むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

大麻は有害ではない!

2006-11-30 01:14:53 | 世界の政治・社会情勢
その自由時報、29日付け一面トップがいきなり「豪邸で大麻植え、水耕式栽培」という記事がトップ。鄭逢時という国民党本土派政治家の親族が密かに自宅で栽培してぼろもうけしていて、それを調査局が摘発した、というものだが、まあ取り締まる法律があるからしょうがないとはいえ、そもそも大麻なんて別に健康にも精神にも害はないソフトドラッグなんだから、そんなものに目くじらを立てるほうがおかしい。しかも調査局なんて国民党統一派の手先なんだから、ここで本土派政治家の一族を摘発したのは、良いことでもなんでもない。自由時報、何やってんの?
自由時報の記事:豪宅種大麻 水耕式栽培
http://www.libertytimes.com.tw/2006/new/nov/29/today-t1.htm

大麻だが、私は合法化もしくは非犯罪化論者だ。
そもそも日本だって戦前は大麻は神道の儀式で必要だったこともあって合法だったのが、戦後大麻を禁止してきた米国に占領されて禁止されてしまった。その米国だってもともとは合法だったのだが、1937年にメキシコ系市民が好んでいたことを見咎めた人種差別主義者が、これを禁止する法律を作ってしまった。
それを米国が戦後世界を支配したから、条約まで制定して、西側諸国=米国の衛星国に押し付けた。
もっとも日本の大麻取締法で禁止されているのはカンナビス・サティバ・エルだけなので、ルディラスやインディカなら合法なはずなのだが、なぜか一視同仁で取り締まられているのが現状だ。

ところが、実はサティバ・エルが犯罪の原因になった事例は世界では一つもなく、医学的にもサティバ・エルの毒性は、アルコールやニコチンよりも弱いことが証明され、酒やタバコを禁止していない以上、大麻を禁止するのは比例原則に違反するという指摘が法医学界から多数出てきている。
モルヒネやヘロインのようなハードドラッグや覚醒剤系とは明らかに異なる。

ところが、日本や台湾などは、いまだに大麻を規制し、懸命に取り締まっている。しかも、単に「危険だ。麻薬の一種だ」などと言うばかりで、具体的に危険な根拠は一切示されていない。
「錯乱して習慣性があるから」と日本の警察はいうが、大麻で錯乱するやつなどいないし、大麻には習慣性などない。タバコなんかよりよっぽど無害だ。
そうした事実を直視せずに、ただひたすら米国に押し付けられた論理を盾にとって思考停止して「危険だ」と繰り返す日本や台湾の取締当局。もうアホかと。

その米国にしてからが、最近の市民からの指摘と自由化への動きの高まりとともに、州によっては規制緩和の動きが進んでおり、いわば日本や台湾などははしごを外されている格好だ。

オランダやカナダは大麻の非犯罪化の先進国として有名で、少量の使用なら犯罪として摘発の対象とならなくなっている。
ちなみに、私はカナダのトロントとオランダのアムスで大麻ショップをのぞいたことがあるが、値段はカナダのほうが圧倒的に安い。
オランダは医療用については合法化すらしている。もっとも、そのオランダにしても、非医療の嗜好用については合法化できず、単に摘発しない非犯罪化という、煮え切らない方向をとっているのは、国際条約との関係からだ。
(参照)ウィキペディアの「オランダの薬物政策」「大麻」「大麻取締法」など。

はっきりいって、大麻を規制するのはおかしい。比例原則違反である。
日本の神道にも不可欠のものであり、しかも人類文明には必要なものであった。
戦前の日本のように、あるいは中東の一部のようにとっとと合法化すべきだ。
大麻を栽培したのはいかんなどといっている自由時報はおかしい。

詳しくは次のサイトなどをどうぞ:
カンナビスト 大麻非犯罪化人権運動
http://www.cannabist.org/index.html

自由時報のニュースチャンネル、来年秋にも放送開始

2006-11-30 01:12:46 | 台湾その他の話題
29日の台湾のテレビニュースによると、台湾本土派の新聞である自由時報が早ければ来年の今頃までに「自由新聞電視台」というテレビニュースチャンネルを開局することを決めた。8月にNCCに免許を申請、取得できた。自由と台湾本土を強調するニュースチャンネルを作るという。
台湾はケーブルテレビ普及率が9割を超えて、テレビ多チャンネルが実現しているが、ニュースチャンネルは乱立状態。中国系のTVBS、カクレ中国派の中国時報が出資する中天、中国寄りの年代、国民党本土派だが時々統一寄りにぶれる東森と中国派・統一寄りが多く、台湾本土派は民視新聞台と三立電視台があったが、多勢に無勢で統一派の報道に引きずられがちだった。また、センセーショナリズムも強く、良識ある台湾市民はニュースチャンネルは見ないという傾向が強まっている。
ここで自由時報が参入すれば統一系4:本土派2の比率が一挙に4:3となり、東森は日和見なことを勘案すれば、数の上ではバランスが取れることになる。
もっとも、最近自由時報も、センセーショナリズムの傾向が強く、ほとんどの日をエグイ社会ダネが一面を張る低俗路線に堕しているので、果たしてニュースチャンネルの健全化につながるか、いまいち不安ではあるが、少なくとも本土派の声が強まる点では期待、および歓迎したい。

EIU民主主義評価を見ていて気づいたこと、納得できないこと

2006-11-28 23:23:10 | 世界の政治・社会情勢
先に取り上げた英エコノミスト系のEIUがこのほど発表したDemocracy Index 2006)についてだが、これをながめていると面白いことに気づく。
(参照:全体の表はPDFファイルで、 http://www.economist.com/media/pdf/DEMOCRACY_TABLE_2007_v3.pdf

政治的自由では、総合評価で最下位の北朝鮮だけが、市民的自由度でもなんと0.00という評価を受けていた。ほかの全体主義独裁体制では、おそらく最近では金正日将軍様を上回り、ぶっちぎりのデンパを流しつづけているニヤゾフ君のトルクメニスタンですらウズベキスタンとともに0.59、ミャンマーでも0.88と「ほんの少しの自由がある」とされたのに。やっぱり、北朝鮮は完全に自由がないのか。
ちなみに、ほかの項目も含めて、ゼロスコアとして目立つのは、イラクの政府の機能。チャドもそうなっている。これもやっぱり。でも、調査対象には、ソマリアはないから、イラクだけが唯一になったのか。ソマリアは評価できんからな。それとも、政府機能はマイナスになるのだろうか。
選挙過程では、中国、UAE、シリア、リビアなども、一党独裁もしくは君主独裁のためゼロスコアになっている。ところが、選挙過程では北朝鮮は0.83になっている(!?)。どうしてだろう?

あと面白いのは、米国の市民的自由度が先進国の中では最低の8.53だったのは、むべなるかな。やっぱり米国はブッシュになってから異常だ。

それから、項目ごとに、評価がちぐはぐなところがある。フィリピンとレバノンだ。
フィリピンの場合、総合評価では6.48で順位も63位ながら、選挙過程が9.17、市民的自由が9.12ときわめて高いのに、政治文化が3.75、政府の機能が5.36、政治参加が5.00。
レバノンも選挙過程が7.92と高く、市民的自由6.47、政治参加が6.11もそこそこ良いのに、政府の機能がなんと2.36と低すぎて、総合評価が5.82、85位と低くなっている。よりによって私が台湾以外では最も好きな二カ国とも、ちぐはぐなのは、トホホというか、そういうちぐはぐさがあるからこそ面白いというべきか。

ただ、ちょっと納得できないのは、イランの評価が低すぎるところだ。総合点数は2.93、順位は139位で、中国よりも低いのは絶対おかしい。項目別では選挙過程0.08、政府の機能3.57、政治参加3.89、政治文化5.63(台湾と同じ)、市民的自由1.47となっている。ところが、イランは複数の異なる意見を代表する派閥が選挙で競い、討論するシステムがあるので、選挙過程と多元性と政治参加と市民的自由は過小評価されすぎである。もちろん、レバノンを上回ることはありえないが、順位でいえば、「混合体制」のロシアとかマラウィ程度が妥当だろう。ハタミとアフマディネジャドという、対照的ともいえる思想の持ち主が、前後して大統領に選ばれているのを考えれば、少なくともチベット虐殺の下手人しか指導者に選ばれない中国より低いのは絶対におかしい。西欧人のイランへの偏見がにじみ出ているようだ。

民主主義評価で台湾が32位、「欠陥ある民主主義」に 国民党の存在が足を引っ張った元凶か

2006-11-28 23:19:58 | 台湾政治
英エコノミスト系調査機関エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(Economist Intelligence Unit)がこのほど発表した2006年の民主主義評価(Democracy Index 2006)で、台湾は世界167カ国中総合評価では7.82点(10点満点)32位で、「欠陥ある民主主義」と評価された。31位は韓国(7.88)、33位はエストニア(7.74)だった。
評価は選挙過程と多元性、政府の機能、政治参加、政治文化、市民的自由の5大項目についてそれぞれ10点満点で採点し(大項目の下にさまざまな要素の採点がある)、その平均点が総合評価。総合評価は小数点2位で四捨五入して8以上が「成熟した民主主義full democracies」(28カ国)、6から7.9が「欠陥ある民主主義flawed democracies」(54カ国)、4から5.9が「混合体制hybrid regimes」(30カ国)、4未満が「権威主義体制authoritarian regimes」(55カ国)とされた。
全体の表はPDFファイルで、 http://www.economist.com/media/pdf/DEMOCRACY_TABLE_2007_v3.pdf

