月1日に行政院原住民委員会の肝いりで開局予定、現在試験放送段階の「原住民電視台(原住民テレビ)」が、「原住民のためのチャンネル」をうたっているわりには、そうなっていないことに対する不満と批判があげられる。
 というのも原住民テレビを設立した政府機関・行政院原住民委員会は、原住民自身の原住民文化に対する認識を高めることではなく、原住民を漢人に認知させることに目的を置いているため、(1)北京語が主体で原住民諸語をほとんど使わない、(2)企画スタッフの多くが漢人で、制作現場だけが原住民で、その結果中身がいまひとつになっているーーといった、問題点が指摘されているのである。
 (1)については、北京語では肝心の村落に住んでいる原住民のほとんどが理解できないし、(2)についても、本来は企画を原住民が、人材が少ない制作分野については漢人の力を借りるべきなのにちょうど逆向きになっており、「企画の発想が漢人の発想で、原住民から見ても面白くなく、しかも人材が育っていない制作現場に原住民をむりやり使って、原住民が作っているという格好だけを作っただけ」という批判がある。
 同じく行政院の一機関である客家委員会の肝いりで2年前に開局した「客家テレビ」は内容も面白く成功を収めているのに対して、原住民テレビは試験放送段階の番組を見ている限りでは、番組の質もあまりよくなく、せっかく世界でもあまり例をみない全国規模の先住民テレビ局としての特徴が生かしきれていない、といえる。
 しかも、パンツァは、台湾原住民全体40万人のうち半分近くを占める最大の民族集団であり、原住民テレビのこうした方向については「ないよりはマシだが、ぜんぜんよくない」という不満が強い。そこで、将来「パンツァテレビ」が開局した暁には、制作などには漢人も活用するが、原住民自身が企画の主体となって、ほぼ母語だけで放送するテレビにするという。
邦査電視台のホームページ(繁体字中国語)は:http://pangcah.tv/

【一部追加】アラブ唯一の完全自由選挙レバノン国会議員選挙結果(コメント可)

2005-06-21 00:29:24 | 中東
 アラブ諸国としては唯一の完全自由選挙で実施された定数128議席のレバノン国会選挙が19日、最終の北部地域の投票が実施され、隣国シリアによる監視と支配に反対していた穏健派ハリーリー連合が北部のすべての議席を奪取、全国合計で72議席と圧倒的多数を確保した。レバノンのハリーリー派系日刊紙アル・ムスタクバル(未来)などが伝えた(といっても、わたしはアラビア語は見出しが読める程度だが)。

 レバノンでは宗派ごとに議席、主要職位の割り当てがあり、首相はハリーリー派の主体であるイスラーム教スンナ派から選ばれていることになっている。レバノン内戦が勃発した1975年以降シリアの影響力が強い人間が政局主導権を握ってきたレバノン政治は、シリアの意向に左右されない首相が30年ぶりに選ばれることが確実になった。
 レバノン在住の日本人が運営するサイト「ベイルート通信」、キリスト教勢力に近いレバノンの英字紙ザ・デイリー・スター(選挙特集)や日本の各紙などによると、今回のレバノン国会選挙は、5月29日から毎週日曜日に4地区に分けて順次投票を行った。2月14日に反シリアの有力者ハリーリー元首相が暗殺されてから、親シリアのイスラーム教シーア派を除く、ほとんどのすべての勢力がシリア撤退と民主化を要求して連日のデモを開催、シリア軍・情報機関の撤退が完了し、自由が回復した中で行われた。
 選挙では、宗派割り当てプラス選挙連合が絡み合う。宗派別の割り当てがあっても、ベイルートなどで弱いキリスト教徒はハリーリー派が作った連合の傘下に入ることになる。

 宗派別の割り当ては、
 Maronites・キリスト教東方典礼カトリック・マロン派 (34),
 Sunnites・イスラーム教スンナ派 (27),
 Shiites・イスラーム教シーア派 (27),
 Greek Orthodox・キリスト教ギリシャ正教派 (14),
 Greek Catholics・キリスト教ギリシャカトリック派 (8);
 Druzes・イスラーム教ドルーズ派(多くのムスリムはイスラームの枠にあると考えない) (8),
 Armenian Orthodox・キリスト教非カルケドン系アルメニア正教派 (5),
 Alaouites・イスラーム教アラウィ派(多くのムスリムはイスラームの枠にあると考えない)(2);
 Armenian Catholics・キリスト教アルメニアカトリック派 (1);
 Protestants・キリスト教プロテスタント (1),
 Christian Minorities・その他キリスト教少数派 (1)

