むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

台湾基督長老教会が原住民族各語の速成教材シリーズを刊行中

2008-11-29 01:55:26 | 台湾言語・族群
台湾基督長老教会台湾族群(エスニックグループ)母語推行(推進)委員会がアミス語を皮切りに、ブヌン語、パイワン語の速成教材を刊行している。12月にはサキザヤ語(現在ゲラ最終校訂中)、来年にはカヴァラン語が刊行予定。
プロジェクトチームのリーダーは、アミス族のSing 'Olam(シン・オラム)牧師。もともとはシン牧師が1997年に聖經公會からだしていた「阿美語讀本」が下敷きになっている。

アミス語は 阿美語文速成讀本 Pihtatanaman to cudad no'Amis、 編輯Iwan、 出版・發行 使徒出版社、 2006年4月、 ISBN986-7173-14-7、定価不明だが140元くらい?
パイワン語は 排灣族語讀本 kai a pinayuanan、 作者 Kual Selaulauz、 出版・發行 台灣族母語浴推行委員會、 2008年10月、 ISBN 978-986-829896-5-1、定価100元 
ブヌン語は文法編と語彙編の2冊が出ているが手元にはない。

いずれも長老教会の「新楼書局」や台湾文化専門書店の「南天書局」「台湾e店」などで買える(はず)。

そういえば、アミス語って大体は発音はしやすいんだけど、子音で d で表される音だけは、最初は発音しにくいんだけど、これは l の無声音にあたるもので、類似した音は実は、モンゴル語(モンゴルのルがそれ)、福建の�悧仙話、チベット語にある(ほかにもタイ・カダイ系のいくつかなどにもあったと思う)。アミス語の舌側の摩擦は一番激しいっぽいけど。
それからシン牧師が指摘していたんだけど、中国でも中央民族大学から2006年に出た「台灣阿美語基礎教程」(曾思奇、楊梅・編著、ISBN7-81108-294-2)というのがあるが(私も最近買ったところ)、著者はアミス族ではなく、実際に話せもしなくて学問的に研究しただけの人で、現在は使われない表現や根本的な間違いも多いという。まあ、私は中国の仕事らしく整理はうまいと思うんだけど、私も読んでいて、何か違う気がしていた。だから、これを使う人は注意。

観客と演奏も重要なオペラ

2008-11-29 01:54:38 | 芸術・文化全般
マカイを描いたオペラはなかなかよかったが、実はその記事でも少し触れたように、私は台湾のオペラ公演には苦い記憶がある。
2001年だったかに見た「リゴレット」は最悪だったからだ。
実はリゴレットの舞台はポーランドの歌劇団で、歌手そのものはよかったのだが、当時演奏したNSOがばらばらで、とても交響楽団といえないでたらめなのと(みんな指揮者を見ていないしw)、観客でミカン食っているおばはんがいたりして、げんなりした。以後台湾ではクラシック演奏は行かないことに決めたのだが、今回のは演奏、観客とも確実二進歩していたので、見に行ってもいいかと思った。
ちなみに、これまでCDなどで聞いたものも含めて史上最悪のオペラ公演は北京天安門広場で1995年だかに行われたトゥーランドットの公演だろう。これも2001年ごろに台湾のCDショップでなぜか99元という破格の値段で公演CDが叩き売りされていたのを購入したことがあるが、はっきりいって通して聞けたものではない、ひどい公演だった。実はこの公演を実際聞きに行ったことがある日本人を日本にいたときにあったことがあるが、実際現場では農民あがりの解放軍の将軍とかが、鼻くそほじったり、痰をはきまくったりしていて演奏に聞き入るとう状態ではなかったらしい。どうりで叩き売り品だと思った。やっぱり、舞台芸術は観客も一緒に作るものだとこれで確認したしだいだ。

