野田は原発推進派であり、歴史観などでは右よりで、菅政権より明らかに後退する部分は大きい。
ただ現実にそうなってしまった以上は、できるだけ長所を見つけてそこを利用するしかないだろう。
野田の政策の中で唯一期待できる点は、堂々と増税を掲げたところだ。政治家ならこれは言いにくいが、言いにくいことを堂々と主張したことは評価すべきだ。
もっとも財政再建というお役所本位の視点である点は気に食わないのだが、そうでなくても今後日本の高齢化が進む以上は、福祉の財源を確保するために、財源構造を改める必要性は論を俟たない。
野田もいちおう口では福祉のための増税といっている。
そのためには消費税率値上げしかない。
これに関しては正論である。
ところが、問題は福祉サービスの強化充実を主張している社共などの日本の「左翼」陣営が、なぜか一様に「増税反対」とくに「消費税引き上げ反対」を唱えているところである。
消費税引き上げに反対するのは、つまり逆進性があるからという論理だが、これはどうみてもおかしい。また社民党あたりが「財務省」を目の敵にしているのも社会主義者としてはおかしい。
福祉の先進国で、社会民主主義が浸透している北欧諸国では、消費税は25%もの高率だ。これが逆進性につながるという議論は聞いたことがない。
もちろん欧州の高い消費税率の場合、食料品などに非課税の項目が多く、低所得層に配慮していることがあげられるが、そもそも消費は所得に応じて増えていくものなので、低所得層が消費税によって逆進になるという議論は、それこそ低所得層ではないインテリの机上の議論でしかない。
そもそも福祉サービスの増大は増税につながり、それは必然的に大きな政府につながる。NPO論を使って市民参加のキレイゴトをいくら掲げたところで、膨大なサービスを周旋調整する役所が肥大化するのは避けられまい。
まして、目下の「貧富格差拡大」はほかならぬ「小さな政府論」を信奉するネオリベ派が自由経済を極端なまでに推進した結果なのだから、その是正を目指し、福祉の充実を主張する左翼・社会主義者であるならば、そのための財源を求め、したがって増税をして、大きな政府を求めなければ、嘘である。
もちろん、大きな政府といっても、昔のケインジアンや社民主義の典型のような状態に戻るわけではない。しかし行過ぎた小さな政府=ネオリベの罪を批判し、是正を求めるのであれば、大きな政府であることは否定できないし、増税もまた否定すべきではなく、むしろ積極的に主張しなければならない。
しかも消費税が引き上げられなければしわよせはどうせサラリーマンへの増税にはねかえるだけなので、それなら消費税によって富裕層からより多く取れるようにしなければならないだろう。
逆進性なんて嘘である。低所得層は余裕がないから、最低限の消費しかしない。消費税をより多く払うのは高所得層である。
しかし日本のいわゆる左翼・社会主義者は、福祉充実を叫ぶくせに、肝心の財源については増税に反対する。これでは社会主義ではなく、単なるポピュリズムである。
産油国のベネズエラでなければ、そんな都合のよい打出の小槌など存在しない。
また社民党あたりの財務省を目の敵にする議論も間違っている。
日本の官僚は大筋において、国益を守り、制度充実のために働いてきた。官僚バッシングはそれでは市場参入が困難だと思った米国による情報操作に過ぎない。
だから本来の社会主義者なら、財務省をむしろ擁護すべきものなのだ。
もちろん、官僚には自己肥大化の傾向があるので、フリーハンドではいけない。そこを監視していかないといけないのは事実だ。
だが、それならオンブズマンなり情報公開制度なり公務員弾劾組織などを整備充実する別の方策を考えればいいだけの話であって、米国の尻馬にのって財務省や官僚バッシングをしている社民党は、つまりネオリベに手を貸しているだけの軽薄な集団だというしかない。
ネオリベを批判し是正したいなら、本来の意味での社民主義の精神に立ち返る必要がある。官僚の肥大化が不安なら、北欧が進めたように市民参加、情報公開を進めればいいだけだ。
日本の保守の多くが、原発を推進し、国土を荒廃させてきたように本来の保守とは程遠いのと同様に、増税に反対する日本の左翼は本来の社会主義者ではない、単なるポピュリストでしかない。
その点だけは、野田が公言した増税論は、期待できる。
だが、左翼側がこれに反対するだけで、官僚の独走を防止するための市民参加と情報公開を求めたり、食料品などの非課税項目を求めたりするという現実的な対応策を示せないところが問題だ。
日本の福祉は、現時点ではアジアでこそ一番の水準だが、北欧には遠く及ばないのは、左翼が馬鹿だからだ。
