むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

台湾の株高で、国民党の出番はますますなくなりそうだ(笑)

2007-06-28 00:15:43 | 台湾その他の話題
そういえば最近の台湾の株式市場は好況で、一時7年来加権指数は高値を更新、9000ポイント直前まで進んだ。近く1万ポイント、さらに1991年2月10日のバブル期に記録した1万2495.34ポイントをうかがう趨勢である。

株価は陳水扁政権成立直後から、不慣れな政権を嫌気するなどして急落し、01年には一時3000ポイント台にまで落ち込んだこともあった。これは史上最高値の3分の1以下の水準だった。その後も04年初までは低迷していたが、その後順調に回復していた。これは、中国に出て行った資金が還流したり、外国人投資家が台湾経済の将来を強気に見ていることが原因だ。

とすると、これで国民党が出る幕はますますなくなったように思われる。
もちろん、株価は選挙にはあまり関係しない。いや株価どころか経済状態は、米国を例外とすれば、もともと経済状況も、選挙結果を左右することは有り得ない(もっとも、どうも日本のマスコミ関係者には、経済が政治を左右すると思い込んでいる馬鹿が多いようだが、実際の世界の選挙史を調べれば、経済が選挙結果を左右した例は実は驚くほど少ないことがわかる)。
しかし、01年立法委員選挙のときには、ちょうど株安が重なったこともあって、国民党陣営は民進党政権の攻撃材料としてやたらと株安を持ち出していた。
それは国民党べったりの幇間ジャーナリスト本田善彦が書いた本でもしつこく指摘されていることでもある(しかも本田氏は経済学専攻でもないし、経済記者の経験はない)。
あれだけ国民党は「株価がすべて」みたいに宣伝したのだから、今回、株高になったことで、国民党が民進党を攻撃する理由も、また政権を奪回すべき理由も、なくなったといって過言ではない。
実際、国民党が党大会で掲げた経済政策の内容たるや、実現性のない噴飯もので、すでに万年野党が確定的である(笑)。

国民党系メディアの世論調査の数字は鵜呑みにせず調整して読むべき

2007-06-28 00:15:16 | 台湾その他の話題
国民党大会があった24日、国民党べったりの日刊紙・聯合報、中国時報がそれぞれ馬英九と謝長廷の支持率の調査を発表した。
聯合報は、馬・蕭ペアに対して、謝の最有力副総統候補と見られている葉菊蘭がペアの場合、50%対23%、謝が蘇貞昌と組んだ場合は47%対27%としている。
また、中国時報は支持率では馬が39.8%、謝が33.5%で、前回の5月31日に馬と王のペアが破局した日に謝が38.9%、馬が31.9%で謝がリードしていたのと逆転。当選可能性の見方では馬が34.5%、謝が15.6%で、5月31日の謝26.0%、馬24.9%とはこれも逆転したと伝えた。

ただ、両紙やTVBS,年代など国民党系メディアの世論調査の数字は、それらと選挙結果とつき合わせるとわかることだが、いつもおおはずれしている。だから、今回もそのまま鵜呑みにすることはできない。

それもそのはずである。これら国民党系メディアによる調査方法の特徴として、民進党支持者の数字が過小に反映されても、それを経験値によって加工することなくそのまま発表してしまう、という問題があるのである。
だからといってまったく参考にならないわけではない。毎回の国民党系メディアのこれらの調査の数字と選挙結果は大きく外れているものの、その外れ方、偏差には一定の相関関係があることがわかっている。つまり、聯合報などが発表した数字に、経験的に導き出された一定の係数を掛けてやれば、大体選挙結果が予想できる仕組みである。

これについて、現在政治討論番組では中南部で圧倒的な人気を誇る民進党よりの三立テレビの「大話新聞」で、ある評論家が次のように指摘していた。それは、聯合報などの調査で国民党の数字はほぼ最大限の数字であって、今後減ることはあっても、増えることはないが、民進党候補の数字はたいていは2.3倍くらいにすれば大体、結果と合致している、という。
事実、2002年と2006年の台北市長選挙で、02年の李応元は聯合報の調査で平均して15%、06年の謝長廷は同じく18%だったが、これを2.3倍してやると、それぞれ35%、41%程度になって、実際の結果とそれほど誤差はなくなるのである。

今回の聯合報の数字では、馬が47-50%、謝が23-27%なので、仮に謝の23%を2.3倍すれば53%となる。そうすると馬は低いほうの47%と一致する。さらに、中国時報では謝が最大の時には馬に対して7ポイントリードしていたことを考慮すると、これも53対47という数字に1ポイントの誤差でほぼ一致する。こうして聯合報が提供してくれた「生データ」をもとに、経験係数を掛けてやれば53対47程度という数字が導かれる。現在の台湾社会の雰囲気を考えると、最終的にはこの票差で謝が勝つという予測ができる。

もちろん、これは現段階の聯合報の数字を元にした予測なので、結果は本当にこうなるかわからない。
ただし、少なくとも04年選挙9ヶ月以上前の時点では、国民党の連・宋ペアは聯合報調査では60-68%という数字をはじき出していたのとくらべれば、今回の馬英九は「たかだか50%」なので、実はそんなに強いとはいえないのである。今の時点で、しかも聯合報ですら、50%ということは、50%を上回ることは難しいということでもある。連・宋が9ヶ月前には60%程度だったのに結果は50%弱だったわけだから、現在50%だったら、最悪の場合40%を切るという事態もありうるということにもなる。

票読みで最も宛てにならないといわれているのが、国民党の予測数字である。国民党は総統選挙の予測数字を2000年、2004年と毎回はずし、過大な数字を盲信して、そして失敗してきた。たとえば、2000年総統選挙直前に国民党が発表した予測は、連戦が470万以上で1位、陳水扁がそれより20-30万票差で少なく2位、宋楚瑜ははるかに落ちて(300万以下)3位といっていた。
もっとも、これは完全に出鱈目なのだとはいえないかもしれない。というのも、数字、票差そのものはあっているからだ。つまり国民党内部で、事務方が「連戦がこんな数字では上に報告できない」として、人名を入れ替えただけなのだ(笑)。そういう操作と自己欺瞞が国民党の文化である。過大評価してばかりで冷静に民意をつかめない。だから、総統選挙では連敗したのである。

ただし、だからといって、謝長廷は慢心してはならないだろう。現状では、演説の巧みさ、議題設定のよさ、政策の中身、台湾主体意識の上昇など、どの要素をとっても謝長廷が圧倒的に馬英九を引き離しているのは事実だ。謝長廷が馬英九より劣っているのはルックスだが(笑)、これは特に中南部の台湾人はあまり政治家にルックスを期待しない傾向があるため、あまりマイナスにはならないだろう。かといって、蘇貞昌のように禿だとマイナスになるだろうが、謝長廷のルックスであれば、確かに人相は決してよろしくないが、台湾社会では許容範囲なのである。
それよりは中身である。

馬英九は、昨年半ばまでの「馬英九人気」はどこへやら、中身がなくて単に外見が美男子だというところばかり強調しすぎたために(中身がお粗末だからそうするしかなかったのであるが)飽きっぽい台湾人に早くも飽きられて、「ハンサム」だけで票は取れないと見られている。だから、焦って「台湾本土論」の本を出したのだろうが、その内容がまたお粗末で、裏目に出ている。幸運に恵まれすぎて挫折の経験がない人間が、いったん下り坂になると、転げ落ちるように落ちていくものだ。安倍晋三も好例だが、安倍と馬は、その思想の反動性、ルックスのよさ、温厚そうで育ちのよさそうなところ、中身は空っぽ、ろくな友人がいないが、それでいて、メディアにはもてはやされたところなど、実に似ている。その安倍ももはや賞味期限が過ぎたようでもうだめぽだが、馬も一部熱狂的な外省人反動派以外の支持を広げることは難しいだろう。