台湾近代化の父マカイ宣教師を描いた台湾語オペラを見る

2008-11-29 01:52:51 | 台湾言語・族群
台湾に近代的医療やキリスト教をもたらしたカナダ生まれの長老派教会宣教師マカイ(George Leslie Mackay)の生涯を描いたオペラ「福爾摩沙信簡-鬚馬偕 Mackay--The Black Bearded Bible Man」が11月27日から30日にかけて台北市の国家戯劇院(国立演劇堂、自由広場のところにある)で上演されているが、28日夜の部を見てきた。なかなかよかった。
参照:台湾近代化の父マカイ宣教師を描いたオペラ、27-30日国家戯劇院で上演
公式サイト http://event.ntch.edu.tw/2008/opera/

オペラなどの舞台芸術は観客と一緒につくられるものだが、ここ数年で台湾の観客のレベルは上がっていることを反映して、なかなか緊張感がある舞台となった。音楽は不協和音を多用したもので、わりとミュージカルというかオペレッタに近いもので、多少疑問符はつくが、演奏を担当したNSOも数年前に見た「リゴレット」のときと比べて格段によくなっており(少なくとも「交響」楽団になっていた)、台本の流れもよく、堪能できた。歌手の歌は申し分ない。

台湾語と英語が使われた。英語はカナダでの場面など1割程度で、それ以外は台湾語。台湾語を使ったオペラとしては史上初めてという。
3幕物。マカイの死の床で妻が介護するシーンから始まり、一幕では台湾への航海、上陸から、台湾語を学び、民衆に溶け込むまで。2幕は歯科内科診療所を開くが、間祖などの在来宗教を信仰する民衆からの排斥を経て近代教育にもとづく女学校を開くまで。3幕は清仏戦争で攘夷機運が強まり、学校などが破壊され、一時的に香港に避難するも、台湾に戻り立て直す中で、「台湾は永遠の家だ」といって死ぬ。
時間的には1幕が午後7時35分から8時35分(8時から2景、8時20分から3景)、2幕が8時50分から9時41分(2景が9時25分から)、3幕が9時57h軍から10時48分(2景色が10時20分から)、カーテンコールが10時54分まで。

台湾語は、台湾語聖書がアモイ音、北部音に準拠していることもあって、主に北部方言が使われた。村をchhoan、寂寞をchek8-bok8、また誰を聖書式にchi7-chui7と発音したのはよかったが、植物をtit8-but8としていたのは間違い(旁の直に引きずられたのか)、これはsit8-but8が正しい。
ドイツ人ルーカス・ヘムレプ(Lukas Hemleb)が演出、米国人のトーマス・メゴランザ(Thomas Meglioranza)が主演、その他台湾人、韓国人歌手も加わった多国籍の舞台となる。台湾人以外は台湾語ができない人だが、この舞台のために特訓した。かなり出来はよかったが、もちろんメゴランザがいわゆる毛唐なまりがあって会場で笑いを誘っていた。

観客には10人くらい西洋人とインド人らしい姿を見かけた。日本人らしいのはちょっと見た感じではいなかった。民進党の大物では姚嘉文、張富美、楊黄美幸を見かけた。終わったあとで、黒塗りの車と警護の警官が何人もいたので、国民党政権の高官も誰か来たのだろうか、あの警備の仕方だと総統ではなく行政院長クラスだと思う。

映画「1895」が興行収入1895万元を達成!

2008-11-28 02:44:33 | 台湾言語・族群
7日に封切られた客家語主体の映画「1895」が19日までに、映画の題名どおりの1895万元を突破、20日までには2000万元に達した。
製作会社によると、製作費用は6000万元で、宣伝に2000万元かけたから、ちょうど宣伝費用を回収した形だ。
先行してブームを巻き起こした「海角7号」は8月6日封切できおれまでに4億5千万元の興行収入を見せ、香港でも先週から上映されて同週の「007
慰めの報酬」を上回る好成績を挙げている。

「海角」に始まる台湾国産映画ブームは、馬英九の対中傾斜路線に対する市民の反発が根底にあるというのが台湾市井での専らの見方。
そういう意味では、皮肉な言い方として馬英九のおかげとはいえる。