 実際の勢力分布は、今回の選挙連合の勢力による。選挙連合は主に3派ある:
 (1)民主化運動を主導した反シリア穏健派のハリーリ派(スンナ派)・ジュンブラート(イスラームのドルーズ派で社会主義)・CS(キリスト教勢力の一部で、LF・レバノンの力、カターイブ改革運動ジュマイエル派などを含む)・左派民主運動などで作る「ハリーリー連合」が72議席、
 (2)元反シリア強硬派野党ながら今回ハリーリー派に対抗して親シリア勢力と手を組んだミシェル・アウン将軍率いるキリスト教反主流派連合21議席、
 (3)南部で強いイスラーム教シーア派による反イスラエル親イラン・シリアの抵抗勢力ヒズボッラー・アマル連合が35議席というすみわけとなった。
 毎度、レバノン政治史を読んでいると、そのめまぐるしく合従連衡や立場の変遷が行われていることに目眩を覚えるのだが、今回も内戦時代から反シリア強硬派として知られたアウンが反体制のお株をハリーリー派に奪われたためか今回は親シリア勢力と組み、反政府・反シリア派に乱れが生じたりしている。
 シリアとの関係でいっても、「反シリア派」も大なり小なり親シリア派のヒズボッラーの協力も必要とする関係もあり、またシリア軍が撤退した以上はそれほど親・反の区別が明確にあるわけではない。キリスト教徒の一部は、イスラーム化を心配してか、世俗的なシリアと組んだほうがマシという発想もないではない。そういう意味でも、レバノン政治は奇奇怪怪である。
 これと比べたら、まだまだ台湾政治はわかりやすいし、こんなに節操なく立場がころころ変わることもないとはいえる。
 ただし、いずれにしろ、現在アラブ諸国の中で自由選挙が行われるのは、レバノンだけであり、その意味で選挙後、各勢力がいかに知恵を絞って、民主主義の定着と発展を進めていけるか、注目されるところである。

 レバノン国会のアラビア語名は مجلس النواب, Majlis al-Nuwab、英訳 Assembly of Representatives、フランス語訳 l'Assemblée Nationale HPは http://www.lp.gov.lb/ だが、死ぬほど重い、英語版は工事中で、フランス語版もあてにならない。
 選挙結果については、各国の選挙結果をまとめている Electionworld.org / Elections around the world のレバノン部分: http://www.electionworld.org/lebanon.htm が便利だが、6月22日現在ではまだ前回2000年の選挙結果のままで、最新情報に更新されていない。

強まる中国のネット規制、ポチMSも検閲に協力(コメント可)

2005-06-18 00:10:47 | 中国
「民主主義」入力禁止 米MS、ブログ検閲で中国に協力
2005年06月15日01時05分
 インターネット上で日記形式での情報発信ができるブログを開設する窓口となっている米マイクロソフト(MS)の中国語サイトで、特定の言葉を使った書き込みが禁止されていることが分かった。AP通信は13日、MSが中国政府に協力して検閲していることを明らかにした、と報じた。中国政府がウェブサイトを検閲していることは知られているが、MSのような有名企業が協力を認めたのは珍しい。
 このサイト「MSNスペース」で「民主主義」「自由」「人権」「台湾独立」などの言葉を入力すると、「禁止されている言葉です。消去して下さい」と表示される。
 同サイトは中国政府が出資している企業とMSの合弁企業が運営しており、MS運営の検索サイト「MSN中国」から接続できる。今年5月26日にサービスを始め、これまでに約500万件のブログが開設されたという。
 MSの広報担当者は「具体的にどんな言葉が禁止されているかはコメントはできない。検閲があっても、何百万の人が情報をやりとりするのを助けることになる」と話しているという。
 報道の自由を守るために活動している国際的な団体「国境なき記者団」はAP通信に対し、「巨大な情報企業が中国でビジネスをする際、そのような取り決めを結ぶのは一般的だ」と話した。
 中国は「インターネットニュース管理規則」(00年施行)で、国家の安全に危害を加え、政権の転覆を謀ったり民族の団結を破壊したりするニュースを制作、流布することを禁じている。こうした法律に基づき、ブログ上で特定の言葉を禁止する措置がとられているもの、とみられる。
 別のサイトでブログに書き込みをした経験を持つ20代の中国人女性は「政治的に微妙だったり、ひわいだったりする言葉はMSNだけでなく、たいていのブログで受け付けない」と話す。
 中国のネット人口は約1億人に上る。中国政府は目に見えない情報網を警戒しており、検閲やサイトの閉鎖などを通じて情報管理を強めている。
 デモ騒動のきっかけになったとされる反日サイトの場合、デモが暴徒化するまでは放置されていた。中国共産党がデモ鎮静の方針を決めたとたん、閉鎖されたり、過激な書き込みが削除されたりするサイトが相次いだ。ネット上の言論も、他メディアと同様に政府の統制下にある。
 香港紙などによると、ブログなどへの書き込みによるやりとりで政府の意思に反した世論が醸成されないように、政府の意見を代弁する「書き込み要員」の養成にも力を入れている、という。
 今回の問題の背景に、MSの中国戦略があると指摘する声もある。中国政府は最近、基本ソフト(OS)でのMSへの過度の依存状態から抜け出そうと、独自OSの開発や無償OS「リナックス」の活用に熱心だ。パソコン市場が膨らむ中国で「ウィンドウズ」の販売拡大を進めたいMSとしては「MSN事業で中国側と対立しにくいのではないか」(大手IT企業関係者)とみられる。
 ブログの影響力に、中国政府が警戒感を強めているとの指摘もある。個人で情報を簡単に発することができるブログは、記名での主張に対して読者コメントが瞬時に掲載される。匿名などの雑多な情報が書き込まれるネット掲示板に比べて求心力をもちやすい。米国では報道メディアとして力を強めており、ホワイトハウスや政党がブログのジャーナリストに記者章を発行している。ある大手ネット関係者は「中国が既存メディアと同様にブログも検閲するのは当然の流れだ」と言う。

