むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

228事件60周年に寄せて

2007-02-27 06:06:58 | 台湾その他の話題
 今日2月27日は、228事件の発端となったタバコ売り女性殴打事件から60年目にあたる。
 228事件というと、2月28日に発生したと思われがちだが、実際には27日夕刻の事件が発端となったのであり、私自身も毎年2月27日には、震源地となった南京西路と延平北路の交差点に立って、黙祷をささげることにしている。
 ここに改めて、228事件および白色テロの犠牲者に改めて哀悼をささげるとともに、二度とこうした悲劇が繰り返されることがないよう祈りたい。

 228事件の記念日は民進党政権になってから「228和平紀念日(平和記念日)」として国定休日となっている。今年の228記念日は、60周年と、ちょうど干支が一巡することもあって、その前後には台湾本土派の政党や市民団体の合同により「転換期の正義(価値観の基準の転換)」をテーマに記念行事が相次いでいる。
 特にメーンイベントは、手護台灣大聯盟、二二八事件紀念基金會、台灣基督長老教會總會、台灣教授協會、台灣社、民主進歩党など100あまりの団体の共催で、「紀念二二八60周年萬人大合唱(228事件60周年記念数万人大合唱)」が28日(水曜日)午後3時半から6時まで、総統府前の凱達格蘭大道(ケタガラン大通り)で開かれる。曲目は合唱曲目:1.台灣翠青(事実上の台湾国歌);2.福爾摩莎頌;3.毋通嫌台灣;4.台灣;5.海洋的國家が指定されているが、ほかにも台湾民謡や「母親的名叫台灣」なども歌われるはずだ。(参照:http://www.hand-in-hand.org.tw/
 同じ28日には、台北市中山足球場で、12時から夜10時半まで「獨立音樂協會」という台湾独立派若者バンドの団体主催で、「正義無敵」と題するロックコンサートが開かれる。詳しくは、http://www.sayyestotaiwan.org/

======================================================================================================================

 ここで、当時の模様を振り返っておきたい。
 228事件の発端は、1947年2月27日、ヤミタバコを売っていた寡婦・林江邁(リムカン・マイ、姓は江姓に夫の林姓をつけているいわゆる冠姓で、邁が名前、以下邁とする)が外省人ヤミタバコ取締員によって殴打されたことで民衆が激怒し、翌日から台湾全土に蜂起が広がったものだ。
 228事件発生当時、邁は41歳だった。かつて邁を老婆と記述している本が多かったが間違いで、実年齢に比べて風貌が老けていたため老婆のようにに見えたというのが真相のようだ。
 邁は、娘の明珠とその三番目の息子・文山とともに台北市延平北路に住んでいた。ほかに一番目と二番目の息子がいたが、いずれも桃園県亀山郷龍寿村の林家に住んでいた。邁の実家は亀山郷の旧路坑にあり、呉姓であった。邁は江姓の家に養女として出されたために江姓となったが、邁は結婚前には実家の呉家に住んでいた。
 夫の死亡後、邁は林家の人との折り合いが悪かったうえ、しゅうとめが台北市延平北路にお茶の販売店をやっていたので、幼い子供たちを台北に連れて行き、しゅうとめの家事の手伝いをした。終戦後、しゅうとの林枝が茶販売店をやめたため、邁は延平北路でタバコ販売を始めた。しかし邁はたばこ販売の免許を持っていない、いわば闇販売業者だった。
 事件は、27日午後5時ごろ、現在の延平北路と南京西路交差点の南京西路の北側、当時「天馬茶房(テンマー・テーパン)」という喫茶店の店の前で発生した(後に「黒美人」という店になったが、これも店じまいしている)。
 専売局取締員らに邁が闇タバコを販売しているのを見つけた。
 取締員六人は全員、戦後中国から来た外省人だったが、彼らはヤミたばこだけでなく、邁のなけなしの売上金まで没収しようとした。邁は「生活の糧だから金だけは取らないで欲しい」とすがりついたが、言葉が通じない外省人はこの哀れな寡婦の頭をいきなり銃で殴りつけた。邁は血を流してその場に倒れた。邁は付近の外科病院に担ぎ込まれた。
 それを見ていた通行人たちが憤激して取締官を取り囲んだ。取締官はその場から逃走したが、逃げながら銃を何発か撃ち、そのうちの一発が傍観していた市民に命中、死亡させた。
 これを見て怒り心頭に達した群衆は、近くの警察局と憲兵隊を取り囲んだ。
 翌28日、抗議の群衆は数を増し、専売局と台湾行政長官公署(総督府にかわる国民党政権の台湾行政機構)を包囲した。ところが、長官公署側はこれに対して発砲を繰り返し、数十人の死傷者が出た。このため、さらに民衆の怒りは燃え広がり、抗議運動は台北市全体に広がった。続く3月1日には台湾全土に抗議活動が拡散、台湾人側は228事件処理委員会を組織して、当時台湾行政のトップだった陳儀・行政長官に、高度な自治など要求をつきつけた。
 このころはやった言葉に「イヌが去ってブタが来た」「イヌは番犬にもなるが、ブタはただむさぼり食うのみだ」というのがあった。イヌというのは日本統治時代からの日本人に対する蔑称で、ブタというのは中国人の蔑称だ。起源は日本の戦時漫画「のらくろ」だといわれている。日本人はイヌのように獰猛で小うるさいが、日本時代は治安もよく番犬としてはしっかりしていた。中国人は賄賂や略奪をするだけだ、という意味である。
 ちなみに台湾人自身のことは、牛と形容した。こきつかわれても黙々と働く姿を、外来政権に支配されながら、豊かな島を築いた台湾人の姿を重ねあわせたという。
 かつてはあれほど差別され、悔しい思いをしたはずの日本時代が、むしろ中国人の支配よりもましだったと考えられたのである。
 日の丸を取り出し、日本語で軍歌を歌い出す台湾人も現れた。「日本のラジオで"台湾人がんばれ"という声援があった」という噂がまことしやかに広まったりした。台湾人は台湾語と日本語で「おまえは台湾人か」とたずね、答えられない者を外省人だとみなして、殴打していった。もちろん、植民地支配で不平等待遇が多かった日本統治が、掛け値無しで良かったはずがない。ここには、一度も自らの運命を選べず、常に外来支配に翻弄された台湾人の悲哀がにじみ出ているのである。
 当時、台湾行政のトップだった陳儀(日本の陸士出身で妻は日本人)は、いったんは台湾人の要求をのむような姿勢を示した。しかしそれもつかのま、3月8日午後、中国大陸から派遣された国民党政権の増援部隊が台湾に上陸し、手あたり次第に台湾人を殺戮しはじめた。殺戮の方法は、機関銃による射撃のほか、鼻や耳を削ぎ落としたうえ、手のひらと足首に針金を通して、数人一組につないで射撃した後、川に投げ捨てるというもので、ありとあらゆる残酷な方法が実行された。2週間にわたった「鎮圧」の過程で、2万人あるいは5万人ともいわれる(90年代の真相究明作業の公式統計では2万8千人)台湾人が殺害された。死体が投げ捨てられた川は赤く染まったという。
 さらに、国民党当局は、将来反抗の種となる恐れがある指導的な人物をいっせいに逮捕し、すべて秘密裡に処刑していった。その人選は見事に優秀な人間ばかりを選んでいた。代表的な知識人である林茂生、阮朝日、張七郎らはこうして殺された。
 事件の粛清の過程で、台湾人社会は、有能な人材をすべて根こそぎ抹殺されてしまい、名実ともに中国大陸人の支配に従わざるを得ない状況に置かれた。台湾人の間から、人材が育つにはその後、一世代にあたる三〇年の歳月を待たなければならなかった。
 戦後の台湾では、二・二八の責任をすべて陳儀に押し付けようとする傾向が強い。それは、蒋介石の責任を回避しようという国民党政権時代の世論工作も関係している。しかし、陳儀は当時一介の地方首長に過ぎず、たいした権限もあるわけではなかった。やはり台湾人虐殺の一義的責任は蒋介石にあると見るべきだろう。実際、昨年2月19日に政府系外郭団体「二二八基金會」が発表した(台湾派歴史学者らへの委託)「二二八事件政治責任帰属研究報告」では、蒋介石に最終的責任を求めている。
 一方、林江邁のその後だが、足腰がしっかりしていた邁は、事件の後、再び台北円環付近でたばこ売りに復帰し、自分の身を立てていた。そのたばこ屋台は遠東劇場の斜向かいにあり、太原路から路地に入ったところの小さな家に住んでいた。働きものだった邁は、商売がよくないときは、太原路で地面や排水溝の日雇い清掃員をやって日銭を稼いで家計を補ったりした。しかし228事件で殴られ入院もした邁は、このころから喘息を患うようになっていたため、夜になると咳が止まらず眠れない日が続いていた。そして事件の数年後に息を引き取った。

======================================================================================================================

 ところで、毎年228記念日が近づくと、国民党は馬英九を筆頭に「これは当時の政府の政策に不満を持った民衆が反乱を起こしたもの。国民党全体の問題でも、まして外省人の問題でもない」と言い逃れに懸命だが、その伝で行けば、自分自身が日本の戦争責任を追及できなくなってしまう矛盾に気付いていないのだろうか?
 私は日本の戦争責任を追及すべきであると思うが、同じ基準で国民党と外省人権力層の虐殺責任も追及されるべきである。
 国民党の屁理屈に対して、民進党支持の20代の若者はこうつぶやいていた。「やっぱり加害者や右翼というのは、どこも同じなんだね」。