ネオリベファシスト馬英九の肩を持つ雑誌「世界」と「週刊金曜日」の浅薄と愚鈍

2008-11-28 02:43:24 | 台湾政治
大企業の利益だけ考えて中国との宥和を進め、財閥はどんなに逃亡しようが逮捕しないネオリベ馬英九政権。
しかしおかしなことに、日本で「左翼」と自他ともに認める月刊誌「世界」と週刊誌「週刊金曜日」が2年前から、この馬英九と国民党の肩を持ち、逆にリベラルで脱原発を進めてきた陳水扁と民進党を攻撃し、反動政権登場に手を貸してきたのである。

「世界」にいたっては、今年10月上旬発売の11月号に、馬英九のインタビューを長々と掲載、しかもファシスト蒋介石を褒め称えた部分も無批判に載せている有様である。「世界」は80年代までは蒋介石をファシストと批判してきたのではなかったのか?そして、今でも平和憲法護持、脱原発、新自由主義批判が基本理念ではなかったのか?馬英九は台湾に平和憲法を導入するような思想を持っていないし、原発は推進で原発利権にまみれているし、新自由主義そのものである。普通なら「世界」がこっぴどく批判する対象のはずだ。

「週刊金曜日」にいたっては最近は佐藤優にすっかり取り込まれて、日の丸を肯定するまで堕落している。しかしその堕落はすでに2006年7月に馬英九を賛美する記事を掲載したときから始まっていたのである。
私もかつて週刊金曜日には、反原発の問題で何度か寄稿したことがある。しかし原発を推進するネオリベ馬英九を賛美する記事を臆面もなく載せたのを見て、もう駄目だと思った。要するに理念などないのである。

「世界」といい、「週刊金曜日」といい、馬英九を、ウヨクが嫌う反日派だからということで、無条件に左派の仲間だと思い込んでいるのだろうか?馬英九が原発利権にまみれているから原発推進に邁進し、蒋介石を賛美する反動思想を持っていることをなぜ吟味しようとしないのか。

このナイーブさこそが、かつて「世界」が金日成や毛沢東を賛美し、今はチャベスやカストロを評価する軽率さにつながっているのだろう。要するにマトモな思想がない。あるのは、戦後ン本の「左翼」の習性であったところの「ウヨクが嫌うものは敵の敵で味方」「反日ならすべて左翼のはず」という単純な「日本のウヨクのアンチテーゼ」という、単純な日本一国主義の鎖国思想、視野狭窄症だけなのだ。日本ウヨクの反対が左翼なのではない。戦後日本左翼の問題は、結局、日本のウヨクを基準にしてそのアンチテーゼにとどまっていた自律性のなさであろう。80年代後半の冷戦崩壊で、戦後左翼が賛美してきた「似非社会主義国家」が崩壊すると、その急所を突いて反共宣伝でのしあがったウヨク論壇に戦後左翼が敗れたのは当然だろう。
「世界」はどんどん衰退し、私の学生時代は3万部に下がっていたのが、今では5千部程度だろう。「週刊金曜日」も佐藤優が憲法護持だからといって左派だと誤認し、絡めと
られてしまった。いずれも本当の意味での左翼思想も、透徹した視野も、人間を吟味する知力も持っていなかったということだろう。

「週刊金曜日」が日の丸万歳に絡めとられたのは当然だろうし、おそらく「世界」もそうなると思う。金日成やホーネッカーを賛美し、馬英九を評価しているくらいだから、日の丸を賛美するのも紙一重の差に過ぎないからだ。

一握りの大資本家の庇護者として庶民を敵対するネオリベ+ファシスト馬政権

2008-11-28 02:41:56 | 台湾政治
馬英九政権は、外省人政権というより、新自由主義を信奉する金持ち優遇政権という階級的本質がますますあらわになっている。
陳水扁前総統の政治献金疑惑で、不正献金を行ったという容疑が持たれ指名手配されていた財閥辜家の4代目、辜仲諒が、逃亡先の東京から台湾に戻った。しかし、陳水扁ら民進党関係政治家が「逃亡の虞あり」として逮捕されたのに対して、「逃亡の虞」どころか実際に逃亡していた事実がある辜仲諒は事情聴取後、1億元の保釈金を用意したことで身柄拘束は免れた。さらに辜仲諒の弁護人には、馬英九特別費横領事件のときと同じ弁護士がつくことになった。
また、陳水扁と親密だった大地主家族の余政憲も、検察は「勾留するに及ばない」との判断を下している。