http://www.asahi.com/business/update/0615/001.html



「ダライ・ラマ」も禁止/MS中国語版ブログ検閲
2005/06/15 09:01
 【ニューヨーク14日共同】米マイクロソフト(MS)による中国語版ブログ検閲問題で、ブログ上で使用できない言葉には「ダライ・ラマ」「(気功集団)法輪功」も含まれることが14日、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(本部パリ)の調べで分かった。
 記者団によると、「(天安門事件が起きた)6月4日」も使用できないほか、「中国」「汚職」の組み合わせも使えない。入力しようとすると「禁止されている表現が含まれているので、削除してください」とのメッセージが出る。
 記者団は「マイクロソフトは(中国)現地の法規に従ったと説明するが、法規が求めればネット上の反政府活動の情報も提供するのか」と非難する声明を出した。

http://www.shikoku-np.co.jp/news/news.aspx?id=20050615000041

(以上引用終わり)--------------------------------------------------------------

ほかに考えられそうな禁句:

台湾正名、李登輝、陳水扁、(台湾)総統、反核、非核、平和、環境保護、愛護動物(動物愛護)、愛護熊猫(パンダ愛護)、立憲主義、選挙、公民投票(住民投票)、(民族などの)自決、社会運動、抗議、市民社会、愛、慈善、慈悲、社会福利(社会福祉)、平等、博愛、正義、社会民主、道徳、倫理、信頼、信用、誠意、誠実・・・。
みなさんも考えてください。

台湾最大の富豪のアナクロ思想、最低税推進の民進党政府を「アカ」攻撃(コメント可)

2005-06-17 02:13:27 | 台湾政治
 台湾最大の富豪で鴻海集団会長の郭台銘が、最近民進党政府が進めている、富裕層へのミニマム税(minimum tax)導入について、同社の株主総会の席上「共産党と同じ」と攻撃したと、15日付け台湾各紙が報道した。
 ミニマム税とは、富裕層が逃げ道を利用して納税していない現状を打破するため、1000万元以上の高所得者で、さまざまな理由をつけて納税していないものに対して、17・5-20%程度の所得税率を課すというもの。これは民進党政権が今年春になってから進めている税制改革の一環で、ほかにも現行の属地主義から属人主義への変更、公務員などの優遇制度廃止など、税の公平化を進めるという方針だ。もちろん、これは確かに社会民主主義的な発想だといえるが、ミニマム税についてはもともと米国の発想であり、累進税制の強化は普通の民主主義国家で行われてきたことであり、公務員への極度な優遇制度の廃止は国民党が持ち込んだ異常な制度を清算するために必要なことだ。
 ここで、税制改革が課題となった背景には、台湾は個人所得税率も低く、政府の税収が不足しているが、一方では社会発展に応じた社会福祉の整備が世論から求められており、税収増大による財源確保が必要となったためである。もちろん、民進党は元来が社民主義的色彩をもった進歩的傾向の政党であり、根本的には社会的平等を求める左派的な発想があることは否定できない。
 だが、おかしなのは、郭台銘がこれを「アカ」呼ばわりしたことである。いつの時代だろうか。かつて国民党独裁政権が、反共主義イデオロギーで、社民主義をも取り締まり、社会主義的な傾向を一律に「アカ」だと決め付けた時代があった。それと郭は同じ時代に生きていることになる。あまりのアナクロな発想に呆れて物がいえない。
 そもそも、台湾には国民党を中心にして、改革を「アカ」攻撃する人間がけっこういる。たとえば、民進党政権になってから、社団法人などを監督する法規「人民団体法」などに「共産主義を主張してはならない」という文言に対して、国家が民間人の思想に干渉してはならないという言論の自由の原則にもとづいて、民進党や政府が文言の削除を推進している。ところが、これに対しても、国民党とその右派分派・親民党は反対している。「共産主義を認めることは何事だ」と。ところが、国民党はその一方で、中国に朝貢外交よろしく訪問団を送り、胡錦涛と握手して、中国が台湾をミサイルで威嚇していることには何の抗議もしない。
 また、郭台銘は外省人企業家で、中国進出に余念がない。自らは「共産党」政権下に進出しておきながら、ベースの台湾政府を「共産党」呼ばわりとは呆れるが、ある世代までの外省人らしい、反共イデオロギーと「大中国」が奇妙に同居したところから発せられる身勝手な理屈だといえる。
 いずれにしても、いまどきまともな民主主義国家に導入されている、税の公平負担を求める制度を「アカ」とは、国民党もしくは外省人老世代の持つどうしょうもない反共イデオロギーは、なんとしても払拭していかなければならない。

原住民の友人の金素梅問題に対する見方(コメント可)