そもそも台湾は台湾主体意識が強まっている時代である。その点で、いまだに古臭い反共主義と大中国反日思想を引きずり、台湾社会を理解していない、単なるハンサムラッキーボーイが浮かばれる可能性はないだろう。

往生際が悪い日本の右派勢力 米下院外交委「慰安婦決議」を直視すべきだ

2007-06-28 00:14:41 | 世界の政治・社会情勢
米連邦下院外交委員会が26日、「慰安婦」問題で日本政府に公式な謝罪を求める決議案を圧倒的多数で採択した。
決議案は民主党のマイク・ホンダ議員が2月に提案、140人以上の議員が共同提案者となった。来月に下院全体会議で採択され、正式な決議となる模様。
この決議に対して、自民党右派系議員が米紙に反対の意見広告を出すなど批判活動を行った。
また、産経新聞が3月に「ホンダ議員は中国人団体のロビー活動を受けて慰安婦決議を推進している」などと大々的に伝えたり、「【湯浅博の世界読解】対中非難決議の方こそ注目を」というコラムでも「厳しい対中非難をそらすため、中国系団体が下院議員らを慰安婦問題に誘導しているのではないかとのうがった見方もしたくなる」などと主張、慰安婦決議案が米国の自生的なものではなくて、反日中国勢力によって唆されたものだという印象操作を行おうと躍起になっている。
しかし、自民党右派議員や産経新聞の主張はナンセンスだ。
慰安婦決議と同時に、ウイグルの人権支援決議や米国と台湾の高官接触を促す決議なども採択されている。つまり、これは人権問題という点で共通しているものであって、決して「反日」という次元の問題ではないことがわかる。
慰安婦問題は、日本だけではない。戦後台湾でも国民党軍が行っていたし、韓国でも存在した。だからこれは女性の人権問題なのである。その中で日本ははるか昔の戦時中の行為について現在の為政者がいまだに潔く明確に謝罪していないところが問題なのである。

そもそも、「中国の工作」という産経の主張は出鱈目もいいところである。

1.慰安婦決議に積極的な議員は反中・親台の人権派が多い
慰安婦決議が中国系の世論工作によるものだというのは実は根拠が薄いというか、ほとんどデマである。下院議長のナンシー・ペロシ氏は民主党左派の代表的人物だが、彼女は慰安婦問題で日本を批判する以上に、現在の中国の人権・軍拡問題にも強い批判を持っており、チベットおよび台湾を強力に支援する立場を堅持しているい。
また、下院外交委員会のラントス委員長は「戦後ドイツは正しい選択をしたが、日本は歴史の忘却に熱を入れている。日本が戦争中に中韓の女性を性奴隷として強制徴用したことは明白で、間違いがなく、否定することのできない歴史的事実だ。日本の一部の政治屋が、一貫して歴史の歪曲を続け、被害者を責めるトリックを弄し、あろうことか広告で慰安婦の生存者と議会での証言者を中傷したことは、人々に極めて強い困惑と不安を抱かせるものだ。したがって、下院が立ち上がり、こうした女性のために正義を主張し、かつ歴史に真実を取り戻したことは、極めて適切なことだ」と指摘している(朝日新聞報道)が、ラントス氏はまた台湾との友好を目指す台湾コーカスの主力メンバーでもあり、チベット問題にも関心が深い。

2.同時にウイグル、台湾に関連した決議も採択されている
今回の慰安婦決議と同時に、ウイグルの人権活動家ラビヤ・カーディル氏の子供が中国で投獄されている問題でその釈放を要求する決議、さらに台湾との高官の交流を全面的に容認することを米政府に要求する決議も採択されている。また、中国の人権、軍拡、ダルフール問題などに関する非難決議も最近、毎週のように採択されている。
もし、産経のコラムや報道どおりに、中国がそれらの決議を矮小化するために慰安婦決議一本だけで対抗しようとロビー活動を行ったというのは説得的ではない。同じロビー活動の効果があるのであれば、中国はどうしてウイグルや台湾に関して中国に不利な決議案の採択を阻止しようとせずに、逆にそれを放置しておいて、たった一本の「反日」?決議案に力を尽くすのだろうか?どうみても骨折り損ではないか?そもそもそれはロビー活動というものを理解していない主張だろう。

3.台湾ファクターの存在を無視している
それから、本当に中国のロビー団体が米国の議員を動かして、決議案を採択させることができるほど強力だというなら、台湾に有利な決議など採択されようもなく、台湾はとっくに終わっているかも知れない。要するに、産経や自民党右派議員は、「日米中」関係しか見えていないから、こんなトンチンカンな主張をするのである。日本ではよく「親台湾派」と言われることが多い自民党右派や産経新聞が、実際には台湾など一顧だにしていないことがこの件でよくわかる。ペロシ、ラントスら親台湾派議員がどうして慰安婦決議にも熱心なのか。それは、要するにリベラル派で人権を重視するペロシやラントスが、台湾におけるリベラルな民進党の成立を人権という観点から感銘を受けているからなのである。それに対して、日本の産経や自民党右派の「親台湾」はいかに台湾の現実を踏まえない、単なる独りよがりの「反共主義」からするまやかしであるかが示されている。

4.慰安婦など日本軍国主義批判は、中国ではなく米国から起こった見方
産経や自民党右派などの国粋主義者はどうも勘違いしているようだ。日本右派的にいう「自虐史観」=「反日」史観なるものが、中国や朝鮮が発明したものだなどと本気で考えている節があるからである。ところが、そんな気の利いた思想を中国人や朝鮮人が考え出したものだと考えるのは、それこそ中国人や朝鮮人を買いかぶりすぎている。いわゆる「自虐史観」の起源は、中国やソ連などの「アカ」ではなくて、日本を戦争で破った米国が作り出した戦勝者史観なのである。この点では、一水会などの新右翼がいう「YP体制打破」というのは、本質を衝いている、といえるのである。
逆に、産経新聞などが米国の決議を「中国系団体が仕組んだ」といって、むしろ中国の工作で米国が動いたような説明をしていることは、それこそ中国の影響力を過大評価しすぎていることになる。そんなこと言われた中国はさぞ面映いであろう。
しかし「反日」史観が米国製のものであるとしたら、自民党、とくに安倍政権は矛盾した立場に追い込まれることになる。つまり、一方では「親米」というより米国従属を進めながら、史観としては米国の主流と敵対するものを抱いているからである。実際、安倍総理が慰安婦の「強制性」を愚かにも否定したとき、米国からこっぴどく批判され、最終的には米国に「屈服」する形で、慰安婦問題で抽象的な反省を述べることになったのである。
ところが、日本の右派は、この矛盾を直視できない。だから、それを「中国の工作」のせいにして、自己安撫を行おうとしているが、そうした核心から目をそむけた自己欺瞞はいつまで続くのだろうか?