フランス大統領選挙、ロワイヤルに勝って欲しいが・・・

2007-02-25 05:48:21 | 世界の政治・社会情勢
フランス大統領選挙投票の4月22日まで後2ヶ月足らず。4月の投票で、過半数獲得者がいなければ(多分いない)5月6日に決戦投票がある。これは最近フランス語マイブームなこともあって、密かに注目している。左翼な私としては、社会党のセゴレーヌ・ロワイヤルが勝って欲しいとは思う(しかも美人だし)。右派のニコラ・サルコジは、はっきりいって主張も顔も嫌いだ。顔が嫌いな指導者としてはほかにもベネズエラのチャベスと、教皇ベネディクト16世もそうだが、サルコジの顔は本当に気に要らない。しかもかなりの親中派だ。でも、サルコジが世論調査ではトップだ。これは困る。
ただ、一時期は10ポイントの差がついていたサルコジとロワイヤルの差も、直近の調査では縮まったらしい。これからロワイヤルの追い込みが期待されるところだ。
とはいえ、ロワイヤルも手放しで期待する気にはなれない。というのは外交的に軽率な発言で、お馬鹿なところが露呈してしまったり、治安については軍人の父親譲りなのかわりと右っぽい意見を吐いているし、何よりもフランス左翼にしては珍しく親中派らしい。といっても、サルコジも思い切り親中派だから、同じ親中派なら一方では人権と環境にうるさいロワイヤルのほうがまだマシだとは思うけどね。
ロワイヤルは、ファビウス(わりと親台湾)と一緒に「21世紀の新しい左翼」を目指すと宣言したし、これでできれば中国に対する妙な幻想から目覚めてくれたら、言うことないんだけどね。フランスでは社会党、緑の党、新聞のルモンドなど、まともな左翼のほうが中国に批判的。というか、まともな左翼なら中国に批判的になるほうが当然だが。ロワイヤルは左翼としてハンパなのか。

(脱線するが、美人といえば、フランスの週刊誌の特集で、子供のころの写真が載っていたが、小さいときから、ちょっとませた感じではあるが、かわいい顔していたみたいだな。美人だから許す。同じように、私が嫌い国の上位であるイスラエルも、ナタリー・ポートマンだけは許す)

Royal et Fabius reunis pour "la gauche du XXIe siecle"
http://tf1.lci.fr/infos/elections-2007/0,,3400301,00-royal-fabius-reunis-pour-gauche-xxie-siecle-.html

Sarkozy l'emporterait de justesse
sur Royal par 50,5% contre 49,5%
http://tempsreel.nouvelobs.com/speciales/elysee_2007/20070224.OBS4111/nicolas_sarkozy_lemporterait_de_justessesur_segolene_ro.html

L'ecart se resserre entre Sarkozy et Royal, selon l'Ifop
http://www.boursier.com/vals/all/l-ecart-se-resserre-entre-sarkozy-et-royal-selon-l-ifop-feed-21141.htm

「SAPIO」インタビューでますます親中の色彩を鮮明にした李登輝

2007-02-20 23:52:23 | 台湾政治
2月14日発売の日本の右派系半月刊誌「SAPIO」(同28日号)が、右派系歴史作家井沢元彦氏による李登輝・前総統との「特別対談」をp6-10まで5ページにわたって掲載した。「前編」と銘打っていることから、次号にも続くらしい。
当日には入手していたものの、その後所用で論評が遅れたが、この対談で李登輝氏は、これまで台湾の香港系大衆週刊誌「壱週刊」、中国系テレビ「TVBS」、日本「産経新聞」2月12日付け7面長谷川特派員などで垣間見られた「中国擁護、陳水扁への憎悪」姿勢が、実に詳らかに、白日のものに曝された。その意味では私がすでにブログで指摘してきたことが、李登輝(もはや呼び捨てにする)の口で証明されたことになる。また、台湾に明るくないはずの井沢氏がここまで引き出した手腕には(思想的立場は違うとはいえ)敬意を表したい。

◆反日親中化した李登輝

ただ、李登輝「信者」はそれでもまだ目覚めないで、「李登輝先生は奥の細道の旅をおっしゃっている」などとして、李登輝擁護を続ける姿勢を示しているようだが、この対談での李登輝の発言は、明らかに日本・台湾軽視、中国擁護で、反日親中というべきトンでも発言に終始している。
それが明らかなのは、今回末尾の10ページ。
ここで、井沢氏は李登輝に対してしきりに中国批判の水を向けているが、李登輝はそれに乗らないどころか、中国政府を弁護するような発言さえしている。さらに「(台湾は)もう独立国家なんだから、中国との貿易もどんどんやればいい。三通どころか、メディアも宗教も文化も含めて四通も五通もやればいい」などと完全に中国資本の代弁をする始末だ。

◆中国共産党政権の視点で労働者の人権を無視

中国政府弁護というのは、「胡錦濤は江沢民に比べると、妙に落ち着いていて、口数も少ないが、やると言ったら、一歩ずつ着実に実行するタイプ」といった後で「彼が一番困っているのは地理的所得格差が広がっていること」などと、まさに中国共産党政権の視点と立場で「格差」を語っている。
それに対して、井沢氏は「解決できますかね」と疑問を呈して、批判の水を向けているのに、李登輝は中国の現状を新奴隷制と指摘しつつも、労働者の低賃金を「天から授かった贈り物のようにとらえ、海外の資本化がどんどん資本と技術を投資している。それが続く限りは中国経済は伸びていく」などと、まるで労働者の尊厳と人権を無視し、中国経済バラ色論を唱えている。そもそも李登輝は台湾の貧富格差を指摘して台連を「中道左派政党」に衣替えすると主張しているのではないのか?それにもかかわらず、ここでは労働者の労働三権を抑圧し、低賃金で搾取されている中国の労働者の状況には何の同情もせずに、資本家の立場で中国経済発展論を展開している。アホもいいところである。
さらに、ここで米国が中国人民元の引き上げ圧力を加えるなど中国経済に対する嫌がらせをしているという趣旨で、米国批判まで展開している。
もちろん、米帝の論理は身勝手で批判されるべきだが、それなら中国の労働者がいかに米帝などの国際資本によって酷使・搾取され、共産党政権が共犯となってきたことを指摘すべきだろう。
やっぱり李登輝はおかしい。これでは「中道左派」じゃなくて、中国共産党国家資本主義と結託する帝国主義者だ。こんなものは左派ではない。ドイツのシュレーダーと同じ社会帝国主義だ。
さらに、井沢氏は中国のモラル崩壊、所得格差是正政策ができないことを指摘しているが、李登輝は「海岸沿いの経済的に潤っている地域はみな(所得格差是正に)反対します」と涼しい顔である。
次に井沢氏は所得格差拡大で農民暴動の可能性を指摘すると、なんと李登輝は「今のところあれだけの軍隊と公安が睨みをきかせていて、警察がインターネットのコントロールまでやっているなかでは、少し長い目で見る必要があるかも知れません」と、矛盾を指摘して批判するどころか、日本の親中派と同じ「暖かく見守る」態度を表明している。

◆衛星破壊実験も弁護!

さらに噴飯物なのは、衛星破壊実験について「それは中国が世界に誇る、威張るための手段の一つ」と批判はまったくなく、むしろ「世界に誇る」などと賞賛するかのような言い種だ。
衛星破壊実験は明らかに軍事覇権・帝国主義膨張政策を志向するものであって、米帝の懸念表明はどうでもいいとして、これまで反米的だった韓国政府ですら、中国の軍拡志向に懸念を表明したくらいだ。それを李登輝は単に「世界に誇る手段」と述べるとは、完全に狂っている。「中道左派」や「台湾主体性」がどこに行ったのか?

◆中国資本の走狗

そして、最後には、「台湾は独立国家だから」として三通、四通、五通を主張する。ところが、台湾が独立国家だというのは、台湾国内でのみ通じることであって、中国は台湾を独立国家として認めておらず、「叛乱している地方政権」だから、将来的に併合する、と明言しているのだ。だからこそ民進党政権も、かつての国民党政権も、台湾の民意の大多数(特に庶民層)も、「中国が台湾の尊厳と独立性を認めない以上は、中国との広範囲な交流には反対する」として、李登輝のいう「双方向の交流」は進んでいない。
それが、中国の台湾に対する態度など忘れたかのように「独立国家なんだから、中国からどんどん来てもいい」などとしれっと発言する。きわめて危険な発想だ。
しかも、中国が独立国家だと認めている米国、日本、韓国、シンガポールだって、対中投資も先端技術は規制、さらに中国から資本や人の流入に関しては厳しい規制をしているのが現実だ。独立国家ですらそうである。まして、台湾は中国によって独立性を否定され、併合の対象となっている存在だ。しかもプロレタリアートほど中国に対して警戒と反感を抱いている。そうした他国の事情や台湾の民意を無視して「四通も五通もどんどん」という発言は、完全に中国の国家資本に取り込まれた、代弁者・走狗としての主張に過ぎない。
ここまで李登輝がしつこく中国資本開放論を主張する裏には、中国資本や観光関係業界から、何らかの利益供与があるのではないか、と勘ぐりたくなるほどだ。