2005-06-17 01:25:01 | 台湾政治
 きょう、原住民権益向上に長年取り組んできたアミス族牧師と原住民政策協会の女性職員の話をじっくり聞いたので、紹介しておこう。
 それによると、金素梅のやり方は、そもそも原住民的ではなく、中国人的。原住民であれば、「善悪」の二分法ではとらえない。いろいろな問題には複雑な側面があるので、靖国神社も一概に悪の一言では済ませられない。そもそも靖国神社がいけないというなら、同じ基準で国民党の支配や忠烈祠も悪いということになるが、金は国民党の批判は絶対にしない。
 原住民というか、台湾人全体から見れば、日本も国民党も同じ外来政権。植民地主義はすべてマイナスだが、台湾人にとっては同じ外来政権として比べれば、日本のほうがまだしもマイナス点が少なかったといえる。国民党の批判をせずに、日本の批判だけするのは不公平。日本の批判はしてもよい。だが、それなら同じ基準と観点をもってほしい。
 それから、金は原住民の文化がわかっていない。靖国に行って位牌を取り返すみたいなことを考えているが、そもそも原住民が死者を慰霊する場合は、石を置くだけで名前も書かず、抽象的に慰霊するだけである。死者の名前を刻んだ位牌を拝むのは、典型的な漢民族の発想。原住民は偶像は崇拝しない。それがキリスト教を受け入れやすかった土壌となった。
 それに、金は靖国に「霊を返せ」といっているが、どうして靖国にそんなことを要求するのか、わからない。原住民の尊厳や主体性を考えるのであれば、霊を移すことに、別に他人に同意を求める必要はないはず。まして、原住民は霊を抽象的に慰霊するだけなのだから、それこそ個々の部族や集落で勝手に第二次大戦で亡くなった自分の部族の死者の霊を自分たちの風習で勝手に祀ればいいだけのこと。靖国に名前があろうが、関係ない。靖国にわざわざ同意を求めようとする時点で、主体性や尊厳がないと思う。(以上が友人たちの意見)

 最後の「霊を移すのに靖国に同意を求める必要はない」というのはなるほどと思った。勝手にやればいいのであって、わざわざ靖国に何かいうのは、それこそ日本に対して卑屈になっているといえる。この点でも、原住民の誇り高さと、金素梅にみられる中国人の卑屈さは対照的だ。

 ちなみに、原住民の友人は、この問題をきわめて憂慮していた。原住民への誤解が増幅するからだ。そういう意味では、金素梅が行っていることは罪作りなだけであって、「原住民のため」といいながら、原住民が迷惑している、独り善がりの構図が改めて浮き彫りにされた格好だ。


金素梅「靖国抗議活動」台湾各紙の報道(コメント可)

2005-06-17 01:23:45 | 台湾政治
 金素梅の「靖国神社抗議活動」で、翌日15日の台湾各新聞の報道は、テレビのセンセーショナリズムと比べれば比較的抑制されたもので、扱いもそれほど大きくなかった。
 中では深緑の台湾日報が一番大きく2面の半分くらいをつかって、金の批判記事。その正反対の支援トーンが強いのは、深青の聯合報だが、扱いは4面の左下4段とわりと小さい。
 青寄りの中国時報と緑の自由時報は、いずれも扱いが小さく、中国時報は4面下3段、自由時報は7面右下2段。だが、自由時報が日本の警察を批判するトーンが出ていたのは意外である。
 総じて「淡化処理」(扱いを小さく)というもので、台湾全体にある「靖国神社は日本の内政問題」という雰囲気を反映して、批判も弱いものとなっている。

 ところで、金素梅は今日16日は愛知万博に観光に行っているはずだが、どういう顔で行っているのであろうか?


アミス語訳イソップ物語(選集)

2005-06-17 00:06:34 | 台湾言語・族群
Sing 'OLAM (主編・編譯)
『阿美語譯伊索寓言 O Ni Isop a Sapatinako』(アミス語訳イソップ物語)
(原宣50週年紀念出版系列)
ISBN 957-9390-89-4
台灣基督長老教會總會原宣
2005年3月
250元

 ひさしぶりに「台湾e店」に行ったら、この前台湾派新聞でも紹介されていたアミス族の牧師シン・オラム氏による「アミス語訳イソップ物語」があったので、早速購入。イソップ物語の有名な話25編のほか、「二つの太陽」などアミス族の代表的な民話7編、短文朗読練習散文3編(うちひとつが聖書詩篇第23編)、アミス常用外来語彙集、アミス人名500一覧、ポソン=台東方言による日常会話9編など、わずかA5版183頁に盛りだくさんな内容だ。
 私が次に覚えたい言語がアミス語である。この手の教材がどんどん増えてほしい。
(もっとも、いまはアミス語にはまだ手をつけられないでいる。というのも、台湾語ももっと上達させる必要があるし、客家語も今の台湾語のレベルくらいに話せるようになりたいから。アミス語はその後になるだろう)

 そういえば、「台湾エ店」の向かいが、また店が変わっていた。かつてはずっと陳菊の弟が経営していた「菊之郷」という日本料理店があったのだが、SARSの時に人が入らず閉店。その後、イタメシ屋になっていたが、今回見たら、別の洋食軽食屋になっていた。


『小川尚義・浅井恵倫台湾資料研究』目録集

2005-06-17 00:05:51 | 台湾言語・族群
浅井・小川未整理資料の分類・整理・研究プロジェクト(代表=土田滋)
『小川尚義・浅井恵倫台湾資料研究』
ISBN 4-87297-900-1
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
2005年3月、

