むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

謝長廷、正式に民進党公認総統候補に決定 夜は支持者への謝恩会を開く

2007-05-30 02:02:35 | 台湾政治




民主進歩党は29日、第12期第10次中央執行委員会を開き、正式に謝長廷氏を2008年総統選挙の公認候補として決定した。謝長廷の個人事務所「長工弁公室」はこれを受けて「感恩音楽会」と題する謝恩音楽会を同日午後7時から台北市議会地下1階ホールで開いた。会場は約500人収容で一杯になって外にも何人もいた。ただし、謝系以外の民進党幹部・議員は姿を見せず、予備選挙のしこりが残っていないところを見せ付けた。
音楽会は、台湾語運動で活躍、今は台湾語チャンネルの司会などをやっている呉国禎ともう一人知らない女性が務め、はじめは台湾語歌謡研究家・歌手の孫徳銘氏の音楽教室の仲間による台湾語の古い歌謡曲が歌われた(焼肉粽、安平追想曲など)。それから現代歌謡の部となり、民進党系の集会ではおなじみの盲人歌手・蕭煌奇、
豬頭皮こと朱約信(とその娘・朱讃美)によるステージとなった。約信とは以前よく会っていたときは、オーローちゃんがまだ赤ちゃんやよちよちのころだったが、ずいぶん見ない間に大きくなったな。日本語では「リンダ、リンダ」も歌われた(これは最近同名日本映画がけっこう話題になったこともある)。
約信のステージの途中、午後8時35分ごろに謝長廷が入場、着席してから朱が何曲か歌ったが、それから謝長廷が舞台に登場。特技のオカリナによる「竹田の子守唄」を披露し、挨拶もした。
「少なくとも25万票差で勝つ。しかし選挙の競争は競争として、それは誰かを貶めるものではないから、勝利の後は馬英九も心配する必要はない。なぜなら中国の脅威と対抗するためには、馬英九とだって友達になってもいいから」といって会場を笑わせた。
また、同日付けの中国時報(最近ガセネタが多い)が「黄慶林・中央常務委員が謝長廷の高雄MRT汚職事件の関連が取りざたされていること(といってもそれも中国時報が勝手にでっち上げているだけなんだが)を嫌って、公認決定を暫定的に引き延ばすよう求めている」とやはりガセネタを書いていることを取り上げて「今日も黄氏は会場に来ているが、今朝確認したところ、そんなことはない、と否定した。それほどかように、党内の仲間を信じるべきであって、メディアを信用してはならない」と指摘。これは言外に、中国時報などが最近やたらと高雄MRT汚職事件との関連性を書き立てて、「起訴されるも間近」などという印象操作を行っていることを牽制する意味が込められている。
そもそも今の中国時報はまったく信用できない。日本では90年代までの堅実、中立的なイメージから中国時報を信用している研究者や記者が多いようだが、中国時報は昨年、王健壮という新新聞上がりの深藍系のキチガイ編集長になってから、完全に深藍のガセネタ新聞に転落している。社説はまだまともな部分もあるが、記事そのものは国民党本土派をたたいたり、民進党の内部分裂を仕組むような情報操作のものが多く、まったく信用できない。

その後は台湾語歌手として有名な蔡振南が2曲歌い、最後に謝長廷ら幹部がステージに上がって、会場全員で「伊是[口自]的寶貝(I si7 lan2--e5 po2-poe3)」を斉唱してお開きとなった。終わったあとは出口外で謝長廷と夫人、葉菊蘭が参加者の見送りをした。会が始まる前から葉菊蘭と李応元がずっといて、さらに謝が来てからもずっと横につきっきりになっていたのは印象的だった。
謝系の中核メンバーはほぼ全員揃っていた。ただ謝系でも立法委員の何人かと外交秘書は姿を見なかったが、別の用事があるのだろう。
謝系以外の顔は少なかったが、それでも謝系とは犬猿の仲の新潮流系も、市議員の李建昌、徐佳青、このほど文化建設委員会主任委員になった翁金珠は、予備選挙のときにももともと謝寄りだったこともあって参加していた。

謝長廷は京大留学経験があることを生かして、立法委員・浪人・高雄市長時代にもたびたび日本を訪れ、日本政界・官界・学界にも人脈を築いてきた。民進党に限らず台湾政界をリードする層の中で唯一の知日派といっていい。それだけでなく、単なるごみごみとした田舎町だった高雄市を見違えるような近代都市にした高雄市長としての実績、2020年台北五輪誘致のアイデアなど、行政手腕と議題設定能力でも現在の台湾政界の中では卓越したものを持っている。馬英九は行政手腕、議題設定、対日関係のいずれをとっても謝長廷の足元にも及ばない。
謝長廷には是非とも25万票差といわず100万票差を目指して欲しい。そうすることによって、「台湾は台湾」という現実を動かしがたい事実として世界に向けて示すことができるだけでなく、台湾と日本との関係強化、対中関係の処理も可能となるのである。

李登輝訪日、キツイ日程でダイジョウブか?

2007-05-30 01:57:33 | 台湾その他の話題
李登輝がいよいよ30日から訪日する。しかしこれは日本の一部では大きな話題になって熱狂的な反応も起きているようだが、台湾ではあいにく2月の対中傾斜発言の余波で李登輝の影響力が大幅に低下したことで、ほとんど話題になっていない。
テレビニュースでも李登輝と仲良しの統一派メディア経営者邱復生が経営する「年代」が昨日中嶋嶺雄への電話インタビューを流していただけだ。台湾派メディアはほとんど無視状態。
しかし年代のインタビューで英語で答えていたナカジマミネオってちょっと間抜けだ。東京外大中国語科教授もやっていたはずなのに、中国語があまりできないのか。しかも以前日本のメディアで「学生諸君、英語をもっとやるべきだ」などと偉そうにいっていたわりには、英語もそれほど流暢ともいえない(私と同じレベルか。まあ英語圏留学経験がないわりにはマシなほうだが、とにかく威張れるようなレベルではないことは確かw)。しかも笑ったのは「はしか」のことを「hashika」などといっていたこと。こういうところは李登輝と似ているのかも知れないがw。

しかし、今回の日程は、ぽしゃった昨年9月の日程とほぼ同じで、ほぼ毎日のように宿泊先を変えて東北を回るというもの。毎日ホテルを変えて移動するなんて、20代の学生だけができること。41歳の私でもこんなの見せられたらしんどいと思うし、ちょっと後に残りそうなのに、80代でしかも心臓に持病がある老人、しかもペアに対して、こんなハードな日程で旅行させるなんて、ナカジマミネオは何を考えているのか。もし日本で緊急入院とか最悪くたばったりしたら、ナカジマ氏はどう責任を取るつもりなんだろう。

それはそれとして、李登輝は日本を訪問してこそ、存在価値がある。その点では、今回の訪日は私としても歓迎し、評価したい。そういう意味でも2月に「孔子の列国周遊の旅」をなぞりたいといって訪中意欲を見せたのはやはり魔がさしたというか、判断の誤りだったとしかいいようがない。李登輝は中国に行ったり、中国寄りになってはならない。あくまでも日本との関係維持に努めるべきなのだから。

