むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

反動国民党による露骨な干渉と圧迫に対して、公共放送の幹部が公開批判声明

2008-12-11 00:45:57 | 台湾その他の話題
馬英九政権とイ・ミョンバク政権は最近、共謀でもしているかのように似たような反動攻勢を進めているが、台湾では民進党時代にNHKや英BBCや米PBSをモデルにグループ財団化された公共放送網の報道・評論内容や人事に対する馬政権の干渉や圧迫が強まっている。これに業を煮やした「財団法人公共電視文化事業基金会」の幹部が連名で10日、四大日刊紙に意見広告の形で、公開批判声明を発表した。
新聞の実物をすぐに見れない人は、苦労網のサイトにも声明全文がある http://www.coolloud.org.tw/node/31674

直接の原因は、9日に国民党が絶対多数を占める立法院教育文化委員会と内政委員会が、公共放送網に属する公共電視台、原住民族電視台、客家電視台、宏観電視台(海外向け)の来年度予算を大幅に削ったうえで、付帯決議としてそれぞれ予算項目を執行したり、番組を製作する場合には、監督官庁の許可を受けなければならない、と決議したこと。
これに対して声明は公共放送の独立性原則を無視し、台湾のメディアの自由と民主主義を逆戻りさせるもの、と非難している。

英国のBBCや米国のPBSなど世界の公共放送は、中道左派リベラル路線を堅持し、時の政府を左の冷めた立場から批判的に意見するという役割が認められているし、大筋でそれが守られている。BBCなどは、フォークランド戦争時に政府を批判するからといって、英国政府が業を煮やして、国家直営放送を立ち上げようとしたこともあったほどだ。

ところが、国民党はそうした公共放送のあるべき姿を無視して、「国家が出資している放送だか官庁の監督を受けるのが当然だ」などと言い立てる始末である。イ・ミョンバク政権もまったく同じ理屈で、KBSやMBCへの干渉と統制を強めているが、まったく人民虐殺の罪を犯した反動ファシストの後身勢力というのは、自由や公共放送が何なのか、まったく理解できていないようだ。

いずれにしても、民主化を経て市民社会が発達した21世紀の台湾と韓国の現実を理解できないで、反動的な横暴の限りを尽くそうとしている馬政権とイ政権の寿命は長くはなさそうだ。しかも、米国でオバマ政権が近く登場し、日本も民主党に政権交代が確実になっているなど、リベラルへのゆれ戻しが始まっており、馬英九とイ・ミョンバクは外交的に孤立することは確実である。

政界引退して鳴りを潜めていた謝長廷氏がラジオ番組で復活

2008-12-11 00:44:58 | 台湾政治
3月の総統選挙で敗れて約束通り政界引退して、鳴りを潜めていた謝長廷氏が10日、自身も出資する台湾独立派台湾語ラジオ局、緑色和平電台(ラジオ・グリーンピース、FM97.3)の帯番組で再登場を果たした。帯番組は午後5時から6時までで10日から始まった「有影上大聲(u7 -iaN2 siong7 toa7-siaN、直訳すれば「本当に最大の声」、「声を張り上げて物申す」みたいな意味)」という名前で、謝氏が担当するのは水曜日で番組名は以前にも同局で持っていたのと同じ「長仔限時批(Tng5-e5 e5 han7-si5-phoe、長さんの速達便、長さんがそそのつど批判する、の二つの意味を込めている)」。
ほかの曜日は、月曜が葉菊蘭氏の「真情菊蘭香」、火曜が姚文智氏の「台灣派出所」、木曜は楊如氏の「卡神真會盧」、金曜が徐國勇氏の「勇仔講法律」。

初回の10日の内容は、自らが組織している「影子政府(影の政府)」の意味について台湾語で「有影」が「本当」、「無影」が「嘘」の意味になることを引っ掛けて「われわれこそ影のある(本当の)政府として、今の馬政権という影のない(偽物の)政府を監督する」と説明。その後、国際人権デー、公共放送に対する国民党の圧迫、民主主義や市民社会の歴史、批判精神の重要性、馬政権の司法機関による不当逮捕、現時点での社会運動、群衆運動の重要性などについて批評、力説した。特に9日に座り込みが終わった野いちご学生運動について「意味がなかったわけではなくて、少なくとも法改正の動きになった。運動がなければ国民党が法改正について議論することもなかっただろう」と評価していた。
ただ、今日はテンションが若干低いように思えた。謝氏は八字でいえば偏印の典型で、テンションの起伏が激しいんだよな。とはいえ、通り一遍のスローガンしかいえないし、下手な詩を発表して失笑を浴びた無教養な陳水扁と比べれば、さすが謝氏は教養豊かだと思った(中国大陸時代の国民党が聞一多らを暗殺したことも取り上げていたし。陳水扁だったら聞一多なんて知らんのじゃないかな)。