日本は8.15でベルギーと20位同位で「完全な民主主義」、中国は2.97で138位、最下位は北朝鮮1.03で「権威主義」。レバノンは85位、5.82で、「混合形態」と評価された。
トップ5はスウェーデン9.88、アイスランド9.71、オランダ9.66、ノルウェー9.55、デンマーク9.52と北欧・西欧諸国が独占。28位までの「成熟した民主主義」は25位同位のコスタリカとモーリシャス、27位のウルグアイ、20位の日本以外は、欧米勢が独占した。
旧ソ連・東欧や南ア、フィリピン、モンゴル、南米などの新興民主主義国家の多くは「欠陥ある民主主義」に分類された。

しかし、5大項目(選挙過程と多元性、政府の機能、政治参加、政治文化、市民的自由)別に見ると、台湾はそれぞれ9.58、7.50、6.67、5.63、9.71で、日本のそれぞれ9.17、7.86、5.56、8.75、9.41と比べると、選挙過程、政治参加、市民的自由の3項目で上回っているのである。ただ、台湾は政治文化が5.63と格段に低く評価されたことが災いして、「欠陥ある」となったようだ。
市民的自由が9.71は総合評価では高い日本やチェコ、米国、英国を凌駕してトップクラスだから、これは誇って良い。
しかも日本は、項目別に見れば、政府の機能で何とか底上げされただけで、政治参加の低さを考えれば、実質日本も「欠陥ある民主主義」だといえよう。

台湾と政治的民主化の意味ではライバルの韓国を見ると、韓国はそれぞれ9.58、7.14、7.22、7.50、7.94で、選挙過程は台湾と同じく日本を上回る評価で、政治参加も台湾や日本と比較して高いが、政府の機能がやや見劣りするし、韓国の市民的自由度の低さは、このグループにしては落ちる(予想通りだが)。
ちなみに、総合評価46位までの国で、市民的自由度が8未満のところはなく、47位イスラエルが5.29とダントツに劣って顔を出してくるくらいだ。いや、7.94レベルが恒常的に顔を出すのは50位台でセルビア、スリランカ、スリナム、モルドバなど、かなり微妙なところが並ぶ。

台湾の政治文化が5.63と低い評価になったのは、なぜか。
これは、実際にはEIUの詳しい資料を見る必要があるが、どうも選挙の腐敗や汚職とは関係なさそうだ。選挙が成熟していないのは、韓国も似たようなものだし、台湾よりも選挙政治が腐敗しているマレーシア、スリランカ、イスラエルでも7.50と高い。
ところが、ほかに同じような評価を受けた国をピックアップすると、なんとなく理由が浮かび挙がってくる。
ほかに政治文化が5.63だったのは、インド、リトアニア、ラトヴィア、ブラジル、トリニダード・トバゴ、ポーランド、クロアチア、ウクライナ、アルゼンチン、セルビア、モンゴル、モンテネグロ(そう、独立したんだよね)、ドミニカ共和国、マリ、アルバニア、セネガル、リベリア、ガンビア、コモロ、モロッコ、ブルキナファソ、ネパール、コートジボワール、カメルーン、コンゴ・ブラザビル、アルジェリア、クウェート、イラン、ガボンなどが挙げられる。
5.00にはスロバキア、ブルガリア、ルーマニア、ボスニア、フィジー、ベネズエラ、グルジア、カンボジア、キルギスあたりが出てくる。
アフリカ諸国や中でも台湾との現旧国交国が並ぶのは“奇遇”だが、そのほかを見れば、元一党独裁国家が多いことがわかる。
だとすれば、政治文化が5.63前後の評価というのは、一党独裁だったところが、その独裁政党が温存され、文化も残ったまま、民主化したところということができる。だとすれば、その原因、元凶となっているのは、台湾でいえば国民党の存在ということになるだろう。

かつて共産党一党独裁だったところでは、2つだけが「成熟した民主主義」にランクインしているだけだ。それは8.17のチェコ(しかも順位は日本より上)18位、7.96点のスロベニアがぎりぎり27位。いずれも、共産党文化の早期払拭に成功したところだし、チェコはハヴェル、スロベニアはクーチャンといったカリスマ的かつ素養が高い指導者に恵まれたことも関係しているのかも知れない。

その点では、台湾は国民党の清算と国民党文化の打破に失敗したことが、「欠陥ある民主主義」とされた根本の原因というべきだろう。
そういう点では、チェコが民主化の過程でとっとと共産党を禁止にして、財産を取り上げたのに対して、台湾が国民党をとっとと解散させなかったことが禍根を残したというべきだ。
国民党をむしろ活用し延命させた李登輝と、国民党独裁体制に断固とした対応をしなかった意気地なしの陳水扁に問題があったというべきだろう。
李登輝は「哲人政治家」といわれるが、哲人と先見性と聡明さでは、ハヴェルにはとても敵わないことがこれでわかる。
もちろん、台湾は市民的自由度ではチェコの9.12をはるかに上回るトップレベルの評価を受けており、その点では多とすべきだろうが。

韓国ウィキペディアのRuss氏って面白そう

2006-11-28 23:15:53 | 韓国・北朝鮮
韓国語と日本語ウィキペディアを見ていたら、利用者登録に、こういう面白い人物を見つけた

↓こういう怪しげな日本語だが、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%80%85:Russ

こんにちは。私は孫換東(ソンファンドン, 손환동)です。
私は日本語はちょっとできて、ロシア語、英語もちょっと分かりました。
日本語の勉強をしています。日本の文化に、ちょっと関心があります。
• 好きな国: ロシア、北朝鮮、東欧
• 好きなマンガ: 犬夜叉、満月を捜して(달빛천사)
• 関心ある分野:日本語、ロシア語、英語等外国語、コンピューター、地理学

韓国語を見ると、
http://ko.wikipedia.org/wiki/%EC%82%AC%EC%9A%A9%EC%9E%90:Russ

旧ソ連・東欧圏の言語ヲタクのようで、バベル(言語理解)の欄には、ロシア、エストニア、ウクライナ、ラトヴィア、リトアニア、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、セルビア、ボスニア、クロアチア、スロベニア、アルバニア、マケドニアの各語、その他は英、日本、スペイン、フィンランド、中国語が、それぞれ初級レベルできるとある。
で、北朝鮮、中国の朝鮮族、ロシア、中央アジア、東欧、日本の文化が好きで、米国、中国、日本の政府と右翼(特に竹島の日を制定した島根県)、EU、イスラエルが嫌い、とある。
北朝鮮が好きなのは民族主義者としてらしいが、さらに朝鮮文化語の併記も認めるべきだとも主張している。ただ、民族主義者というわりには、日本の漫画が好きで、日本にも行きたいとか、ソ連東欧圏にも関心があったりと、まあ割と、国際主義的だし、なんとなく無邪気でかわいらしい感じもする。北朝鮮が好きなのも、政治体制が好きというよりは、言語文化の観点からなのか。これは私も話が合いそうだw。
で、中国への反感は相当強いようで、「今後とも台湾、香港、マカオ、シンガポールを除くところの中国本土へは行かない」とも書いている。台湾を中国系とみなしているのはまあアレだが、この点も気が合いそうだw。

もっとも、語学ヲタ以外の部分は、わりとイマドキの韓国で政治に関心がある若者の典型といったところだろう。しかし、やっぱりイマドキの韓国の若者って、反中が増えているようだね。オーマイニュースやハンギョレの討論を見ていてもそうだし。これは日本、台湾と共通現象。

アシミルのウォロフ語ポケット会話

2006-11-22 17:51:26 | 世界の民族・言語問題
フランスの語学書で有名なAssimilで出ている Évasion de pocheという旅行会話集シリーズがある。
先日これのLe Wolof(ウォロフ語)を仏国密林で買ったのだが、まあ薄いわりに値段は高めだが、わりと内容が濃ゆいので、これは良いと思った。
ウォロフ語というのは、音楽家ユッスー・ンドゥールやパリ・ダカール・ラリーで有名な西アフリカのセネガルと、それに囲まれたガンビアを中心に使われている言語のひとつ。アフリカ土着言語としては部族を超えて広範囲に使われていて、しかも規範化もされ、マスコミ言語ともなっている数少ない言語でもある。文庫クセジュの「超民族語」でも例として取り上げられている。セネガルはアフリカの中では健全かつ安定した民主主義があるところとして注目されているが、それには土着言語であるウォロフ語の母語人口が4割、第二言語人口を含めると9割近くが通じるという言語的一体感も寄与しているのかもしれない。
ちょっと最近アフリカに興味が出てきたので、試しに買ってみた。まあ、簡単な用例しか載っていないので、詳しくはわからないものの、膠着語かと思われる文法、語彙、発音などもわりと素直っぽい言語だ。
挿絵も、ちょっとずれているものの面白い。
p.32で「私は疲れている」は、ライオンが疲れていて、シマウマを取り逃がすの図。P.41の「君は食べてもよいが、全部は食べられないだろう」にはサメが水面下から3人の下半身を狙っている図。P.47には「なぜ君は眠れなかったの?」は、蚊に全身いたるところを刺された人の図。
ただ、東アジアにいるとモチベーションがないのが残念だ。セネガルは台湾と断交して大使館なくなったし。ま、ガンビアはまだ国交も大使館もあるけど。