◆身障者を侮辱する民主主義の破壊者

それから、憤慨すべきことに、総統夫人の呉淑珍女史が不当な国務機密費裁判に健康悪化で出廷しないことを取り上げて「へ理屈をこねていたずらに長引かせている」などと攻撃している。呉女史のわがままな性格はさて措くとしても、1986年に国民党政権の手によると見られるテロで、半身不随になって、体が弱いことは、台湾人ならみな知っていることだ。だから、呉女史が初公判で倒れたときには台湾人の間で同情が広がったくらいだ。
もともと李登輝が副総統をしていた時代に起きたテロ事件の真相を解明せず、したがって呉女史が身障者となっている気の毒な状況を無視して、「屁理屈」とは李登輝という人間はいったい、最低限の「人道」の精神も持ち合わせていない鬼畜かサタンのように冷酷な輩らしい。身障者への侮辱にもほどがある。
そんなことを主張するなら、先に自身が副総統としてテロに間接的にかかわってきた連帯責任を取るべきだろう。傲慢、勘違いも甚だしい。
しかも、米国でもフランスでも、そしてあのロシアですら、およそ民主主義国家においては、退任した指導者が、現職の指導者とその関係者をここまで罵ることはない。普通はおとなしくしているものだ。ブッシュは陳水扁以上にアホだが、その父親や対立陣営のクリントンが何か大声で批判をするだろうか?
李登輝は「台湾民主主義の父」という自らに与えられた称号まで踏みにじっている。民主主義のシステムと常識を無視して、破壊する民主主義の破壊者である。

◆キリスト者を騙り、信仰を悪用するのはテロリストと同じ心理

さらに、自身が陳水扁と違ってキリスト教という信仰と哲学があるから、公私混同をせずにちゃんとやってきた、などと自画自賛しているが、こうやってキリスト教を他人と比較して、他人を攻撃する道具として使うことは、新約でイエスが再三にわたって禁じ、諫めていることである。
信仰があることを、特にキリスト教を信じることが、そうではない他人に対する優越性のようにうぬぼれるのは、本当の信仰者とはいえない。そもそもこれまでキリスト教徒がそうでない者や身内に対して、どれほどの悪逆の限りを尽くしてきたのか。それをキリスト者として自省しない鉄面皮には呆れる。
それは、まさに十字軍をあおり、聖地とビザンツ帝国を侵害した愚か者どもや、イスラームを騙って無差別に人殺しするテロリストと同じだ。本当の意味での信仰ではなく、信仰を利用している不信心者というべきだろう。
しかも、そもそも信仰というのは本人の内面・内心の良心の問題であって、こうやってやたらとヒケラカスことが、私には理解できない。そういえばプロテスタント系の仲間にはやたら自分の信仰顕示欲が強い、変な人が多いようだが。
また、十字軍といえば、李登輝とそれを盲信する信者たちの言動を見ていると、少年十字軍を寓話化した「ハーメルンの笛吹き男」を彷彿とさせる。台湾のこの笛吹き男は「正名制憲」というラッパを奏でて、信者を催眠にかけながら、目指すのは中国との全面開放、中国擁護という死の道である。

あの「台湾の声」も親中派に転向?馬英九賛美の投稿を掲載

2007-02-20 23:49:55 | 台湾政治
台湾独立支持の日本の右翼系メールマガジンとして知られている「台湾の声」だが、李登輝崇拝が嵩じるあまり、李登輝の転向発言を牽強付会に弁護するだけでなく、下記のような馬英九を持ち上げるものも流している。
李登輝と同時に、「台湾の声」もついに焼きが回ったというべきか。

>異論もあるかもしれませんが、私の直感では、馬英九氏は連戦氏や宋楚愈氏より
>もはるかに健全な良識派であり、台湾優先路線のよき理解者ではないかと思いま
>す。

何いっているんだろうか?馬英九が「台湾優先路線のよき理解者」?馬鹿も休み休みに
言え、といったところだ。

馬英九といえば、
(1)昨年、楊渡などという中国時報の反動的コラムニストを新聞処長に抜擢して、228事件の意義を歪曲する映画を作らせた。
(2)最近も台湾政府の検定歴史教科書から南京虐殺の記述が減ったり、なくなっているとして、これを大中国の立場から攻撃する一方で、228についてはまったく謝罪しない。
(3)2005年の「光復節」には、60周年ということもあって、反動派の新聞「中国時報」に「本土歴史論述」として抗日親中の台湾人ばかり賛美した。
(4)1990年代前半には総統直選に最後まで反対した。
(5)尖閣諸島その他の対日関係の問題では、常に反日の先頭に立ってきた。
など、民主化への抵抗勢力であり、反動的な大中国主義者として、台湾ではつとに知られている。

つまり、「私の直感では、馬英九氏は連戦氏や宋楚愈氏よりもはるかに健全な良識派であり、台湾優先路線のよき理解者ではないかと思います」どころか、馬英九こそが最も頑固かつとんでもない中華極右ファシスト・反動分子というべきである。馬英九に比べれば、総統直接選挙に早い時期から賛成して民主化に協力した実績がある連戦や宋楚瑜のほうがまだまだ「開明的」なくらいだ。
また反日についても、連戦は多少反日発言をしたこともあるが、馬英九ほどしつこく、具体的に述べたわけではない(というか連戦はそもそも何の意識もない人だ)し、宋楚瑜は私の記憶が違っていなければ、戦略的に日本の右派系政治家とも交友関係を結ぶほどで、一度も反日発言はしていないはずだ。
馬英九は筋金入りの反動派である。「健全な良識派」ではない。だからこそ最も反動的な急進統一派雑誌「海峡評論」などでは最近は馬英九をやたらと持ち上げる文章が載っている。完全に反動統一派の偶像である。

ただ、次の指摘、つまり李登輝が馬英九と組む可能性の指摘は十分ありうることだし、「台湾の声」が今後できるであろう李登輝・馬英九連合支持を予告したものだといえる。

>仮にそうであるなら、馬氏は国民党にも民進党にも縛られず、台湾の国家正
>常化政策を遂行する環境がむしろ整ったことになります。李登輝先生はこのタイ
>ミングを計らって用意周到に、新政党樹立の宣言をされたという憶測もしたくな
>ります。

>なぜなら、連氏か誰か知りませんが馬氏を失った国民党が大敗北し、他方、馬氏
>が李登輝新党の支援を受けて、無所属候補として当選すれば、馬氏は、新台湾人
>路線・国家正常化路線の継承者となる可能性を秘めているからです。

要するにこの投稿は、馬英九信者が、李登輝の最近の転向を好意的に受け止めたものに過ぎない。つまり李登輝はますます台湾の主流、台湾主体性意識から乖離し、反日親中の馬英九と連合を組む方向に動くほど、おかしくなっていることの証明でもある。

こんなトンデモな投稿を

>以下の論評は「台湾の声」の立場を代表しているものではありませんが、大変面白い
発想で参考に値するものなので、掲載させていただきました。

などと得々として転載する「台湾の声」はすでに「台湾」の声ではなくて、「反日大中華主義反動派・李登輝=馬英九連合の声」とでも改称したら、どうか?
もっとも、もともと「靖国の英霊のために参拝しよう」などと叫んでいる右翼だから、馬英九のような同じ反動分子と波長が合うのかも知れないが(嘲笑)。いずれにしても、ファシストというのはどうしょうもないね。

------------------------------------------------------------
(以下引用)

【投稿】風雲急を告げる台湾政治について


【編集部】

以下の論評は「台湾の声」の立場を代表しているものではありませんが、大変面白い発
想で参考に値するものなので、掲載させていただきました。

他の投稿もお待ちしております。

投稿は koe@formosa.ne.jp まで

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

                    人文  (法科大学院在籍)


風雲急を告げる、魑魅魍魎の台湾政治について、憶測と楽観を交えて述べます


とうとう馬英九氏も汚職で起訴され、党主席の辞任を表明し、同時に、総統選出
馬を正式表明しました。現職総統と第一野党党首が現職中に汚職で起訴されると
は、世界でも前代未聞、台湾政治の恥以外の何物でもないと思います。

しかし、それは政界の最高指導者の汚職スキャンダルが司直に委ねられたからで
はなく、その背後に権力闘争の匂いが露骨にするからです。この結果、誰が得を
しようとしているのでしょうか。台湾人のみならず、冷静に見つめる必要がある
と思います。

かたや、李登輝先生は先日、民進党との決別、台連解党、中道左派政党の結成を
宣言されました(産経新聞2月12日付)。私は、李登輝先生の政治判断はおそ
らく非常に正しいと思います。台湾政治は、もはや既成二大政党の権力闘争に終
止符を打ち、国家正常化に向けた建て直しが急務だからです。

馬英九氏は離党して立候補する可能性があるようです。他方、国民党は連戦氏な
どが総統候補として浮上しているようです。私は、その方が台湾の将来にとって
よいと思います。

なぜなら、連氏か誰か知りませんが馬氏を失った国民党が大敗北し、他方、馬氏
が李登輝新党の支援を受けて、無所属候補として当選すれば、馬氏は、新台湾人
路線・国家正常化路線の継承者となる可能性を秘めているからです。

この事件において一番に注目すべき事実は、馬英九氏が中国国民党のくびきから
解き放れたことなのです。そして、馬英九氏が、辞任と同時に、(党から立候補
できないにもかかわらず)立候補正式表明したその決断に、その意思の表れに、
注目すべきです。