以上のことを踏まえるならば、日本政府は一刻も早く従軍慰安婦問題を基本的人権と女性の尊厳の問題としてとらえなおし、歴史を直視して、歴史の過ちを謙虚に反省、謝罪すべきなのである。またそうすることによって、日本は大手をふって台湾との関係を強化し、人権と平和の立場から中国や北朝鮮に対して物言いをする正当性が生まれるのである。
実際、ラントスやペロシは、日本がそうすることによって、日本が歴史のしがらみから解放され、現在中国が進めている人権弾圧に明確な立場を示すことができるようになることを期待しているのである。
いつまでも過去のことを潔く謝罪できない日本の糞右派どもは、むしろ日本の外交的発展の足を引っ張る「国賊」というべきだろう。

最近の米国ついては、ブッシュ行政府に関しては、イラク戦争などはっきりいって反感や憎悪を感じるものが多いが、連邦議会は台湾の民主主義も支援するなど、肯定的な役割を果たしていることが多い。そういう意味では今回の決議も、日本にとっては渡りに船なのであって、日本政府はこれをきっかけにして、従軍慰安婦、植民地支配、靖国A級戦犯合祀、侵略先での虐殺について、衷心から、包括的に、反省し、謝罪するべきである。
そうしてこそ、日本はむしろアジアの他の民主主義平和愛好国家(韓国、台湾、モンゴル、フィリピン、タイなど)と手を携えて、現存するアジアの反民主的軍国主義国家の現在進行形の人権侵害を批判する先頭に立つことができる。

レバノン系歌手シャキーラがビヨンセとアラブ風の曲リリース

2007-06-26 00:36:03 | アラブポップス
久しぶりにレバノンポップスがらみのネタを。
コロンビア生まれだが、父親がレバノン系の女性歌手シャキーラが最近(といってもちょっと時間がたっているが)米国の黒人系歌手ビヨンセと組んでリリースしたR&B「Beautiful Liar」、これのビデオクリップが先日台湾のテレビでも流れていて驚いた。曲調、とくに間奏部分がアラブ色があるだけでなく、ビデオクリップでの二人の踊りがベリーダンス風で、しかも3分前後のときに出てくる背景がアラビア文字のように見える壁だった。まあ、曲や背景画像はあくまでも「なんちゃってアラブ」であるところは否めないのだが、シャキーラはアラビア語も話せるそうだし、ベリーも本格的にやったことがあるそうだから、レバノンポップスファンからみてもかなり満足できる作りになっていた。
「ようつべ」でもアップされている→http://youtube.com/watch?v=RtIHBRsy1lI

国民党大会で馬英九・蕭萬長コンビを正式決定

2007-06-25 03:53:31 | 台湾政治
国民党の第17次全国代表大会第2次会議(党大会)が24日午前9時から午後5時まで桃園市のドーム球場で開かれ、馬英九、蕭萬長をそれぞれ正副総統候補に正式決定した。私も念のため見学することにした。

◆前日に急遽決まった副総統候補人選
副総統候補の人選は、馬英九の指導力不足もあって難航し、これまでに9人の名前が挙がったが、党大会前日の23日になって急遽、9人目の蕭萬長に決まった。蕭萬長は財政経済専門のテクノクラートで、李登輝時代末期には行政院長に抜擢、2000年総統選挙では国民党副総統候補になった。李登輝系本土派として知られ、国民党下野以後は民進党政権に接近し経済顧問になったり、李登輝のシンクタンク群策会の設立にも参加したりした。しかし2004年に陳水扁が再選されると、民進党政権とは疎遠になり、2005年ごろから「両岸経済交流強化」を盛んに唱え、民進党政権に批判的になった。23日の出馬宣言でも、すべて台湾語で発言し民進党政権を「鎖国」と攻撃したくらいだ。江丙坤といい、国民党本土派のテクノクラートはいったん民進党にも近づく姿勢を見せながら結局本土派として貫徹できず、国民党内保守派に辛め取られ、中国にも接近する事例が多い。エリートの弱さというところか。

◆馬英九の政治力不足
しかも蕭萬長といえばもはや過去の人。それをわざわざ引っ張り出してこざるを得なかったのは、国民党の人材払底であり、馬英九の人望のなさ、政治家としての資質の無さを示すものであろう。
そもそも、今回の副選びで、馬英九はどういうわけか、自ら期限を設定し、さらに「本土派南部出身台湾人」にこだわった。普通の政治家なら期限を設定するリスクは避けるものだが、馬英九はなぜか設定して、自分で自分が追い込まれ、首を絞めていた。期限を決めたため、民進党色が強い南部出身者からは次々断られていた。つまり相当追い込まれていたわけだ。これで蕭萬長が引き受けなければ副なしで24日の大会を迎える可能性もあったわけだ。

◆党大会の雰囲気と手順は混乱
さて24日朝から始まった党大会だが、私は寝坊して遅めに行ったので、最初の呉伯雄と連戦の挨拶、正副総統の「造勢」(総決起集会)の場面は間に合わず、その後の党規約改正案の討論と午後一番の政策討論の一部だけ見学して引き上げた。
しかし驚いたのは、国民党の集会の雰囲気というのは、本来はもっと手際がよいが、権威主義的で重苦しいものがあったはずだが、今回の大会は、重苦しさはなく台湾人の集まりによくあるほんわりした雰囲気になっていたのは良いとして、手順もめちゃくちゃになっていた。そういう意味では国民党も「本土化」したといえる。ただ中国官僚政治独特の手際のよさというか、一種の形式主義はなくなったことで、国民党のある意味での強みも喪失したといえる。

◆基盤は本土化したのに馬英九を選ぶ矛盾
また、基盤は台湾人が担っていて、壇上でも壇下でも台湾語が多用される傾向があって、雰囲気も本土化したというのに、総統候補として選ばれるのは、「本土」性から最も縁遠い馬英九というのが、最大の皮肉であり、矛盾だといえるだろう。つまり、ここではいまだに国民党の悪しき外来権威主義政党としての「法統」観念、大中国意識がなぜか幅を利かせるのであろう。それでいて弛緩しきった大会の雰囲気ともあいまって、この政党が2008年で勝つことは絶対にないだろうし、未来もないだろうと確信した。
本当に国民党が将来的にも台湾で生き残りたいのであれば、中南部の農会や廟会に見られる、民進党以上にコテコテの泥臭く、間抜けな本土性に依拠して、緩やかな本土保守派の連合体として再編される必要があるだろう。少なくとも馬英九のような頑迷固陋な大中国意識者が台頭できるような仕組みやイデオロギー性を持っていては、今の台湾ではもはや主流になれないだろう。ただし、もし本土保守連合体として再出発すれば俄然、有利になるだろう。

◆馬英九は経済オンチのようだw
馬英九の演説現場は間に合わなかったが、あとで演説原稿を手に入れ、馬英九は機械みたいな男だからほぼ原稿通りに読み上げたようなので、それを読んだのだが、例によって美辞麗句に散りばめられた乙女チックな内容だった。現在の貧富格差拡大(M字型社会)や生活難(むじなの突っ込み:いずれも本当かいな?)、自殺の増加、治安の悪化(突っ込み:自殺や治安の悪化は、地方自治体の施策に第一の責任があり、地方は国民党が圧倒的に多いのだが?)治安は、民進党政権が台湾独立のイデオロギーに汲々として経済をおろそかにした結果であり(突っ込み:馬英九自身の統一目標はイデオロギーじゃないの?)、国民党が政権を奪回すれば、経済を重視し、社会的にも寛容性にあふれる多様性を尊重し(突っ込み:白色テロを公式謝罪もしていない国民党が「寛容や多様性」というとは驚きだw)、汚職も司法への干渉もない社会を実現する(突っ込み:そういう馬自身が横領で起訴され有罪が確定的なのは?)。
2008年以降は年率成長率6%以上(突っ込み:今の台湾の経済レベルでそんなことしたら、景気過熱だw)、2011年までに一人当たり国民所得2万ドルを目指す(突っ込み:統計上の国民所得が増えても、韓国みたいにインフレが高進して購買力が低下するなら何にもならないわけだが)、失業率3%以下を目指す(突っ込み:対中経済開放を進めたら、失業率は増えるのでは?)。
また貧富格差に対処するため福祉を増やし(突っ込み:財源は?)、両岸交流を円滑化し経済成長のために台湾全体を自由貿易区とする(突っ込み:経済自由化をすれば普通は貧富格差が拡大するだろうが)
などと述べた。
しかし、いちいち突っ込みをいれたのを見るまでもなく、相互に矛盾撞着していて、とうていすべてを実現することは不可能な主張だ。
そもそも治安が悪化したというなら、それは県市レベルの自治体の責任だから、国民党に降りかかってくる問題なのだし、M字型社会を批判しながら、両岸交流を進めるのは矛盾もいいところだ。また台湾のような準先進国レベルでは経済成長率は4%程度が妥当なのに、なぜか6%と設定して、京都議定書の精神を無視するような暴挙を掲げているし、米ドル換算の所得が増加しても、インフレになったら意味がない。
よく国民党側は今の台湾の一人当たり所得が韓国に追い越されたことを指摘するが、その一方で韓国はインフレが進みすぎていて、M字型社会がもっと極端に現れている負の側面を無視している。
つまり、国民党の経済政策主張は、野党ぼけなのか、かつての高度成長政策時代の思考を抜け切れていない時代錯誤なのか知らないが、あまりにも現在の実体経済を無視した経済オンチの典型というべきものだ。オンチぶりは日本でいえば共産党のそれに近い。これでは国民党が責任野党として政権奪還する可能性はないといってよい。こんな国民党がまかり間違って政権をとったら、台湾経済はおしまいだ。