が、きょう手元に届きました。今年3月に展示会を開く案内ももらい、資料目録も届いたわけですが、なんでだろうと思ったところ、目録以外に関連研究の項目で、同書297-302頁に、わたしが10年前に執筆、同人誌『ふぉるもさ』に発表した小川尚義の評伝「小川尚義 ある偉大な台湾語学者と故郷・松山」が再録されていた。だからなのか。
 ほかにも関連研究には、李壬癸、馬淵東一、清水純らの小川、浅井の人となり、あるいはその業績に関する文章が収録されている。
 さて、本文の目録部にある小川と浅井の取材・研究ノート、写真の数と精密さは驚異的である。ノートは題名ごとに一葉だけ写真を付してあるが、それを見ると、テーマは平埔族諸語を含む台湾原住民のあらゆる言語、それもひとつの代表的な方言だけでなく、そのさまざまな方言も記録・研究されていることがわかる。平埔族にかんしては、いまは言語が失われてしまったバサイ語、トロビアワン語、パポラ語、バブザ語が含まれているのは貴重である。また、方言については、高砂族言語で最大のアミス語を例に挙げると、キビ、ヴァラン、カララ、ナタオラン、タヴァロン、舞鶴方言、さらにそれぞれの比較対照、あるいは他の高砂族言語との対照などまで含まれている。これを二人の人間が行ったというのは、きわめて驚異的というか神業である。知り合いのアミス族に見せたところ、「すごい。スパイみたい」とのこと。たしかにものすごい意気込みが伝わる。
 私がかつて小川の評伝をまとめた際に取材した回ったところでは、小川は原住民に対してとくに偏見や蔑視がなく誠実な人柄だったようだ。しかし、これほどの事業を行う明治人の意思と底力というものに、私は改めて感銘を受けた。
 日本植民地統治は、外来植民地支配という点では、指弾すべきものであるが、しかし、戦後やはり台湾を、原住民を、外来植民者として支配した中国国民党は、原住民の言語・文化に関して何も残していない。というのも、中国人は中華思想にたって、台湾原住民を「野蛮人」とみなして、そこには記録し保存する価値のある文化的価値を一切認めようとしなかった。日本人は「蕃人」と呼んで蔑視したが、それでもそこには記録すべき価値があると考えたのだ。この違いが、戦後台湾に広く存在する「日本評価」となって現れたのではないか。つまり、国民党が日本にも劣る残虐で傲慢な支配者だったからにほかならない。
 とにかく、これは貴重な資料である。ここに記録されている原住民言語の多くは戦後になってから失われてしまったからである。

 同プロジェクトに関するHPは
http://jcs.aa.tufs.ac.jp/Asai/


原住民を食い物にする金素梅、その「反靖国」運動の欺瞞を批判する(コメント可)

2005-06-15 04:45:04 | 台湾政治
 「台湾原住民」(先住民族)を自称するが、反動的中華主義思想をもつ台湾の女性立法委員(国会議員)金素梅が14日、靖国神社に「抗議」に訪れた。靖国神社を批判することは、私自身も望むところだが、しかし問題は金の視点と戦術と方法にある。私は金による靖国批判には、まったく同意できない。台湾でも、靖国批判の左派の人や私の原住民の友人の間でも、金の方法には批判が多い。わたしもそうした立場から、金の今回の行動について批判を行いたいと思う。

1.もともと原住民であることを否定していた外省人・金素梅

 まず、金は現在「高金素梅」と名乗っているが、もともとは金素梅と、外省人の父親の姓(金)だけ名乗り、80-90年代前半までは有名なタレントだった。かつて台湾の芸能・マスコミ界は外省人の天下だった。タレント時代の金は、母親の原住民アタヤル族の存在と血筋を否定し、もっぱら外省人=中国人として、活躍していた。つまり、彼女は現在「原住民」を売り物にしているのとは裏腹に、かつてはまさにその原住民であることを卑下し、忌避していた人間だった。だが、彼女は芸能界から政界に転向しようと決意、選挙に出馬するには、原住民身分のほうが有利であることに目をつけたことから、母親の姓をはじめて認めるようになった(高金姓という冠姓は、原住民アタヤル族である母親の高姓をつけたものである)。いや、むしろ「原住民」であることを最大限に利用し宣伝する手段に出たのである。


2.原住民文化をまったく知らず、むしろ原住民への偏見を増幅させている金素梅

 しかし、元来が外省人・中国人であることを誇りにし、原住民を蔑視していただけに、金素梅は母親の言葉であるアタヤル語は話せないし、原住民文化を理解していない。たとえば、彼女は靖国問題にかかわった当初は「靖国神社にある台湾原住民の位牌を台湾に戻す」といっていた。そもそも靖国神社には「位牌」なるものは存在しない。原住民の死生観・慰霊の風習にも「位牌」は存在しない。そもそも「慰霊施設」に「位牌」があるのは、漢人の習慣である。つまり、ここで「位牌」なる言葉を持ち出したことは、金素梅の発想はまるっきり漢人そのものであり、原住民文化を知らないことを示している。
 また、彼女はことあるごとに、敵対者を「出草」(首狩)する、と息巻いている。これも原住民がかつて持っていた首狩の風習に対する無知と偏見を土台にしている以外の何物でもない。まず、「出草」は原住民のすべての部族が持っていた習慣ではない。平地原住民の多くは持たなかった(今でいうアミスやタオ)。また習慣があった部族でも、金がしばしば使っている憎悪と復讐の意味で行うものではなく、生活観、世界観、生死観に立脚した風習だったのである。金は「首狩」という言葉の連想から、どうやら「気に入らない人間を殺す」という意味と勘違いしたのだろうが、これなど典型的な中国的な発想である(ちなみに、日本植民地時代には、こうした「首狩」の習慣を日本政府が勝手に野蛮なものであると決め付けて禁止したことがあることも、日本による差別政策の典型として、忘れてはならない)。
 つまり、金素梅は「原住民」を自称しながら、実は原住民の文化や物の考え方をまったく理解していないのである。それだけではない。戦後国民党・外省人が「原住民」に対して持ってきた偏見に立脚して、偏見を増幅させている結果となっているのである。金は原住民の代表どころか、自身こそがまさに原住民を蔑視し抑圧している元凶なのである。原住民の権益向上を目指す団体・原住民政策協会で活躍している私の知人(アミス族)は、「金のやっていることは、原住民にとってはっきりいってマイナスにしかなっていない」と断言する。