参考:
色和平電台・公式サイト http://www.greenpeace.com.tw
影子(影の)政府 http://www.shadowgov.tw/?p=news,detail,15219
謝長廷のブログ http://blog.udn.com/FrankCTHsieh/2460361
ほかに、 http://blog.roodo.com/lifeshot/archives/7773339.html

国際人権デーに、米国人人権闘士、リン・マイルズの書簡集出版記念会

2008-12-11 00:44:26 | 台湾社会運動
台湾の民主化と人権のために長年闘ってきた台湾在住米国人でアナーキスト、リン・マイルズ(Lynn Miles、梅心怡)氏のかつての書簡を集めた本の出版記念会(パネルディスカッション)が、国際人権デー(48年のこの日国連が世界人権宣言を発表)に、台北市の台湾大学医学院国際会議中心401号室で開かれた。
司会は東大留学の歴史学者の張炎憲氏、パネラーは黄昭堂氏ら台湾独立建国連盟関係者と、わりと日本とゆかりのある人で占められた。そういえば、最初にマイルズが指摘したように、日本でも70-80年代に台湾政治犯救出のために活動した人が少なからずいて、しかも川久保氏ら新社会党にも参加した生粋の左翼が多く、日本の独立連盟も当時はそうした左翼人権派と行動を共にしていたのだ。
今からは想像できないかもしれないが、いまや独立派を支援している右翼は、当時は蒋介石父子独裁政権べったりで、左翼の主流も中共マンセーで、そのなかで、まともに人権を考えていた人は左翼でも一部しかいなかったが、それでも左翼陣営にいたのである。
進行は主に北京語で行われていたが、黄昭堂氏は使い慣れない北京語で話すことがもどかしいのか、発言して少したつと「マイルズ氏は台湾語がわからないから北京語を使うんだが、台湾の人権運動を長年やっていて、台湾語がわからんとは何事か」と苦言を呈していた。これは思わず拍手しそうになった。

そうでなくても、リンは、とてつもなくズレた人だ。
今ならいざ知らず、70年代の民主化勢力や政治犯といえば、日本教育世代で、北京語はあまりうまくない人がほとんどだったはず。それでも北京語しかわからないのはズレている。もっとも、そういうズレた人だから、あの恐怖の時代に、身の危険にも無頓着で、運動をできたんだろうと思う。
もっとも、彼のアナーキストなところと、イラク戦争に抗議して米国在台湾協会の前で米国パスポートを焼却してしまった勇気は敬服する。当然、在外公館の前でわざと焼却したパスポートは再発行できるはずもなく、リンが持っているのは、難民向けの国際NGOが発行したパスポート。以前、見せてもらったことがあるが、本人いわく「使えるかわからん」とのこと。
もっとも、台湾での滞在資格は2006年に永久居留が認められたことから、問題ないし、彼は独特の母性本能をくすぐるところがあるのか、養ってくれる女性には事欠かない。そういう意味でも変わった人である。
私自身は日本人としてはきわめて変わった部類に属するという自覚と自負があるんだがw、リンや、もう一人民主化運動に関わった米国人で、これまた左翼だが、こっちは急進社会主義者のリンダ・アリゴ(Linda Arrigo、艾琳達、←おっと中文IMEでは一発で変換できた!)、それから社会民主主義者の米国人記者のデニス・エンバース(Dennis Engbarth)は、そんな私から見ても、信じられないくらい、とんでもなくぶっ飛んでいる超変人である(そういえばこの3人とも台湾語が全然もしくはあまりできないところも共通してズレている)。米国は政府や政治は保守一色でおかしいと思うのだが、こんな超変人を育てる度量があるという点で、市民社会そのものは多様で、懐が深いと思う。日本なら、リンやリンダやデニスみたいな人は、小学校のころにイジメにあって、自殺していただろう。そういう点では米国社会はスゴイ!そして、そんなやつを温かく迎えてくれる台湾社会もスゴイ!