◆馬英九は銀行員か裁判官が最適
もっとも、馬英九が少女チックな美辞麗句を本気でいっているらしい姿勢を見ると、どうも馬英九本人はそんなに悪い人ではないのだろうとは思う今日この頃ではある。
国民党内で馬英九を推す人間の評価を聞いても、相対的にクリーンで悪いことはしないタイプだという。特別費横領事件で起訴されておいて、クリーンもないものだと思ったが、よくよく聞いてみると、どうやら国民党の基準ではクリーンということらしいし、しかもここでいうクリーンとは、単に国民党幹部の子弟としてしかも姉数人に囲まれて、なよなよと甘やかされて育った箱入り息子が、長じても優等生としてかわいがられて、権力闘争を経ることなるどんどん抜擢されてきた、単なるラッキーボーイというか、子供がそのまま大人になったような、世間知らずなボンボンであるというだけのようだ。
そういう意味では、社会の穢れや悪や人生の苦しみを知ったうえで、あえて勇気を持って不正と立ち向かう林義雄のようなタイプとはまったく違う意味での括弧つきの「クリーン」ということだ。
副総統候補人選をめぐるもたもた、昨年の陳水扁打倒運動の際の決断と判断力の無さなどを見ると、要するに、単に人間社会の陰の部分を知らない「夢見る少女」だから、もともとダーティな部分を知らず、従ってクリーンだというだけに過ぎない。
だから、最近馬英九が出した単行本「原郷精神」(天下文化)という本でも、馬英九の主張は単なる美辞麗句のオンパレードで、それでいて台湾社会の核心がまったくわかっていない「単なる夢見る少女の作文」に過ぎないものになっているのだ(これについては後日詳述)。
しかも、ある意味では糞マジメなのだろう。想定外の事態にはかっとなりやすいようだし、記者の質問にも、トップと思えないような細かな数字に拘泥し、優等生的で決まりきった発言しかできない。
つまり、馬英九という人間は根本的に政治家に向いていないのだ。無能だから向いている職業もないだろうが、あえていうなら単純に貸し出し審査を行うだけでディーリングは担当しない銀行員か、世間知らずがやたら多い裁判官くらいだろう。政治家になったのは間違いなのだ。

台日市民社会フォーラム開かれる

2007-06-18 01:00:56 | 台湾社会運動
16、17日と台北市の公務員訓練センター=福華(ハワード)文教会館で、台湾と日本の市民運動団体が集まって環境、医療、地域など様々な問題を話し合う「台日公民社会論壇(市民社会フォーラム)」が開かれた。
台湾側主催団体で中心となったのは台湾環境保護聯盟。台湾・日本側とも、主に左寄りの団体が参加した。これまで台湾とは疎遠だったはずの「全国憲法研究会」「早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター」「日本市民外交センター」なども加わっていたのは注目される。
台湾で民進党政権になって以来、台湾は実際にはアジアの中で最もリベラル傾向、左寄りになっているのだから、ここで日本の左派系団体が台湾の市民団体との交流に訪れた意義は大きいといえるだろう。
私は16日午前はまだ台南にいたし、昼は台北に戻ってきて、事前に約束していた知人と長い昼食をとっていたので、遅くなって傍聴し、夕食にも一緒についていっただけだった。

日本の知り合いに聞いたところでは、16日午前中の開幕式では、李登輝と謝長廷が挨拶をしたようだが、その中でも李登輝の挨拶が噴飯物だったらしい。中国との対抗上、日本との安保関係、日米安保の重要性を強調するようなトーンで、会場に来ていた日本側の団体には白けた雰囲気が流れたようだ。
これに対して、さすがに日本の反原発運動などとも交流している謝長廷はそんな右寄りなことは言わなかったようだ。しかし場をわきまえていない発言をするようでは李登輝はやっぱり老人ボケというしかない。台湾環境保護聯盟の知り合いは当惑の表情を見せながらも「李登輝氏も年齢が年齢なんだし、あまり期待してもいけない」といっていちおう李登輝をかばったが、ちょっと納得できない。だったらはじめから李登輝なんて来るべきではない。

私は護憲団体に対して、台湾の民進党に近い市民運動の中に、日本の憲法9条に注目して、それを台湾の改憲の中でも積極的に取り入れて行こうという勢力があること、だから9条は決して死んだものではなく、これからどんどん価値が出るものだということ、そうした声が台湾や韓国に出ているのだから、それをもっと重視して、台湾にもっと注目すべきこと、それにもかかわらず日本の護憲団体が軍拡に邁進する中国との友好ばかり図り台湾をないがしろにしがちなこと、日本の右派の9条改憲運動を牽制するために中国と北朝鮮に9条を輸出しようと訴えるべきことなどを提案した。
ただ日本の護憲団体は「日本で台湾については集団安保の文脈で語られがちなので台湾との交流に及び腰になる人が多い」という。そこで私が「だからといって、軍拡の中国に配慮することが、平和主義なのか。しかも集団安保の文脈で考えているのは日本の右派政府なのだから、日本の左派はそれとは異なる文脈と視点で台湾との交流を強化すべきではないのか。そうでなければ初めから右派の論理を認めていることになる」といっておいた。ただ、9条を中国と北朝鮮に輸出することは積極的な反応があった。

台湾高鉄に初めて乗る!

2007-06-18 01:00:25 | 台湾その他の話題
今回高雄県であった台湾農民党成立大会を取材するため、久しぶりに南部に行き、そのため初めて台湾高鉄(台湾新幹線)に乗った。
行きは台北から高雄の左営。帰りは台南から台北まで。
台北から左営はいわゆるのぞみ型で途中の停車駅は板橋と台中だけ。だから特に速い。社内の電光板には、速度も表示されていたが、300キロ以上を出していないようで、最高で時速296キロだったが、それでも日本のより速いから、まさに「びゅわーん、びゅわーん、走る」といった感じだった。

乗り心地もなかなか快適。日本の新幹線にはなぜかない、手荷物置き場も車両の前のほうにあるし、乗客のマナーもすこぶる良かった。携帯電話で大声で話すというのもなく、みんな静かに乗っていた。もちろん隣にあるどこかの国みたいに備品を盗むなんてことは皆無(まあ備品を持っていくなんて、某国しか有り得ないだろうけど)。
事前にJR関係者や一部台湾事情を知らない日本の鉄道ヲタクが、台湾人のいい加減さから運営能力を心配していたが、やはりそれは失礼というものだ。台湾はちゃんと運営できる。いい加減なのは全体がいい加減でそれはそれで動いているのだから、そのために事故が多発することを心配しなくてもいい。逆に台湾みたいなところで新幹線だけは日本並みに厳格にやっていたら、それこそ事故を誘発するだろう。