これまで露骨に金持ち庇護をされるとあいた口がふさがらない。さすがに国民党内からも疑問の声が上がっており、民進党寄りのテレビ民視と三立は「二重基準」を厳しく指摘している。しかし、これが馬英九政権の本質なのである。

彼の反日親中政策も、大中国イデオロギーというよりは、むしろ大企業利益の極大化という新自由主義的思想から出てきているのである。


中立の仮面をかなぐり捨てて、深藍=反動路線の本性を現した蘋果(リンゴ)日報

2008-11-28 02:41:22 | 台湾政治
以前にも書いたが、10月中旬以降、香港系の蘋果(リンゴ)日報が明らかにおかしい。というか、香港系国際資本の大中国、反動体質を露骨に顕しはじめた。
特に27日付け一面トップ記事が露骨で、他の親中派日刊紙の「聯合報」が「タイの黄色シャツ部隊が空港を占拠し、台北バンコック便キャンセル」、「中国時報」が「馬総統:年末までに失業救済対策出動」がそれぞれトップ見出しなのに対して、リンゴ日報は「海角7億 陳水扁家は国家への返還を了承」がトップ見出しで、陳水扁バッシングもの。

ニュースの扱い方としては、タイの事件をトップに持ってきた聯合報が最もマトモだといえるが、中国時報でも許容範囲だ。しかし、いまだに陳水扁バッシングに固執するリンゴは異常、心理的変態というしかない。

リンゴも社説などオピニオン面はわりとマトモではあるが、以前から写真を多用した扇情的な記事が多く、お世辞にもマトモだとはいえなかった。創刊当時は親民党の影がちらついていた。
ただそれでも創刊以降ずっと努めて中立を装っており、特に2年前の陳水扁打倒運動の際にも冷静な報道をしてきたのに、なぜかここに来て、聯合報もびっくりの統一派イデオロギーぎらぎらした偏向報道が目立っている。
聯合報も社説や投書欄や世論調査は深藍に偏っているが、一般記事そのものや記事のレイアウトそのものはそれほど偏っておらず、資料整理もよくやっていて、しかも扇情的でカラフルな紙面構成ではないので、私は意外に好感を持っている。
中国時報は、2年前の陳水扁打倒運動のころは、一番偏っていて扇動的だったが、最近は割合冷静で中立路線になっている。社説やオピニオン面は以前から聯合報よりはバランスが取れていた。ただ、紙面処理は毎日ぶれまくっていて、27日は馬よいっしょっぽい構成になっているが、違う日は馬に批判的な構成になっていたりする。名前が「中国」を冠しているのも胡散臭いし、中国進出している食品企業旺旺が最近買収したので、今後親中の本性をあらわにするかもしれない。
ただ、外省人資本とはいえ、それでも聯合報と中国時報は、台湾で生まれ育った新聞である。統一派イデオロギーがあったとしても、台湾に自生的なもので、まだ理解はできる。

しかし、最近のリンゴ日報は香港基点の国際資本ジョルダーノの系列で、そもそもは台湾に自生したものではない。
それでも、オーナーの黎智英はもともと右派リバタリアンで、中共に批判的で、民進党政権になって自由な台湾にあこがれて台湾に移ってきたのだが、しょせんは中国人としての大中華思想は隠しがたいということか。しかもオピニオンは独立派のも採用しているとはいえ、基本的にイスラエル万歳、米国共和党万歳、企業の最大利益を確保できる新自由主義を鼓吹する傾向が強く、はっきりいって経済右翼的体質もはっきりしていた。現在はそれが中華思想とも結びついて、醜悪なものになっている。