異論もあるかもしれませんが、私の直感では、馬英九氏は連戦氏や宋楚愈氏より
もはるかに健全な良識派であり、台湾優先路線のよき理解者ではないかと思いま
す。仮にそうであるなら、馬氏は国民党にも民進党にも縛られず、台湾の国家正
常化政策を遂行する環境がむしろ整ったことになります。李登輝先生はこのタイ
ミングを計らって用意周到に、新政党樹立の宣言をされたという憶測もしたくな
ります。

私が申し上げたいのは、台湾民衆もその支援者も、台湾を正常な国家の道に導く
ためには、「本当に台湾のためを考えている政治家」と「そうでない政治家」を
冷静に見極めなくてはならない、ちょっとした言葉じりから、自己の思想との相
違を感じ取って一喜一憂してはならないということです。政治家は一定の限界の
中で、ある含意をこめて発言しますから、私たちはその含意を正確に読み取る必
要があります。李登輝先生の言動に不安が拡がっているようですが、私が記事で
拝見する限り、全くの杞憂であり、先生の政治信念に全く揺らぎはないと見受け
ます。

正しい信念と行動力をもった政治家がいても、それをちゃんと見極め、支える民
衆がいなければ、その政治家は力を発揮できず、不本意な道を歩まざるを得ませ
ん。安部首相しかり。これでは民主主義は機能しません。

今回の一連の事件が、台湾を新しい活路に導く契機になることを願います。

ハリーリー暗殺2周年記念デモに30万人

2007-02-16 03:39:07 | 中東
もう日付は翌々日になってしまったが、2月14日はレバノンでラフィーク・アル・ハリーリー元首相がシリアの情報機関によるものと見られる爆弾テロで死亡してから、2周年であり、首都ベイルートで追悼兼反シリアのデモが行われた。フランス語ロイターによると、30万人が参加したらしい(写真はアンナハールより)。

レバノンはここ数ヶ月、いろいろと混乱が続いてきた。ハリーリー暗殺の真相究明をめぐって、親シリア系のヒズボラが内閣を離脱して反政府側に周り、連日座り込みや反政府デモを展開。さらに先月は大学で反シリアのスンナ派と親シリアのシーア派学生の小競り合いが乱闘・暴動に発展。さらに今回の2周年追悼デモの直前には反シリアのキリスト教地区でバスが爆発して死傷者が出た。

以前にも書いたが、私が現在最も興味を持っていて関係している台湾、韓国、レバノンは、程度や背景や理由は違うとはいえ、いろいろとゴタゴタが続いている。台湾は李登輝の発狂、馬英九起訴(と国民党の無理な内規改悪)、陳水扁の無策;韓国はウリ党の空中分解;レバノンは親反シリア勢力間の国内政争。いずれも、地政学的位置が絶妙なため、大国覇権の介在が問題を複雑にしている側面もある:台湾は日・米・中、韓国は日・米・中・ロ(・朝)、レバノンはさらに複雑で米・仏・イラン・シリア・サウジ(+湾岸)・エジプト・その他欧州諸国(つまり台湾と韓国では日本自身が複雑化させている元凶なんだが)。だからこそ、私の興味をひきつけるのだが、しかし観察しているとやはり疲れるのは否めない。

http://tempsreel.nouvelobs.com/actualites/international/proche_moyenorient/20070214.OBS2379/300_000_libanais_se_rassemblenta_la_memoire_de_rafic_ha.html
 300 000 Libanais se rassemblent a la memoire de Rafic Hariri (Reuters)

レバノン英字日刊紙デイリー・スター
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=79548
 Healthy crowd marks Hariri anniversary
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=79550
 Opposition accuses Geagea and Jumblatt of using speeches to poison mediation efforts
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=79549
 Organizers help ensure strong presence from Chouf, South
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=79544
 Rival camps share admiration of Hariri - but not his inheritors
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=79543
 Demonstrators come by car, by boat - and yes, by bus
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=79542
 Tight security helps prevent widely feared clashes
Head of isf says every single member of his force was on duty
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=2&article_id=79515
 Siniora vows 'justice,' links perpetrators to Hariri killing
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&categ_id=1&article_id=79539
 Crowds use commemoration to display wide variety of mottos/ Demonstrators chant for unity while waving party flags
http://www.dailystar.com.lb/article.asp?edition_id=1&article_id=79532&categ_id=17
 Lebanon must emulate Rafik Hariri, not just honor his memory Editorial

レバノン仏字日刊紙ロリアン・ルジュール
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=334252
 ≪ Non ≫ au terrorisme, ≪ oui ≫ a la vie
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=334257
 Considerations sur le 14 fevrier : la veritable bataille
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=334208
 RETROSPECTIVE - Deux ans apres l’attentat du Saint-Georges, l’anatomie d’une crise/ Une bataille a l’enjeu simple et enorme : la liberte du Liban
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=334209
 Joumblatt se dechaine contre ≪ l’oppresseur de Damas ≫
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=334210
 Hariri : Nous sommes prets a prendre des decisions courageuses, mais la solution passe par le tribunal
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=334211
 Tueni tourne en derision le dernier communique d’el-Qaeda
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=334258
 Gemayel lance un appel au dialogue, loin des slogans creux et des revendications redhibitoires
http://www.lorient-lejour.com.lb/page.aspx?page=article&id=334259
 Geagea : Oui a la participation effective, non au tiers de blocage

レバノンのアラビア語最大日刊紙アン・ナハール
http://www.annaharonline.com/HTD/OULA070215-1.HTM
http://www.annaharonline.com/htd/SEYA070215-7.HTM
http://www.annaharonline.com/htd/SEYA070215-14.HTM

レバノンのアラビア語親シリア系日刊紙アッ・サフィール
http://www.assafir.com/Article.aspx?EditionId=564&articleId=1526&ChannelId=12156
http://www.assafir.com/channels.aspx?EditionId=564&ChannelId=12158
http://www.assafir.com/Article.aspx?EditionId=564&articleId=1455&ChannelId=12158
http://www.assafir.com/Article.aspx?EditionId=564&articleId=1456&ChannelId=12158
http://www.assafir.com/Article.aspx?EditionId=564&ChannelId=12158&ArticleId=1457

元レバノン・現サウジ資本系アラビア語日刊紙アル・ハヤー
http://www.daralhayat.com/arab_news/levant_news/02-2007/Item-20070214-c1d854b0-c0a8-10ed-016a-8823c2c4e52d/story.html


ハリーリー暗殺追悼事業で作られたマージダ・エル・ルーミーの歌 sawfa nabqaa(私たちはここに留まる)
オンライン
 http://song.6arab.com/majda-alroomy_sawfa-nabky.ram
ダウンロード
 http://song.6arab.com/majda-alroomy_sawfa-nabky.rm
歌詞
 http://www.majidafans.com/en/lyrics.asp?CDID=16&SID=136

【速報】馬英九起訴!

2007-02-13 17:38:01 | 台湾政治
自らを「クリーンでハンサム」だと称してきた国民党主席馬英九氏が、市長時代の特別支出費の横領着服事件で13日午後4時起訴された。
容疑名と根拠条文は貪汚治罪条例(汚職犯罪摘発特別法)第5条第1項第2款「職務の機会を利用して財物を詐取」罪など。
台北地方検察署は起訴状の中で、特別支出費の領収書が不要な部分のうち1117万6227元を個人の口座に振り込み、着服したと認定した。
ただし馬夫人の関与、部下の市政府職員の文書偽造罪については起訴猶予とした。

国民党の規則では、起訴されたら公職を辞任することになる。馬は主席を辞任しなければならず、このままだと総統予備選挙にも出ることはできない。
ただ、国民党内では馬の人気は残っているので(というか、外省人最後の希望の星だから)、規則を改正して、馬が予備選挙、さらに総統候補になるように準備するだろう。
しかし、おそらく馬の主席辞任を受けて連戦が主席に戻り、これまで恨みがある馬への嫌がらせをすると思われるので、馬が復活することは容易ではない。

もちろん起訴されたから有罪になるとは限らない。しかし、今回の起訴状を見ると、陳水扁の国家機密費事件と違って、物証は固めてあり、着服の流れもはっきりしている。だから有罪は堅いだろう。何よりも、馬英九はこれまで陳水扁をダーティと罵倒して自分はクリーンだと大見得をはっていたので、これは馬英九にとって大きな打撃となる。
とにかく、これで国民党内部は馬英九、連戦、王金平の間の駆け引きが活発化し、大きく混乱、動揺することになる。
李登輝がおかしくなっているので、緑・本土・独立派陣営はすでに民進党でまとまりつつあるので、李登輝の変節に続く、国民党側の混乱と動揺は、民進党に有利に働くだろう。

馬英九の起訴状本文は
http://www.tph.moj.gov.tw/public/Attachment/721317131976.doc

南方快報における速報と論評は
http://www.southnews.com.tw/polit/ma_in_9/specil/005/00/0015.htm

起訴状本文をざっと読んだところ、監察院への資産報告などと銀行個人口座への流入額を詳細につき合わせ、さらに使途も明確に書き込むなど、着服の事実が詳細に指摘されている。

陳水扁の国務機密費の起訴状は、こんな詳細かつ具体的な指摘はなく、ほとんど推測推定ばかりのとんでもない代物だったが、今回の起訴状は起訴状としてちゃんとしている。
馬英九の犯罪事実はほぼ確定的だが、陳水扁に対するものは言いがかりだといえる。