シリーズ一覧:
http://www.amazon.fr/%C3%89vasion-Collections-Assimil-Livres/b/ref=dp_brlad_entry/403-3600880-6276461?ie=UTF8&node=195552011
ところで、このシリーズ、フランス発行で、さらに最近のフランスが言語的多様性を認める国情になっているのを反映してか、フランスの方言、植民地のクレオール各語などもけっこう事細かに含まれていて言語ヲタの垂涎の的となっている。
そのうちフランスに行ったときにでも揃えてみようかしらん。

たとえば、
Alsacien(アルザス語、ドイツ系)
Basque(バスク語)
Breton(ブルトン=ブレイス語、ケルト系),
Corse(コルシカ語)
このあたりは定番だが、
アルザスとともにロレーヌ語もある:
Platt lorrain(ドイツ系低地ロレーヌ語),
オック系が三つも入っている:
Auvergnat(オック系オーヴェルニュ語)
Gascon (オック系ガスコーニュ語)
Provençal(オック系プロヴァンス語),
さらにオイル系の各地方語や方言も:
Picard(オイル系ピカール語)
Chtimi (オイル系ピカール語シュティミ方言)
オイル系フランシアン語の方言もご丁寧に入っている。
Bruxellois(ブリュッセル方言)
Lyonnais(リヨン方言)
Marseillais(マルセイユ方言)
Wallon(ワロン語)

Créole (クレオール各語)として、次の各語:
capverdienカーボベルデ, guadeloupéenグアデループ, gyuanaisギアナ, haïtienハイチ, martiniquaisマルチニク, mauricienモーリシャス, réunionnaisレユニオン) Francoprovençal(オイル系フランコプロヴァンサル)
また、Calédonien(カレドニア語、クレオール)
しかし、オイル系ではgallo(ガロ語)が入っていないのは不思議だ。

また、珍しいところでは、アフリカについて
ベルベル系のKabyleが入っている。
ほかにはWolofとLingalaだが、アフリカの三つはいずれもフランス語圏のところで、アフリカで大言語だが英語圏にあるAmhara, Somali, Swahili, Gikuyu(Kikuyu), Zulu, Xhosa, Hausa, Yoruba, Igbo(Ibo)あたりは入っていない。
もっともフランス語圏にあるFulaも入っていないが。

馬英九が特別支出費で検察に事情聴取、馬は一挙に失速、国民党本土派台頭か

2006-11-22 15:12:52 | 台湾政治
馬英九・台北市長兼国民党主席が11月14日に台北市長としての首長特別支出費の横領疑惑で参考人として台湾高等検察署査中心(特捜部)から事情聴取を受けた。
現在のところ、まだ参考人聴取段階であるが、馬氏の個人預金や財産が急増しているなど証拠に類するものが明白にあがっている。また馬氏はクリーンを売り物にしてきて、これまで民進党の陳総統側近の汚職や総統一族の疑惑について、陳総統を激しく非難し、辞任を迫ってきた経緯もある。陳総統一族の疑惑は起訴されたとはいえ、証拠がまったく挙がっておらず、無罪となる公算が大きい。
それにたいして馬氏の疑惑は、証拠を見れば金の流れはほぼ確実であり、状況は馬氏に不利である。仮に馬氏が起訴されれば、国民党の内規により08年3月の総統選挙への出馬は絶望的となる。

しかも馬氏にとって不利なことに、これまで国民党べったりで馬びいきと見られてきたマスコミのほとんど(聯合報、中国時報、中天、東森)が馬氏に不利な報道をするようになったことだ。かろうじてTVBSは馬氏弁護的な報道も多いが、聯合報、中天あたりの「豹変」ぶりには驚く。

その背景としては、台湾マスコミが報道することの裏読み、私が独自に入手した裏情報を総合すれば、どうも国民党外省人長老層が馬英九を見限ったことがあるようだ。
馬英九は、80年代末から台頭した外省人二世の政治家だが、これといったスキャンダルもなく、ハーバード留学経験があって英語も堪能で、見た目が「ハンサム」とされ、さらに政治行動も常に保守的路線を歩んできた(国民党内で92-94年に総統選出について議論された際に、李登輝が進める直接選挙に対して、馬英九はずっと委任制=間接選挙を主張していた)ため、外省人保守派集団から見れば「希望の星」だった。ただし、「ハンサム」とか英語が堪能だという点ばかり強調されてきたということは、裏を返せば、これといった行政能力もなく、台湾語が英語よりもヘタで、台湾庶民から遊離した人種であることも意味するといえる。
ルーズベルト大統領は身障者だったが、誰も「身障者の大統領」とはいわない。それは身障者であるという肉体的特徴を云々される以前に、大統領としての能力があったからに他ならない。「車椅子の天才」といわれるホーキング教授も、学者としての能力と功績は見た目を打ち消して余りある。唐沢寿明がハンサムだからとわざわざ言われるまでもないのは、それが役者としても評価されているからである。
馬英九が「ハンサム」であるとか、英語が堪能だとかいうのは、いわば「他に誇るべきことがない」からそう言わざるを得ないのだ。
同様に、「クリーンだ」というのも、国民党にいてクリーンなどというのは形容矛盾もいいところだが、それはウソか、あるいはそれしか能がなかったということだ。
ところが、今回の横領疑惑と証拠に類したものを見れば、やはりクリーンにも疑問がつけられることになった。

ただ、クリーンでないことは、台湾、とくに国民党的にはそれほど問題にはならない。国民党は世界一の資産政党である。それが日本が残した遺産を分捕り、さらに政党ながら党営事業を行い、搾取を重ねて築いたものであるだけに、国民党主席でもある馬英九がもし横領をやって私服を肥やしてきたと指摘されても、別に驚かないし、誰も失望しないだろう。
しかし外省人保守派集団のマスコミや長老政治家を失望させた原因は、そのあまりの行政能力、危機管理能力の稚拙さにある。もちろん、馬英九が無能だということは前から知られていた。しかし、9月の「倒扁運動」への対応で見せたどっちつかずのヘタレぶりは、保守反動派には「軟弱」と見えたし、海千山千の長老政治家からは「どうしょうもない無能」と見えたに違いない。
台湾各紙の報道では、国民党内では本土派が連戦と王金平をかついで結集、馬英九外しの動きが進んでいるという。しかもこれまで悪意をもって報道してきた中国時報あたりでも、これをそれほど悪意もなく、いやむしろバックアップするかのように報じているのは驚く。これは裏情報で指摘されているとおり、外省人保守派ですら馬英九に愛想をつかしたことが反映されているといえる。
ここで、連戦と王金平だが、実質は王金平であり、さらには李登輝だろう。李登輝はたしかに党籍は除名されているが、いまでも本土派には影響力がある。
また、長老連中も外省人であるとはいえ、李登輝が12年やってきたときに実際には支えてきたこともあり、実は李登輝とは気心は知れている。また、彼らはかつて権力を奪った共産党への不信は強く、気心が知れない民進党にも不安を抱いている。そういう意味では、彼らが今後政治生命を保障される形で、それなりに安心できるのは、実は李登輝しかない。
おそらく今年5月から始まった陳水扁・民進党バッシングは、馬英九とそれを当初支持していた外省人長老の操作によるものだったろう。しかし9月の「倒扁」運動の赤シャツ隊デモで流れは変わった。馬英九の無能が白日の下にさらけ出されて、長老連中は李登輝のほうにシフトした。
つまり、総統夫人起訴から、馬英九事情聴取にいたるまで一連の検察の動きは、こうした「裏の手」が働いているように考えられる。検察が国民党の巣窟である以上、馬英九が国民党の上層部から見捨てられないかぎり、事情聴取を受けるなど考えられないからだ。
そういう点では、検察の動きはあまりにも政治的であり、日本のマスコミやそれを読んだ人が、素直に「検察の捜査」として読むのは、あまりにもナイーブだろう。

ただ、李登輝、王金平、国民党本土派ラインが台湾政局の主導権を握りつつある状況は、少なくとも日本としてはプラスであっても、マイナスとはいえないだろう。名実ともに台湾人の政治になるからである。反日的な馬英九とそれに追随してきた若手大中国主義者は力を失う。中国は非常に困っているはずである。

もっとも私は、これではつまらん、と思う。
民進党は不慣れなところは多いが、それでも改革進歩志向だから新たな政策や行動が生まれてきたからだ。台湾はこの6年間にやはり進歩した。
しかし、ここで国民党本土派が主導権を握れば、中国に飲み込まれるという心配や不安は永遠になくなり、台湾主体性は確立されるだろうが、そのかわり進歩的な政策や理念は政治からは生まれてこない。
韓国も07年末大統領選挙では高建が大統領になりそうだし、そうなると堅実だが、つまらんことになりそうだ。
そういう点では、台湾と韓国は、奇しくも同じようにリベラル政権となり、そのほころびが見せ付けられ、同じように中道堅実だがつまらん政治となる、という展開になりそうだ。