「好流」「南流」の李昆澤氏の落選を惜しむ

2007-05-24 23:32:51 | 台湾政治
民進党内予備選挙は区域立法委員の選出に入っている。昨年秋の「倒扁」運動の過程で陳水扁総統批判を展開してきた新潮流のメンバーの落選が相次いでいるが、同じ新潮流の中でも陳総統を擁護してきた、俗に「南流」「好流」といわれる人たちもとばっちりを受けて落選するケースが出てきている。
特に高雄市三民東区で予備選挙に出た現職李昆澤氏が、やはり現職だが健康保険費不正請求事件で起訴されている林進興に敗れたが、これは惜しい、というか、間違っている。
今回の予備選挙では、昨年の「陳水扁打倒」運動の反作用もあって、「反新潮流・非新潮流なら何でもいい」という傾向がなきにしもあらずだが、昨年秋にどういう態度を取ってきたかちゃんと吟味もせずに新潮流だから一律駄目だというのはよろしくない。
もちろん私自身は今は新潮流は大嫌いだが(90年代は好きだった)、しかしいくら新潮流が集団行動を宗としているからといって、個人差は当然あるのだし、新潮流の中でも昨年秋に陳総統擁護に懸命になって働いた李昆澤・頼清徳両氏は、立法委員としての仕事ぶりも良いし、品行も方正だから、是非とも守り立てるべき人材である。特に、李昆澤氏は陳菊・高雄市長の甥であり、新潮流に属しているものの、それほど新潮流らしくはない。

ただ、新潮流でも負けて当然の「北流」「壊(悪い)流」の人たちは負けた後も往生際が悪くいただけない。まるで自分こそが優秀な人材で落選したのはおかしく、これでは民進党は年末の本選挙では勝てない、などと言い立てるからである。
自分のほうが優秀だとして他人を見下す高慢なエリート意識が新潮流に蔓延しているようだが(確かにそういえる場合もあるが)、これは民主主義の否定である。民主主義で重要なのは民意であって、民意が選ばなければそれまでで、それで負けたほうが勝ったほうを「自分より優秀ではなく、競争力はない」というのは傲慢にもほどがある。
しかも議員としての「優秀さ」や世間知は、単なるIQの高さや知識や学歴の高さと比例しない。それがわからず、「優秀ではない人間ばかりが公認候補になった民進党は競争力がなく、年末の選挙で勝てない」などというのは、それこそ馬鹿だとしか言いようがない。
こんな繰言をいうような往生際が悪い人間ばかりいるからこそ、新潮流は堕落したのであり、民進党支持層から唾棄されたのだ。

民進党内の激烈な競争で勝ち残ったのは当然競争力はある。それに今回勝ち残ったのは「深緑ばかりで中間層を取り込めない」などという意見もあるが、それはどうか?猿山の分布ではないが、「優秀ではない」「深緑ばかり」になったら、その中で優秀だったり、浅緑の人間が登場するものなのである。
そもそもかつて90年代前半に民進党内選挙で、当時は過激だった新潮流系が、穏健派の美麗島系を圧倒した際にも、敗れた美麗島系や国民党系メディアは今回と同じように「民進党は過激になり、支持を広げられない」と論評した。しかし実際にはそうならなかった。民進党はその後も着実に成長し、政権を獲得した。そしてかつては過激派だった新潮流も主流派になったことで穏健・実務派になった。そして今回はその新潮流があまりにも穏健化して(かつての美麗島と同じように)国民党に近づいたために支持層から唾棄され、淘汰されてしまったのである。
そうやってあまりに穏健で妥協的なものが淘汰されるのは、民進党としては正常なことなのであって、「過激化したから駄目だ」というのは、政党が明確な理念によって集まる集合体であるという基本を理解していないし、「過激派ばかり」で固まることもありえず、常に内部で穏健派と強硬派に分化するという政党の自然な生態がわかっていないとしか言いようがない。

もっとも、李昆澤氏を落として、不正事件で起訴されている林進興が公認になるというのは、やはりやりすぎだ。これでは馬英九のことを批判できないではないか?

蒋介石の曾孫が自己反省と国民党批判を展開

2007-05-24 22:51:21 | 台湾政治
蒋介石の曾孫にあたる蒋友柏氏がこのほど香港系台湾週刊誌「壱週刊」のインタビューに答え、「蒋家が台湾人民を迫害したことについて批判を受けるべきだ」などと答えた。23日に発売された第313号(5月24日)74-78ページに掲載されている。
蒋友柏氏は、蒋介石の息子、蒋経国の末子・蒋孝勇の長男にあたる。1976年9月10日生まれで現在30歳。「橙果設計公司」というデザイン会社を経営している。
まず、蒋友柏氏は、自らのデザイン会社が最近中国に支社を設けて中国進出を果たしていることについて、台湾を踏み台にしているのかという質問にも「台湾は絶対に踏み台ではない。台湾は私の永遠の家だ。ここが私の始まりであるし、また終焉の地でもありたい。大陸は単に進出対象の市場に過ぎない。そこに行くことでアジアにおけるいろんなトレンドをリードすることができるだけだ」と強調した。
三立テレビが228事件ドキュメンタリーで、228事件とは違う、上海における共産党員殺害の画像を放映したとして統一派メディアが騒いだ問題についても「国民党は馬鹿だ。国民党は殺人を犯したことがないのか?やっている。それは事実だ。だから上海で殺したか台湾で殺したかは重要なことではない。馬鹿なことに、228は普通は2月に騒がれる問題だが、あなた(国民党)は5月になって228で騒いだ。そうした民進党が勝つに決まっている。228に関する話題の時限を(国民党は自ら)引き伸ばしたからだ」と国民党を批判。
また、現在政治の表舞台で活躍している国民党のエリート青年(連勝文ら)について「彼らはかつて国外に送られて勉強したが、しかし戻ってきてからは民主主義の観念を持ち帰ることはなく、現状の流れるままに役割を演じているだけだ」と厳しい批判を投げかけた。

この発言は波紋を呼んでいる。
国民党はかなり動揺を隠せないようで、帥化民という軍系保守派立法委員にいたっては「蒋友柏氏はまだまだ子供だから歴史理解が浅いだけだ」などと酷評、蒋経国の妾腹の子・蒋孝厳と馬英九は「彼の発言は尊重するが、蒋介石の功績は罪よりは大きいと考える」、国民党保守派として有名な蒋友柏氏の母親つまり蒋孝勇の未亡人である蒋方智怡は動揺のあまりノーコメントだった。
逆に、緑系のテレビ民視と三立は23日夜の討論番組で大きく、肯定的に取り上げた。ただ、意外なことに24日付けの各紙は扱いは小さく、自由時報が7面の下のほうでわりと小さく扱っていたのは理解できない。