それならまだしも聯合報のほうがマシだ。聯合報は反動とはいえ、それでも台湾で育ったものであり、外省人の一部反動思想を代表しているものだから、否定はできない。
統一派新聞は、聯合報だけで十分だ。聯合報はまだしも基本的な品位と職業倫理はある。
リンゴ日報は最低の毒リンゴ、腐ったリンゴだ。

ただ日刊紙では唯一の本土派の自由時報も、経済・社会政策的には右派的・反動的で、台湾民主化の中で育った本土派の基本路線である中道左派とはズレがある。本土派運動の基本思想である脱原発、弱者の権利、楽生院運動などには、自由時報は冷淡かむしろ敵対的ですらあった。米国のイラク侵略も手放しで褒め称えた。ところがイラク侵略こそが、米国のアジアでの不在を生み出し、その反テロが中国に少数民族弾圧の口実を与え、結果的に台湾の外交的困窮を招いたことを考えると、自由時報もまた本当に台湾人の利益を代弁しているとはいいがたい。そういう意味では、今の台湾の主要4紙は、ドングリの背比べなんだが。
もちろん右派しか選択肢がないなら、本土派の自由時報を選ぶしかないが、自由時報を喜んで読むってこともできないんだよね。

もっとも、自由時報が経営するメディアでも英字紙のTaipei Timesのほうが、自由時報と違ってなぜかかなりリベラルなんだが(よく社会運動の記事を載せているし、配給受けている論説も英国のガーディアンとか左派系のが多い)、しょせん英字紙だと一般的な影響はない。

かつて台湾日報は大資本がバックだったといえ(それをいうなら、英仏の左派日刊紙もそう)、経営と編集が完全に分離していて、けっこうリベラルだったからよかったんだけどね。
韓国のハンギョレや京郷新聞にあたる本土派左派新聞が台湾に出てこないのは、非常に残念なことだ。


言論弾圧の手口 三立テレビのオーナーに追徴課税

2008-11-28 02:39:58 | 台湾政治
やっぱりやると思ったが、やっぱりやりました!何がって、現在一番馬政権批判の急先鋒じゃないかと見られる三立テレビのオーナーで会長の林崑海、社長の張栄華がそれぞれ2千万および4千万元を脱税していたとして板橋地検に指摘を受け、それぞれ追徴金を払って起訴猶予処分を受けた、と聯合報25日付けが伝えた。
台湾では誰でも脱税をしているが、わざわざ摘発するのは政治的反対派に対してなされる手口として、80年代まで多用されたもので、政治的な意図以外の何者でもない。
馬政権になって逆コースがあらわになっている折、80年代さながらの古臭い手口で、反対派いじめに出ているということ。

実は陳水扁フェチwなのかもしれない国民党

2008-11-28 02:39:22 | 台湾政治
最近、台湾の国民党系テレビ局(TVBS、中天、東森)の討論番組や、後述するがリンゴ日報・壱週刊は毎日のように「陳水扁の汚職疑惑」ばかりw。経済不況で株価が一貫して下落して、企業のボーナスも出なくなり、失業率が高まっているというのに、相変わらず「陳水扁」の話題ばかりw。
「経済をよくする」のが唯一最大の公約だった国民党政権が、経済では失政を重ねているので、そこから目をそらそうとしているのだろうか、しかし、そこまでして陳水扁バッシングばかりしていては、逆に陳水扁フェチなんじゃないかと思ってしまう。

好きの反対は嫌いじゃなくて、無視、無関心だからね。

25日には、消費券問題で立法院の委員会で口論になった民進党の蔡煌瑯と国民党の呉育昇が言い争って、蔡が「民進党時代は経済成長率は5%だったのが、今はマイナス、失業率も上昇し、株価が9000ポイントから4000ポイント」と突っ込んだところ、呉が「それはすべて陳水扁が横領したからだ」などと反論していたが、ぜんぜん説得力ないわねw。
ここまで陳水扁を意識してしょうがない国民党って、心理的な変態というか、実は陳水扁が好きでたまらないんだろうねw。もうアホかとw。
しかも陳水扁パクっておいて、いまさら陳水扁のせいになんてできないと思うが?