レバノンで反シリア派政治家また暗殺

2006-11-22 15:11:52 | 中東
ラフィーク・アル・ハリーリー元首相暗殺に関する国際特別法廷設置をめぐってそれを推進する反シリア派と反対する親シリア派が対立、政局が混迷していたレバノンで、再び政治指導者の暗殺事件が起こった。
(本当は昨日夜の時点で、CNN速報で気づいたのだが、詳しいことがわからんので、日が改まるのを待った)
キリスト教右派政党ファランヘ(アラビア語ではカタエブ)運動党反シリア派幹部でもあるピエール・アミーン・アル・ジェマイエル工業相が21日午後5時15分ごろ(レバノン時間)、ベイルート東部ジュダイデ(シン・エル・フィールとも)地区を車で移動中に武装した複数の男たちに銃で撃たれ、死亡した。ピエール氏は1972年9月生まれ、享年34歳。
武装勢力は少なくとも1台の車で同相の車に激突し、3人が自動小銃で至近距離から同相を撃った。同相は頭部と首を少なくとも2度銃撃され、搬送先の病院で死亡した。
レバノンでは、反・親シリア両勢力の対立激化で、先週、親シリア派閣僚6人が辞任して政界は混乱、親シリア派でシーア派政治勢力ヒズボラ(ヒズブッラー)が倒閣の大規模デモを呼びかけていた矢先だった。
反シリア派の指導的人物の暗殺は、昨年12月12日の有力紙アンナハール編集長ジブラーン・トゥエーニー氏の暗殺以来。2005年以降、05年2月14日元首相ラフィーク・アル・ハリーリー、6月2日左派ジャーナリストのサミール・カッシール、6月21日元共産党書記長ジョージ・ハーウィー、7月12日国防相エリヤース・アル・ムッル(重傷、他1名死亡)、9月25日キリスト教女性キャスターのメイ・シディアックなど反シリア派の有力政治家や言論人が次々に殺されたり、暗殺未遂にあっている。
ジェマイエル氏が国際法廷設置に最も積極的だったこと、またこれまでの暗殺事件や最近の流れからみて、暗殺事件にはシリアまたは親シリア勢力の介在が指摘されている。反シリア派のシニョーラ首相、反シリア派勢力最高指導者サアド・アル・ハリーリー議員らはシリアの関与を示唆している。しかし、今回の暗殺事件では、シリアとイランも真っ先に暗殺を非難する声明を発表している。国連安保理も非難する議長声明を採択した。
同相はキリスト教マロン派の有力者の出身で、祖父ピエール氏はファランヘ党創立者で、父はアミン・ジェマイエル元大統領(在任期間1982─88年)。叔父(父の弟)のバシール・ジェマイエル氏も大統領に選出されたが、82年の就任前に何者かに暗殺され、アミーン氏が大統領となった。ファランヘ党はシリア支配下では指導部が親シリア派に乗っ取られたが、昨年の自由化後、反シリア派が立ち上げたファランヘ運動党が活躍していた。

ここで、日本語の記事でいくつかおかしなところ:
CNN日本語
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200611220005.html
では「昨年暗殺されたハリリ元首相の息子サード・ハリリ氏」と書いているが、これはサの長音ではなくて、サの次がアインという重い咽頭音なのでサアド。

朝日新聞
http://www.asahi.com/special/MiddleEast/TKY200611210496.html
では「伯父バシル氏はレバノン内戦中の82年」となっているが、バシールは今回殺されたピエール(ジュニア)の父アミーンより6歳年下だったので伯父ではなくて、叔父。

日経新聞
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061121AT2M2103A21112006.html
では見出しにも記事にも「キリスト教勢力の代表格」と書かれているが、ピエール・ジェマイエルとカタエブは、キリスト教政治勢力の名門ではあっても、今では代表格とはいえないのではないか?代表格といえば、反シリア派ではサミール・ジャアジャア、親シリア派ではミシェル・アウン(元は反シリア派の急先鋒)だろう。

まあ、レバノン政治は合従連衡が激しく、どんぐりの背比べみたいな指導者が林立していて、わけわからんのだけどね。

その他、レバノン英字、仏字、アラブメディアの記事URL:

★Daily Star (Lebanon, English daily, anti-Syria)
http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=77063
Chronology of political killings since February 2005

http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=77064
Pierre Gemayel's assasination

http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=77061
Minister Pierre Gemayel killed by gunmen

http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=77062
Industry minister Pierre Gemayel quick biography

http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=77081
Pierre Amin Gemayel, 1972-2006

http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=77082
Assassins claim Pierre Gemayel in broad daylight
Gunmen also kill 1 bodyguard, wound another and at least 1 bystander

http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=77083
March 14, Phalange call for 'peaceful' response at slain minister's funeral

http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=77084
World unites in condemnation

http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=77085
Hariri says Siniora unity offer 'remains in effect'

http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&article_id=77066&categ_id=17
editorial
Don't let one family's latest tragedy become that of a whole country

http://dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=1&article_id=77077
Suleiman exhorts army to stay 'unified' but assassination forces cancellation of Independence Day celebrations


★L'Orient Le Jour (Lebanon, french daily, anti-Syria )
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=327291
Chronologie des assassinats politiques au Liban

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=327311
Pierre Gemayel tombe sous les balles des terroristes

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=327315
Pierre Gemayel assassine' hier, a` Jdeide', d’une dizaine de balles a` la te^te

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=327320
Le 14 Mars appelle au calme et promet de poursuivre les assassins

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=327322
De'pendance

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=327303
Portrait
Il a rejoint la le'gende des he'ros de l’inde'pendance

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=327304
Les Gemayel, une famille qui a marque' la vie politique du Liban

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=327305
Vives condamnations dans les milieux politiques et appels a` la retenue

http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=327287
Hariri accuse la Syrie d’e^tre implique'e dans l’assassinat de Pierre Gemayel


★Al-Jazeera english (Qatar)
http://english.aljazeera.net/NR/exeres/01C61A48-E1F9-42B7-829B-CDCCC25A335E.htm
Lebanese Christian leader shot dead

http://english.aljazeera.net/NR/exeres/7F21C532-0312-4F66-8A61-D968EB62A7A6.htm
Pierre Gemayel's father urges calm

http://english.aljazeera.net/NR/exeres/2587F2D7-14B9-4082-AA90-9EEAF62F5277.htm
The Gemayel dynasty

★Al-Jazeera arabic
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/519AF98C-81D6-4039-A267-1B86DE390F37.htm
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/FCEDED6F-64A3-473D-A21A-6B0235EEBC34.htm


★Al-Hayat(London, Saudi-and-Hariri-affiliated daily, anti-Syria)
http://www.daralhayat.com/arab_news/levant_news/11-2006/Item-20061121-0c616afb-c0a8-10ed-01a4-77df59a6b40a/story.html

AnNahar (Lebanon, Arabic daily, anti-Syria)
http://www.annaharonline.com/HTD/OLA061122-1.HTM
http://www.annaharonline.com/HTD/OLA061122-4.HTM
http://www.annaharonline.com/htd/MAHLY061122.HTM
http://www.annaharonline.com/htd/SEYA061122-14.HTM

アルジャジーラが英語放送開始!

2006-11-15 23:51:50 | 中東
アルジャジーラが英語放送開始!
アラビア語で自由な報道を続けるニュースチャンネルとして有名なアル・ジャジーラ(カタール・ドーハ)が15日から英語ニュース放送を正式に開始した。
英語のHPも一新され、56kは現在のところタダで試験視聴できる、BBは登録したうえで見られる(URLはhttp://english.aljazeera.net/NR/exeres/1EBB4C7F-7F2E-4257-A04C-56678862E31A.htm)。
スタジオはドーハのほか、ロンドン、ワシントン、クアラルンプールにもおかれた。
ちなみに台湾の民進党と国民党の国会議員も12日にマレーシアのスタジオに呼ばれて、台湾の内政や対中関係について話をしたらしい。
ここで開局にあたって台湾の政治家を呼んだという趣向が心憎い。
アルジャジーラは台湾では親中派の中天と提携し、北京に支局を置いているが、それとは関係なく昔から中国には批判的で、台湾の緑陣営には好意的だった。米国という大国も向こうに回してきただけに、中国ごときは怖くなんかないのだろう。この点は、アラブ人の心意気を感じる。
同局アラビア語ニュースHPから英語放送開始を伝える記事:http://www.aljazeera.net/NR/exeres/F906BC41-D559-4CEA-BD15-6DF657863465.htm

friends of aljazeeraというブログ:http://www.friendsofaljazeera.org/

東京新聞(共同電)
アラブの視点で欧米に発信
 アルジャジーラが英語放送
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006111401000446.html
 カタールを拠点とするアラビア語の衛星テレビ局アルジャジーラが初の英語放送を15日に開始する。CNNやBBCなど米英系が支配的な国際報道に風穴をあける狙い。“圧制国家”が多数派の中東で異例の「自由な報道」を続ける同局の世界進出に注目が集まっている。
 「われわれは発展途上国を拠点とする唯一の国際メディア。独自の視点があり、英語放送の意義もそこにある」。同局のハンファル局長は記者会見などでこう説明。途上国のニュースに重点を置き、英語で発信することで「西側発に偏った情報の流れを逆転する」と述べ、アラブの発言力拡大に野心をうかがわせた。
 カタールのハマド首長が出資する潤沢なオイルマネーを背景に、拠点放送局をドーハ、ロンドン、ワシントン、クアラルンプールの4カ所に設置。CNNなどからの引き抜きを合わせ約500人のスタッフをそろえた。
 同局の売り物は、アラブ各国政府や米欧に対する歯に衣着せぬ批判。1996年の誕生後、アラブ民衆が「家の中でしか言えなかったことを堂々と放映するテレビ局」(米タイム誌)として中東の世論に大きな影響力を持つに至った。
 今夏のレバノン危機でエジプトやサウジアラビア政府が、イスラエルと戦う民兵組織ヒズボラへの支援を避けた際には、トークショーの出演者が「ヒズボラ支持の民意を無視し(対米関係など)既得権益の維持しか頭にない」と痛烈に批判。
 しかし、イラク戦争やレバノン危機など紛争の度に、民間人犠牲者の悲惨な遺体を延々と映し「殉教者」と称する報道姿勢には「民衆の怒りを扇動している」との批判も。米政府高官は「事実に基づかない大衆迎合的な米批判」が問題だと指摘。ウサマ・ビンラディン容疑者の声明を独占報道していることに「プロパガンダの手伝い」との反発もある。
 米国でアラビア語報道を続けるモハメド・エルメンシャウィ氏はアルジャジーラの存在意義を評価した上で「イスラム組織に独占された討議の場から、左派や国家主義者、リベラル陣営にも等しく開かれた場へと転身しなくてはならない」と注文を付ける。
 英語放送は当面、非アラビア語圏のイスラム教徒らが住む西欧やアジアの約4000万世帯が対象。米国では大手ケーブルテレビ会社などが「どんな反発を巻き起こすか」と模様眺めの姿勢で放映には非協力的という。(カイロ共同)
(2006年11月14日 17時55分)