途中用事があったので、最初と最後しか見ていないし、悪口を書き連ねたが、馬政権になって反動化している今、リンにはまだまだがんばってほしい。

野いちご学生運動1ヶ月目に1万人デモ

2008-12-08 13:04:11 | 台湾社会運動
中国特使台湾訪問時の過剰鎮圧に抗議して集会デモ法の改正などを求めて座り込みを続けている学生たちによる「野いちご」運動は、座り込み開始から一ヶ月の節目にあたる12月7日午後、「集会デモ法の自発的届出制への改正」を求める大規模なデモと集会を呼びかけた。好天に恵まれたことも幸いして、デモには最大時に1万人(同日夜の三立「大話新聞」)が集まった。ただし主催者側の発表では3千人、警察発表では1千人。私が見たところでは5千人強といったところか。
動員力のある民進党や有力市民団体の直接的支援がない中で、5千ー1万人規模を集めたのは、はじめてではないか。
デモは自由広場を出発して、中山南路で立法院前、忠孝東路を右折して行政院、警政署の向かい側を通り、林森南路で右折、済南路を右折、立法院裏手前を通り、総統府前広場にゴール、集会という形。

要求そのものにしたがって許可申請ではなく、自発的届出によるものだが、警察側は「現行法にのっとっていない」として受理せず、当日には取り締まりすらちらつけせていたが、多くの市民が集まる平和的デモだったこともあって、警察側はすくなからずの監視人員を動員したが、解散命令を出すことはしなかった。
それにしても、警察発表の1千人は明らかにおかしすぎる。道路許可申請が通っていなかったことから、道路をめいっぱい使えず、隊列は5列くらいが普通だったものの、先頭が林森南路にさしかかったころに、最後尾が出発したくらい多くの人が集まっていたのだから。しかも、学生だけでも1千人はいた。

そういえば、民進党政権のときには、デモや集会で警察の姿をほとんど見ることがなかったが、国民党になってからは、警察の姿が目立つようになっている。しかも同じ許可制でも、民進党時代は警察が許可しないことはなかったのに、今は恣意的に許可しないこともある。
韓国でもハンナラ党になってからは、同じようになっているようだが(ただし法の規定では届出制だが)、やはり市民虐殺の過去を持つ独裁政権の系譜に連なる反動政権はどこも同じようなものか。
日本はまだマシだと思うが、それでも東京都の条例は基本的には不許可にしない許可制で、隊列も4列に制限されているし、最近は麻生首相の私邸見学ツアーの若者が不当に逮捕されたりしているので、日本の自民党政権も国民党やハンナラ党をまねたんか、末期症状といえるのだろう。

そういえば、報道によればこのデモの前日の6日、李登輝・元総統が自由広場に現れて、学生たちと対話、激励、馬政権の権威主義を批判したらしい。
李登輝は陳水扁の逮捕の後でも不当逮捕を指摘しないなど、おかしなところがあるが、それでもこうした学生の要求には対応するなど、さすがなところはある。馬英九にはまったく真似できないところだ。李登輝は思想的には右派、保守だが、やはり民主主義の枠内にあって、決して馬のような反動ファシストではないということだろう。韓国でいえば、盧泰愚でなく、金泳三といったところか。もっとも、李登輝と金泳三は仲が悪いけどね。

ちなみに、野いちごの歌というのがあって、これをデモの学生は歌っていたが、80年代の台湾や韓国の運動歌だな、これは。懐かしい。
特に、韓国の運動歌の中で私が最も好きな「님을 위한 행잔곡 ニムのための行進曲」に似ているが、もっとそっくりな歌があったはず。だけど題名が思い出せないんだよな。



↓自由広場出発直後、「国家暴力に抗議する、政府は我らに答えよ」と横断幕




↓立法院前にさしかかったデモ隊




↓警政署(警察庁)前で警政署長(警察庁長官)辞任を叫ぶ




↓デモ終着点の総統府前広場で




台湾語ドラマ「鳥來伯與十三姨」の後継?番組「幸福白馬里」

2008-12-08 13:02:15 | 台湾言語・族群
三立台湾台で、台湾語のウイットやペーソスをうまく生かした番組として、台湾語学習にも有用なドタバタ喜劇シリーズ(雰囲気は「よしもと新喜劇」に似ている)「鳥來伯與十三姨」が今年末で終わるという話があったが、同じ場所設定で別のシリーズ「幸福白馬里」というのが8月ごろからやっている。これは検索すると、後番組という位置づけのようなんだが、同時並行でやっているし、本当に後継なのか、わからん。ただもっと喜劇性を強めたような感じだ。