3.金素梅の反靖国姿勢には誠意も一貫性もみられない

 私自身は靖国神社廃止論者である。「宗教施設」を名乗っている靖国神社を国家を代表する慰霊施設とみなしてそこに公職にあるものが公式参拝することは違憲であるという立場だ。だからこそ、金素梅の今回の訪日を見ていると、彼女がまじめに靖国神社と原住民の慰霊の問題を考えているのか、首をかしげざるをえない。
 第一、金素梅の今回の日本行きにおいて、15日と16日にはそれぞれ愛知万博、京都・大阪観光の日程が組み込まれているという。要するに、金が靖国に反対するのは、あくまでも腰掛け的で、パフォーマンスのひとつに過ぎず、日本で物見遊山をすることが目的ではないかと疑われる。ただ、単に観光旅行だけでは、自腹を切らないといけないので、体のよい言い訳と理由を見つけただけではないのか?事実、金は出発前の台湾での記者会見で、総計で150万台湾元かかるが、不足している、としてカンパを訴えていた。しかし、人からカンパを集めておいて、愛知万博などへの物見遊山を組み込むというのは、公私混同というしかないし、原住民をダシにして、食い物にしているという点で、金こそが日本帝国主義・靖国神社、あるいは国民党とまったく同列の侵略者というべきである。
 また愛知万博は地元などで市民団体が会場建設と運営に伴う環境破壊を問題にしている。仮にも「左」のポーズをとっている金素梅が、愛知万博についてそれを疑問視するデモ行動を計画するのではなく、無批判に物見遊山に行く、という神経も信じられない。


4.同じように原住民を抑圧した国民党には抗議しない金素梅のダブルスタンダードとご都合主義

 さらに筋が通らないのは、金素梅は日本による原住民虐殺・抑圧・差別を問題にするわりには、同じように原住民を虐殺・抑圧・差別してきた戦後の中国国民党の不当な政策を一切問題にしないどころか、むしろ国民党から分かれた反動的政党・親民党や、総統選挙では国民党陣営を支持する中国統一派社会主義政党・労働党と手を組んでいるところである。
 私は、そもそも日本の右翼と敵対するものであるが、台湾の歴史を考えた場合、日本による植民地支配を批判するのは当然として、日本を批判するのであれば、同じ基準で国民党政権による不当かつ非道な政策をまた問題にしなければ、片手落ちであると指摘したい。というのも、戦後国民党の原住民政策は、ほとんどが日本植民地時代の政策を継承・改悪させたものであって、日本を批判して国民党を弁護するということはあってはならない立場だからである。
 日本だけを批判して、同等の、あるいはそれより悪い国民党を批判しないという金独特のダブルスタンダード、ご都合主義は、前記3で指摘したように「靖国反対の誠意」を疑わせるものであるどころか、原住民の名誉回復と権利向上という目的で見るならば、むしろ有害であるというべきである。