しかし問題点、マイナス点も少なくない。問題は帰りに利用した台南駅が帰仁などという、台南でも「辺鄙なところ」の代名詞として有名な、とんでもない僻地にあることだ。台南市内からタクシーで高速道路を取っても25分はかかるし、値段も470元もかかっている。台南から台北の新幹線こだま型で1時間半強、運賃が1350元なので、それぞれの3分の1にあたることになる。アホみたいだ。これは台南だけでなく、台北、板橋、高雄の左営以外のすべての駅がそういう辺鄙な場所にあること。台中はもっとひどい。
しかも、日本だったら、こういう場合、ちゃんと事前にモノレールなり、シャトルバスなり、ちゃんと対策を立てたうえで開設するだろうが、台湾はそういうことはあまり考えていない。
地価の問題というには不自然すぎる。台鉄の在来線の駅にも辺鄙で地価が安そうなところはいくらでもあるのだから。お札で有名な保安駅あたりと接続すれば、便利なのに。
台南駅の周辺の土地は、台湾製糖所有の遊休地だったようだが、要するに辺鄙なところにあるのは、国営・党営企業の遊休地で最も売れそうにないところを、当時の国民党政権(しかも李登輝になってから)が台湾製糖の便宜を図ったためだろう。やっぱり国民党は李登輝といえどもとんでもない奴らだ。
そういえば、今後雲林と苗栗も駅を作るらしいが、やめたほうがいい。大体、苗栗なんて、誰が乗降するんだ?
システムの不備といえば、台鉄の駅で切符が買えたりするわけでないところも問題だ。全席指定で自由席や立ち席は認められないので、もし事前にネット予約などをせずに、辺鄙なところにある台南駅までいって、席がなかったら、途方にくれるしかあるまい。また切符の購入証明にあたる領収書が手書きなのが最新施設にしては間抜けだ。

別のマイナス面といえば、これは速さの便利性の代償なのだが、「鉄道の旅」としては非常に味気ないことだ。濁水渓の通過もあっと言う間だ。私は在来線の台鉄が南部を通るときの情緒は好きなのだが、それは高鉄にはない。それに、こうした「カッコよさげ」な施設やシステムにつきものなのだが、どうしても北京語が主流になってしまいがちなところも問題ではある。
防音壁がないこともあって、景色がちゃんと見えるが、これは列車の外にいる周辺地域にとっては騒音がたまったものじゃないだろうな、と思う。

ビッグニュースが相次いだ6月15日

2007-06-18 00:59:52 | 台湾その他の話題
台湾農民党の結成大会があった15日は、台湾に妙なオーラが覆っていたのか、普通の日なら国内で圧倒的なトップになりそうなビッグニュースが相次いだ。

午前10時 高雄県で台湾農民党結成大会
午前10時半 宜蘭県で列車同士が衝突、5人死亡、17人負傷
午前10時40分 陳水扁が総統になるまで住んでいた台北市の自宅(今は空き家)が放火
昼 力覇東森グループの横領事件で、東森総裁王令麟を地検に身柄送致
午後4時ごろ? 大法官会議(憲法裁)が国務機密費事件で総統の免責特権を確認する憲法解釈第627号決定
午後5時 高雄市長選挙訴訟で陳菊の当選無効判決
午後9時? 中華民国96年度(1月から)政府予算案が立法院でやっと成立
?時 馬英九と蘇貞昌がそれぞれシンガポールを訪問

この日のテレビニュースは、あまりの大ニュースの連続からそうとう混乱していたようで、列車衝突の画面に陳総統自宅放火の字幕が宛てられていたりした。
翌日の主要4紙はどうかというと、いずれも高雄市長選挙当選無効判決をトップに持ってきていた。やはりそうなのだろう。
紙面の割付がうまい連合報は市長選挙判決をトップ記事に持ってきているが、大法官会議解釈を肩に、列車事故を1面に写真だけ持ってきていた。これはうまい。ただ割付が下手な自由時報は列車衝突事故と陳総統自宅放火は、本版ではなく、社会セクションに押しのけられてしまっていた。
当選無効判決については、聯合報と中国時報という青系新聞の基調は肯定的でうれしそうだったが、自由時報は当然批判的。意外だったのはリンゴ日報で香港系だし社内には青系も多いのに紙面報道では批判的な基調になっていたことだ。
実際、当選無効判決はおかしい。だったら、わざわざ大枚な税金をつかって選挙後に票の再集計を行ったことはどうなるのだ。確かに陳菊陣営が投票前日になって黄俊英陣営の票の買収行為をあまり明確な根拠も挙げずに暴露したことは問題がないわけではないが、それが本当に選挙結果に影響をもたらすものなのか、まして判決が認定したように脅迫など不正行為にあたるというのはどうみてもこじつけというしかない。それなら、台北県長選挙で国民党側が民進党側の「票の買収」を暴露したことも無効になるのではないのか?選挙の意義と有権者の判断を無視する言いがかりだ。

おかげで農民党結成と馬らのシンガポール訪問はニュースバリューが小さくなって、両方ともほとんどベタ扱いになっていた。

国民党がまた分裂、台湾農民党15日結成へ

2007-06-14 01:02:39 | 台湾政治
国民党がまた分裂する。台湾の農漁民などで構成される農会(農協)、水利会、漁会(漁協)の一部が国民党による対中農産物開放政策への不満などから、国民党とは別に新たな保守政党「台湾農民党」を立ち上げることを決め、15日午前10時から高雄県鳥松郷の澄清湖付近で結成大会を開く。
高雄県農会を中心に南部の農会、水利会、漁会などが主な母体で農民の権益重視を訴え、来年初の立法委員選挙でも不分区(比例代表)で支持獲得を目指す。
これによって、国民党の支持基盤が足元から崩れることになり、このところ支持が下降気味の馬英九にとって弱り目に祟り目となりそうだ。
(国民党保守派系週刊誌「新新聞」などは「同じ本土派として民進党のほうが打撃を受けるだろう」などと書いているが、これは嘘。もともと南部の農民で民進党に入れている人間は農会の統制を受けずに民進党にそのまま入れるだけだから。そもそも新新聞は国民党べったりだから、民進党の生態、まして南部有権者の心理をわかっていない)

農会などは、日本統治時代の農協などを受け継いだもので、戦後は国民党の選挙マシーンとなってきた。しかし、2005年の連戦(当時主席)の訪中などにみられるように、国民党が鳴り物入りで台湾農漁産品の対中輸出、中国農漁産品の台湾輸入を推進したが、その結果、台湾産は中国で思ったように売れず(台湾産と銘打った偽者が出回ったため)、逆に安い中国産が台湾に流入して、台湾の農漁業は大打撃を受けてしまった。
また、国民党の中央の実権を相変わらず馬英九前主席ら外省人系統が独占し、台湾出身の王金平らが冷遇されていることも、農会などの系統は不満だった。
そこで3、4月ごろから、農会などが独自の政党結成に動き、台湾のメディアなどでも報道されてきた。

党結成には高雄県農会が先頭に立っていることから、高雄県を地盤として農会系統と密接な関係があり、また農民党首と同じ地方派閥(高雄白派)に属している王金平が(あと李登輝も)一枚かんでいると見られている。ただし、馬英九系統がそれを指摘すると、王は「私は知らない」といっている。

今のところ、農民党結成に積極的に動いているのは、高雄県農会など一部にとどまっており、特に北部の農会、漁会、水利会は「様子見」の姿勢で、発足当初の勢力はそれほど大きくない模様。しかし、北部のそれらも馬英九系統など現在の国民党のあり方に不満を持っているといわれ、今後の動向次第では、「台湾農民党」は台湾政治の台風の目になる可能性はある。

それにしても面白いのは、今や政党の名前に「台湾」を冠することに何の衒いもなく、ごく当たり前のようになっているところである。台連が2001年に結成したときですら「主要政党では初めて台湾の名前を冠した」と豪語したように、「台湾の名前を政党名に冠すること」がかなり衒いと決断が必要だったのだが、今回は何の疑問も衒いもない。