実は漫画をちゃんと読んでいなかった麻生太郎、早く解散して民主党に政権を譲れよ

2008-12-08 13:01:49 | 世界の政治・社会情勢
麻生首相は、就任前までは、漫画好きだとか、特にゴルゴ13を愛読したり、ローゼンメーデンも読んでいるとかで、それなりに期待できると思っていたのだが、未曾有、踏襲、頻繁、後場などが読めないなど、スザンヌ並のおバカであることが判明した。
コミック週刊誌を20冊読んでいると聞いたときは、普通にあるのは20冊もないから、パピポあたりまで読んでいるんだろうと思って、感心したものだが、そうではなくて、単なるバカだったのだ。

確かに日中交流は頻繁というより繁雑なんだろうし、麻生にとっては村山談話は腐臭だったのだろう。また、別に漢字が読めれば賢いというわけではないが、それでも漫画を真面目に読んでいれば、漢字にルビが振られていることが多いので、未曾有が読めないはずはない。(もっともゴルゴ13は振り仮名はほとんどないが)
そもそも日本の漫画は考証や取材がしっかりなされている。下手な小説やノンフィクションよりもしっかりしていることが多い。文字だけだと誤魔化せることも、絵では誤魔化しが利かないし、ヲタクの突っ込みも激しいから、日本の漫画はかなり知的レベルが高い。

だから、麻生がバカだということを指摘するときに、「漫画しか読んでいないからマンガ脳」などと書いていた週刊文春や日本共産党の某代議士は、それこそ頭が悪いと思う。お前らの頭では、森川久美(あ、この人高校の先輩なんだわ)あたりのマンガは読んでも理解できないだろうってw。
だから、日本共産党は駄目なんだろうけど。
しかし週刊誌でもかなりレベルが高いはずの週刊文春も最近変だ。陳水扁逮捕後にその奥さんをバッシングしたり(法的手続きのおかしさを指摘しないのは、なぜ?)、雑誌の部数が全体的に落ち込んでいるので、ヤキが回ったのか?

そうではなくて、「麻生はマンガをまともに読んでいないからバカだ」と指摘するのが、正しいのだ。
多分、麻生がマンガの吹き出しはすっ飛ばして、絵だけ眺めていただけではないのか?
ゴルゴ13にしても、麻生の好きな銃の図柄を眺めるだけとかで、内容は読んでいなかったのではないか。

しかもこれで学習院大学出身というのも恐れ入る。出版編集者にも同大学は多くてわりと優秀だし、麻木久仁子、山本モナ(素行はともかく)と同じ大学出身とはとても思えない。もっとも世代が違うから、昔はもっとバカだったし、初等科から行っていると、三笠宮のヒゲなどアホな皇族がそうであるように、アホもいるんだろうけど。(と書くと、アホなウヨクどもが激怒して炎上することを期待w)

しかも麻生は人事、政策をほとんど福田を引き継いでいて、やる気も創意もない。自民党は麻生を引きずりおろして、小池か野田を担ぎ出そうと考えているようだが、もはや末期症状の自民党は何をやっても駄目。潔くとっとと解散して、民主党に政権を譲り渡せばよい。
米国もオバマ民主党、日本も民主党になれば、台湾の国民党と韓国のハンナラ党は困って自壊が早まる。
また、日本の民主党は自民党みたいに対中利権がない分、中国共産党は対処に困るし、今後崩壊が目に見える中国と距離が置きやすくもなる。

台北県、ハンセン病療養施設「楽生院」保存運動の学生たちを強制排除し,主要部分を破壊へ

2008-12-04 03:10:50 | 台湾社会運動
ハンセン病患者療養施設「楽生療養院」を破壊してMRT地下鉄車両基地建設を急ぐ台北県政府は3日朝、官憲を動員して楽生院保存を訴えて座り込んでいた学生や患者を強制排除する暴挙に出た。
保存運動の学生組織・青年樂生聯盟の公式サイト;http://www.wretch.cc/blog/happylosheng
左派社会運動の総合サイト・苦勞網の報道:http://www.coolloud.org.tw/node/31139
楽生院は日本統治時代の1930年、当時伝染病だという偏見の下でハンセン病患者を強制隔離する施設として設置、戦後も国民党政権が隔離政策を継承したが、民主化以降は療養施設となっていた。
しかし台北県政府が同施設を破壊して車両基地にする計画を立てたことから、これに反対する保存運動が起こった。
保存の目的は、日本統治時代以来の歴史的な建築物としての価値のほか、ハンセン病への偏見と戦ってきた歴史的記憶を保存する意味が込められている。