ただ現実にそうなってしまった以上は、できるだけ長所を見つけてそこを利用するしかないだろう。
野田の政策の中で唯一期待できる点は、堂々と増税を掲げたところだ。政治家ならこれは言いにくいが、言いにくいことを堂々と主張したことは評価すべきだ。
もっとも財政再建というお役所本位の視点である点は気に食わないのだが、そうでなくても今後日本の高齢化が進む以上は、福祉の財源を確保するために、財源構造を改める必要性は論を俟たない。
野田もいちおう口では福祉のための増税といっている。
そのためには消費税率値上げしかない。
これに関しては正論である。
ところが、問題は福祉サービスの強化充実を主張している社共などの日本の「左翼」陣営が、なぜか一様に「増税反対」とくに「消費税引き上げ反対」を唱えているところである。
消費税引き上げに反対するのは、つまり逆進性があるからという論理だが、これはどうみてもおかしい。また社民党あたりが「財務省」を目の敵にしているのも社会主義者としてはおかしい。
福祉の先進国で、社会民主主義が浸透している北欧諸国では、消費税は25%もの高率だ。これが逆進性につながるという議論は聞いたことがない。
もちろん欧州の高い消費税率の場合、食料品などに非課税の項目が多く、低所得層に配慮していることがあげられるが、そもそも消費は所得に応じて増えていくものなので、低所得層が消費税によって逆進になるという議論は、それこそ低所得層ではないインテリの机上の議論でしかない。
そもそも福祉サービスの増大は増税につながり、それは必然的に大きな政府につながる。NPO論を使って市民参加のキレイゴトをいくら掲げたところで、膨大なサービスを周旋調整する役所が肥大化するのは避けられまい。
まして、目下の「貧富格差拡大」はほかならぬ「小さな政府論」を信奉するネオリベ派が自由経済を極端なまでに推進した結果なのだから、その是正を目指し、福祉の充実を主張する左翼・社会主義者であるならば、そのための財源を求め、したがって増税をして、大きな政府を求めなければ、嘘である。
もちろん、大きな政府といっても、昔のケインジアンや社民主義の典型のような状態に戻るわけではない。しかし行過ぎた小さな政府=ネオリベの罪を批判し、是正を求めるのであれば、大きな政府であることは否定できないし、増税もまた否定すべきではなく、むしろ積極的に主張しなければならない。
しかも消費税が引き上げられなければしわよせはどうせサラリーマンへの増税にはねかえるだけなので、それなら消費税によって富裕層からより多く取れるようにしなければならないだろう。
逆進性なんて嘘である。低所得層は余裕がないから、最低限の消費しかしない。消費税をより多く払うのは高所得層である。
しかし日本のいわゆる左翼・社会主義者は、福祉充実を叫ぶくせに、肝心の財源については増税に反対する。これでは社会主義ではなく、単なるポピュリズムである。
産油国のベネズエラでなければ、そんな都合のよい打出の小槌など存在しない。
また社民党あたりの財務省を目の敵にする議論も間違っている。
日本の官僚は大筋において、国益を守り、制度充実のために働いてきた。官僚バッシングはそれでは市場参入が困難だと思った米国による情報操作に過ぎない。
だから本来の社会主義者なら、財務省をむしろ擁護すべきものなのだ。
もちろん、官僚には自己肥大化の傾向があるので、フリーハンドではいけない。そこを監視していかないといけないのは事実だ。
だが、それならオンブズマンなり情報公開制度なり公務員弾劾組織などを整備充実する別の方策を考えればいいだけの話であって、米国の尻馬にのって財務省や官僚バッシングをしている社民党は、つまりネオリベに手を貸しているだけの軽薄な集団だというしかない。
ネオリベを批判し是正したいなら、本来の意味での社民主義の精神に立ち返る必要がある。官僚の肥大化が不安なら、北欧が進めたように市民参加、情報公開を進めればいいだけだ。
日本の保守の多くが、原発を推進し、国土を荒廃させてきたように本来の保守とは程遠いのと同様に、増税に反対する日本の左翼は本来の社会主義者ではない、単なるポピュリストでしかない。
その点だけは、野田が公言した増税論は、期待できる。
だが、左翼側がこれに反対するだけで、官僚の独走を防止するための市民参加と情報公開を求めたり、食料品などの非課税項目を求めたりするという現実的な対応策を示せないところが問題だ。
日本の福祉は、現時点ではアジアでこそ一番の水準だが、北欧には遠く及ばないのは、左翼が馬鹿だからだ。