読売新聞
アル・ジャジーラ、アラブ初の英語放送始まる
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20061115i113.htm
 【カイロ=長谷川由紀】カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」は15日、英語による24時間ニュース放送を開始した。
 米CNN、英BBCなど国際ニュース報道を席巻する欧米メディアに対抗し、「中東の視点」(同テレビ)から報道するのが目的で、アラブメディアでは初。
 英語版は、本社のあるドーハ、ロンドン、ワシントン、クアラルンプールの放送センターから放送。米政権やアラブ指導者などから批判も浴びた母体のアラビア語放送とは、原則として独立して取材、報道するのが特徴で、欧米メディアから花形キャスターや記者、ディレクターらを引き抜き、独自の体制を整えた。 中東や欧州、アジアなどで8000万世帯の視聴を目指す。当面、生放送は12時間だが、徐々に24時間生放送に切り替える予定。放送はウェブサイトでも視聴可能という。
(2006年11月15日21時14分 読売新聞)

新興民主主義レバノン、韓国、台湾の政局が同時進行で混迷・・・

2006-11-14 06:55:13 | 中東
久々にレバノンのニュースをチェックしていたら、あらら、レバノンでも反シリア派主導内閣の中の親シリア派が国際法廷設置に反発して閣僚辞任、政局混迷とはな・・・。しかも「両派の対立」「倒閣運動」「要求が通らなければ大規模デモも辞さない構え」「デモにはデモで対抗する」「弱みにつけ込んで倒閣を目指している」など、なにやらデジャヴュな展開・・・。

そういえば、距離はまったく違うし、文化圏もまったく違うんだけど、台湾とレバノンって似ているところがけっこう多い。まず気温の推移もほぼ同じ(台湾のほうが若干暑い)、海洋貿易立国である点、さらに地政学的に微妙な位置にあるため大国の干渉が強く、エスニック(台湾は言語、レバノンは宗教)の対立、アイデンティティの分裂や曖昧さがぬぐえないところも共通している。また最近市民デモなど動員型運動を通じて民主化を勝ち取ったところも通じる。
ここで大国の干渉と最近市民動員型で民主化を勝ち取ったという点では韓国も当てはまるのだが、奇しくもこの三カ国ともに微妙に異なる理由と背景であるとはいえ、ほぼ同じ時期に同じように政局が混迷・・・。民主主義の難しさを改めて感じさせる事例である。

もっとも、欧米日などの「成熟かつ安定した先進民主主義国家」も、歴史的には同じような経過をたどって成熟させてきたのであって、他人事と笑うことは禁物だろう。ただそのわりに米国系のマスコミには自国の19世紀のどうしょうもない腐敗と混乱を棚に上げて新興民主主義を嘲笑する傾向があるのはおかしい。
レバノン、韓国、台湾の新興かつ脆弱な民主主義の混迷も、必要不可欠な通過儀礼である。それを笑うとしたらつまり「民主主義は世界普遍で、当たり前に求めるべきもの」という米国のネオコンあたりの宣伝がウソだったといっているようなものである。
やはり暖かく見守るしかないし、日本は世論と政府が一丸となって、こうした不安定な新興民主主義を守り立てる方策を考えるべきではないだろうか。これは日本がやるべきだろう。米国あたりがやると余計混乱に拍車をかけ、複雑にしてしまいそうなので蒙御免。
(なぜか今日は寝付きにくいので、また起きてブログを書き込むことにした。マージダ・ルーミー2006年アルバムを聴きながら。外は雨・・・)


読売
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20061113id24.htm
(2006年11月13日23時45分 読売新聞)
レバノンの親シリア閣僚6人辞任、国際法廷設置に反発
 【カイロ=柳沢亨之】レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどに所属する親シリア派閣僚計6人が11日から13日にかけて、辞任を発表した。
 シリアの関与が指摘されているハリリ・レバノン元首相暗殺事件を巡り、シニオラ首相ら反シリア派が国際法廷設置を急いでいることに反発した。今夏のイスラエル軍の攻撃で再燃した親シリア、反シリア両派の政権内での対立は国際法廷問題で一気に激化、レバノンは重大な政治危機に直面した。
(略)
 首相任命権を持つ親シリア派のラフード大統領は12日、「内閣は違憲」と総辞職を促した。これに対し首相は辞表の受理を拒否している。
 さらに深刻なのが、親シリア、反シリア両派が街頭での直接行動を扇動し始めたことだ。ヒズボラは12日、以前から示唆していたデモ実施方針を改めて強調。一方、反シリアのイスラム教ドルーズ派幹部らも「デモにはデモで対抗する」と宣言し、不測の事態に発展する可能性もある。
(略)
 一方、ヒズボラが倒閣運動を実行に移したことについては、後ろ盾のシリアとイランの意向との見方も根強い。米国には先の中間選挙前後から、イラク情勢打開のためシリア、イランとの対話を求める動きがある。このため反シリア派には「米国からの支援が揺らぐ懸念」(外交筋)が強い。レバノン消息筋は「イラン、シリアが反シリア派の弱みにつけ込んで倒閣を目指している可能性もある」と見る。


朝日
http://www.asahi.com/special/MiddleEast/TKY200611130169.html
レバノン6閣僚が辞意 ポスト巡り首相と対立
2006年11月13日20時23分
 1000人を超える死者を出したイスラエルとシーア派組織ヒズボラの戦闘が8月に終わったレバノンで、シニョーラ首相ら反シリア派と、ヒズボラを中心とする親シリア派の対立が深まっている。親シリア派は閣僚ポストの分配などをめぐる論争から、閣僚5人が11日、辞任を表明。13日にも、さらに1人が辞意を表明し、政界はマヒ状態となった。
 シニョーラ首相ら反シリア派は、欧米や中東のスンニ派産油国からの援助で復興を進め、イランから武器供給を受けて国軍をしのぐ武力を持つヒズボラ軍事部門を解体しようとしている。
 しかし、ヒズボラは「イスラエルを利するだけ」と武装解除を拒否。逆にシニョーラ政権と対立するキリスト教野党勢力などと連携し、「挙国一致内閣で外国の干渉から国を守るため」として閣僚ポストの3分の1を親シリア派側に譲るよう求め、各派が協議していた。
 フネイシュ水資源相(ヒズボラ)らシーア派閣僚5人が11日の協議後に辞任を表明。要求が通らなければ大規模デモも辞さない構えをみせた。
(以下略)


The Daily Star
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=76853
1113 Crippled Cabinet will still discuss Hariri court

http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=76850
1113 Sfeir accuses opposition of rejecting international support

http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&article_id=76832&categ_id=17
1113 editorial: Why won't Lebanon's politicians come clean with the public?

http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=76852
1113 March 14 points finger at Tehran, Damascus

産経(共同電)
http://www.sankei.co.jp/news/061112/kok007.htm
1112
シーア派5閣僚が辞意 レバノン情勢再び緊迫

読売
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20061111i306.htm?from=main3
レバノン首相、元首相暗殺の国際法廷設置で国連案支持

庶民感覚から遊離した新潮流、これからどこへ行く?

2006-11-14 06:54:35 | 台湾政治
ここ数日、民進党やそれに近いオピニオンリーダーが陳水扁打倒に動いている。どうも国民党メディアの策動に乗せられている感じで、気分が悪い。
2000年陳水扁当選に一役買ったといわれているノーベル化学賞受賞経験者李遠哲、外省人出身ながら台湾語も達者で台湾意識が強い元総統府秘書長陳師孟、民進党を長年支援してきた食品会社義美の経営者で雑誌も発行する高志明らがそれぞれ陳水扁総統の辞職もしくは一時離職を求める声明などを発表した。
そして、13日には、民進党所属の立法委員(国会議員)で、党内派閥新潮流の重要人物でもある林濁水・李文忠両氏が陳水扁総統への不満を理由に議員を辞職した。
「陳水扁総統を支えてきた元側近や忠実な支持者までも」という点で、特に民進党議員の辞職は民進党内に強い衝撃を与えている。
しかし、奇妙だ。陳水扁夫人起訴が実際には台湾の民意にそれほど効果を発揮しなかったのを見計らったかのように、「元側近や忠実な支持者までも」がこのタイミングで行動を起こしたことに、国民党系メディアがここ数ヶ月仕組んできたキャンペーンにまんまと乗せられてのか、あるいは個人的な魂胆から進んで乗っているのか知らないが、とにかくタイミングを考えると気味が悪い。
李遠哲はもはや影響力もない単なる学者馬鹿だから影響もたいしたことないし、高志明もいってみれば食品会社のおやじだから政治センスがおかしいのも仕方ないが、骨もありセンスもあるはずの陳師孟の言動はどうも解せない。
議員を辞職した新潮流の二人は、新潮流としてポスト陳水扁に蘇貞昌を担ぎ出すための魂胆や策略があるんだろうが、それでもタイミングがあまりにも悪すぎる。これでは蘇貞昌も迷惑ではないか?