そもそも車両基地を楽生院がある場所に作らなければならない理由などなく、設置計画は明らかにハンセン病に対する偏見と戦いの歴史的記憶を抹消するための土建屋と政治家が仕組んだ暴挙である。
現在の県政は国民党極右派にあたる周錫瑋で、こいつが破壊するのはある意味で予想どおりだが、悲しいことに、もともと車両基地を作る計画を立てたのは、民進党県政のときだというところだ。また民進党寄りのメディアの中でも、前の蘇貞昌県長寄りの自由時報(台北県の土建屋がバック)は徹底して楽生院保存運動を敵視するという醜態をさらしている。
(もっとも民進党政治家でも、謝長廷だけは問題が起こった当初から、楽生院保存運動を支援している)。

保存運動を展開してきたのは、左派で、統一派も混じっているが、主力は台湾独立派左派である。保存運動の学生組織・青年楽生行動聯盟は、野いちご運動の主力とメンバーは重なっている。何よりも、この問題ほど、日本および中華民国と続いた外来殖民主義勢力による台湾の人権蹂躙の歴史を浮き彫りにし、本来の台湾主体性、台湾本土の価値を考えさせるものはない。

いずれにせよ、楽生院の撤去計画を立てた蘇貞昌、現在撤去を現実に進めようとしている周錫瑋は、台湾の価値への罪人、台湾進歩勢力への敵対者として、永遠に汚名が語り継がれることになろう。

「陳水扁逮捕」と「邱義仁坊主刈り」に国民党勢力からも高まる「人権侵害」との指摘

2008-12-04 02:34:37 | 台湾政治
陳水扁が逮捕・勾留されているのに続き、前から勾留されてきた邱義仁が坊主刈りを強制されたことから、台湾では「人権侵害では」という指摘が高まっている。
特にヒッピー風髪型がトレードマークだった邱義仁が坊主刈りにされたことから、こうした議論は高まっており、3日には国民党系の「中国時報」が社説で「這不是剃髮問題 是人權問題
(これは髪を切るかどうかではなく、人権問題だ)」として、陳水扁に手錠をかけたり、邱義仁を坊主刈りにしたのは、まだ有罪確定しておらず、起訴すらされていない人を罪人と見立てて、屈辱を与えようとするもので、人権侵害だ」と批判した。
また、国民党タカ派系の聯合報も3日付けの投書欄で、国民党所属の監察委員李復甸(日本留学経験者)が「上手銬、理平頭 剝奪羈押中人權(手錠をかけたり、坊主狩りにするのは、起訴前勾留中の人権を剥奪するもの)」として同様の趣旨で批判している。
その前に2日には、陳水扁バッシングの急先鋒だった法務部長王清峰も「手錠をかけたり、坊主狩りにするなど、勾留に関する措置は再検討の余地がある」と、民進党系政治家に対する一種の報復措置が不当であることを認めた。

国民党タカ派の一部ファシストは、陳水扁が逮捕されたことを「ざまあみろ」などといっているが、台湾の世論は国家元首経験者に手錠をかけ、裁判前にもかかわらず罪人扱いして酷い扱いにしていることに対して、急速に疑問や批判の声が高まっている。それもむしろ民進党よりも、国民党内から批判が出てきているのだ。
もちろん、タカ派勢力は、復讐心に燃えているので、そういう批判も無視して、陳水扁らへの迫害を続行するだろう。

だが、そうすればするほど、陳水扁は政治的に不当に迫害された英雄になってしまうのだ。陳水扁も先日下手な詩を発表して笑い草になった後、わりとおとなしくしているので、ますます同情を集めやすい状況になっているし。