蒋友柏氏の勇気ある発言に拍手を送りたい。特に現在「脱蒋介石化」が進み、中正記念堂も「台湾民主記念館」に改名されて青と緑の対立が続くなど敏感な時期に、あえて台湾派の立場を明確にしたことは評価できる。
もともと氏には台湾派だと思われる節があった。それは2年前くらいに雑誌インタビューで、台湾に戻ってきてデザイン会社を立ち上げた理由について「米国にいたときに台湾の知名度がなかったことに納得できなかった。台湾の知名度を高めるために仕事をしたい」という趣旨のことを話していたからである。「壱週刊」の記事でも、蒋友柏氏は蒋経国の死亡とともに家族でカナダに移住、蒋友柏氏自身は米ニューヨーク大学に進んだが、1996年に父親が急死したことで、学業を放棄、商売を志した。しかも蒋家4代目としては只一人台湾に戻り(2000年)、さらに現在のデザイン会社を立ち上げた。今では会社は発展し、40人の従業員を抱えているという。
蒋友柏氏の場合、自己の才覚でデザイン会社を発展させたといえるし、その自信が上記のような発言につながっているのだろう。壱週刊も「父親がいまだに権力を持っている」連勝文らと、父親を早くに失った蒋友柏氏とを対比している。

移民も3代たてば移民ではなくなるし、極悪非道の犯罪者の息子や孫が犯罪者であるわけではない。蒋介石は憎むべき独裁者であり、歴史の審判を受けるべきであるし、その一族の生き残りもろくでもない人間が多いのは事実だが、この曾孫は聡明だといえる。彼はすでに意識としてはほぼ完全に台湾人であろう。もちろん外省人といってももはや30歳前後から下はほとんどが蒋友柏氏と同じような感覚や認識であるが、蒋一族に生まれながら、ここまで認識したことは立派だといえるだろう。
(世界のほかの下手人一家と比べてもそういえるだろう。日本でも東條英機一家は相変わらず往生際が悪いのがいるから)

そういえば、蒋友柏氏はかなりハンサムだ。よくハンサムだといわれる馬英九はもはや爺なんだし、キモイとしかいえないが、蒋友柏の場合は文句なしにハンサムだといえる。しかも、顔・意識・能力の三者加味すれば馬英九なんかとは比べ物にならないのではないか。
そもそも、馬英九はとっとと消えて欲しい。あんなろくでもない野郎がまだのさばっているのがわからない。ついでに連戦親子も。
胡志強は良いだろう。磊落で「中華民国主権」意識は確かで、直言的なところもあるから。
蒋孝厳は微妙だ。能力は認めるし、李登輝時代には開明派として動いていたこともあるだけに、最近の反動的発言は許しがたい。

「キリクとカラバ」ミュージカルがフランスで10月に登場!

2007-05-16 03:48:46 | 芸術・文化全般
「キリクとカラバ」ミュージカルがフランスで10月に登場!
西アフリカの伝説からヒントを得たフランスのアニメ「キリク」のミュージカル、以前から噂されていたが、この前パリに行ったとき、ミュージカル公演が行われるという情報を得た。
題して キリクとカラバ Kirikou et Karaba、10月3日から12月31日までパリ9区のカジノ・ド・パリ Casino de Parisで公演予定とか。

台湾語吹き替えの日本アニメDVDとVCD

2007-05-15 00:29:34 | 台湾言語・族群
今日久しぶりに台北駅近くのCDショップをのぞいたところ、台湾語吹き替えの日本アニメがいくつか出ているのを発見した。

齊威國際多媒體( http://www.pimgroup.com.tw/)というところが出している「台語卡通系列」というもので、
シリーズ01が
天方夜譚


「アラビアンナイト シンドバッドの冒険」として日本では1975-76年に放映。
ちなみにこれは現在客家テレビで客家語(四県)吹き替えバージョンが放映されているし、実はアラブ世界でもアラビア語吹き替えバージョンが人気で、レバノンやシリアでよくVCDを目にした。
http://shopping.pchome.com.tw/?mod=item&func=exhibit&IT_NO=CBAE10-A09983168


シリーズ02が
湯姆歷險記
「トムソーヤーの冒険」として日本では1980年に放映。
http://sh1.yahoo.edyna.com/gull/item.asp?item_id=385715


シリーズ03が
極道鮮師


「ごくせん」、ドラマ版が仲間由紀恵の主演で爆発的人気を得た(台湾でも何度か放映されているし、このドラマは面白いと思う)が、アニメは日本では2004年に放映。
http://www.pimgroup.com.tw/subject/cartoon1.asp?cid=1&kid=12&sNo=130
http://tw.page.bid.yahoo.com/tw/auction/1154516698?u=shyh815


シリーズ04が
花田少年史


同名で日本では2002-03年に放映。
台湾語吹き替えは2005年に華視(中華テレビ)で放映され、好評を博した。このシリーズでもこれの売れ行きが一番のようだ。
また、客家テレビで客家語バージョンも放映された。
http://shopping.pchome.com.tw/?mod=item&func=exhibit&IT_NO=CBAE0A-A03028654 (DVD)
http://shopping.pchome.com.tw/?mod=item&func=exhibit&IT_NO=CBAE06-A10789799 (VCD)

李登輝の「中道左派」発言の錯乱 右派志向の林建良はなぜ李登輝を批判しないのか?

2007-05-13 03:09:11 | 台湾政治
李登輝の最近の主張で対中傾斜以上におかしなのは、李登輝が「中道左派勢力の立ち上げ」をぶち上げたことである。
李登輝は90年代から2001年に台連を立ち上げたころまで目指していたのは、「台湾における自民党、つまり圧倒的な穏健保守勢力をつくって、政局安定させる」ことにあったはずだし、実際台連の思想傾向を見ても中道左派ではなく、中道右派や右派というべきものである。
そして、だからこそ李登輝は90年代から2001年ごろには成功し、力を持ったのではなかったか?

台連および李登輝が本土派の基本を堅持しながら、民進党と異なる自己定位を目指すなら、それは90年代から李登輝がいってきた「台湾の自民党」つまり中道右派と位置づけるしかない。
李登輝の日本における代弁者ともいえる林建良も、2004年に陳水扁のリベラル=中道左派志向を「中国に対するリベラルは悪だ」(http://rinnkennryou.blog24.fc2.com/category22-1.html)などと批判、また、民進党は本土リベラル・左派である以上、台連は本土保守を目指し、それによって民進党と台連は台湾国の二大勢力として競争していくべきだ、などと主張しているのである(http://www.wufi.org.tw/dbsql/jshowmsga.php?id=256)。

そもそも中道左派というなら、民進党こそが正真正銘の中道左派リベラル政党であって、それは反抗的文化、反原発、人権・弱者・福祉重視、平和軍縮志向、多元外交(日米を基本とするが反米国家とも交流を排除しない)などに示されている。また中道左派ならそれなりに市民・労働運動の基盤がないといけないが、本土派の環境団体、女性団体、反戦団体、労働団体の多くは民進党と関係が深いものであって、台連とはほとんど関係がない。
民進党は確かに政権獲得以降は、新自由主義の世界に妥協したり、財界に傾斜して、以前ほど左派色は見られなくなったのは事実だが、それでも台湾の主要政党としてはいまだにもっとも左であり、アジアの政権党の中では最もリベラルであることは疑問の余地はない。