これは北朝鮮(共和国)の日本文化好きの証明、問題にするほうがさもしい

2007-02-11 19:07:22 | 韓国・北朝鮮
久しぶりに北朝鮮(共和国)関連の話題。そういえば今日は紀元節で、あと5日後は敬愛する将軍同志の誕生日でもあるな(どちらも神がかっている点が共通)。今年はチュチェ96年で、中華民国とまったく同じ年数だから(どちらもフィクションなところが共通)すぐに出てくるんだが、そんなこんなでいろいろと覚えやすい国だw。
で、こういうことを書くと、またぞや、単細胞な反朝鮮の右翼が嫌がらせのトラバなどをしてくる、と。でも、トラバもコメントも承認制になっているから、無駄な攻撃なんだけどね。まあ、アホだから右翼なんかやっているんだろうけどw。

阿修羅という討論板でこういう話題が転載されていた:
「北、絵本パクリ→テレビで放送…その手口とは? (ZAKZAK)」
http://asyura2.com/07/asia7/msg/193.html
もと記事のURL
http://www.zakzak.co.jp/top/2007_02/t2007020710.html

元記事では、

>外貨獲得のため、米ドル、タバコ、バイアグラと偽物ばかりを輸出するアングラビジネス国家・北朝鮮。今度は日本への挑発行為といえる「絵本の盗用、改竄(かいざん)」を国家ぐるみで行っていたことが6日、分かった。著作権保護が叫ばれる昨今、堂々と絵本をパクって改竄した上、官製テレビで放送するという暴挙に、版権を持つ出版社も「初めて知った」と驚きを隠せない。
> 絵本が盗用されたのはポプラ社(東京都新宿区)が98年に発行した絵本「世界名作ファンタジー」シリーズの「ぶんぶくちゃがま」や「かもとりごんべえ」といった童話や昔ばなし。北は朝鮮中央テレビの児童向け番組の中で絵本を取り上げた。

>日本のテレビ各局に朝鮮中央テレビを引用した際の使用料を請求したという過去もあるというから、開いた口が塞がらない。

とあって、引用者も

> 韓国が「マジンガーZ」、「UFOロボ グレンダイザー」、「ガンダム」をパクッたと思ってたら(http://nandakorea.sakura.ne.jp/html/robot.html)
>今度は北朝鮮か。
>「日本文化は朝鮮文化のコピーなんだから、日本の方こそ北朝鮮に著作権料を払え!」と言ってくるかな?

などと、いずれもさも「北(南)朝鮮とかだからこんなとんでもないことをする!」と言いたげだが、これはいくらなんでも言いすぎだ。
こんなこと、いわゆる発展途上国では当たり前のことでしょ?貧しいんだからしょうがないのよ。
そもそも、台湾だって90年代初頭まではそうだった。外国のものは平気でコピーしておいて、自分のところのものが無断で翻訳、コピーされると著作者が文句を言う。
中東、東南アジアなどでは今でもそんなことは当たり前。わりと親日的なシリアだって、日本のアニメの海賊版VCDは横行していて、1枚50円くらいで買える。というか、貧しい国が豊かな国のを拝借するのは何が悪い、という感情が世界共通にあるから。だから、逆に彼らのものを先進国が無断でぱくると文句を言う。彼らにとってはなけなしの資源で創ったものだから。

大体、ポプラ社がこれが困るというなら、北朝鮮(共和国)に対していったいいくらの著作権料を要求するの?あんな、食うにも困っている国から、何を搾り取ろうとするの?おそらく5万円も取れないから、そのための交渉料、通信費、銀行の手続き費用だけで優に吹っ飛んじゃうよ。
以前、私も「哈日族」の台湾での翻訳版を出そうかと思い、元出版社に声をかけたところ、「版権料として20万円は出してもらわないと駄目」といわれたので、断念したことがある。
あのね、いくら台湾が準先進国といっても、出版市場は日本より狭いし、所得・経済水準は日本の2-3分の1なんだから、20万円なんて日本でいえば60万円に匹敵する。よっぽど売れ筋の本なら出せるかも知れないが、あんな専門書に近い内容のはせいぜい初刷3000部だろうから、20万円なんて法外な金を出せるわけないでしょ。
幸い「台湾入門」のところは、そこまでの額は要求しなかったが、それでも日本の出版界は、外国での翻訳を出すときには、最低でも8万円程度は欲しがる。しかし、そんな額を先進国以外の国に期待・要求することのほうが、いかに浅ましくてサモシイことか、日本人はいい加減気がつくべきだろう。

だから貧しい国は、先進国の出版物を海賊版で出版する。だって、正式に交渉したら、彼らにとっては法外な額を要求されることはわかっているから。台湾の出版社でも、20万円なんて払えない。ベトナムや北朝鮮レベルだったら1万円も払えない。
それなら海賊版を見て見ぬ振りをするか、あるいは海賊版が嫌なら金を要求せずに契約だけ結ぶというどちらかしかない。
北朝鮮レベルの国に「著作権料を払え」というほうが、よっぽどサモシイと思う。

もっとも、これは出版物など文化芸術に限った話。
これがもし軍事・先端技術関係なら話は別。文化や芸術は広めるほうに意味があるが、先端技術や軍事関係はやはり厳密にルールを適用する必要がある。たとえば中国の産業・軍事スパイと盗用に対しては監視を強化するべきだろう。

★★★

それから、私がこの記事を見たときには、「なんだ共和国って、やっぱり日本のものが好きなんじゃん」と思った。
いくら「日の丸」やひらがななどを消しても、タヌキの絵は明らかにちょんまげで日本式の格好なんだし、「ごんべい」は「コンベエ」になっているわけだから、知っている人間には日本のものだとわかる代物。
しかも、ぱくるのが、ロシアや東欧や中国のものじゃなくて、日本のものをこういう形でぱくっているところにかの国の日本文化に対する深い親近感が現れていると思う。
大体、共和国の革命歌の7割が日本の軍歌のメロディを援用したものだと言われているし、南北朝鮮ともに、表向きに「倭ノム」という罵倒語を使っているのとは裏腹に、実はきわめて日本文化が大好きでたまらないんだということが、今回のこの問題から見て取れる。
そもそも旧植民地と旧宗主国の関係というのはそういうものだ。レバノン人もフランスの経済・軍事介入には反発を示しても、フランスの文物がたまらなく好きだ。

だから、こんなことでいちいち目くじら立てるほうが、世界をわかっていない偏狭な発想だと思う。
それに拉致と違って、人そのものをぱくっているわけじゃないんだし、こうした形でのぱくりは文化的影響を強めるものなのだから、日本・日本人としては歓迎すべきことなのだ。

やはり李登輝は「反日親中化」した?

2007-02-11 02:23:48 | 台湾その他の話題
10日夕方、たまたま国賓飯店のトイレで用を足して出たところ、日本の親台湾派一行と出くわした。なんでも日本李登輝友の会とNPO法人育桜会(園田天光光理事長)訪問団の夕食会があるという。顔を出してみた。
李登輝は来なかった。それはたまたま群策会のboe2-ge5があったからという理由だったが、以前の李登輝だったらそれでも日本からわざわざ来たほうを優先して、群策会は後で少し顔を出すだけにしただろう。
壱週刊のインタビューでも、「日本に偏向しているわけではない」と日本びいきであることを否定、さらに中国と日本を同列に並べたし、そういえば昨年9月の訪日をドタキャンしてからは、「日本に行きたい」という頻度が減ったように思う。

しかし、同会は盲目的な信者が多いな。もちろん台湾人の多くはかなり李登輝には醒めた見方をしているんだが、日本人と日本留学組に基地外みたいな信者が多いんだな、これが。「友の会」というより、新興宗教か、アイドルの盲目的なファンクラブといったところ。「思い込んだら一筋」みたいなところが、台湾人にはあまりないけど、日本人にはもともと強いからか。でも、そんな日本人の一途さというか、愚直さが、中国勢力にしてやられる原因じゃないのかな?

ザンビアの反中国派野党指導者、台湾を訪問中

2007-02-08 02:07:56 | 台湾その他の話題
南部アフリカ、ザンビアの反中国派野党の指導者マイケル・サタ氏が4日から9日までの日程で台湾を訪問している。

ザンビアは隣のタンザニアとともに、長年中国の忠実な友好国で、かつてはタンザン鉄道への人民中国の支援などの美談で知られる。ところが、近年、中国の野蛮な資本主義的成長と経済進出に伴って、進出している中国企業に搾取された労働者や貧困層の間で急速に反中国感情が高まっている。
サタ氏は昨年9月末に同国で行われた大統領選挙で野党「愛国戦線(Patriotic Front)」候補として出馬、貧困層を背景に、中国批判を展開。事前には当選が有力視されたが、中国と結託する与党陣営の選挙操作などもあって、結果的には30%程度の得票率にとどまり落選した。ただし、中国の経済侵略が目に見える首都ルサカでは当選した与党大統領の3倍もの得票を得た。しかし選挙後、サタ氏は選挙不正に抗議する暴動を起こしたという言いがかりで一時逮捕された。
ザンビアは民主主義・自由度のレベルでいえば、半民主・半自由といったところ。言論の自由や競争選挙がないわけではないが、しかしそれが中国と結託する与党陣営の腐敗や不正によって、かなり歪曲されるし、政権批判の野党やメディアは存在できるが、自由が完全に保障されていないことは、サタ氏が言いがかりをつけられて逮捕されたことでも明らかだ。