5.外省人マスコミの狼藉

 台湾マスコミの報道の仕方もおかしい。とくに、テレビ局の多くは国民党・外省人系が多いため、金を批判的に見ることはない。とくに、日本の警察が、金の一行が乗っていたバスから降りることを認めず、バスに同乗していたマスコミの取材を制限したことに対しては、これを非難する報道が多かった。これはメディア人として最低限のモラルとルールを知らない暴挙である。台湾のマスコミは間違っている。
 あるテレビは「日本は民主国家だというのに、こうやって取材を制限するのはおかしい」などと叫んでいたが、ちょっと待ってほしい。まず、台湾マスコミの取材姿勢に問題があるのはないのか?そもそも、画面を見ているかぎり、日本の警察は制止を聞かずに、外に出ようとした記者やカメラマンをバスの中に押し戻しただけであり、棍棒で殴ったりしていない。もし、警察の制止命令を聞かなかったら、普通の民主国家では、即逮捕されるか、警察に殴られる。マスコミと見ると腫れ物をさわるように対応するのが当たり前になっている民主化以降の台湾に慣れている台湾のマスコミは、警察が押し戻したことを「民主国家にあるまじき暴力」だと騒いでいるが、だったら同じことを米国や韓国やフランスでやってみたらよい。押し戻すどころではなくて、その記者はぼこぼこに殴られて、逮捕されていることだろう。
 むろん、私は警察の弁護をしたいわけではない。言いたいことは、台湾のマスコミがあまりにも常軌を逸した野放図な狼藉を働いていて、それが市民の権利を侵害してばかりいるから、そういう対象に対して、あの程度の規制は仕方がないだろうということなのである。私自身が日本のマスコミで取材記者として勤務した経験、あるいは諸外国の事例を見ている限りでは、今回の日本の警察の処置はどこにもおかしなところはない。
 台湾で民主化・自由化が達成された後は、「言論の自由」を錦の御旗に、市民の人権やプライバシーは侵害してばかりいる。他人の葬式もずかずか上がりこんで取材したり、「うわさ」で聞いた話を当事者に確認もせずに勝手に報道するといった具合である。たしかに、台湾のマスコミは政府から独立している、という意味ではアジアでも最も自由だといえる。しかし、弱い市民の人権を踏みにじったうえでの「自由」に過ぎず、ルールも自制も何もない。テレビも新聞も、ゴシップと事実の区別はない(日本でもゴシップ番組や新聞はあるが、それは明確にゴシップであるという区別ができている)。
 私が日本のマスコミで勤務した経験からみれば、たしかに日本のマスコミも褒められたものではないが、しかし、台湾のマスコミに比べれば数段マシである。台湾のマスコミには、弱者に対する最低限の配慮も、当事者への確認という基本的動作も怠っているという意味で、報道の質と中身は、世界でも最低レベルである。
 そもそも台湾のマスコミは、「俺様はマスコミだ」という横暴かつ傲慢な態度が目立つ。危険な右翼団体がたくさんいるところで、台湾マスコミが台湾で行っているのと同じように飛び回ったら、それこそ台湾マスコミがどういう目に遭うがわからない。だからこそ、隔離し、行動を制限したのだ。それに対して「日本のカメラは中に入っているのに、台湾を入れないのは差別だ」という報道をしていたが、それは当たり前である。台湾マスコミの狼藉と横暴は、日本でも一部で知られていることだから、警察が日本のマスコミには取材を認め、台湾には認めなかったのは、台湾マスコミの日ごろの行いが祟った、というだけのことである。それを自己反省せずに、常に相手が悪いと思っている時点で、マスコミとして失格である。


6.日本右翼の愚昧

 もちろん、ここでは、日本の右翼団体や構成員が、金素梅一行をわざと妨害すべき待ち構えて、台湾のマスコミ関係者に暴行を加えたことも非難されなければならないだろう。これまで見てきたように、金素梅の動機、背景はきわめて怪しげなものであるが、靖国神社を問題にする言論そのものは、あくまでも言論の自由の範囲内であり、もし金があくまでも靖国反対が言論の次元にとどまるものであるかぎり、「考え方が違う」からといって、それを妨害するなどの実力行使行動に出るのは、それこそ金素梅が持ついやらしさや怪しげさを増幅したものでしかない。そもそも本当に金の主張が嫌なら、無視すればいいだけのことであり、わざわざ「お出迎え」と称して実力行使に出るのは、ある意味では金のパフォーマンスを大事件にして、宣伝に手を貸しているようなものである。
 金に常軌を逸した言動が見られたのは事実だが、もし法令に抵触する行動をとるなら、それは警察に任せればいいのであって、右翼が自警団気取りで阻止するべきではない。
 もっとも、古今東西、いわゆる「愛国主義者」であればあるほど、理性を失い、結果的に国家的利益に損害を与えるものであるが、今回の右翼も行動の効果は、ただ「敵」を有名にして、ニュース価値を高めることに寄与しただけだった。
 さらに最近は右翼との結託が目に余るようになっている在日台湾人系メールマガジン「台湾の声」(【情報】親中反日の手先・高金素梅、14日午前8時半ごろ配信)は、金が13日日本に到着してからすぐに向かった場所について、
  高金素梅氏が、日本基督教団信濃町教会で集会を持った際の
  主催団体である、「カトリック正義と平和協議会」は、朝鮮総連の
  日本赤化組織であることが判明しております。これは、本年再度発
  火した『女性国際戦犯法廷』の主催者であるvaww-net-japanの出自
  を調べることから判明しております。
などと的外れな妄想を書いている。
 わたしは、「朝鮮総連の日本赤化組織」なる用語をみて、おもわず仰け反ってしまった。「朝鮮総連による赤化陰謀」とは、かつて1970年代に韓国が反共軍事独裁政権だったころに、よく目や耳にした昔懐かしい用語である。それをソ連が崩壊し、いわゆる共産主義一党独裁体制の誤りが誰の目にも明らかになって14年もたち、かつ21世紀の今日になって、目にするとは、いったい「台湾の声」はいつの時代の、いかなる妄想を持っているのであろうか。
 そもそも「カトリック」と書いているくせに「朝鮮総連」による「赤化」組織とは、形容矛盾もいいところだ。カトリックはカトリックであって、北朝鮮ではない。しかもカトリックは教皇を頂点としたピラミッド組織であって、同協議会も教皇の指揮に服しているわけであるが、ローマ・カトリックの総本山であるヴァティカン市国は、そもそも北朝鮮とも中国とも国交を持っていないし、カトリックは反共的でさえある。「台湾の声」はカトリックについてのこんな基本的な知識すらないのであろうか?ちなみに同協議会は、プロテスタントの日本教会協議会、都市産業宣教会などとともに、左寄りの組織であることは事実である。だが、それはキリスト教の起源と本質からいえば、当然のことだ。キリスト教は、たとえば新約聖書のルカ福音書、ヤコブの手紙などに見られるように、もともとは神の愛が、弱者により注がれることを強調するという、平等主義、社会正義の色彩が濃い宗教であった。しかも、カルケドン系の解釈では、神の一位格であるイエスも、生まれや姿としてはまさに貧者や弱者と同じだったのである。このようなキリスト教本来の精神にもとづくのであれば、カトリック正義と平和協議会などの左派的傾向の団体と活動は、当然のことなのであって、「左」だからといって共産主義や北朝鮮などと短絡的に結びつける発想は、社会思想史に無知で非理性的な右翼ファシストの典型的なロジックであるといえる。
 たしかに、同協議会が、金素梅の動機や背景の怪しげさを見抜けず、安易に協力したのは、問題ではあるが、それは台湾の歴史も含めて説得し、台湾の歴史と現実について正確な認識を広めることに努力すべきであって、威嚇などを含めた実力阻止行動に訴えることは、それこそ「ロシア暴力革命」の発想と同じではないのか?