これについて同日夜の緑系テレビ局討論番組(民視の頭家来開講、三立の大話新聞)でそれぞれテーマとして取り上げられた。民視は「民進党と新潮流自身も傷つけるもの」という意見が大勢。三立は当の2人を出して例によっていろんな意見を出すというもの。
ここ数週間、わりと両番組を見ることが多いが、三立の大話新聞は巷ではわりと中立公平とされているが、緑寄りだが(だから馬英九の特別支出費問題や資産増加も批判する)、陳水扁には距離を置いていて、民視の開講は陳水扁擁護色が強いという感じだ。
毎度思うが、この二つの番組はそここそ水準も高く、なかなか参考や勉強にもなる。そういう点で、日本の台湾駐在記者などは取材がてら真っ先に見てほしい感じはするが(日本国内の政治部記者が日曜日の政治討論番組ウオッチが必須になっているのと同様)、ただ台湾語が多用されるし、かなり早口なので日本人の多くはついていけないだろうとは思う。
民視の開講では、反新潮流派の民進党議員や弁護士らが主に話していた。いわく「12日の自由時報トップで馬英九が火曜日にも特別支出費の不正流用で検察の事情聴取を受けるという報道があったその翌日に新潮流の議員の辞任というのは、まるで馬英九疑惑を掻き消すような効果を狙ったようなもの」「新潮流などの若手議員は、陳水扁憎しなのか、統一派メディアにちょこちょこ出ていて、統一派のお先棒を担ぐようなことばかりしている。タイミングとしておかしい」「そんなに民進党全体と意見が食い違うなら、離党すればいい。民進党にとどまるのは党を傷つけるだけ」「新潮流でも高雄市長に立候補している陳菊は迷惑だろう。選挙によい影響を与えないからだ。また新潮流でも北部と南部では意見が異なるようだ」「議員を辞めてどうなる?防衛性兵器購入、馬の特別支出費などの問題は立法委員だからこそできることではないのか?」など批判が大勢だった。
これに対して、三立の大話新聞は以前から陳水扁とも距離を置こうという感じもあったのと、辞職した当人が出ていたこともあって(台湾人らしいメンツを重視して)、もう少し辞職に対しては穏便な発言が多かった。当事者の林や李は「陳総統の潔白を信じているが、混乱した政治的な責任はある。去就を決めるのは陳総統自身だが、混乱についてなんらかの対応をすべきだ。そうでなければせっかく台北市と高雄市で勝てる候補を出しているのに、このままだとそれが生かされない。その原因は陳総統にある」、つまり自らの議員辞職の理由について「民進党を愛する気持ちからだ」と釈明していた。
これは本心かも知れないし、善意なのだろう。だから民視で反新潮流派が「馬英九とつながっている」かのような邪推する意見があったのはアンフェアといえるかもしれない。しかし反新潮流派が指摘する「タイミング」の問題は大きいように思う。

台湾人はよく「善意」であることを強調して、結果的な効果やタイミングの悪さを反省しようとしない傾向があるが、林濁水の釈明もそうした台湾人の欠点が現れていた感がある。ほかにここ数日陳水扁辞職や一時離職を求める声明や意見書を発表した李遠哲、陳師孟、高志明ら緑系オピニオンリーダーも同じである。タイミングがおかしいから、結果的に本人たちの「民進党思い」とは裏腹に、民進党だけでなくすべての本土勢力を毀損する効果をもたらしている。
それにしても、5月から続いている国民党勢力による陳水扁バッシングは、しつこい。青側が繰り出して効果がないとみると、緑陣営からもそれを引き継ぐように次々と切れ目なくバッシングが続いている。5月の陳水扁の娘婿の疑惑と逮捕、それが落ち着いたと思ったら、7月には「親緑学者」による陳総統辞職要求の二度にわたる声明、さらに8月には民進党から離れてしまっているとはいえ本土派には違いない施明徳による声明と、9月には施とそれに追随する民進党系が発起した「倒扁」デモ。ただそれが9月下旬には青系統に牛耳られていることが明らかになって10月にはしぼんだと思ったら、今度は11月に入ってから陳総統夫人らの起訴、そして起訴もあまり効果がないことがわかってから、今度は陳水扁を守り立ててきた元側近や民進党所属議員の離反である。こう都合よく切れ目なく続いているのを見ると、陰謀論も考えたくもなるではないか。

新潮流はこれからどこに行くつもりだろう。陳水扁を追い詰めて、蘇貞昌を立てようとしても、その先の展望があるのか?
08年に総統選挙があろうと内閣制に移行しようと、いずれにしても本土派が政権を維持するには、民進党が束になっても足りず、勢い国民党本土派との暗黙の了解や連携が必要である。
その点では、最近いやらしいとはいえ、国民党本土派抱き込みを狙っている李登輝の行動はまだしも意味はある。同じく国民党も視野に入れている謝長廷の一見するとわかりにくい策謀もある意味で理解できる。
しかし、新潮流が行っている策謀は何か?新潮流には民進党の新潮流以外の派閥や系列とは隙間があるし、台連や国民党本土派はもっと反感を抱いている。新潮流だけでは台湾の民意の過半数を確保できない。だからこそ新潮流はこれまで民進党の枠組みで反新潮流派とも共存して陳水扁政権を守り立てる必要があったのだし、そうしてきた。ここに来て、陳水扁のレームダック化に直面して、一気に陳水扁おろしに動いているのだろうが、今の新潮流が、民進党全体の枠組みを否定して、派閥利益だけで動いたとしても、結果的には勝ち目はないし、本土派全体の利益にもならないだろう。そういう点では、民視の討論番組で指摘されたように、新潮流はまさしく馬英九の事実上の走狗に堕しているという批判も結果的には否定できない。

それはそうと民進党の「三宝」といわれ、独立派色や草の根色が強いトリオとして林重謨、蔡啓芳、侯水盛の3立法委員がいる。わりと野暮ったく、失言や放言も多く、ヤクザっぽい感じも強い彼らだが、日頃から台湾語も多用するし、庶民感情を代弁しているところがあるので、放言癖の割にはどことなく憎めない。じじつ、私は彼らのことが結構好きだ。その庶民派の三宝は今回、新潮流批判の急先鋒となっている。
それが普通の庶民感覚ではないだろうか?
屋台を引いたり、ゴミを収集している人たちは、一連の総統バッシングについて「陳水扁のあの顔を見れば悪いこと出来ないことがわかる。学者どもは何をいっているんだ」という意見が強い。
台湾は一見すると学歴社会、知識人重視社会のように見えて、同時に、庶民も知識人も一票の重みは同等となった民主化を反映して「冷房のきいた部屋で頭でっかちになっている知識人なるもの」に反発と懐疑を抱く草莽の気質が充満しているのである。その辺の底流や基層の動きや心情を見据えないと台湾のこれからの動きを見誤ることになるだろう。

李登輝が陳水扁追い込み=陳夫人ら起訴の黒幕?

2006-11-13 01:17:59 | 台湾政治
最近、どうも李登輝とその周辺の言動がおかしいと思ったら、11日付け自由時報で台湾独立派外省人評論家の金恆煒氏が、次のような指摘をしていた。検察官の陳瑞仁は「深緑」を自称しているが、その意図は李登輝との関係がある。李登輝は陳水扁を見捨てているので、陳瑞仁検事が李登輝に事情聴取すれば陳水扁に不利な情報を提供する。それが大きく作用して陳水扁周辺の起訴となった。しかも李登輝は起訴前日の声明であたかも起訴状の内容を先取りしたようなことをいっている。

しかしだとすると李登輝はとんでもないことをやっているといえる。個人的に陳水扁が嫌いだからといって、国民の直接選挙で選ばれた総統を何が何でも引きずりおろそうとする陰謀に荷担しているというのは常軌を逸している。ぼけが回っているのか?それともそんなに王金平がかわいいのか?