ここで、面白いことは、昨年のザンビア大統領選挙が、中国に対するスタンスでの争いになったことだ。
また、この2月初めに中国の胡錦濤国家主席がザンビアを訪問しているが、その際に、野党や学生の抗議デモが散発的に展開されたという。なぜタンザン鉄道で中国との友誼を誓ったザンビアが、ここまで反中感情が広がったかというと、ひとえに中国による安い繊維製品などの流入で地場産業が打撃を受けたこと、中国が買収した銅鉱山で賃金未払いが続いていること、腐敗した権力層と結託して、同国特産の銅を買いあさるばかりで、その果実が民衆に還元されず民衆の多くは貧しいままでいること、などが原因だ。いわば中国によって搾取・収奪されてきた民衆の鬱憤が積もりに積もって反中感情が噴出しているのである。これはアフリカの貧困層全体に広がっている動きだ。
そうした民意を反映する形で、サタ氏は「当選したら中国資本を追放する」「台湾は独立国家であり台湾と関係を樹立すべきだ」「中国よりも日本のほうがザンビアの民生に貢献している」というきわめて真っ当な主張を展開している。
もちろん、サタ氏にはポピュリスト的色彩もあるのだが、そうであっても、資本の論理にずぶずぶで中国と癒着しているザンビア現政権よりは、確実に庶民の気持ちを代弁しているといえる。

そのサタ氏がついに台湾を訪問した。
これを機に、台湾はこれまで疎遠だった親中派アフリカ諸国や断交したアフリカ諸国との関係構築に乗り出してほしい。
この数年、台湾はセネガルとチャドというアフリカにおいては大国に属する友好国を失った。これは中国の金銭外交、資源争奪外交のあおりを食らったわけだが、しかし台湾のアフリカにおける退潮は、台湾だけの損失ではなく、日本によっても多くの西側諸国にとっても大きな損失になっている。
中国の意図は明白で、台湾の外交を切り崩すことで、中国が入り込み、さらに日本などを締め出すことにある。日本の援助が投入され、日本人がノービザで入国できて、日本ときわめて友好的だったセネガルの指導者が、最近は反日的な発言をするようになったのはその現れである。
だから、台湾の外交展開は、何も台湾の利益だけでなく、日本にとっても利益が大きい。
現在の国際政治・外交では、日本と中国、台湾と中国はゼロサムになっており、その意味で日本と台湾は運命を共にしている。

関連記事:
http://news.livedoor.com/article/detail/3013981/
なぜ今アフリカで反中感情が…?
朝鮮日報/朝鮮日報JNS
2007年02月05日11時01分

また、ソースはサーチナ中国だが
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0901&f=politics_0901_002.shtml
ザンビア野党「中国資本を追い出す」大統領は平謝り
2006/09/01(金) 11:49:48更新

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0929&f=politics_0929_003.shtml
ザンビア野党が中国侮辱「中国製パソコン使うな」

南アにある国際人権NPOのサイトから
http://www.osisa.org/node/4019
Zambia | Human Rights & Democracy Building
Zambia: Zambia Doesn't Owe China Anything - Sata

大統領選挙のころのBBCの報道
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/5378726.stm
0929 Profile: Zambia's 'King Cobra'

http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/5390118.stm
0930 No clear leader in Zambia polls

http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/5367894.stm
0925 Q&A: Zambia votes

http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/5320648.stm
Zambians condemn China meddling
Opposition candidate Michael Sata

BBC中文ニュース
http://news.bbc.co.uk/chinese/trad/hi/newsid_5380000/newsid_5388300/5388394.stm
贊比亞大選競爭激烈選民踴躍投票 20060928

http://news.bbc.co.uk/chinese/trad/hi/newsid_5320000/newsid_5323100/5323102.stm
中國否認中止對贊比亞投資 20060907

http://news.bbc.co.uk/chinese/trad/hi/newsid_4610000/newsid_4610400/4610426.stm
中國的非洲戰略 20060113

李登輝「変節」の原因

2007-02-03 17:20:33 | 台湾政治
ところで、どうして李登輝はこうした「変節」をしたのか?

◆国民党を温存させた李登輝
李登輝が陳水扁や民進党をこれほど憎むのは、民進党政権が本気になって国民党の党国利権構造にメスを入れ始めたからであろう。
李登輝には、国民党の利権構造を「本土化」するとき、外省人から本省人政治屋の手に掌握し、自らが利権構造のトップに立とうという腹があったのだろう。だからこそ黒金を発達させ、国民党を温存延命させたのである。金に目がくらんだということだ。
そんな意地汚い心がなければ、1996年に54%を獲得して初代民選総統になった時点で、ゴルバチョフよろしく、とっとと国民党の解体に手をつけていたはずである。
李登輝はそれをしなかった。国民党を本土化させることで、国民党が持っている利権構造をそのまま独り占めにしようとした。
だから、陳水扁政権が2002年に農会信用部に手をつけようとしたときに、李登輝と台連は猛反発したのだ。
ただ、その後陳水扁政権は萎縮して、国民党資産問題にはあまり手をつけようとしなくなった。すると李登輝や台連も民進党に協力した。
ところが、陳水扁二期目になって、やはり国民党資産問題に手をつけるべきだという声が盛り上がってくるや、李登輝は民進党と敵対するのである。
これは、明確な証拠はないが、時期と因果関係を照らしあわせると、推測としてはほぼ間違いないだろう。

◆中国による篭絡工作
朝日新聞の報道で、李登輝が昨年下半期以降、中国から訪問要請を受けていたことが明らかになっている。
これを私自身が独自に調べたところ、どうも昨年秋ごろから、中国の公的機関から学術団体などを通じて李登輝のところに接触が増えたようである。しかも中国はここで金品を使ったかは今のところ明らかではないが、さまざまな脅しを使ったのは確かなようだ。李登輝はたたけばたくさんホコリが出てくるからだ。
中国は李登輝がかつて共産党系組織の友人を売ったことはもちろん、総統任期時代のさまざまな事件の真相をばらすと脅されたらしい。友人を売ったことなど李登輝には何の良心の呵責もないだろうが、不正をばらされると困る。もちろん、ほかにもさまざまな手口を使ったのだろうが、これで李登輝が中国に篭絡された可能性は大きい。
というか、今回の発言内容やメディアの選択など、そうとしか考えられない。
実際、中国側にもそうする動機はある。李登輝ほどの大物を篭絡すれば、それにつながる独立派に動揺を与えることができ、また李登輝がひとつの核となる政界再編による中国国民党の分裂もあるいは阻止できるかもしれない。
しかも李登輝の脛にはたくさんの傷があるし、李登輝につながる台連や国民党本土派は国民党的体質を引きずり、トップダウンだから、これで国民党本土派をかなり撹乱させることができる。
これは民進党にはあまり通じない手だろう。というのも、民進党には「核」がないし、李登輝のようなカリスマもいないから、たとえ陳水扁を篭絡しても、民進党への影響も意味もないからだ。
しかも、ここに来て、宋楚瑜、馬英九など、中国が期待をかけてきた外省人の大物政治家が、次々と力を失墜させてきただけに、中国としては国民党本土派の台頭、中国派政治勢力の泡沫化を防ぎたかったはずだ。
もちろん、台湾では、有名人が中国に取り込まれたら、その時点で人気が失墜するというジンクスがあるし、中国もその点では許文龍のときに学習済みのはずなので、李登輝取り込みで大きく撹乱できるとまでは思っていないかもしれない。
しかし、やはり李登輝を中国側に引き寄せれば、牽制や速度緩和にはつながるだろう。

◆李登輝が中国行きを果たしたら、台湾では完全に失墜
今回の発言で、もともと李登輝に疑念を抱いてきた民進党の多くや、まともな独立派は李登輝離れを急速に起こしている。これで台連は完全に泡沫化するだろう。
だが、李登輝信者の中にはまだまだ「李登輝がそんなことをいうはずがない、飛ばした」と信じ込んでいる阿呆がいる。しかし、その阿呆もいずれは現実に気づくであろう。
そして、李登輝が本当に中国に行ったらどうなるか。
李登輝には、どうせ先が長くない人生、最後の花を飾って、中国の指導者を握手して世界的に注目されたい、という目論見があるのかもしれない。そして、アホな日本のマスコミは、「両岸和解」として大書特筆するだろう。
しかし、その時点で、李登輝は「台湾の李登輝」ではなくなり、台湾の庶民や民衆の中での彼の人気は完全に失墜するのだ。彼は中国に行ったが最後、台湾には戻ってこれなくなるだろう。
そのときは「中国人李登輝が、中国に投降した」という位置づけになるだけで、台湾にとって何のインパクトもなくなる。
今の台湾は李登輝に講釈されなくても、立派に台湾主体性と本土意識がはぐくまれ、成長しつづけている。ある意味で、漢民族意識が強い李登輝など日本語世代は、現在のように急速に「中国」離れが進む台湾全体の民意の中では、すでに時代遅れの古臭い意味での「中華台湾」主義でしかないのだ。