過ぎたるは及ばざるが如し。一時の感情で過激な行動に突っ走った馬政権と検察当局は、台湾国民全体から糾弾される日は遠くないだろう。

台湾語映画「海角7号」やはり中国で上映禁止に、国民党議員まで呆れる

2008-12-04 02:34:07 | 台湾その他の話題
台湾で大ヒットした台湾語映画「海角7号」が案の定中国で上映禁止となりそうだ。台湾に訪問してこの映画を鑑賞した陳雲林が11月28日に中国で同映画は「皇民化の毒素がある」と批判したからだ。陳雲林は台湾で見た直後には「よい映画だ」などと絶賛していたが、中共中央で議論してやはり中国にとってまずいことがわかったのか、手のひらを返した格好だ。
これに対して台湾では国民党の外省人系もいっせいに驚きと呆れ顔だ。
自由時報12月3日 兩會協商「海角七號」登陸 斥大笑話によると、以前はかなりキチガイじみた外省人極右タカ派として知られていた李慶華立法委員が「陳雲林は台湾に来たときに絶賛していなかったか?それが今は上映禁止にするといっている。これは両岸の言論の尺度の違いを浮き彫りにしたものだ」と、台湾は中国と違うと言い出すまでにいたった。
また馬英九ですら、3日に中央ラジオのインタビューで「台湾は中国大陸と異なり、日本統治を受けたため、日本への感情が大陸と異なっている」と指摘した。

「海角7号」は台湾人と日本人の60年前と現在の恋愛を描いたもので、出てくる言語は台湾語、台湾華語と日本語で、民族もホーロー人と日本人が主で、客家人と原住民ははっきり出てくるが、外省人はあまり目立たない扱い。
民主化と本土化を経て、台湾社会では、外省人であっても、「反日」というものはなくなり、台湾を主体にした歴史観から、日本統治時代も台湾の歴史の一部として、功罪双方を冷静に見つめる視点が確立している。
台湾社会の中では、中国寄り、反日傾向があると見られている馬や李のようなタカ派でも、そうした社会の主流の意識に反することはいえないし、海角7号はそこで描かれている日本との絆や親近感も含めて、いまや台湾社会の共通項になっているのだ。
外省人といっても3世4世の若い世代は、むしろ哈日族が多い。

だから、中国がこれを「皇民化の毒素」というまたぞろ古臭い反日イデオロギーを持ち出したことに、外省人の間でも違和感が出てきているのだ。それが李慶華や馬英九の発言となって現れている。

それにしても、李慶華は、小選挙区制で汐止などで選出されてから、ずいぶん丸くなった気がする。以前永和の外省人保守派を基盤にしていた時期は、一番のタカ派反動派だったが、最近は民生問題でも馬政権を批判したり、わりと主張が中道化してきている。これは、小選挙区制の成果かもしれないし、時代の流れというものだろう。

台湾独立派週刊誌「新台湾週刊」が休刊へ

2008-12-04 02:33:32 | 台湾その他の話題
台湾独立派で、李登輝や謝長廷びいきで知られた週刊誌「新台湾週刊」がこのほど出る号で休刊することが決まった。2日に同誌記者からもらった携帯メールで知り、3日のリンゴ日報も伝えた。
新台湾はもともと自由時報にいたペンネーム老包が「黒白新聞週刊」として発刊、その後「新台湾」に改組し、13年くらい出していた。私も日本にいたときには定期購読していた。

ただどちらかという李登輝時代のほうが活力と内容があって、陳水扁時代になってから完全に政権寄りとなったこともあって、あまり面白みはなくなっていた。しかもそれで部数が伸び悩んだことから、広告を陳政権の政府機関に依存する体質となって、そのため馬英九政権になって政府系広告が切られたことから、存亡の危機となったものだ。

台湾では、統一寄りよりも独立志向の人のほうが圧倒的に多いが、なぜか新聞や雑誌など活字言論市場では、統一派寄りのものが多数で経営状態もよいという「ねじれ」現象になっていて、独立派雑誌の経営は苦しい。それは独立派の人たちが、北京語が苦手で、北京語で書かれる文章を敬遠するためだろう。その分、南部ではラジオが活発だ。あるいは全国的にいえば、活字を読むよりも、手っ取り早く三立や民視に流れているのだろう。