もっとも、レームダック化著しい陳水扁と、出詰まり感が強い民進党だけで今後の本土派の展望も開けず、台湾の将来のためには、李登輝の手腕と影響力に頼らざるをえないところが困ったところ。
台湾ってなんでこんなハンパな政治家しかいないんだろうね?!

http://www.libertytimes.com.tw/2006/new/nov/11/today-o2.htm
<金恆煒專欄>陳瑞仁檢察官的「顏色」與「專業」

TSMCの張忠謀会長はまともだ

2006-11-13 01:17:18 | 台湾政治
台湾を代表するIT企業、台湾積体電路製造(TSMC)会長の張忠謀氏が今年ベトナムで今月18-19日に開かれるAPEC首脳会議に陳水扁総統の名代、台湾代表として参加することが決まった。
張氏は外省人とはいえ、米国生活も長く、台湾にも愛着をもっていて、政治的にも公平な人物。
今回代表となったことについて、張氏は最近の反陳水扁デモでも大きな暴力もなく、さらに混乱にもかかわらず株価が堅調に推移していることを指摘、「台湾の民主主義の制度と人民は強靭で、少しも恥ずべきところはない」と語ったという(自由時報11日付け)。
緑陣営のホーロー人でも最近、統一派メディアの煽動に影響されて陳水扁打倒に付和雷同しているアホが多いなかで、うーん、まともだ。
ちなみに、張会長のTSMC財団は、台湾のためのドキュメンタリー映画などにも資金を出したりしている。ヘタな血統的台湾人の「本土」企業よりも数倍も台湾のことを考えている。

http://www.libertytimes.com.tw/2006/new/nov/11/today-fo1.htm
將出席APEC 張忠謀:台灣最近表現 一點都不慚愧
代表陳總統出席深感榮幸
〔記者曾慧雯/台北報導〕台積電董事長張忠謀代表陳水扁總統出席今年的亞太經濟合作會議(APEC)領袖會議, 他表示會向APEC其他會員國說明台灣的政局。張忠謀說,因為雖然有幾十萬人的遊行,但是沒有暴力,這點與其他國家相較,「我國一點都不需要慚愧」,且股 價指數比今年初甚至還高了十%,彰顯出台灣民主制度與人民的強韌。

ニカラグア左派候補大統領選挙に勝利、本当の左派なら台湾と外交維持を

2006-11-13 01:15:31 | 世界の政治・社会情勢
ニカラグアで5日投票があった大統領選挙で、左派サンディニスタ民族解放戦線候補オルテガ氏が38%強の得票率で当選した。オルテガ氏は1979年に極右ソモサ独裁政権を革命で倒して90年まで政権を握っていた(当初は民族再建会議議長、その後大統領)こともある。選挙中に台湾と断交して中国との国交を目指すと宣言していたが、当選後は慎重な姿勢に転じている。10日午前には台湾の陳水扁総統との電話会談に応じて、20分間にわたって話しあったという(台湾「中国時報」「聯合報」「Taipei Times」など各紙11日付けによる)。この中でオルテガ氏は台湾との国交維持について明言を避けたようだが、当選直後にいち早く電話会談に応じ、「協力関係の強化」を明言したことから、台湾外交部では国交維持を暗示したと台受け止めている、という。
米国ホワイトハウスが中米に左派政権成立に戸惑っている中で、台湾の陳水扁政権がいち早く動いたことは評価されるべきだろう。米国かぶれの国民党や日本の右派などは、これでまた陳政権を罵倒するのかもしれないが、陳水扁政権がここ最近明確にしつつある「米国と一線を画した台湾独自外交」路線は、台湾生き残りのためにも評価されていい。

オルテガ氏率いるサンディニスタは、米国批判を掲げ、分配を主張する左派政党。しかし共産主義とは一線を画し、現実的な分配政策を指向し、政党競争を容認している。社会民主主義左派といえるだろう。実際1989年にはオルテガ氏は公平な大統領選挙で右派野党に破れて平和的に政権を明け渡している。しかし、中南米という「米国の裏庭」に、少しでも左派的な政権ができることが許せない米国は、80年代にコントラという極右武装勢力を育ててサンディニスタ政権に対して公然と介入と妨害を行っていた。
サンディニスタ政権は「中国=社会主義」という幻想もあって、85年に台湾と断交し中国と国交を樹立した。しかしその後右派政権になって台湾と復交していた。その後もサンディニスタは党としては中国共産党と緊密な関係を保っていた。しかし2002年には議員団が台湾を訪問して、民進党も訪れたこともある。
今回の大統領選挙では、オルテガ氏は当選したら中国と国交回復すると明言していた。しかし、サンディニスタも今回はペアの副大統領候補は旧右派コントラに属していたモラレス氏を指名しており、当選が近づくにつれて、財界や宗教界とも和解したり、急進的なイメージを和らげてきた。

しかし、オルテガ氏やサンディニスタが、本当に社会正義を目指す左派の人であるならば、「中国からの投資呼び込み」などという資本主義的利益関係だけに目がくらんで、リベラル政権の台湾を見捨てることはしないで欲しいと思う。というか、中国はもはや世界の左派・リベラル派が模範とすべき社会主義のかけらもない。米国もびっくりの新自由主義、弱肉強食路線をひた走っている。それに対して、台湾は国民党時代こそは右派が支配していたが、いまやリベラルな民進党政権の下、各種社会福祉政策が行われている。
80年代前半と現在では、中国と台湾の実態はまったく逆転してしまった感がある。今の中国には社会主義のかけらもない。それに対して台湾は社会民主主義的な方向を歩んでいる。
サンディニスタがいまだに中国を社会主義と勘違いしているとしたら、イタイ。どうも最近の南米の「左派」政権にはそうした幻想を持っている人が多いらしいが、いくら遠い東アジアのこととはいえ、ちゃんと自分たちの本来の理念を基準に真面目に見てもらいたいものだ。


関連記事:
http://news.chinatimes.com/Chinatimes/newslist/newslist-content/0,3546,110505+112006111100067,00.html
2006.11.11  中國時報
扁電賀 奧蒂嘉稱願深化合作
江慧真/台北報導

http://udn.com/NEWS/NATIONAL/NAT1/3599161.shtml
台尼邦交生變? 「未來幾月關鍵」
【聯合報/記者劉永祥/台北報導】

総統夫人ら「国家機密費流用」事件で「起訴」、法の支配を無視した不当行為

2006-11-05 02:22:09 | 台湾政治
陳水扁総統をめぐる「国家機密費私的流用事件」を捜査していた台北地方検察署は3日、総統と総統夫人を共同正犯と認定したうえで、憲法上免責特権がある総統を除く、総統夫人や総統の側近らを「汚職および文書偽造」などの容疑で起訴した。
当初は立件は困難と見られていただけに民進党関係者には衝撃が走った。
しかし、この起訴には多くの問題を含んでいることが指摘できる。中国時報4日付け21-24面に掲載されている全文も参照にしつつ、問題点を指摘したい。

◆問題・疑問点:
1.台湾の検察は国民党の巣窟
そもそも台湾の検察は、反動的な思想の持ち主が多く、国民党勢力の巣窟であることは周知の事実である。今回の事件の担当検事陳瑞仁は「深緑」系だとされているが、それでも同僚たちは国民党系が多いし、陳瑞仁がいくら「深緑」であったとしても、保身のために検察主流に阿って起訴したのだろう。そういう意味で、今回の起訴は国民党勢力による民進党バッシングという政治的な陰謀・策謀の一環でしかない。

2.選挙前に政治に影響を与える事件の起訴を行う非常識
大体、12月9日には行政院直轄市の市長・議員選挙が行われることになっており、その1ヶ月ほど前に選挙に影響を与えかねない問題について起訴を行うなど、日本など普通の民主法治国家では考えられない。これが逆の立場なら国民党は大騒ぎすることだろう。そういう点でタイミングとして不当である。おそらく国民党系統の圧力で、国民党の人気と勢いが衰えつつある今を見計らって、国民党にカンフル剤を投与すべく起訴に踏み切ったのだろう。相変わらず国民党はやることが姑息だ。

3.「犯罪」の立証を放棄しているお粗末な起訴状
そもそも起訴状を通読すると、領収書を証拠として挙げているが、それが国家機密費として流用したものであるという疑惑と結び付ける積極的な根拠がまったく挙げられていない。すべて推測で結び付けている。はなはだしくは「被告が犯罪をやっていないと証明できないから、やっていると疑うべきだ」などと指摘している。
これは笑止千万。とんでもない言いがかりだ。
こんな理屈なら、検察が疑った人間はすべて証拠もなく起訴できることになる。
普通物事が「ない」とか「やっていない」と証明は困難だ。しかもこの場合「犯罪を行った」と指摘しているのは検察側なのだから、その立証責任は検察側であって、被疑者・被告ではない。
こんなことは、普通の西側民主法治国家なら常識だが、国民党の巣窟である台湾の検察にはそんな常識は通用しないらしい。

4.機密費について「文書偽造罪」などと問題にする非常識
そもそも機密費というのは、政府が外交や諜報活動上機密を要する活動について、特例を認められているものであって、その使途については基本的に他人が容喙する余地はない。容喙するなら、その時点で「機密」の意味がなくなるからである。
まして、機密費は機密なのだから、ウソもつけば、「文書偽造」も当たり前である。
これは、私自身が記者時代にも潜行取材や調査報道で相手方を秘匿したり、ウソや二重領収書を使わざるを得なかった経験からも、理解できる。
だから、機密費について「文書偽造がいけない」などといって罪をなすりつけるのはそもそも非常識である。これでは、台湾は政府の機密に関する活動を一切行ってはならないといっているようなものだ。検察は国民党の巣窟であり、その多くは共産党に魂を売っている人間が多いだろうから、こんな芸当ができるのだろうが。

5.機密プロジェクトの真実性を指摘するのは国家機密漏洩罪では?
起訴状では、南線・大陸工作という特殊任務について、それを請け負わせた訴外の匿名人物「甲君」が「私自身と妻は、国家機密費を受け取って、南線や大陸特殊任務活動に携わったことがありません」と証言していることを根拠に「(総統などが主張している)南線工作はまったくの虚構だった」などと断じているが、これも笑止千万だ。
ソフトバンクのCM(「ここにスパイはいないか、スパイは出て行け」というと、スパイが素直に部屋を出て行くというCM)じゃあるまいし、スパイその他特殊任務に従事していた人間が、自ら「私はスパイをやっていた」などと白状するはずがない。
機密活動は、その活動に従事していた人間が、「そんなものは知らない」「そんなことはやっていない」といって活動そのものを秘匿してもらわないと任せる意味も行う意味もないのだから。
その逆に、別のプロジェクトについて「このプロジェクトの存在は事実だった」という指摘も散見されるが、これは一種の国家機密漏洩ではないのか?
むしろ検察官を「外患罪」で訴追すべきではないのか?