中道左派として民進党が存在しているにもかかわらず李登輝や台連が「中道左派を目指す」といった背景には、どうやら李登輝が「若いころ社会主義に惹かれた」ということをやたら強調していて、「右派であることは恥ずかしい」と思っていることにあるようだが、いずれにしても、李登輝や台連が中道左派志向を目指すというのは錯乱というしかない。

意地悪く見れば、本土派中道左派として民進党があるなら、もう一つ余分に中道左派を目指すというなら、それは統一派に傾斜するしかないことになる。事実、台湾の左派勢力は環境、女性、反戦団体では本土派が優勢だが、労働運動の一部には統一派の夏潮系統も巣くっている。民進党と左派資源を分けあうとするなら、明らかに左派市場で後発の台連は統一派に寄るしかないのだ。それが私が「諸君!」で李登輝を対中傾斜と非難したもう一つの背景である。

ところが、私のそうした危惧を知らずか、台湾の左派事情に疎い林建良は逆に、私に狂ったような反撃を加えてきたが、「李登輝は保守」だといってきた林建良がまず反論するなら私にではなく、「中道左派」などとぶち上げた李登輝をこそ厳しく批判しなければならない。
でなければ林建良こそchau-phuiであり、食言屋であり、思想などない日和見分子だといわれても仕方がないだろう。

そもそも林建良にとっては、中道左派つまりリベラルは「悪」ではなかったのか?まして、本土左派市場と資源はほとんど民進党に独占されている以上、新たに中道左派資源獲得を目指すなら、政治力学からいって統一派になるしかない。だとすれば、李登輝の「中道左派」発言は危険な兆候である。どうしてそれを林建良は批判しないのか?
つまり林建良は単に李登輝に盲目的に追従しているだけであり、結局、思想などないということが、今回の林建良一派の攻撃で示された。右派を目指し、現実に右派である林建良や台湾の声一派が、どうして「中道左派」の李登輝を攻撃しないのか。
とんでもないダブルスタンダードであり、自分たちの集団利益のためには思想はどこかにいってしまうのは、台湾人というよりは中国人のそれではないのか?
林建良にはろくな思想はない。あるのは個人崇拝だけであり、林建良のいう「台湾独立」も実は中身は空虚なのである。
しょせん最もひどい時代の国民党教育を受けた40-50代の台湾人の「思想」と行動はこの程度なのだろうか?

李登輝が改心?

2007-05-13 03:05:34 | 台湾政治
対中傾斜しつつあった李登輝・前総統がどうやら最近改心して、再び本来あるべき路線に戻しつつある兆候が見られる。
10日、すでに炎天下の台北市で、台連議員が国民党が予算審議を妨害していることに抗議して座り込みをしているところに李登輝が笠をつけたラフな格好で現れて、国民党を非難し、予算案を一刻も早く通すことを訴えた。
また、後藤新平賞の授賞式のため、5月30日から日本に向かい、「奥の細道」路線をたどる計画も発表した。
これは評価できる。

これは昨年の「陳水扁打倒」運動に付和雷同した発言をして以来、今年1月末から2月にかけての一連の台湾・日本のメディアインタビューの発言で極めつけになった反民進党、反独立、反日、対中傾斜を再度修正して、元の正しい路線に戻る兆候であると受け止められている。
10日炎天下で座り込みの現場に現れて国民党批判を展開したことについて、民進党内でも評価の声が上がり、さらに昨年以来李登輝には批判的でほとんどニュースで報道してこなかった三立テレビもこれを好意的に大きく伝えた。

李登輝ともそれなりに連絡がある急進独立派団体に務める旧友に最近会ったところ、どうも李登輝の改心は私が「諸君!」で李登輝の対中傾斜を批判したことがきっかけだったという見方をしていた。本当かどうか知らないが、少なくともそういう見方が独立派の間で流れているのは事実のようだ。特に右派の「諸君!」で批判されたことがショックだったようで、李登輝は本来の自分のあるべき立場と姿を再度考えなおしたようだ。
もちろん、それには状況に応じて常にスタンスを変えてきた李登輝らしい計算があると思われる。つまり、昨年から今年2月にかけて李登輝は民進党の今後に悲観的だったから馬英九を評価したり、対中傾斜してみたが、その後民進党の党勢が復活し、さらに李登輝が以前から個人的にも気に入っていた謝長廷が総統候補に決まったことで、民進党、独立、親日の路線に回帰したのであろう。

その点では、「諸君!」でも指摘したように、日和見もいいところであるし、もう少し注意深く観察しないと本当に改心したのかわからないが、李登輝はいかなる場合があっても、やはり急進独立的で、親日的で、民進党をさらに深緑の方向から監督するという姿勢でいてくれないと、私も困る。李登輝が日本や緑を棄てて対中傾斜するのは、もともと無理であり、それこそ李登輝という人間の存在意義を無にする誤った発想である。これは陳水扁に無視され批判されたり、昨年末の選挙で台連が泡沫化したことでメンツがつぶれて一種の錯乱行動だったと思われる。

蘇貞昌行政院長が電撃的に辞任!

2007-05-13 03:04:59 | 台湾政治
民進党党内予備選挙で敗れた蘇貞昌行政院長は12日電撃的に行政院長を辞任した。11日に辞表を陳総統に提出したところ、7回目にして認められたらしい。
今回辞任した背景はおそらく、予備選挙の敗北でメンツがつぶれたことがあると思われる。さらに、その後蘇直系議員や蘇を支持してきた新潮流が往生際の悪い言動を行ったことで、さらに蘇貞昌氏への評判が悪化していることも原因につながったのであろう。
なんとしても蘇を守り立てたいw統一派メディアなどはこれを「蘇が副総統候補となる可能性が高まった」などと喧伝したり、あるいは民進党の内部分裂という印象操作をしたいあまり「謝長廷との対立」を書き立てたりしている。

しかしいずれもその可能性はあまりないだろう。
副総統候補はこれまでの例からいえば女性になるのが暗黙のルールであり、その点では女性で客家人で急進独立派ではあるが、同時にキャリアウーマン経験もあって中産層にも受け入れられる葉菊蘭が順当であろう。
また「謝との対立」にしても、蘇貞昌自身はそれほどわだかまりはないのではないか?客観的に見て蘇貞昌は外交や国防など大局論は苦手で、総統というよりは地方首長レベルのタマだと思う。また台湾省議員のときはきわめて良かった。本人もそれを自覚していて、おそらく地方首長以上の野心はなかったのではないか?それが新潮流や統一派メディアにおだてられて、なぜか間違って総統レースに加わった、というのが真相だろう。だからこそ党員投票で謝長廷に大きく水をあけられたときに、いともあっさりと辞退したのはそういうことなのではないか?
ところが、蘇直系や新潮流はそれでは困る。そこで大騒ぎして謝長廷やその直系、謝を支持した三立テレビなどのバッシングを展開したが、そうすることでさらに民進党内での反感を買うだけとなった。
そういう点で、蘇直系や新潮流の常軌を逸した「贔屓の引き倒し」が結果的に蘇貞昌の凋落を進めてしまったといえる。