実際、三立の夜の討論番組「大話新聞」はすべての討論番組で一番の視聴率で、特に南部にファンが多い。

国際会議でも反対派を抑圧する中国の異常さは突出している、ロシアは発言を抑圧することまでしない

2008-12-03 01:38:06 | 中国
「2008台日公民社會論壇(市民社会フォーラム)」に参加した人によると、台湾のNGOなどが国際会議に招かれても、中国がさまざまな難癖をつけたり、主催団体に圧力をかけたりして、台湾やチベットの参加者を締め出したり、発言を制止させたりしているらしい。しかも、そんなことをするのは中国だけらしい。
米国は反米団体や国家の発言を認めているし(国内でもがんがん批判運動があるんだから当たり前か)、いまや独裁専制帝国に逆戻りしつつあるロシアですら、チェチェンなど国内反対派の声そのものを抑圧したり、締め出したりすることはしないらしい。

さらに、おかしなことに、中国は反テロ戦争を支持している手前か、国際的NGO会議では、日本の反戦団体が米軍の問題を指摘しても、それを無視したり、抑圧することもあるらしい。しかもそういうときは、むしろ(というか当たり前だが)キューバが日本のNGOの反米主張に加勢してくれるという(しかもなぜか反米のはずのベネズエラも加勢しないらしい)。
そういう意味では、同じ共産党独裁国家でも、キューバのほうが、共産主義という意味では、一貫しているというか純粋な側面を残しているが、中国はどうしょうもないらしい。

台湾のNGOが参加したり発言すると、その会議がユネスコが資金協力している場合には中国は「台湾はユネスコに加盟していないから」といって締め出そうとするらしい。ロシアはチェチェンに対してそんなことは言わないらしい。

そもそも中国はNGOというものの本質がまるで理解できていないようだ。

つまり、中国だけが突出して、国際ルールに反し、人権に反した横暴を行っているということだ。これがひいては、最近日本の左派陣営でも高まっている対中不信感をさらに高める原因になっているらしい。

確かに、中国政府と異なる意見をすべて抑圧しようとする中国政府の発想は、異常である。
まして、中国が本気で台湾を「中国の一部」だと言い張るなら、その「中国の一部地域」からNGOが参加することはむしろ光栄に思うべきではないのか。
ロシアがチェチェンに文句を言わないのは、チェチェンがロシアの一部だという建前を押し通そうとしているためかしれない。それ以前に、ロシアはNGOや政府以外のセクターの存在というものを理解していて、異なる意見を抑圧しきれるものではないことという最低限の弁えを心得ている、ということであろう。

こんなことやっていては、中国はますます国際社会で嫌われ者になるだけだろう。
特にかつては最大の中国シンパの基盤だったはずの日本の左派団体にまで、不信感や反感を持たれるようでは、おしまいだろう。

2008台日市民社会フォーラム開催 日本側は「台湾のほうが資本主義中国よりもよほどリベラル」と絶賛

2008-12-03 01:36:51 | 台湾社会運動
「2008台日公民社會論壇(市民社会フォーラム)」が11月29日から30日まで台北市の政治大学総合館で開かれた。知り合いも何人かきているはずなので29日夕方だけ顔を出した。
参照:2008台日公民社會論壇:全球化NPO的任務
昨年6月16、17日に第一回目が開かれ、今回で2回目にあたる(昨年の模様は、台日市民社会フォーラム開かれる
昨年はリベラルな民進党政権下だったこともあって、台湾政府の支援もあって、台北市の公務員訓練センター=福華(ハワード)文教会館という借り賃も高い場所を借りて、しかも日本側の参加者も多く、盛大なものだったが、反動ネオリベの馬英九政権になった今年は、政府支援もあまりなく、規模を縮小して、大学で行われた。しかも政治大学ってアクセスが不便なんだよね。行ったのは5年ぶりぐらいだ。
台湾側主催団体で中心となったのは台湾環境保護聯盟。台湾・日本側とも、主に左寄りの団体が参加した。これまで台湾とは疎遠だったはずの「アジア太平洋資料センター」系のパルシックのほか、昨年も参加した「日本市民外交センター」、台湾で開かれる市民団体会議では常連の「原子力資料情報室」「神奈川ネットワーク」などリベラルもしくは左派系が招かれた。
ところが会場に行くと、情報室の伴氏の姿が見えない。何と、直前にバンコックに行っていて脱出できなくなったらしいT(_ _)T。そのあおりで、外交センターの上村教授の出番が増えて、大変そうだった。
初参加のパルシックの井上氏は「上海など中国や韓国はたびたび行っているが、台湾はあまり来ていなかった。でも、今回台湾の街の雰囲気やNGOの活気に接して、台湾を見直した。中国のほうがよほど資本主義的で、台湾のほうがリベラルでマトモだ」とかなり感銘を受けた様子だった。