陳水扁の身柄を拘束することで、陳水扁を悲劇の英雄にしてしまった国民党の下策

2008-11-26 03:20:15 | 台湾政治
陳水扁を拘束(逮捕・勾留)したのは短期的には国民党にとって有利だったといえるだろうが、長期的には確実に国民党にとってマイナスだろう。
何せ、いったん、身柄拘束したら、そうそう簡単には保釈できないからだ。保釈したらその時点で、逮捕が不当だったことを認めるようなものだからだ。かといって保釈しないで勾留したままにするのは人権侵害という非難を浴びることになる。

各所の座り込みやハンストもそうだが、この手の極限闘争、極端な手段というのは、落としどころや結末がつけにくい。実は検察当局は今頃、しまったと思っているのではないか。

台湾のテレビの報道では、すべての「罪状」について別件逮捕勾留を続けていけば2年半は勾留したままにできるという話だが、そうやって勾留したままだと、単なる人権侵害ということになって、国内外から非難が高まるだろう。

仮に「すべての罪状」ではなくて、単純に勾留を二回4ヶ月続けて、それから保釈するとしよう。11月12日の勾留から4ヶ月というのは、3月10日ごろだから、228記念日の後で、台湾では人権や国民党の負の歴史について最も敏感になる時期である。
陳水扁のことだから、そのタイミングを最大限に活用し、228と結びつけて大イベントを仕組むだろう。
そうなったとき、国民党はどうするのか?

しかもそのころまでには、経済は決定的に悪化して、アイスランドの二の舞になる一歩手前になっているかもしれない。陳水扁の世論誘導が経済悪化の不満とリンクして、それが爆発の糸口になるかもしれない。

かといって、それを避けて穏便にすぐに保釈したら、逮捕そのものの不当性が浮き彫りになってしまう。
まことに厄介だ。


国民党が本当に賢ければ、陳水扁を在宅起訴にし、時期もベストだったのは退任直後、あるいは後れるなら陳雲林来訪から距離を置いた年末あたりに淡々と在宅起訴すべきだった。
陳水扁はもともと中身も大してなく、8月に海外送金を認めたことで、民進党の伝統的支持者ほど陳水扁離れが起こっていた。陳水扁の「疑惑」に触らず、放置しておけば、陳水扁の駄弁癖に呆れる支持者はますます陳から離れ、陳は自然にフェードアウトし、政治生命が絶たれていただろう。
国民党が本当に狡猾なら、8月の海外送金承認問題をうまく利用して、民進党支持層によって陳水扁の政治生命を絶たせるという手段を選んだはずだ。ところが、陳雲林来訪直後という敏感な時期に、しかも警察の過剰鎮圧が問題になった時期に、陳水扁に手錠をかけて拘束するという強硬手段に出た。これは完全に判断ミスだろう。

国家元首経験者に手錠をかける行為というのは、長期的には普通の人間なら人道的によくないことだと思うだろう。
何よりも、手錠をかけられ逮捕されることを最も喜んだのは陳水扁だろう。
国民党保守派としては、「台湾人の分際で、中華民国総統にまでなって、国民党の利権を一部つぶした憎い敵」陳水扁に屈辱を与えるのは快感だっただろうが、いざ拘束してみると、いつ保釈するかの時期をめぐって引っ込みがつかなくなり、長引くほど人権侵害という問題が浮き彫りになってしまう。
一時の感情論で、突っ走ったのだろうが、とても政権運営をしていくまともな政治センスがあるとは思えない。

国民党政権に聞いてみたい。「で、陳水扁はいつまでパクッておくんですか?」

フランス、韓国、台湾のネオリベ右派政権に対抗するリベラル野党が現時点で共に混迷

2008-11-26 03:19:44 | 台湾政治
07年から08年にかけて世界をかけぬけた最後の「ネオリベ右派政権成立の波」に見舞われたフランス、韓国、台湾は似たような傾向を帯びている。
右派政権側が権威主義性向をもち、経済失政もあって、世論の不評を買う中で、それに対抗してきたリベラル側が人気を盛り返すのかと思いきや、なぜか3国ともそうではない。