ちなみに高雄県農会に問い合わせてみたところ、いきなり台湾語「Ko-hiong5-koan7 long5-hoe7, li2 ho2!」と結構元気な男の声が出てきた。いやあ、なかなか宜しいわ。
ちなみに結成大会がある鳥松郷は白話音で、chiau2-chheng5-hiongと読む。また澄清湖は、元の名前を「大埤湖」といったが、「字面が悪い」といって独裁者・蒋経国が無理やり変えさせたという経緯がある。ちなみにこうした独裁者の横暴は何も国民党に限らず、その前の外来政権であった日本も、同じように「漢字の字面が悪い」台湾語の地名を多く改名させている。高雄(もとは平埔族の村落名タアカウを台湾語漢字で宛てた「打狗」と書いた)などもそうだ。日本といい、国民党といい、余計なことをしてくれたものである。

台語電影文物展が16日から北投で

2007-06-14 00:56:33 | 台湾言語・族群
台語電影文物展というのが、6月16日~7月1日、台北市の北投公園と北投温泉博物館で開かれる。
主催は行政院新聞局、実行機関は財団法人国家電影資料館(国立フィルムアーカイブ)
財団法人国家電影資料館の公式HP: http://www.ctfa.org.tw/
その他この行事関連サイト:
http://www.im.tv/myvlog/CTFA
http://www.im.tv/vlog/Personal/660939/1813811
http://www.im.tv/vlog/personal/660939/1794374

│開│幕│節│目│
時間:6/16(六)
1400-1500【In!台風】文夏、文香 / 寶島歌聲
1600-1700【In!台風】紀露霞、鄭秀美 / 懷念的戀曲
1900-2100露天電影首映《台灣錢淹腳目》
地點:北投溫泉博物館

│文│物│展│
日期:6/16(六)―7/1(日)
地點:北投公園、北投溫泉博物館
│春花夢露五十年-台語片學術研討會│
時間:6/24(日)0930-2100
地點:水美溫泉會館(台北市北投區光明路224號)

│難忘‧天字‧老青春│
時間:6/16(六)―7/1(日)
地點:北投溫泉博物館放映室

│In‧台風│
時間:6/17(日)、6/23(六)、6/24(日)、6/30(六)、
7/1(日)1500-1600
地點:北投溫泉博物館

台湾にとって国交の有る無しの意味と国際的地位の安定性について

2007-06-08 00:35:15 | 台湾政治
前の記事では、コスタリカの断交から、台湾との国交国の状況について見てきた。しかし、実は国交国や非国交国との関係をつぶさに見ていくと、実は台湾にとって国交の有無は実質的な意味と直結しないことが見えてくる。つまり、そもそも国交とは、国家とは何ぞやという根本的な問題に行き着かざるを得ない。

たとえば、今回断交したばかりのコスタリカと、危ないとされているパナマ、ニカラグア、ドミニカ共和国、ハイチなどは、ここ数年首脳や主要閣僚が台湾を訪問していないし、ハイチにいたっては台湾総統と行政院長の訪問を中国の圧力で拒否しているくらいである。これでは何のために「国交がある」のかわからない。

逆に形式的に国交がなくても、実際には台湾にはかなり好意的、ないし関係が緊密なところはある。関係が緊密といえば日本と米国で、WHAのオブザーバー加盟なら絶対に支持し、セカンドトラックの実務接触なら拒否しない態度。
特に日本はここ数年で急速に好意的な方向に転換している。台湾人に歓迎されている明確な指標は、台湾人の観光目的日本入国に対するビザ免除である。また、鳥インフルエンザ、狂牛病、口蹄疫などの蔓延から役割が重要になっているOIE(国際獣疫事務局、または世界動物保健機構、本部パリ)が5月25日に開いた第75次総会で、中国が提案した台湾の加盟資格格下げ案に対して、米国は中国案に賛成したのに対して、日本は棄権で台湾に配慮する姿勢を見せた。
ほかに台湾にかなり好意的なところとしては、同じくOIE大会で中国と国交がありながら中国案に賛成せず棄権に回った南アフリカ、ボツワナ、フィリピン、台湾を明確に支持したフィジーがあげられるだろう。ちなみに、フィリピンはWHAでも台湾加盟議題削除に棄権し台湾に配慮している。フィジーは中華民国と相互国家承認をしており、陳水扁の南太平洋訪問で立ち寄りを認めたり、首脳と会見したりしているところだ。
EUで共同歩調をとらざるを得ないとはいえ、個別の立場表明のときには欧州の中で台湾に最も好意的な姿勢を見せるのはチェコであろう(国連加盟でも台湾を支持する発言をしている)。これは前大統領のハヴェルがきわめてまともな人で、人権と自由と平和を大切にしていたから、台湾に対して特別に関心を示していたことが大きく利いている。また、欧州ではチェコほど程度は強くはないが、ラトヴィア、リトアニア、アイルランド、ベルギー、アイスランドなども議題によっては台湾に好意的になることもある。また、以前は台湾に敵対的な観もあった英国も最近は国連加盟問題で「台湾の民主化は評価する」と発言したり、同じくカナダも今年のWHAでは台湾加盟案に反対したものの「意義ある参加を支持する」発言をした。オーストラリアも最近は日本との関係を緊密化させている過程で、セカンドトラックでは台湾に好意的姿勢を見せ始めている。
それから、最近陳総統の訪問を受け入れたアラブ首長国連邦のアブダビ、リビア、インドネシアもそうであり、かつて李登輝が総統のときに訪問を受け入れたときほどではないが、台湾の代表部には中華民国名を容認しているヨルダン、同じく代表部が中華民国名を冠しているエクアドル、ボリビア、ナイジェリアも、台湾にそれなりに好意的だといえる。また、アブダビ、リビア、ヨルダンに限らず、アラブ諸国は全体的に「二つの中国論」から台湾の存在を事実上認める傾向が強い。これはシリアなど反米国でもそうである。
面白いことに、シリア、キューバ、ニカラグア、ベネズエラ、ボリビアなどこの間、反米政権で知られているところも、台湾との接触をまったく拒否しているわけではなことである。キューバのカストロは2000年以降に副総統の呂秀蓮と第三国で会ったこともあるし、今年陳水扁はニカラグアの大統領就任式に出席して、ベネズエラのチャベス、ボリビアのモラレスといった反米の巨頭とも歓談している。

台湾と国交があっても総統や行政院長が訪問できないハイチがある半面、国交がなくても総統が堂々と訪問しているリビアとフィジーや緊密かつ活発な関係がある日本などを見てみると、そもそも国交とは何かということの定義が問題である。大体、日本はリビアやチェコと国交があるが、首脳や外相の往来がそれほど活発ではないことを考えれば、台湾が国交がないことが実は問題の本質ではないことがわかる。

実は、国際社会では台湾の生存空間と国際的地位について、この十数年間の民主化と政権交代による民主主義深化を評価する形で、一定の安定した位置づけが確立しつつあるといえると思う。
それは「台湾を独立国家という形式では認めないが、さりとて中華人民共和国の一部だとも認めず、中国による併呑も認めない」というものである。つまり、「中華人民共和国とは独立した一地域・実体」という形態だ。それは実は国家という形式とほとんど変わらないのだが、何しろ中華人民共和国が「台湾を国家として認めるわけにはゆかない」という点に関してだけは強硬でそのメンツを立てざるを得ない。かといって、中華人民共和国が台湾を支配していないことは事実として明らかであり、また中国が台湾を武力攻撃することも、いかに中国と密接な関係がある国(パキスタンなど)ですら認められるところではない。いや、そもそも中国でも南方沿岸のプラグマティックな地域はそんなことは望んでいない。
そうである以上、台湾は「独立国家」という形式や名目はもてないが、「事実上独立した存在」という実質は十分に国際的に認知され、確保されているといえるのである。
むしろ台湾のこの特殊な形態での存在認知は、きわめて安定している。中国の南方もその維持を望んでいるのだ。だから、台湾としては現在の国際的地位と認知のあり方は、実は御の字なのである。
逆に「国家」という名目や形式を持つことと、現状との違いは実質的にはほとんどない。北朝鮮国家が名目的、形式的には国連加盟国で国際的に国家として認知されていることと比べると、実は台湾「非国家」のほうが地位としてははるかに上なのである。