◆裏切りの人生
最初に指摘したように、李登輝の一生は背信・裏切りと変節の連続だった。戦後台湾共産党系の新民主同盟につながる読書会に参加して逮捕され、そのときに仲間を売ることで命を免れた経験がある。その後、60年代にはたびたび日米を訪れ独立派と接触したが、70年代には蒋経国の要請で国民党に入党、政府にも参加、その後は国民党内でどんどん出世、台北市長なども務めて、ついに蒋経国時代の副総統にもなった。この間、党外民主運動に対して特務出身の蒋経国が惨い弾圧を加えたが、李登輝はひたすら蒋経国に忠誠を誓った。総統になってからは最初は確かに民主化に尽力した。しかしまともな本土派若手を育てることはせずに、宋楚瑜、連戦など大中国派や本土派でも黒金系統の人間ばかり登用した。手塩にかけた連戦が2000年総統選挙で敗れ、自分が院政を敷く魂胆がつぶれるや、国民党を猛攻撃して、急進独立派と接近。「正名運動」の音頭をとるなど「独立派のゴッドファーザー」とも呼ばれ、むしろ陳水扁の弱腰を独立派の立場から批判するほどだった。2004年の総統選挙では陳水扁の応援に立った。
ところが、2006年になって陳水扁がメディアがでっち上げた「腐敗疑惑」で落ち目になるや、陳水扁について「ダーティだ」として狂ったように攻撃。このとき、陳水扁に対する不当なバッシングに反撃する独立派の多くと反りが合わなくなり、06年9月ごろから、独立派の集会に顔を出すこともなくなった。
そして、今回の発言である。
常に仲間を裏切り、政界を遊泳し、自分が世の中を動かすという自己陶酔に酔いしれてきた李登輝としては、当たり前の変節と裏切りでしかないのだ。

ともかく、今回の事件は、李登輝という仮面をかぶったカリスマの失墜の始まりである。
しかし、これは長期的に見れば台湾にとって悪いことではないだろう。
とにかく、これで、蒋経国につながる古い国民党ファッショにつながる政治的な大物はほとんど影響力がなくなるからだ。宋楚瑜、馬英九の失墜と同時に、李登輝も失墜。これは悪いことではない。

元国民党員としての正体を現した李登輝

2007-02-03 17:19:35 | 台湾政治
李登輝も中国勢力に篭絡されたようである。
1月31日発売の香港系大衆週刊誌「壱週刊」は、29日に行ったという李登輝に対するインタビューをカバーストーリーとして大々的に取り上げた。
カバー見出しも「李登輝:私は大陸を訪問したい。台湾独立を放棄して、中国資本を受け入れを」。
中身は二部に分けられ、最初がカバーストーリーの現在の話。第二部は「永遠に闘う」という見出しで生涯を振り返るものだ。
その中で話題になったのは次の発言だ。
「私は独立派ではなく、独立なんて一度も言ったことがない」
「台湾は主権が独立した国だから、独立という必要はない。米国や大陸との問題を引き起こす」
「しかし私は正常化を訴えてきた。つまり正名と制憲だ」
「統一か独立かというのは偽りのテーマで、単なる権力闘争だ。私は青や緑を超越して中道的な立場に立つ」
「香港が中国観光客を受け入れて景気が回復したように、台湾も中国観光客を受け入れて消費させれば良い。別に中国人の全員がスパイではないのだから」
「(胡錦濤は)口数少なく、無駄なことは言わない、黙々と仕事をやっている」「(陳水扁は)国務機密費の不正をやってダーティだ。黒金(暴力団と癒着した腐敗)も私の時代よりひどい」
「(陳水扁は)大嘘つきだ」
「(馬英九は)度胸がないが、何よりもクリーンだ」「私は日本に偏向していない。昔は社会主義を信奉した私が日本に偏向するはずがない。日本、台湾、中国はいずれも良いところがある」
退任後台湾独立急進派陣営に接近し、中国との交流を強く批判し、「反中親日派」ぶりを強調してきた李登輝としては、大きな変節であることには間違いない。
李登輝は31日にやはり香港系のTVBSの取材で、「壱週刊の報道は一部誤り。私は大陸に行くとは言っていない」と「釈明」したが、中国資本と観光客の開放、陳水扁を罵倒する一方で馬英九に一定の評価を加えた点については否定するどころか、中国資本開放を積極的に訴えるなど駄目押しをした。

◆問題は中国資本開放論と主張内容の前後矛盾
最初は「私は独立派ではない」という部分が問題になったが、実際には問題はそこではない。
最大の問題は、中国観光客や資本の積極的な受け入れを主張した部分と、陳水扁をダーティだといいながら、馬英九をクリーンなどと持ち上げた部分である。
その他、全体のトーンからすると、明らかに李登輝は「統一」に近い立場を主張していることになる。
実際、31日と1日、わりと的確で公正な評論で評判の三立新聞台政論番組「大話新聞」はそうした部分を含め、いくつもの矛盾を指摘し、李登輝が「変節」したと結論づけていた。
しかも三立については、李登輝はすでに壱週刊のインタビューで三立を罵倒し、台連も「大話新聞」での評論家の李登輝批判を「われわれは台湾の評論家を過大評価していた」として反撃するなどしている。いまやTVBSが李登輝と台連の味方で、三立が李登輝批判に回っているという構図だ。

◆「変節」というよりこれが正体か?
もっとも、私は最初、この報道を知ったときは、飛ばしかと勘繰った。しかし、実際に雑誌を買って記事を詳細に読むと、見出しには若干誇張があるものの、内容はおそらく李登輝が言ったことをかなり忠実に書いただけだろうという感触があった。これは何度か調査報道も手がけたこともある私の記者としての勘である。
実際、さらに多方面に当たってみると、どうも最近の李登輝は独立派と関係が悪化する一方で、中国側とも頻繁に接触しており、かなり中国に傾斜していることは間違いないようだ。もっとも、これは「変節」というよりは、もともと仲間や友人を裏切り続けてきたこの男の正体が明らかになっただけかも知れない。

◆わざわざ壱週刊とTVBSを選んだ意味
しかし、おかしなもので、台湾にいる李登輝信奉者のアホどもは、「壱週刊はしょせんは低俗なゴシップ誌で真意が伝わっていない」「李登輝は主権独立や制憲を強調していて、別に変わっていない」などと「弁明」しているが、それは醜い言い逃れというべきだろう。
そもそもそんなに「低俗なゴシップ誌」の取材をそれと知ってわざわざ受け入れたのは李登輝に問題があるのではないのか?しかもその釈明と補足説明を三立や民視のような本来李登輝びいきだったはずのテレビではなく、わざわざ香港系中国資本100%出資のTVBSを選んだのはなぜか?
聞いたところによると、李登輝のところには、台湾や日本のメディア各社が独占インタビューを申し込んできたが、なかなか実現していない。最近では時事通信が最後である。その中で、香港系の壱週刊とTVBSが取材を取れたのはなぜか?
しかも、「壱週刊」はイメージほどにはいい加減な雑誌ともいえない。確かに見出しは煽情的だが、記事の中身は割合しっかりとしたものが多い。そもそも記者の給料が高い。台湾人は金さえ払えばちゃんとした仕事をすることは、台湾で仕事をしている経験上明らかなので、台湾メディア界で最も高い給与水準を誇る「壱週刊」がほかのメディアよりも「いい加減」とは絶対にいえない(もちろん、記者には青系が多いのは当然だからそのバイアスはあるが)。かといって、立場も統一派とはいえない、もちろん独立派でもない。一種独特・独自のいわば社会派路線で、李登輝の発言をその意に反して親中国発言に歪曲するメリットなどない。その点は歪曲がお家芸になっている中国時報とは違う。
ただ、李登輝がわざわざ変節発言に香港系「壱週刊」を選んだのには、彼なりのメッセージがあるはずである。つまり香港との接近である。だからこそわざわざ香港の例を挙げて、中国との双方向の経済密接化を主張したのである。

◆独立論に関する部分の前後矛盾
では具体的にどこが矛盾で、問題なのか。
まず矛盾は、独立論に関する部分である。
「独立を言う必要はない。台湾はすでに主権独立国家だからだ」という部分は良い。というか、こんなことは李登輝が言う前に民進党が台湾前途決議文で党是にしているし、もとはといえば、(昔はまともだった)施明徳が言い出したことである。
だからこれをもって李登輝が変節したというのは当たらない。「米国や大陸と問題を起こす」というのも、現実判断としては理解できないわけではない。
とはいえ、もともと民進党がいっていることを、さも自分の発明かのように主張して、しかも民進党をぼろくそに言っているのは、訳がわからない。この人は要するに何でも自分の手柄にして、目立ちたいだけではないのか?
しかし問題はその前後である。
李登輝は一方では「正名制憲という台湾国家正常化が必要だ」といっている。
しかしこれはまさに法理独立を追求するものであって、先にいっている「独立を言う必要はない」というのは矛盾する。
また、「統一・独立ということは、緑と青の意味のない政治闘争になっている」ともいっていることとも矛盾する。
正名や制憲という議題は、まさに緑陣営で言われている議題なのだから、これを推進するということは、政治対立につながるからである。
私に言わせるなら、別に政治対立や闘争は悪いことではない。どんな国にも理念をめぐる対立や闘争はあるのだから。
問題は「政治対立はよくない」と大見得を切っておいて、まさにその自分が否定した政治対立の原因になっていることを得々と自分の専売特許のように語る、その錯乱と厚顔無恥である。
しかも正常化というなら、まだ正常化していないということなのだから、正常化していない国家が「香港の前例と同じく中国資本を引き入れる」のでは、まさに台湾は第二の香港になってしまうではないか?
李登輝の思想や発言がぶれるのは昔からだ(台湾人はすべてそうだ)。しかし、哲学の素養もある李登輝は、かつてなら、ひとつの発言だけに限定すれば、その発言が前後でこれほど矛盾することはなかったように思う。
もう耄碌しているのか、それとも実は正名や制憲などもどうでも良くて、ただひたすら中国に行きたいという念が根底にあるから、こんなに論理が破綻しているのではないのか?
これに対して、民視2日の討論番組で、台連の議員が必死で弁護していた。
「李前総統は変わっていない。正名制憲をやはり言っている」といっていたが、民進党議員から「でもそれは統一独立でいえば、どちらなんだ」と切り返されて、「間違いなく独立のほうだ」といっていた(笑)。民進党議員はこれには苦笑していた。とすると、李登輝が矛盾や嘘を言っていることを台連も認めたことになる。
ともかく、どうしょうもない破綻である。