フランスの社会党は党内右派左派の路線闘争でがたがたしている。
韓国の民主党も党内に元気がない。左翼に位置する民主労働党も6月や10月に一時的に若い世代に人気を獲得する時期もあったものの、低迷状態。
台湾の民主進歩党も党執行部に求心力がない。

もちろん3国の有力野党とも、選挙でここ最近で最大の敗北を喫しており、その痛手はある。日本の民主党だって、05年の郵政解散選挙で惨敗してから1年以上は立ち直れなかった。
しかし、低落状況は長くは続くまい。

フランス社会党、韓国民主党、台湾民進党も、その前身なども含めれば歴史が長く、有力政党としてしっかり根を下ろしている。それぞれの理念軸は明確で、核心の支持基盤も健在だ。ここ1年の低落を持って、消滅すると考えるのは、はっきりいって軽率だろう。
実際、日本の民主党は一時期は消滅解体かと見られたが、その後、自由民主党の敵失および「生活者中心」という一貫した主張を掲げたこともあって、党勢は見違えるほど隆盛しているではないか。

それ以上に、フランス保守、韓国ハンナラ党、台湾の中国国民党の失政は目も当てられないほどひどい状況にある。党内部の権力闘争も激しい。
これでは野党がどうであろうが、勝手に自滅する可能性は高い。

特に、ネオリベ・権威主義の色が強いハンナラ党と国民党は、来年には経済失政でぼろぼろだろう。
台湾の場合、228前夜に匹敵する、急速な経済衰退で、民衆の不満が爆発することは必至だ。曲がりなりにも民主国家なのだから、平和的な変革が望ましいところだが、馬政権と国民党のあまりのでたらめ、無能ぶりを見る限り、それはかなわないだろう。あああ、どうして台湾人は大きな代価を強いる愚かな選択をしてしまったんだろうか。

馬政権のやり方が80年代以前、いや30年代的なので、それに対する民衆の爆発も30年代的になるしかないだろう。
政治はきれいごとでは通用しない。

野いちご運動への疑問 どうして「今の民進党は緑ではない」と言い返さないのか

2008-11-26 03:19:11 | 台湾社会運動
野いちご学生運動は国民党保守派からは「緑系で、民進党に利用されている」などと悪意ある攻撃を受けているが、それを恐れてか、「青でも緑でもない」といい、民進党との距離を極力置こうとしている。

しかしこれは変だ。

そもそも野いちごの主張やそれに関わっている知識人のメンツを見れば80年代党外運動のもっていた中道左派的本土主義路線そのものであって、本来の「緑」の路線そのものだからだ。むしろ今現在の民進党が本来の緑、社民主義・本土路線から乖離していることが問題なのだから、野いちご運動側は「緑?民進党?今の民進党は緑なのか?」とでも言い返せばいいのに。

野いちご学生運動、長期戦の覚悟、「人権告別式」も挙行

2008-11-26 03:18:26 | 台湾社会運動
警察当局の横暴を批判して座り込みを続けている野いちご学生運動は、国民党政府の善意ある回答が得られる見込みがないため、長期戦に突入する覚悟となっているようだ。
このままでは先細りになりかねないため、イベントも用意し、23日午前には「台湾の人権は11月3日、わずか20年の命で死亡した」として人権の告別式を行い、座り込んでいる自由広場正門には人権を弔う祭壇も用意されている。

嘉義地方派閥の大物・曽振農がカンボジアで疑問の客死!