客家テレビ2周年、原住民テレビ試験放送

2005-06-12 22:46:37 | 台湾言語・族群
 どうやら6月11日の端午節は、客家テレビ開局2周年だったようですね。昨日ある音楽番組を見ていたら、番組100回、開局2周年特集をやっていた。
 私自身もこれまで政治討論番組に4-5回出させてもらっているから、感慨深い。Hak-ka^ thien-sii-thoi` sang^-ngit khoai-lok`!
 客家テレビが出来たことで、北部客家人の本土政権への認知と理解が広がるという効果があった。私個人を見ても、客家テレビが出来たことは大きかった。以前宝島客家ラジオや中国広播客家台などで聴解力をつけようとしたが、テレビが出来てからは聴解力が飛躍的にアップした。やはり映像がある効果は大きいといえる。

 一方、原住民テレビだが、4月ごろから客家テレビの隣の16チャンネルで、原住民テレビの試験放送が行われている。正午から夜12時までだけ。7月1日から正式開局のはず。ときどき見ているんだが、画質が悪いし、内容がつまらない。歌を延々流しているだけだったりする。しかも歌詞以外の解説などは北京語ばかり。客家テレビの面白さや母語の堅持ぶりとは大きな開きがある。
 そういえば、行政院の原住民委員会と客家委員会も、同じ年間予算でも、客家委員会のほうが見るべき成果と効果を挙げているのに対して、原住民委員会のほうが金のバラまきに終始しているという批判がある。
 台湾原住民はせっかく芸術・美的方面で良いものを持っているのだが、計画性のない民族性ばかりがこの場合目だって、裏目にばかり出ている感じがする。原住民テレビチャンネルというのは世界でも珍しい意欲的試みだけに、これでは先が思いやられる感じがする。
 原住民問題については、原住民テレビが正式開局してから再度検討してみたいと思う。

国際ニュース処理のセンスが悪い台湾メディア(コメント可)

2005-06-12 22:31:02 | 台湾政治
 台湾のマスコミは、テレビといい新聞といい、国際ニュースには無関心で、国際的な事件が一面にくることがめったにない。
 で、珍しく一面で処理していると思ったら、ずれたことをすることが多い。
 たとえば、今日の「自由時報」は珍しく外国のニュースが一面を飾っていると思ったら、フィリピンでアロヨ大統領の肉親の賭博疑惑で反政府デモが活発になり、きょう6月12日のフィリピン建国記念日が厳戒の中で式典を迎える、というもの。うーん、あんまりいいニュースじゃないなあ。まあ、ニュースというのは普通は悪いニュースのほうが多いんだが、よりによって、隣国のフィリピンについてもともと差別感情があるのに、こういうニュースじゃ差別感情を強化する方向にしか働かないと思うが。さすが台湾本土派ながら極右的な「自由時報」、毎度のことながら、ちょっとずれているんだよな。しかも、今日、なんでこれを一面に持ってくる必然性があるのか、今ひとつ意図がわからない。
 しかも写真は「グロリア、やめろ」などと書かれた棍棒でアロヨの写真をたたいている反政府デモの場面なんだが、よく見ると「Gabriela」と書かれている。あのね、これって、凄惨な党内粛清で悪名をはせたフィリピン共産党の数ある外郭組織のひとつで、女性政党なんだけど、フィリピン政治において、微妙な問題を抱えているあの政党に絡むものをわざわざ使うのかわからん。まあ、台湾人が特に冷戦型の反共イデオロギーで凝り固まっているわけではないことの表れ、といえば聞こえはいいんだけど、ちょっとフィリピン政治の基本的なこと知らなさすぎ、だと思った。
 もっとも、つい先日、「中国時報」の投書で、「夏服を本土化するべきだ」という文章があって(宜蘭在住の学生らしい)、「台湾のように亜熱帯地域で、涼しい欧州発祥の背広を着るのはおかしい。夏服はもっと土着の風土にあったものにすべき」として、フィリピンのバロン・タガログなどを模範例として紹介していた。中国時報も唾棄すべきメディアだが、この投書は良いと思った。