◆現実の中国社会のモラル欠如を無視する暴論
私がどうしても許せないのはこの部分である。
香港が返還後経済的に沈滞したが、中国資本と観光客を積極的に受け入れることによって、投資と消費が活発になり、景気が回復した、として、台湾もそうすべきだと主張していることだ。
しかも、その後のTVBSでの補足説明では、「台湾は景気が悪く、民衆(李登輝は一貫して中国封建概念である「老百姓」といっている、これも李登輝の中華思想の部分である)は困っている。これは台湾企業が中国に進出して空洞化して、一方向だけの経済交流になっているからで、双方向にして、中国人も台湾に来て投資したり観光して消費させれば、景気は上昇して、民衆の暮らしも良くなる」といっている。
これは、とんでもない発想である。従来の李登輝の「戒急用忍」とは180度ロジックが異なっているし、中国人が大挙してやってくることなど、まさに台湾の民衆・庶民を最も困らせる最悪の事態である。台湾の民意に反する馬英九の思想とそっくりである。
そもそも空洞化しているなら、空洞化しないような対策をとり、産業構造転換を促進するアイデアを提案するのが筋であって、空洞化しているのは放置して中国の観光客や資本を引き入れれば双方向になっていい、というのは、幼稚かつ無責任なレトリックである。1945年の台湾が中国と双方向の経済交流となって、どうなったのか?
李登輝はいう。「中国人が全員がスパイではないのだから」。
それはそうである。しかし、李登輝は重大なことを忘れている。
スパイではなければ、良民、善良な市民で、台湾にとって有益だという発想が間違いなのである。
私は日本、韓国、香港の入管・犯罪統計を調べたことがある。すると、中国人の違法行為や犯罪が異常に多い。香港も日本も中国との「双方向」の交流をするようになって治安が一気に悪化した。韓国も朝鮮族を「韓国系中国人」として別枠で甘く受け入れているが、その犯罪率が異常に高い。
確かに中国人の多くはスパイではない。しかしスパイではないから、善良な市民だということにはならない。むしろ中国の場合、高度な知識を持つスパイであってくれたほうが、よっぽどマシなくらいだ。そうした「危険な暴民」の割合が、中国の場合は異常に高いのである。
これは中国人だからというより、むしろ改革開放、経済成長の下で、モラル低下が急速に進んでいるからだ。80年代までの「貧しかった中国」では考えられないような目を覆うばかりの腐敗、不道徳が蔓延している。それが現在の中国社会なのだ。
観光客や投資家を受け入れたら、みんながまともに金を落としてくれて、台湾社会も潤うなどというのは、あまりにも中国社会の現実と実態を知らない、阿呆のたわごとである。
また、モラルのない中国人が大量に台湾に押しかけるようになると、確実に日本人や欧米人が来なくなる。観光地が少ない台湾でまで、わざわざ中国人に出くわすことなど、誰も望まないからだ。
つまり、中国人観光客を受け入れると、これまでの母数にプラスになるのではなくて、中国人が増えた分、その倍以上の日本人の足が遠のき、収支は結果的に大幅にマイナスとなるのである。そして、街に中国人が溢れる。
李登輝の主張は、台湾を第二の香港にして、台湾を中国人に占拠させるトロイの木馬である。

◆李登輝の辞書ではクリーンとは腐敗の意味だったのか
もうひとつどうしょうもないのは、陳水扁は「国務機密費を着服している」「嘘つきだ」とこき下ろすのに対して、馬英九についてはいろいろと問題点はありながらも、少なくとも「クリーンだ」と持ち上げている。そして、黒金政治が李登輝時代に始まったという指摘に対して「黒金は私の時代よりも、今のほうがひどい」と責任回避する始末だ。
馬英九も市長特別支出費の着服が捜査対象になっているし、不正蓄財の結果としか思えない複数の不動産保有も明るみになっている。確かに馬英九は自分やメディアに「クリーン」だと持ち上げられているが、クリーンなどではありえない証拠が、最近次々と暴露されている。そもそも国民党にクリーンな人物など一人もいないだろう。そもそも三民主義などというろくでもなく中身のないドグマを掲げている国民党にいるというのは、国民党が持っている理念に共鳴したのではなくて、単に利権にくらんだに過ぎない。「国民党の理念に共鳴したから」などということは絶対にありえない。そもそも、国民党は共産党ほど理念や思想として中身のあるものは持っていないからだ。共鳴するほどの理念は国民党にはない。あるのは単なる利権だけだ。
ただ、政治に腐敗はつきものなので、国民党がダーティだというだけでは特に問題はない。問題は、国民党の不正腐敗は、党国体制に由来する構造的で独占的なものだという点だ。国民党は日本時代の資産を横領し、国家財産をすべて党の財産に横流ししてきた。これは日本や今の民進党で個別に起こっている汚職とは規模も性質も違う。
そこが問題なのであって、腐敗があるかないかの問題ではない。
また、黒金は李登輝時代に始まり、李登輝末期に頂点に達していたことは、台湾では誰もが知っている常識である。そもそも黒金は国民党の党国経済構造がなければ発達しようがない。それを「今のほうがひどい」というのは、とんでもないペテンと嘘である。
対して、陳水扁の娘婿のインサイダー、陳と夫人の国務機密費流用は、いずれも証拠はない、ほとんどでっち上げである。確かにインサイダーは一審で有罪判決が出たが、判決文を見ても具体的な物証は挙がっていない、つまり不当判決である。国務機密費にしても、制度化されていない部分の揚げ足を取った単なる濡れ衣である。
というか、そもそも陳水扁が機密費を横領したり、肉親が権力を嵩にきて不正ができるほど陳水扁一族が「悪人」なら、いまごろ李登輝とか国民党は存在できるはずがないではないか?
政治家には清濁あわせ呑むくらいでないといけないが、陳水扁の問題はむしろクリーンであるかどうかにばかり神経を使って、政治ができないところにあるのである。
クリーンは一国の成立条件ではない。そもそも国家である限り、クリーンであることはありえない。おそらく陳水扁はクリーンというなら、いかなる国の指導者の中でも最もクリーンだろう。
しかしそんなことは何の役にも立たないことは、陳水扁の政治操作の無能無策ぶりを見れば明らかだ。
ちょっと脱線したが、陳水扁がダーティなら、李登輝などとっくに始末されていたはずだ。李登輝みたいな老害がいつまでものさばっていられるのは、陳水扁がクリーンなだけが取柄の政治的無能者であるからにほかならない。
それをダーティと呼び、自らと馬英九をクリーンといって憚らない李登輝の辞書では、クリーンとダーティの意味が逆転しているのであろう。

◆「親日」も否定
私は日本右翼ではないので、どうでもいいが、おそらく日本の李登輝びいきのアホな右翼どもにとって目をむきそうな発言は「私は社会主義者だったから、日本に偏向しているはずがない。日本、台湾、中国はいずれも良いところがある」といっているところだ。
これは、何も考えずに読めば、正論のように見えるし、陳水扁あたりが言うなら(言わないが)スルーできる発言だ。
しかし、仔細に読めばこれも変節である。「武士道解題」などで、日本に対する思い入れ、親日派ぶりを見せ付けられ、李登輝に心酔してきた日本人の多くを裏切るものだということができる。
そもそも第一部で台湾は主権独立国家、正常化、主体性を主張しているのだから、ここで「私は主体性のある台湾人だから、日本も単なる友好的な外国としてみているだけだ」というならわかる。あるいは「社会主義者だった」という理由でも、史明がよく言っているように「私の社会主義思想は日本を通じて受け入れたものだから、その意味では日本には特別の意味はある」というなら、これまでの日本向けの発言とあわせて、まだまだ誠実で、一貫性があるというものである。
ところが、ここで「社会主義者だったから、日本に偏向しているはずがない」というのは、ロジックとしておかしい。
あくまでも台湾本土に立つ社会主義なら、社会主義であるほど、日本に偏向するはずである。史明がそうだ。
そうでなくて、日本に偏向していない社会主義だというなら、それは夏潮などと同じく中国共産党の流れを汲む社会主義だということになる。
この答えは明らかで、日本を台湾とだけでなく、中国とも同列において「いいところがある」といっている時点で、台湾本土派から逸脱している。普通台湾本土派で、日本を突き放して外国のひとつと見る場合でも、日本と台湾、米国や欧州、あるいはせいぜいがフィリピン、韓国とあたりなら同列に置いたとしても、中国を同列に置くことはしない。
李登輝のこの発言は、日本や台湾も、中国と同程度にしか「いいところ」がないといっているのと同じである。
ほかの部分を考慮すると、中国に妙な幻想を持っていることが現れている。