蘇貞昌はもともと民進党内ではそれほど人望はない。
というのも、「下」のものに対して、あまりに酷薄というか厳しく威圧的だからだ。ただし、省議員だったときには有権者からの陳情を的確に処理したり、地方の議員や首長としてはきわめて有能だったことは事実で、省議員時代の評判のよさは、私も以前から耳にしている。だが、台北県長になって、さらに党主席になってからの評判はそれほど良くはない。
ところが、だからこそというべきか、民進党の矛盾を煽りたい統一派のメディアにとっては格好の材料だったのだろう、統一派メディアは「蘇貞昌こそが次期総統候補」と盛んに煽った。その好例が中国および統一派の手先として動いている本田善彦で、彼の著書「台湾総統列伝」というトンデモ本(蒋経国を「リベラルな独裁者」などと賞賛して、李登輝を「ダーティ」などと酷評するからトンデモという以外にない)でも、民進党の次期総統候補を蘇貞昌だけ書いて、謝長廷をまったく無視していた。

また、独立問題についても、昔から穏健派で、急進独立派とはまったく接点はなかった。これは謝長廷が表向きは穏健派というか、戦術的に妥協もしながら、実際にはその部下の多くが急進独立派であることに見られるように、実際には急進独立派とは強い接点を持ってきたこととも異なる。その蘇氏が今年2月になって急に「正名」を進めたのは、おそらく党内予備選挙で急進独立派にも強い基盤がある謝長廷を切りくずすことが目的だったのだろう。そして一部愚かな知識人は、こうした「俄か」の行動に幻惑されて、蘇氏支持に回った。しかし党員の多くを占める庶民層はそうした一時的なポーズには騙されなかった。結果を見れば明らかだが、民進党の一線は圧倒的に謝長廷を選んだ。これは台湾人は庶民ほど賢いという従来からの私の主張を証明したものだ。庶民層は蘇貞昌の俄かポーズには幻惑されず、本質を見ていたのである。

もっとも、私は以前から蘇貞昌も党内の候補の一人であることは認めていた。ただ、それでも謝長廷のほうがはるかに有望であり、結果的に謝になるだろうと指摘してきた。以前から謝長廷のほうが党内や支持層での声望や評判は高く、党内の人脈も経営していて、さらに総統に必要な外交問題での識見も経験もあったからである。
ところが、私がそう指摘していると、民進党の党内事情を知らない日本人には、それを言下に否定して「蘇のほうが有望だ」などと反論したアホが多かったが、ところが事実は謝になったのであり、それは党内事情を知っていれば数年前から予想されたことなのである。

日本ではどういうわけか最近俄かに台湾情報が流入したため、断片的な情報や統一派メディアを盲信して、いい加減な情報や主張が飛び交っている。蘇貞昌が有望で謝長廷を無視した主張もその類である、
これに対して「よく知らないから」という言い訳をする人が多いが、知らないなら、何も発言しなければいい。知らないくせに、間違った憶測をするほど、愚かで有害なものはない。まして知らないくせに、党内事情をよく知るものの的確な分析を受け入れようとしないのは、身の程知らずというものである。

それはそうと、後任の行政院長は張俊雄、副院長が邱義仁の名が取りざたされているが、本気か?

「中正紀念堂」を「民主紀念館」に改名 しかし「占領史紀念館」のほうがいいのでは?

2007-05-13 03:04:20 | 台湾政治
台湾政府行政院は9日、「国立中正紀念堂管理処組織条例(特別法)」(中国語では記念は紀念とする)を廃止、国立三級施設だった同記念堂を四級施設に格下げし、管理規則を法律ではなく政令レベルにすることを決めた。これによって蒋介石の忌み名の中正を称揚するため、蒋経国時代に建てられた同記念堂は、独裁者崇拝施設としての名目を失った。
これに対して、国民党保守派が市長になっている台北市をはじめ国民党陣営は反発しているが、反発するほど国民党が独裁者を賛美する反動ファッショ勢力としての本質が明らかになるだけであり、来年の総統選挙で国民党が政権を奪回するチャンスはますます遠ざかっている。

今回の名称改正は遅きに失した感はある。というか、民進党政権がこれまで「少数与党だから法案が通らないので、進められない」といってきたことが、実は単なる言い訳に過ぎなかったことを、今回の「法律廃止、政令レベルに改める」措置にとって実は立法院に諮る必要がなく、行政府の裁量で可能だということが明らかになった。だったら今までなんだったのか?
これは法学を台湾で学んできた私も、従来から指摘していたことである。そもそも台湾の現在のシステムは、まだまだ国民党独裁体制時代のものを引きずっている。ということは、逆にいえば、行政裁量の範囲がきわめて広く、実は立法院に諮らなくて行政裁量で一方的に解決できる部分が多いのである。

そうはいうものの、とりあえず脱蒋介石の措置そのものは賛同したい。
とはいえ、やはり改名後の名称もどこか間違っている。それは中身は相変わらず蒋介石の銅像が鎮座しているだけの独裁者顕彰施設なのに、それを「民主記念」と名乗ることは、それこそ民主主義への冒涜ではないのか?
別に蒋介石の銅像を壊したり移せといっているのではない。独裁政権時代の愚かな歴史の一こまとして、歴史の教訓として、この愚かな施設は残すに値すると思う。だったら、名称は「民主記念館」ではなくて、「占領史記念館」にすべきではないのか?

実際、ソ連から独立し民主化したバルト三国には必ずそれぞれの首都に「占領史博物館」が存在している。リトアニアのそれは確かかつてのKGBの施設を利用したものだったはずである。
であれば、蒋介石という忌まわしい殺人鬼、妄想狂の独裁者を記念する施設を改称するには、「民主記念館」などではなく、「占領史記念館」がもっともふさわしい。できれば、孫文を含めた国民党独裁に関係するすべての文物、さらには日本や清朝やオランダ、スペインの占領に関する文物を集めて、過去の誤った歴史の教訓とすべきであろう。

基隆市長補欠選挙、異常な低投票率のため、ダーティーな国民党候補が圧勝

2007-05-13 03:03:45 | 台湾政治
許財利・前市長が急死したことにともなう基隆市長補欠選挙が12日実施されたが、投票率はほとんど台湾選挙史上最低ともいえる40.55%で、国民党公認の張通榮候補が5万6115票(48.67%)を獲得して当選した。親民党員で無所属出馬した劉文雄候補は3万0954票(26.85%)、民進党公認の施世明候補は2万6908票(23.34%)にとどまった。ほかに無所属の泡沫張通賢候補が1105票、張潮鐘候補が206票。有効票数は11万5288票。