また、逆転の発想をすれば、21世紀の国際社会は依然として主権国家が国際関係の主軸であるのには変わりが無いだろうが、同時に主権国家以外のアクターも意味が認められ、一定の力を発揮するようになりつつある。「国境を越えた医師団」など国際NGOや各国国内の各種NPO・市民団体、あるいはカタロニアなどに見られるような欧州の自治地方も、国家に次ぐ主体として台頭しているのが現状である。マルタ騎士団という存在もある。「国家」として80数カ国と国交を結び、団員という国民を持っているが、領土にあたるものといえばローマにあるビルだけという「領土を欠いた事実上の国家」であり、国連にオブザーバー加盟している。パレスチナも領土がばらばらで虫食い分断状況にあるが、やはり国連などで一定の地位を認められている。
マルタ騎士団やパレスチナが国家に準じた地位と資格があるなら、台湾もたとえ国際的には国家と認められなくても同じような資格はあるし、その資格と地位は実はかなり安定しているのである。

だとすれば、台湾はいっそのこと、「国家と認められないなら、それで仕方がない。そのかわり、国家という名前でなく、台湾という独自の存在形態、実体として国際組織の構成主体となる権利がある」と主張していくべきであろう。「台湾は国家ではないが、中国ではなく、まさに台湾なのである」。この場合の「台湾」とは、国家、衛生実体、国際NGO、高度自治地方などさまざまな国際社会の主体がある中で、台湾に特有の一つの形態と考えれば良い。
中国が台湾について恐れていることは、事実上存在することではなくて、独立国家という形式と名目である。だとすれば、「国家」という点で中国のメンツをつぶさない代わりに、NGOが大きく成長したような「一つの特別な実体」として実力を発揮すればいいのである。

台湾がコスタリカと断交、なぜ?

2007-06-08 00:33:54 | 台湾政治
数週間前から不安定化が報道されていた台湾とコスタリカとの外交関係だが、コスタリカが現地時間6日、中国とすでに1日に国交を樹立していたと発表したことを受けて、7日朝台湾外交部がコスタリカとの断交を発表した。これによって台湾との国交国は24カ国に減少した。

◆緊密だったコスタリカの関係も数年間で悪化
コスタリカは中華民国とは1944年に国交を樹立、1980年代までは台湾にとって最も安定した友邦で、当時パスポートの通用性がなかった台湾人が、コスタリカに移民するなどしてコスタリカパスポートを取得していた。
しかし、数年前から関係に亀裂が走りはじめた。中国はコスタリカから大量のバナナを買い付けるなどして、経済的に揺さぶりだした。これに対して焦った台湾側は、国民党系外交官が与党と怪しげな利益関係を築くなどして現地マスコミから「賄賂を贈った」などと批判され、台湾に対するイメージに傷がついた。さらに台湾人があまりコスタリカに投資しない一方で、中国はコスタリカとの貿易投資関係を急速に増強、コスタリカは徐々に中国になびくようになった。

◆WHAでも台湾加盟に反対
それがはっきりしたのは、今年5月14日にスイス・ジュネーブの国連欧州本部ではじまった世界保健総会(WHO年次総会=WHA)。台湾自身が申請していた「台湾という国名によるWHO正式加盟案」を本会議の議題に盛り込むかの議論の結果、148カ国が加盟申請案を議題から削除することに賛成(台湾加盟に反対)、17カ国が反対(台湾加盟に賛成)、2カ国が棄権、15カ国が欠席、議案削除への賛成多数によって、台湾加盟申請案はWHO年次総会の議題に盛り込まれないことが確定した。
このとき、台湾の25国交国のうち、台湾側を支持して議案削除に反対したのは17国にとどまり、加盟していないバチカンを除くと、6国が棄権や欠席しているが、コスタリカはなんと台湾加盟反対の側に回っていたのだ。

◆平和リベラル志向政権が軍拡中国を選ぶという皮肉
コスタリカは中米諸国の中では「非武装中立」を掲げるが、実際にはかなり強力な警備隊があり、伝統的に強い親米姿勢で知られていた。しかし近年は、中南米の恒例のごとく反米感情が高まり、昨年の大統領選挙では当選した現職アリアスについで、左派市民派が2位につけていた。アリアスもリベラル平和主義者として知られ、ノーベル平和賞も受賞している。
本来、台湾も民主化してリベラル政権になった以上、リベラルな平和主義者の政権とはうまくいきそうなものだし、2位につけた左派市民派勢力とも関係が作りやすいはずだった。それが今回、リベラル平和主義者が、リベラルな台湾を棄てて、軍拡に狂奔する中国を選択したことは、歴史の皮肉である。
しかもアリアス大統領は「これがコスタリカの人民の福祉にとってプラスになるだろう」などと語ったようだが、何かの悪い冗談としか言いようが無い。本当に福祉を考えるなら、有毒食品や薬品を輸出している中国との経済関係を縮小するべきだろう。また、コスタリカ側は台湾に対する不満として、前述の「賄賂」問題のほかにも台湾の援助と施工による高速道路の施工の質が低いことを問題にしていたようだが、これも中国が施工するならもっと大きな問題が起きそうなものだ。
ということは、これは実は本当の理由や原因ではないということだ。

◆本当の問題は?
本当の問題は、台湾のメディアでも指摘されているように、「コスタリカが国際的地位の向上を狙って、国連安保理非常任理事国になることを狙っており、ついては中国の支持を当てにしている」というのが大きな要素だったといってよいだろう。
ただ、裏にはもう一つあるとおもう。それは、この間明らかになったように、コスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国などに有毒の医薬品や食品を輸出してきたのだが、おそらくここでコスタリカが解決のために中国と協議を要求したところ「国交がないと応じられない」などといって圧力をかけたのではないか?
さらに別の大きな要因として、米国が台湾の対米自立の傾向に不快感を抱き、台湾を脅すために、米国と関係が深いコスタリカが中国になびくことをあえて阻止しなかったものとも考えられる。前述のようにコスタリカでも反米感情は広がっているとはいえ、南米ほどではなく、コスタリカの産業経済は事実上米国の支配下にある。これは米ドルを使用しているパナマもそうだ。実際、台湾との国交国が中米カリブ海、アフリカ、南太平洋など、米、英、豪の影響力が強い地域の小国に集中していることを見ても、実は台湾との国交国というのは、米、英、豪の暗黙の支持によるものであろう。だとすれば、もし米国が台湾に圧力をかけたければ、米国の影響下にある国を中国にスイッチさせればいいことになる。しかも現在の台湾にとって、人口・土地の規模や経済力などを総合して最も重要かつ大きな国交国はコスタリカなのだから、コスタリカとが関係を絶つことは台湾に対する大きな圧力になるからだ。

