むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

なかなか良かった!「ロミオとジュリエット」【一部修正、写真3枚】

2007-04-07 02:18:00 | 芸術・文化全般






台北公演二日目の6日夜、フランス・ミュージカル「ロミオとジュリエット」を見に行ってきた。場所は国父紀念館。心配していた音響は、可もないが不可もないといったところ。ただ、舞台は小さい。舞台の横幅は14メートルくらいしかないだろう。予約したのが、前5列目の真ん中と非常に良い位置で舞台まで10メートルもない場所だったので、俳優の顔もはっきり見ることができて、非常に堪能できた。昨年台北ドームでやった「ノートルダム・ド・パリ」が音響がつぶれて惨憺たるものだったのと比べるまでもなく、全体的に良いできだったと思う。特にカーテンコールは盛り上がりを見せた(写真は順に、主役二人がAimerを歌っているところ、Les roi du mondeでジュリエット役のジョイ・エステルが舞台下に集まった観客に握手しているところ、最後にまた観客の歓呼に応えているところ)。

キャストは次のとおり(めんどくさいのでフランス語のアクサンは省略):
Romeo: Damien Sargue
Juliette:Joy Esther
Benvolio: Cyril Niccolai
Mercutio: John Eyzen
Tybalt: Tom Ross
Lord Capulet: Arie Itah
Lady Capulet: Stephanie Rodrigue
La Nurse: Ida Gordon
Lady Montaigu; Brigitte Venditti
Le Prince: Stephane Metro
Frere Laurent: Joel O'Cangha

ロミオ役だけがオリジナル版と同じ、ロミオ役だけがオリジナル版と同じ、ジュリエット役のジョイ・エステルはスペイン人との混血、舞台劇、テレビドラマ、テレビCMなどでフランスでは有名な役者さん。6日の公演ではすべの役を本役が務めた。
ただ、ジュリエット役の顔は、代役のStephanie Impocoのほうが好み。確かにジョイ・エステルも美人なんだが、そんなに好きな顔じゃないし、歌もうまいとは思わなかった。13歳のジュリエットの役柄にしては歳を取りすぎ(といっても22歳と若いのだが)。服装もキャプレット家を意味する赤色なのはいいが、動きやすさを重視したのか、前が開いていた。あのね、いちおうお姫様役なんだから、そりゃないっしょw(て、ボロクソに書いたが、役としては不可はなかったけどね)。
もちろんロミオ役のダミアン・サルグは相変わらず歌はめちゃうまかったが。
カピュレット伯爵役は、オリジナル版より太っちょが、修道士ローラン役はオリジナル版がレバノン系?と見られるアディダが務めたので、外来移民系が務めるイメージが出来上がったのか、今回の役はカリブ海マルティニック島出身者(フランツ・ファノンと同じところだ)が務めた。で、声はしゃがれ声じゃなくて、普通の声だった。
大公役(台湾のパンフレットでは「王子」となっているのが間抜けだ。あれはプリンスといっても、王子の意味じゃなくて、公国の統治者としての公、大公のこと)は、ハゲ頭、ユル・ブリンナーみたいな感じだが、どちらかというとキャラ的にはオリジナル版の脂ぎった感じのほうがいいと思った。まあ、ハゲのほうも独特の怪しい雰囲気があって、インパクトあったけどねw、歌い方の雰囲気はオペラ座の怪人のファントムを彷彿とさせたw。

7時半からの開演だったが、6時40分と早めに到着したところ、まだリハーサル中だった(T_T)。
7時36分から会場が暗くなり、開演。開幕の口上があって、それから出だしの曲Verone。
ところで、Veroneで思ったのが、死神の姿がなぜか見つからない。ひょっとして死神は出てこないのか?私は実はこのミュージカルの中で一番好きな役が終始無言の死神だし、実は死神が最も重要な役どころだと思っているのに残念だ。・・と思ったところ、J'ai Peurのところでやっと出てきた!ところが襤褸をまとっているだけで、顔がジョイ・エステルに似ていたので、最初はジュリエットだと思ってしまったよw。オリジナル版の印象が強いので、普通の女性で襤褸をまとっているだけだったら、「死神」という印象が弱いじゃないか!しかもあまり不気味な顔つきの人ではない。そういえば、演出が変わったのか、死神の役割がオリジナル版と比べて小さくになっているのが気になった。
伴奏の編曲もやや変わった感じだった。
歌はオリジナル版と同じくらいか、やや落ちるものもあったが、1幕2番目の曲La haineがオリジナル版よりはるかに良かったと思う。
そういえば、ロミオ役のサルグは、右腕に刺青をしているんだよね。アラビア語で「太陽の目(単数)」(3ain al-shams)とあるらしいが、右腕が露出されたときに見たところ、太陽shamsのshaの字しか判別できなかった。
また、時々移動する階段などの大道具は、俳優自身が動かしていたw。舞台が小さいせいか?しかもツアーだからか、DVDよりは舞台は簡素。といってもフランス公演が豪華すぎるので、奥行きも出していて、なかなかまとまっている良い舞台装置、大道具だった。
1幕は例のAimerで8時43分ごろに終わり、休憩を20分はさんで、2幕に入った。
2幕の出だしは、On dit dans la rueではなくて別の曲 Je veux l'aimerだった。1幕のAimerを筋として受け継ぐ歌詞なのだが、On dit..と違ってノリが悪い曲なで、どうして別の曲にしたのかはよくわからん。
2幕はわりと沈んだ場面が多かったので、拍手は少ないが、そのかわりに観衆は物語に引き込まれている感じであった、
クライマックスのロミオとジュリエットの死では、オリジナル版と違って、死神が二人の周囲にまとわりついていないが、またロミオが毒薬を飲んだところでジュリエットが睡眠薬から目を覚まして腕を伸ばすというちょっと悲惨なシーンになっていた(でも、台湾人はやっぱりこういう場面にもかかわらず笑いを漏らすのであった)。
10時10分、フィナーレのCoupablesが終わると、カーテンコール。観客の半分くらいが一斉に舞台近くに駆け寄った。
アンコール曲は例によって、AimerとLes roi du monde。前によった客が一斉にデジカメで写したり、俳優に握手を求めたりしていた。なかなかノリがよろし。
主役以外では、Benvolio役とTybalt役が人気があった。

全体を通じて、ジュリエット役がいまいちだったのと、死神の出番が控えめになったことと、音響が最悪ではないがそれほど素晴らしくもないなど、問題点はあったものの、最後の盛り上がりなどもあって、全体的になかなか良い公演だったと思う。
なかなか良かったので、席はそんなに良くなくても、もう一回くらい見に行ってもいいかと思うし、みなさんにもお勧め。

ちなみに、この公演の周旋をやった会社が、昨年秋の意味のない「倒扁」運動のときにもプロデュースに関わっていた許博允で、彼自身も会場に姿を見せていた。あと、観客に若干それっぽい(赤い服を着た人)がいたり、キャプレット家が赤、モンタギュー家が青だし、両陣営の対立で若者が犠牲になるというあらすじだから、なんだか台湾政治の現状も表しているような観も何にしもあらずだった。


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