2008-11-26 03:17:46 | 台湾政治
嘉義の地方派閥の大物として、南部政界や社会で大きな影響力を持つ曽振農氏が23日、滞在先のカンボジアで船から転落、水死した。
曽氏は嘉義の大物であり、妻が来年末に予定される嘉義県長選挙で民進党からの公認に向けて動いているところで、さらに曽氏が応援してきた民進党所属の現職県長が最近国民党の司直によって逮捕勾留されている。そういうタイミングでの突然の客死という出来事だけに、純粋な事故なのか疑問が取りざたされている。

曽氏は90年代に国民党本土派立法委員を3期勤め、李登輝とも親しい関係にある。しかし、2001年に同じく国民党本土派系だった陳明文氏が民進党に鞍替えして県長選挙に出たとき、陳氏を応援したため国民党を離脱、さらに妻の張花冠氏も無所属で立法委員に立候補、当選後は民進党に入ったことから、民進党に近づいていた。
ただ本人は国民党を離党してからは、政界活動そのものからは離れ、妻をサポートしつつも、中国のアモイやカンボジアで商売に励んでいた。カンボジアとは以前から関係が深かったが、最近カンボジアで土砂採集やホテルなど事業展開する矢先の出来事だった。

曽氏といえば、92年立法委員選挙の際、当時行政院長だった軍人上がりの?柏村が訪ねてきたときに「カクって誰だ、知らないな」と発言したように、国民党に属しながらも明確な台湾本土派として名をはせ、本土意識の強さから民進党に近づいていった。
とはいえ、民進党に近づいてからは、民進党の主流を占める陳水扁系や新潮流系が、曽氏の属する地方派閥=ヤクザ色を嫌って、曽氏を重用せず、「ヤクザが政治に関わるな」などとして排除に動いたことから、曽氏が新潮流を名指しで批判し「台北のインテリの観点で、南部の庶民感情を馬鹿にするな」と反論したこともある。陳水扁や新潮流とはギクシャクした関係になっていた。
しかし、台北市はともかく、台湾は地方に行けばいくほど、地方派閥やヤクザ的な義理人情の世界であり、曽氏の反論は正しい。
民進党が本土意識という点で圧倒的なアドバンテージがありながら、2008年に政権をむざむざと失ってしまった最大の理由と原因は、そうした台湾の草の根に根をはる地方派閥やヤクザ的な部分を取り込めなかった度量の狭さに起因するといえる。インテリ的な偽善と格好ツケが、落とし穴になった。

台湾でも李登輝時代の本土化で、ヤクザの世界も本土化が進んだ。
中南部の地方ヤクザは、地方派閥と一体で、農民でもあり、商売人でもある。単なる犯罪集団ではなく、表だって解決しにくいトラブルを人脈を駆使して解決する役割もある。
ヤクザはどの国にもいる。政治にはそうした裏の部分はつき物だ。
日本でも私が記者として住んだ愛媛県は当時の県会議長がヤクザの親分だった。しかし、愛媛県のように余所者を排除する閉鎖的排他的な土地柄にあって、逆にそういう人のほうが度量は広く、余所者である私にも隔てなく接してくれたものである。

そうした役割を民進党のある部分が軽視すぎたことが問題だ。
陳水扁があれだけ地方派閥から嫌われ、さらに「汚職疑惑」でバッシングされたのも、実は台湾の地方派閥的な義理人情、利益分配を排除したためである。
だから、陳水扁の「汚職疑惑」は汚職を本当にやっていたというよりも、「行政資源分配という義理人情」を欠いたことによって逆恨みを買ったものなのだ。
それでも曽氏は本土意識が強かったからだろう、民進党を切り捨てることはなかったが、民進党側が曽氏をちゃんと取り込んでおく度量がなさすぎた。

もし民進党が中南部の地方派閥や本土ヤクザをすべて上手に取り込んでいたら、今日、「汚職疑惑」など騒がれようもなかったし、長期安定政権は間違いなかっただろう。アジアというのは、そういう逆説の世界なのである。

私は曽氏に面識はないが、曽氏のこれまでの言動はかなり気にいっていた。人相は確かによくは無いが、気風のよさというか豪気に満ちた感じは、ある意味で南部を代表するものだったといえる。しかもマイクの前でも台湾語を多用していたところも、本土意識の強さを感じさせるものがあった。突然の死は残念でならない。