同市の人口は38万人、有権者は28万人、客家人と外省人が25%から30%のほかはホーロー人だが、北部であるため青陣営が強く、緑と青の基礎票比は4対6と見られ、実際2004年総統選挙では陳水扁40.56%に対して、連戦59.44%とほぼ4対6だった。
市長選挙だけで見ても、1997年の県市長選挙での躍進時に市長が当選したときには、投票率が67.04%と高かったこともあって42.75%を獲得、その後は2001年には投票率が63.07%と落ちたのに加え、青陣営が団結したこともあって41.91%で破れ、2005年には投票率64.05%、緑陣営が台連に相乗りしたが31.46%にとどまっていたが、ところが、今回はそれらを大きく下回る最低の記録となった。
これは、そもそも投票率があまりに低かったことが挙げられる。
一般に投票率が低いと、民進党には不利である。それは廟などを通じた組織票がある国民党支持層が投票に行っているが、理念だけでこれといった組織がない民進党支持層が投票に行っていないからである。逆にいえば、地縁血縁に関係なく自主的に判断する有権者であれば、イマドキの台湾意識が高まっている台湾で、ちょっと「中国国民党」には投票にしくいので、常識的には民進党に入れる。ところが、今回は4割という低さで、これでは自主的に判断する有権者がほとんど投票に行っていないことは明らかだ。
それから、民進党候補のタマが悪すぎた。市議員とはいえ、選出区以外での全市的な知名度がほとんどなく、顔を見てもなんとなくドロくさくうさんくさい。同市でそれなりに知名度がある王拓は今回出馬しなかった。

そのため民進党支持層の一部が「反国民党」ということで、知名度がある劉文雄に流れたのではないだろうか。
事実、劉文雄陣営では敗北後、「2008年は誰に入れる?」と司会者が叫ぶと、一斉に「謝長廷!」の声があがり、少数が馬英九と叫んだところ、他の支持者に取り囲まれて追い出される、という事態が発生した。
劉文雄は親民党とはいえ、2005年に陳水扁が宋楚瑜と和解をしたときに真っ先にそれを支持したり、2005年の市議員選挙でも一部民進党候補を応援するなど、親民党内では本土寄り穏健派と知られている。また、劉文雄は1997年に国民党公認で出馬したが国民党系の分裂で敗北、2001年には「国民党公認を支持すれば次回は譲る」といわれて国民党公認支持に回ったが、その約束は2005年には反古にされており、今回も国民党の攻勢がすさまじく、劉文雄が国民党に反感を抱いたとしても不思議ではない。

もっとも、これは国民党の横暴に対する一時的な反応で、まだまだ10ヶ月もある総統選挙まで本当に劉文雄陣営あるいは親民党が謝長廷に流れるとは断言できない。しかし、いまだに国民党に流れず親民党にとどまっている人は、国民党からの疎外感を感じているのは間違いない。
今回の選挙は表面的には国民党候補の圧勝となったが、実際には親民党の国民党からの遊離、民進党支持層が反国民党で親民党候補に流れた現象を見れば、実は馬英九にとっては大きな問題を抱え込んだことになる。
国民党にとってそれ以上の問題は、急死した前市長の許財利も汚職で有罪判決を受けていたこと、また今回当選した張も同様に汚職に関係していたことであり、たまたま低投票率で組織票のため勝ったといっても、全国的にイメージはさらに悪化した。
それに市長レベルの選挙では、住民サービスに直結するから、有権者は地縁血縁で選ぶが、来年の総統選挙ともなると、地縁血縁でなく、台湾意識の有無が投票判断の大きな要因となる。
つまり、今回の民進党の低得票が、今年末の立法委員選挙や来年の総統選挙の全国的得票にはまったく直結しないどころか、その逆になるだろうということである。

フランスの歌手カロリーヌ・ルグランって、なんで一発屋で終わったんだろ?

2007-05-11 01:54:31 | 芸術・文化全般
フランス文化の話題を。
たまたま以前飛行機の中で知ったカロリーヌ・ルグラン Caroline Legrand というフランスで80年代の一時期に活躍したヴァリエテ歌手がいるんだが、今回その最大のヒット曲だった J'aurais voulu te dire が入っている懐メロのコンピラシオン・アルバム Le Quart D'Heure American, Vol. 2を買ってきた。これには他にもエマニュエル夫人のテーマ曲、78年から80年代にかけて大ヒットしたミュージカル、Starmaniaスターマニアの中で人気がある曲 Les Uns Contre Les Autres、ジェーン・バーキンのカバーで知った Pull Marine、ノートルダム・ド・パリで有名なトリオ曲 Belleなども入っている、かなり美味しいアルバム。
で、こうやってちゃんと聞くと、J'aurais voulu te direって名曲だし(特にサビの部分ってフランス的だな)、Caroline Legrand 自身も歌は割りとうまいし、声もけっこう好みだし、顔もまあ割りとかわいげな顔なのだが、どうしてほとんどこの曲一発屋で終わって、今ではほとんど落ちぶれてしまったんだろうか?
まあ、この手の実力はあるのに、なぜか一発屋で終わった歌手って日本でもけっこういるんだが(逆にいえば、倉木麻衣って絶対一発屋で終わると思ったんだけどなあ)。
同じ時期にデビューしたパトリシア・カースはいまでもフランス語圏全体でけっこう人気があるし、私も好きではあるが、条件としてはそれほど変わらないのに、この落差は何だろう?カースのほうがハスキーで特徴があるし、実際にコンサートは見たことがないが、わりとカリスマ性がある気もするし、多分運というのが大きかったのかも知れないが、不思議だ。

そういえば、スターマニアの Les Uns Contre Les Autresも、なかなかよろしい。思わず、ようつべでこれも含めて有名曲を見たが、なかなか良いな。さすがフランスでかつて大ヒットし、今でも根強い人気を誇り、あのケベック出身のセリーヌ・ディオンも持ち歌に入れているだけのことはあるな。
ちなみに、セリーヌ・ディオンって、ケベックでデビューしたころって、とてもイモかったんだよね。あれは笑った。

セリーヌ・ディオンといえば、フランスで活躍している歌手とか作詞作曲家ってけっこうケベック出身が多いんだね。ノートルダムに出ていた Garou もそうだし(今は下火だが)、Les Uns Contre Les Autresを歌っている Fabienne Thibeault、作詞ではスターマニアとノートルダムを手がけた Luc Plamondon なんかもそう。
そういえば、世界的に若者に人気のカナダ出身のロック歌手 Avril Lavigneってのがいるよね?彼女も名前からわかるようにフランス系(でもフランス語はできないらしい)。ただ、私は彼女の顔は嫌いじゃないが、歌は嫌いだ。どこがいいのかわからん。つまらんと思う。これは歳のせいなのか?

相次ぐ統一派の失態 三立バッシングは藪蛇に 馬英九は「台湾地区指導者選挙に出馬」?