6.台湾の検察と法制度の違いを知らない日本のマスコミの無知とお粗末
この件を日本の大手紙は4日付け朝刊の一面と国際面でかなり大きく報じているらしい。また台湾独立派の日本語メルマガ「台湾の声」も起訴状の内容を鵜呑みにして陳水扁周辺を「シナ人と同じ腐敗体質」だと攻撃している。
これは台湾と日本の検察・刑事訴訟制度の違いがわかっていない無知のなせる業だろう。
日本では検察の捜査能力と刑事訴訟法規の正当性は確立されているし、検察が起訴をする場合は証拠固めもばっちりで、無罪確定率は低い。
そもそも日本では、重要な選挙の前に、政治的に敏感な事件について起訴を行うことなんてありえない。また、今回の件は在宅起訴だから直接関係ないが、日本の刑事訴訟法では起訴前勾留は10日ごとで最大23日と決められている。
ところが、台湾の刑訴法では、勾留は1回2ヶ月で、いくらでも延長が可能だ。これでは、「とりあえずパクって、被疑者を2ヶ月も閉じ込めておくうちに被疑者が音をあげて、自白するのを待って、自白だけを証拠に起訴する」という荒っぽいやり方がまかり通ることになる。つまり、検察の捜査能力は低い。だから、今年あった陳総統の娘婿の逮捕・起訴も、検察は逮捕時点でろくな内偵捜査も証拠集めもしておらず、起訴段階でもろくな物証はそろえていない。すべて心証だけで起訴している。
同じことが今回の起訴にも言える。
台湾はたしかに政治的には民主国家だ。政権交代を実現した点では、日本よりも進んでいる部分もある。しかし、同時に、60年間も民主国家として成熟した日本と違って、まだまだ民主主義の歴史が浅い台湾は、総合的にいって、日本と比べてまだまだお粗末な面が多い。
特に、法制度や司法機関の質は日本とは比べるもなくお粗末である。
私は台湾大学法学大学院に学び、台湾の法制度や司法関係者とも実際に接しているから身にしみて理解している。しかし、台湾の法制度や司法の実態を勉強したこともない日本人は、「台湾は民主国家だから」といって、日本における法制度や検察の信頼性をそのまま台湾にも適用できると考えているのではないか?
これはとんでもない盲点であり、無知である。
台湾は外国なのであって、日本で当たり前の理屈や筋道をそのまま適用してはいけない。まして、台湾の刑訴法体系は国民党独裁時代のきわめて反人権的な規定や思想を色濃く残している。これを人権主義を掲げるリベラル政党である民進党が放置してきたことは、民進党の愚かさとして責められるべきだが、それはそれとして、台湾の法や司法が、きわめてお粗末なレベルにあることを日本人はちゃんと認識したほうがいい。

◆意外に民進党にはマイナスとならないかも
以上が疑問点だが、ここで問題はこの件が年末の選挙や今後の政局において、民進党に対してマイナスの影響をもたらすかどうかだろう。
確かに、日本のマスコミや台湾でも多くの人は民進党に不利だと見ている。
しかし、私はそうとは言い切れないと見ている。それどころか、これまで台湾で起こった出来事で、当初は民進党に不利だと見られたことが、結果的には有利に働いた事例のほうが数多かった(連戦の訪中も、結果的には民進党や台湾意識に有利に働いた)ことを考えれば、今回もそうなる可能性が高い。
まして、台湾人は忘れっぽく、飽きっぽく、気まぐれな人たちだ。
忘れっぽいということは、今回の起訴など12月9日までにはすっかり忘れてしまって、12月になってから起こった別の変数のほうがはるかに影響しているだろうと断言できる。
飽きっぽいということは、5月以来連日のように統一派メディアがキャンペーンをやってきた結果、この起訴状が今ごろになって出てきたことで、民衆の多くは「またか」といってそれほど真に受けていない可能性がある。実際、今日コンビニをいろいろと見て回ったところでは、起訴を大きく伝える今日の新聞は、最近は売れ行きがよい自由時報も含めて、夕方でも売れ残っているところが多かった。つまり、民衆の多くは一連の陳水扁政権疑惑報道そのものに「嫌気」がさしているのである。
台湾人が気まぐれだということは、国民党=共産党が自らの支持浮揚と民進党つぶしを目指して仕掛けた今回の起訴が、実は国民党などの意図や思惑通りの結果や効果をもたらすとはいえないということだ。連戦訪中だって国民党=共産党連合は当初はそれが台湾人の中国への好感を高めることを目的としていたはずで、当初はそうなるように見えた。ところが、「連おじさん、お帰りなさい」のパフォーマンスを契機に一挙に中国と連戦は笑いものになった。外にも中国や国民党が仕掛けた罠や計画は、ことごとく裏目に出ている。これはシナ人の「策略」が意図する効果を台湾人相手には発揮できないことを物語っている。

◆不起訴になれば、むしろ民進党にマイナスだったかも
また、逆の想定をしてみれば、今回の起訴は決して陳水扁や民進党にとって不利とはいえないかもしれない。逆というのは「陳水扁夫人不起訴」あるいは起訴が選挙後になった場合である。国民党などは「陳水扁は権力を使って検察の捜査に介入している」と訴えてきたわけだから、不起訴や起訴時期を先送りにしたとしたら、まさに国民党などに格好の口実を与えることになり、ますます政局は不安定になりかねないし、読めない。
その点、今回国民党筋の「期待」通りに、総統夫人らの犯罪があったとして、さらに総統も共同正犯と認定したのだから、国民党側のメンツは保たれるので、これ以上予測不能な行動に出ることはないだろう。
その点では、日本のマスコミがしたり顔で「起訴によって民進党は窮地に陥り、政局混迷が予想される」というのは、台湾および台湾人のメンツ文化のありようをわかっていない「日本人の論理」でしかないといえる。

◆意外に冷淡な民衆の反応
それから、起訴があった3日夜の三立新聞台「大話新聞」という討論番組では、討論に参加した緑系ジャーナリストからは起訴状の論理や意図に疑問が表明されたうえ、コールインしてきた視聴者の7割は「陳水扁はやめる必要などない」というものだった。もちろん三立とその視聴者の多くは、緑寄りであるという点を加味しても、意外に今回の起訴は民衆全体レベルでは冷淡に受け取られているということだ。
あるいは5月ごろに陳水扁打倒キャンペーンが始まったころの早い段階で、今回の起訴が行われていたら、また国民党がもっと賢くキャンペーンの時期と起訴の時期を同時進行するべく謀っていたなら、ひょっとしたら民衆の間への衝撃は大きく、陳水扁辞任要求の声がもっと大きくなったかもしれない。
しかし、5月から毎日のように証拠もあるかどうかわからない事件が報道され、民衆には「耳にタコ」状態となっていた。この段階で「起訴」があっても、ニュースの受け手からみれば「またか」というのが正直な感想だろう。もはや起訴という法的手続きと、単なるセンセーショナリズムな報道との区別などできる状態ではない。
そういう点では今回の起訴の衝撃は法治主義が定着している日本人が「想像」するほどのものではないかもしれない。
とにかく台湾人は日本人とは違うからだ。

◆直接選挙の大統領は任期途中で辞任してはならないのが道理
それから日本は議員内閣制で首相を直接選挙で選出しているわけではないから、いまいち台湾や韓国のような直接選挙で元首を選び、大統領権限が強い半大統領制のあり方がぴんと来ていない人が多いようだ。だから、日本のマスコミにも、外省系マスコミに引きずられて、「陳水扁は辞任を迫られそうだ」などと書き立てたり、私にも「陳水扁はやめるんだよね?」と聞いてくる人間が多いが、あまりにもアホすぎる。
全国を対象として、人民の直接選挙で選ばれたものは、いくら支持率が落ちて、いろんな問題があったとしても、内乱外患罪以外の罪で訴追され、地位を追われることはありえない。
内閣制の場合は、直接選挙で選ばれていないのだから、正統性は弱く、支持率の低下は内閣・首相の地位に直結する。しかし、直接選挙で選ばれた大統領の場合は人民の一部がノーを叫んだとしても、それは単なるその人たちのわがままに過ぎないのだから、一部の声を元に辞任することはできない。もし辞任したりしたら、それこそ選挙民を冒涜することになるからだ。
今年についても、フランスのシラク、韓国のノムヒョンなど、直接選挙で選ばれた大統領は、スキャンダルや統治能力が問われて支持率が20%をきったりしているが、それでも「大統領は辞めるべきだ」という声はフランスや韓国では出ていない。それは直接選挙の重みや意味がわかっているからだ。

◆任期途中の総統辞任を求めるのであれば、08年以降は総統選挙をやめるべき
ところが、台湾の場合は、愚かなことに、陳水扁に「疑惑がある」だの「統治能力が低い」などといって、任期途中で辞任を求める声が一部であるし、それに日本人も引きずられている。
しかし、それなら大統領直接選挙は無意味になってしまう。いっそのこと08年以降は大統領選挙なんてやめてしまうべきだろう。
どうせ、04年のように負けたほうが承服しないのであれば、そもそも「選挙」をやる意味などないのだから。選挙というのは、いかに僅差だろうが負けたほうが潔く負けたことを認めて勝者を祝福し、次回を目指して精進してこそ選挙の意味がある。
ところが台湾では、そうしたルールが成立していないことは、04年の国民党の暴動でも、今回の国民党系や一部民進党系も交えた「辞任要求」でも明らかになった。
だったら、08年の総統選挙は中止するがよい。そして内閣制に移行するしかないだろう。