2007-05-11 01:22:04 | 台湾政治
最近の統一派の大失態二件を取り上げる。

まず、統一派の聯合報が8日付けで、民進党寄りの三立テレビの228事件ドキュメンタリーで放映された画面が「228事件ではなく、上海で国民党軍が共産党員を処刑する場面だった」と指摘、「でっち上げだ」などと大騒ぎし、さらに統一派メディアがそれに便乗した問題では、10日には統一派メディアがこの件にほとんど沈黙するようになった。
というのも、228事件についていくら噛み付いても、ますます国民党や統一派の分が悪くなることに、いまさらながら気づいたようで、沈黙せざるを得なかったようだ。
ただし8日に三立が会見で、責任を映像を提供した228遺族に転嫁したことで、9日には統一派メディアがここぞとばかり騒いだという一幕もあった(この点は三立の失態)。しかし、9日午後には三立が「字幕に誤りがあった」として謝罪し訂正を約束。その足で映像を提供した228遺族阮美[女朱]女史にも会って謝罪した。阮女史謝罪を受け入れ、早速国民党の228に対する責任を指摘し、統一派メディアを批判、また他の228遺族も三立に加勢したこともあって、統一派は分が悪くなる一方だった。

統一派の大失態はもう一つ明るみに出た。というのも、先週、馬英九直系でスポークスマン格の国民党所属立法委員呉育昇が、衛星を通じた中国のテレビ局の取材を受けたが、ここで呉氏は中国が忌避する「中華民国総統」「中華民国立法委員」という名称を使わず、「馬英九氏は来年の台湾地区指導者の選挙に出馬する」と語り、さらに自らの称号は「台湾地区民意代表」となっていたことが大問題となった。
これはどうやら中国のテレビをチェックしている台湾の若者がYoutubeなどに投稿して、それを見てさらにBBSで問題視されたことで明るみになり、緑系の民視と三立が報じて広まったものだ。
騒ぎが広まったことを受けて10日、馬英九が呉育昇に「不快感」を示して「私が出馬するのは中華民国総統であって、台湾地区指導者」ではないと「注意」した、という。
しかしそもそも呉氏は馬英九の側近であり、呉氏の発言は馬英九の事前の同意と許可を受けていないはずがない。馬英九はおそらく台湾の民意や若者の情報収集力を甘く見て「よもや中国のテレビなど誰も見ていないだろう」とタカをくくったのだろうが、台湾の若者はちゃんとチェックしていてそれをこれ見よがしにyoutubeにアップして、さらにBBSで集中砲火を浴びせているのだ。ボーダーレスのネット時代の威力と台湾の今の若者の台湾意識の強さを馬英九が知らなかったとしたら、あまりにも無知である。
この件は台湾で深く記憶されるであろう。そして正式に総統選挙戦が始まるころには再びこの記憶が呼び出され、「馬英九の出馬資格」そのものが問われるだろう。それどころかそれ以前に馬英九の特別費横領事件は一審で有罪判決が下されることはほぼ確定的だ。一審有罪だけなら国民党の内規改悪で何とか出馬資格そのものは維持されるが、ただでさえ急速に下がっている馬英九の支持率は決定的に崩壊し、もし出馬に固執しても惨めな結果になるだろう。

いずれにしても、馬英九は来年の総統選挙では惨敗が必至。民進党に深く関わってきたある広告会社の経営者は「一審有罪判決が出ても馬が出馬するなら、謝長廷との差は20-30%、判決がなくても今回の発言で15%以上に広がるのではないか」と指摘している。
さらに今後もし王金平が党を割って独自に出馬したとしても、国民党本土派の票の一部を食うだけで、民進党には影響しないだろう。

日本のメディア、共同通信、週刊金曜日、月刊雑誌・世界、それからそれを盲信した一部の人は、かつて「馬英九で決まり」などとうそぶいていたが、現状を見てどう釈明するのだろうか?特に共同通信は特定の思想をもった政論雑誌ではなく、通信社でありながら、馬英九に肩入れしてきた罪は重い。共同通信は最近優秀な記者が定年退職を迎えたり、若手で優秀な人も辞めていったりで、国民党と同じ泥舟状態なのかも知れないが。

フランス大統領選挙、サルコジも穏健路線に?

2007-05-11 01:21:32 | 世界の政治・社会情勢
フランス大統領選挙で勝利したサルコジは、私はどうしてもあの顔が好きになれないし、見ると一日不快な気分になるほどなので、あまり語りたくないと、前回書いたが、いちおう少しは評価を書いておきたい。
結果発表のあった7日未明、BBCニュースを見ていた。サルコジの勝利演説は英語の同時通訳があったのと、後でRFIのニュースで文字を確認して内容を理解したのだが、勝利演説の内容そのものは悪くなかったと思う。
私が注目したのは、地中海欧州の連帯・連携を強化して連合を結成するという部分と、移民規制はするが同時に移民の元となっているアフリカに対する関心と援助を強化するといった部分だ。

サルコジは地中海連合について具体的にはポルトガル、スペイン、イタリア、ギリシャ、キプロスをあげていたが、将来的には勝利宣言の直後にお忍びで訪れていたマルタ、それからRFIのニュースで描かれていた対岸のモロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプト、それからフランスと関係が深いレバノンが含まれるべきだろう。
この点は評価できる。これまで欧州というと、ドイツや英国などの大国、しかも近代以降に発展した北側に偏ってきたが、人類の文明史から見れば長らく地中海が中心だったのであり、地中海に注目してそれを強調した点は評価できる。ただ惜しむらくはマルタとレバノンも言及して欲しかった。

それから第二点、移民は規制する一方で、「友愛」の精神から「アフリカが疫病や飢餓や貧困を克服して平和に暮らせるよう援助する」ことを謳ったことも、高く評価できると思う。というのも、そもそも欧米帝国主義の歴史こそがアフリカの貧困とフランスなどへの移民をもたらした原因なのだから、移民を規制するだけでは本末転倒であって、規制するなら規制するで建設的な代案、抜本的解決案を示さなければならない。以前サルコジは白人貧困層を代弁するかのように、ルペンと軌を一にして移民を「社会のクズ」などと呼び、規制を一方的に声高に叫んだだけだった。しかしこの勝利演説ではどこまで本気かわからないが、ともかくこうした主張をしたことは評価できる。

選挙期間はとかく極右的発言を引きずってきたサルコジだが、決戦投票の結果、国民の残りの半分近くが人権を重視する左派を支持したという現実がある。また第一回目投票では中道のバイルも健闘し、「右翼左翼の二極対立」が伝統だったフランスの政治に「中道」、第三の軸という楔を打ち込んだ。さらにサルコジ当選が確定してから左派を支持した移民系が反発する抗議デモを展開、暴動に近い状態になった。サルコジは石原慎太郎ばりの極右姿勢と弁舌さわやかさ、直言で一部から人気を得たが、一方では国民の半分近くがサルコジを強く拒否しているのである。政治は調整の芸術だとするなら、サルコジは彼を強く拒否した47%の民意を無視できない。
それが勝利演説の内容でも反映されたといえるだろう。

とはいえ、やはりサルコジには、強権体質、不正疑惑が取りざたされるうえ、アラブを重視してきたフランスの中東外交の伝統やサウジはじめ個人的にも密接な関係を築いてきたシラクとは異なって、親イスラエルであるため、アラブからの信頼を失う危険性もあるのが懸念材料だ。その意味では、人権を謳い、アラブとの関係を重視したロワイヤルが敗北したのは残念というしかない。しかし、まだまだ6月には国会議員選挙が控えている。社会党には分裂の可能性も取りざたされているが、サルコジが再び極右シフトさせないという大局にたって、是非ともバイルが狙っている中道勢力新党と左派が大同団結し、議会多数派獲得、首相獲得、コアビアシオンをめざしてほしいと思う。

聯合報はじめ統一派メディアがさっそく三立バッシングを展開

2007-05-10 02:49:04 | 台湾政治
◆聯合報による三立バッシング
民進党の予備選挙の結果、台湾人にしては策謀が優れているため、従って国民党陣営にとっては最も嫌な相手である謝長廷氏が公認候補に決定したことから、謝氏を応援してきた三立テレビに対して、統一派メディアが攻撃材料を何か仕掛けてくるだろうと思ったら、案の定、聯合報がやってくれました。
8日付けの聯合報は一面トップと第3面全部を使って、三立テレビが3月に放映した「228事件」に関する連続ドキュメンタリー番組の中で、台湾人を虐殺した国民党軍が基隆に上陸したという説明の背景画面として、228虐殺そのものではなく、上海において国民党軍が共産党員を殺害している場面を流していた、として、これを「捏造だ」として三立テレビを攻撃する報道を大々的に行った。
それを受けて8日の統一派テレビ局=TVBSをはじめ、中天、年代、さらに国民党の色彩が若干薄く日和見的な東森の各ニュースチャンネルは、鬼の首を取ったかのように三立の「でっち上げ」を猛攻撃した。聯合報は9日付けでも続報、当然統一派の中国時報も大々的に報道し、統一派テレビは9日も続けた。
その中でも案の定TVBSがもっとも激しくて、ニュースの時間をほとんどこの話題に割き、さらに討論番組でも三立バッシングをテーマにしている。
さらに国民党や親民党の立法委員も議会内外で三立を猛攻撃、さらに国民党系が事実上支配する放送監督機関・NCC国家通信委員会が「調査のうえ厳罰に処する」と主張した。

◆これは「捏造」ではない!国民党が政敵を虐殺する場面という点では同じ
彼らの主張は次の通りである。「放映された背景映像画面は、台湾における虐殺ではなくて、上海において共産党員を逮捕・処刑している場面であり、しかも時間も1947年ではなく、1948年である」「基隆に軍が上陸して虐殺したという説明も事実と違っていて、殺戮は後で行われたものだ」「国民党のイメージを故意に悪化させ、族群対立と怨恨を煽るものであり、告訴する」など。
しかし、こうした主張はお笑いぐさだ。
そもそも「でっち上げ」ということは、国民党が228事件で虐殺など起こしておらず、また引用された画面も国民党の行為とはまったく関係ない場合にのみ適用できる表現であって、228事件で国民党が虐殺を行ったのは事実である。
また引用された画面も聯合報や国民党自身が認めているように国民党が別の場所でも無辜の市民を手当たり次第に殺害してきた場面なのであるから、「でっち上げ」とはいえない。
また、「台湾ではなくて上海だ」というのも、国民党の「一つの中国は中華民国」論からすると、まったくおかしい。同じ「中国」の都市で行われた虐殺で、しかも228事件の虐殺の動機も同じく「共産党員を摘発して殲滅するもの」である以上は、台湾か上海かはこの場合重要ではなく、要するに国民党が政敵を残酷に弾圧し殺害してきたことが問題なのである。
さらに「殺害は上陸したときではなくて、あとで起こった」というのも、後で行ったなら、結局国民党が虐殺をおこなったという事実と罪は同様なのであって、時間と地点が若干違っているなら、それは歴史的考証の問題であって、違っているなら修正すればいいだけのことである。
「国民党のイメージを故意に悪化させる」の部分も、悪化も何もこれが事実なのだから、それが悪化というなら、国民党自身が自らが悪い政党であることを認めたも同然である。

◆謝長廷たたきの一環だが、228に自ら触れたことは自爆行為
要するに国民党側の動機は、国民党にとって最も都合が悪い謝長廷氏が民進党総統候補になったことで、それにもっとも「貢献」したと見做す三立を叩きたいという一心なのだ。またこれを通じて、228事件であたかも国民党が罪を犯していないかのようなすり替えを行いたい腹なのだろう。
しかし、そうした術策は、まだまだ台湾意識が広まっていない90年代初頭なら成功したかも知れないが、時代環境はまったく違う。
しかも228事件という国民党陣営がなるべく触れたくない話題に、228とは時期的に外れる5月になって、自ら言及して大騒ぎしたのは、明らかに国民党には不利であり、国民党側の自爆行為というしかない。

◆三立は誤っていない
本来これは、どこにも問題はない。三立側が謝罪すべき問題ではなく、再度問題のシリーズを放映して、問題の場面に字幕で詳しい注を加えればいいだけである。事実三立側は8日に記者会見を開いたが「ビデオは阮朝日記念会から提供されたものだが、そのときに上海の場面だとは説明を受けていなかったから、知らなかった。故意に歪曲したものではないし、映像そのものは事実なので、謝罪はしない。むしろ歪曲報道を行った聯合報を提訴することもありうる」とした。
ところが問題は、民進党内でも三立に敵対的な新潮流系が三立を批判したこともあって、9日になって三立は会見で「問題の画面では説明不足で字幕にも若干の誤りがあった。その点は謝る」として謝罪してしまった。
新潮流はもはや本当にどうしょうもない集団だな。これではもはや国民党の第五列ではないか。以前は私自身も新潮流には強く惹かれたが、ここ最近の言動を見て、すっかり嫌になった。

◆228遺族も三立を支援
ただ三立にも粗忽な点があったことは否定できない。それは8日の会見で阮朝日基金会を運営する228被害者遺族、阮美[女朱]女史に責任転嫁しようとしたことである。これには阮美[女朱]女史も怒り、他のテレビ局のインタビューで不満を述べた。しかし阮女史も賢い人だから、ここで三立をあまり批判することは統一派メディアに利用されるだけだと悟ったのだろう。9日午後になって三立の同番組制作担当者からの訪問を受けて和解、むしろ三立側に対して「228事件の真相について大々的に報道してくれたことは本当にありがたい」と語った。また別の228事件被害者遺族団体も記者会見を開き「事実は三立が放映した場面よりももっと凄惨なものだった。しかし三立がちゃんと228について放映してくれたことは、非常にありがたいことだ」と三立を応援した。
また民進党も「これは単なる字幕のミスに過ぎない。大きな問題ではない」という党論で一致、228事件の真相究明で国民党を追及する構えを見せた。
また三立と同じ緑寄りの民視の討論番組では、最近ドラマ視聴率で三立に水をあけられている競争がたきだからか、「三立の紹介の仕方は誤解を招くもので謝罪すべき」とはしたものの、後は民進党とほぼ同じ調子で「ただし228事件における国民党の虐殺は事実であり、国民党自身が真相究明を行う義務がある」と指摘している。

◆統一派のキャンペーンは裏目に
こうした声援を受けてか、9日夜の三立はニュースでは同日午後の謝罪から再度一転して強気の姿勢を取り戻した。阮女史ら228被害者遺族らの発言も紹介し、228事件の真相をさらに追及していく姿勢を明確にした。
つまり聯合報の怨恨にもとづいた短絡的な三立バッシングは、完全に裏目に出たことになる。国民党や統一派はもはやどうしょうもなく頭が悪いようだ。
台湾人は忘れやすく、まして今の若者の中では半ば風化していた228事件を、聯合報は自ら騒ぐことによって、寝た子を起こた。これで、国民党は歴史認識、歴史の真相問題でも苦しい立場に自らを追い込んでしまったことになる。実は聯合報や国民党の中に謝長廷系のスパイが潜んでいたりして自爆を誘導していたりしてw。