◆台湾の国民党系外交官の右派一辺倒も失敗の原因
もっとも、台湾自身というか、国民党系外交官の失敗にも原因はありそうだ。というのも、外交官には国民党系・外省人が多いことは常識だが、こうした国民党系の人は、イデオロギー的にどうしても反共右派傾向が強く、国交国との付き合いでもどうしても従来の執権勢力である親米反共右派を中心としたものに偏りがちだ。ところが、これには落とし穴があって、米国の影響力と親米感情が圧倒的に強かった80年代には中米では有利に働いたが、反米感情が高まり米国の域内影響力も後退してくると、親米右派に偏ってきた国民党式の外交が裏目にでたのではあろう。しかも民進党は中道左派で、中南米の左派と相性が良いはずなのだが、民進党は政権について短く「民進党系外交官」はまだ育っていない。そうなると、民進党政権がいくら従来の右派と関係維持しつつ左派とも関係構築しようという意図をもっていても、一線の外交官はそれに従わないから、自然と台湾と左転回した友邦との関係は疎遠になってしまう。
国民党の立法委員などは、今回の断交で「民進党は外交ができないからだ」などと責任転嫁しようとしているが、原因は中南米が左傾しているという現実の変化にもかかわらず国民党系の人材が左派との接触を怠って、相変わらず親米右派一辺倒になっているところにある。つまりこれは国民党の思想の問題なのである。

◆「中国が買収」との批判も失礼
かといって、陳水扁・台湾総統らは「中国が4億ドル以上の援助でさらっていった」と指摘していたが、それはコスタリカに失礼というものだろう。コスタリカはそれほど貧しい国ではない。その国がたかだか中国からの援助を頼みに、乞食のように中国になびいたとでも言いたげな陳水扁の物言いは、コスタリカを侮辱するものであり、そうした侮辱的視線こそが、実は断交の一因にもなっているのではないかと思わせる。

★コスタリカ以外に関係が不安定なところ
なお、5月のWHAの採決の際、コスタリカとともに台湾側を支持しなかった各国も危ないといわれている。それは採決の前になって突然「腹が痛くなった」などといって退席したマーシャル諸島、ニカラグア、パナマであり、また会費未納で投票資格を失っていたドミニカ共和国、採決で棄権したハイチである。
これらの5国とは、この間首脳や閣僚級の往来があまりない。ハイチは内戦処理の国連平和維持軍駐屯で中国に配慮せざるを得ない状態だ。
また、実のところ、次の国も危ない。たとえば、パラオ、ここは親日であるが、台湾からの投資状況に不満を持っていて、台湾には代理大使しか派遣していない。ベリーズとバチカンも長く代理大使だ。ソロモン諸島も政情不安で不安定。グアテマラも国内内戦問題を奇貨とした中国の攻勢に揺らいでいる。
逆に、比較的安定しているのは、セントビンセント・グレナディーン諸島、セントクリストファー・ネーヴィス、ホンジュラス、サントメ・プリンシペ、マラウイ、スワジランドだろう。キリバスも中国が復交してまたぞろ衛星基地を作られると困るので、これに関しては米豪が全力で台湾を応援するだろう。
ナウル、ツバル、エルサルバドル、パラグアイ、ガンビア、ブルキナファソなどは短期的には問題はないだろうが、不安要因はある。

中国ネット言論、李登輝への下劣な罵詈雑言の嵐

2007-06-08 00:33:12 | 中国
中国の有名ポータルサイト「新浪網」のニュース討論板では、李登輝の靖国参拝のニュース記事をめぐって大量の書き込みがある。
http://comment4.news.sina.com.cn/comment/skin/default.html?channel=gn&newsid=1-1-13173648&style=0
中国時間7日12時16分から始まって、21時現在で3000を超える活発な書き込みがある。
それを見ると、
「李登輝を国家分裂罪で指名手配にせよ。台湾が祖国に復帰していない現時点では福建検察と裁判所が台湾を代理して審判を下すべきだ」
「民族のクズ、人間のクズ、ゴミ」
「中華民族の歴史上最悪最低の裏切り者として歴史教科書に記載すべきだ」
「これは人間ではなく、イヌ畜生、日本人はもともとイヌであり、李登輝も下等な動物種に属するのだろう
「暗殺しろ」
「かつて日本人慰安婦が産み落とした日本人のイヌだろう、唾棄すべきやつだ」
などと、ありとあらゆる罵詈雑言が書き込まれている。

私もネットでよく罵詈雑言を書き込むが、これほどの「豊富な」罵倒表現は使いこなせない。中国人は、他人を罵倒することにかけてだけは、さすが一流だわいw。

(しかし「慰安婦と日本人のオメコ」というのは、明らかに慰安婦を馬鹿にした発言だ。これにはさすがに「慰安婦を侮辱するな」というレスもついていたが、それでもこうした書き込みがある時点で、中国が慰安婦を単なる反日の材料として利用しているだけで、内心では慰安婦を侮辱するという人権感覚ゼロだということを暴露してしまっている)

また、笑えたのが
http://comment4.news.sina.com.cn/comment/comment4.html?channel=gn&newsid=1-1-13173648&list=4&rid=21765710
「誰か腕のいい人間は李登輝を殺してくれ。お前に旅費として1000元出すから」
なんていう書き込みもあったが、それなら、お前自身が行けよw。自分で手を下そうとせずに、喚くだけ喚くだけ。しかも金も1000元ぽっきりなんて、飛行機どころか船代にもならない。さすがは中国人だけのことはあると思う。
それから、
http://comment4.news.sina.com.cn/comment/comment4.html?channel=gn&newsid=1-1-13173648&list=4&rid=21766355
「日本とは外交関係の格下すればよい。代理大使級とか」
という書き込みがあったが、これは望むところだなw。というか、どうせなら「日本と断交して、日本鬼の汚い金であるODAなんて受け取るな!」とでも言えよw。
どうして単なる「代理大使級に格下げ」で「ODAはそのまま」なのか?w そんなに日本が憎いなら、そんな憎むべき相手から「援助を恵んでもらう」なんて恥じゃないのかな?金をもらうときには乞食になるくせに、口先だけは偉そうなことをいう中国人の下劣な心性がありあり出ている発言だと思う。

李登輝、ついに靖国神社を参拝!

2007-06-08 00:32:39 | 台湾その他の話題
李登輝・前総統が7日午前念願の靖国神社参拝を果たした。これについて台湾のテレビニュースはおおむね好意的か淡々と報道している。
面白いのは緑寄りの民視と三立がわりと淡々としていて、やや青寄りの東森も淡々だが、青系の中天と年代とTVBSがわりと好意的なことだ。特に今回の訪日についてはTVBSが一番割いている時間が多く、かなり好意的だ。李登輝自身がTVBSと年代と関係が深いということもあるが、このあたりわりと捩れているというか、李登輝という人物が一筋縄で語れないところだろう。
もっともTVBSは、討論番組では批判的で、マッチポンプの観もある。ただ台湾の反日派が靖国批判をする場合、批判の重点は「A級戦犯」合祀にないところが、中国や朝鮮の反日勢力とは違っている。むしろ「すでに10年前に新竹県の廟に台湾人日本兵の霊を移してそこに位牌があるのだから、そこに参拝すればよい」という調子だ。ただこれもこれでずれている。そもそも靖国の「霊」は移すという類のものではないし、キリスト教的にはそんな概念はない。また、そもそも靖国には「位牌」なるものは存在しない以上、「位牌」云々をあげつらっている時点で、台湾の反日派は漢民族中心主義で世界を見ている偏狭な人たちだということになる。

ところで、討論番組では、民進党系の政治家が「個人の自由。特に李登輝の世代は靖国に戦死した兵士が祀られるというのが習慣だったのだから、そこに参拝するのは肉親としての感情だろう。それについて他人があれこそ批判する意味がない」として静観の立場だ。事実、台湾のテレビで伝えていたところでは、李登輝もこの日朝の会見で「これは兄に会いに行くという当然の気持ちであり、私の家庭的な事情、それを政治的に解釈しないでほしい」と強調していた。ここで、とくに「兄に会いに行く」という点を強調していて、「靖国を参拝する」という言い方を使っていなかったのは慎重だった。

私も基本的にはそう思う。そもそも老い先長くないだろうし最後の訪日になるかも知れないなかで、せっかく東京にいるのだから、「靖国に兄に会いに行くこと」は李登輝個人の心中を慮れば最優先になることだろう。しかし、疑問はある。本当に「個人の気持ち、家庭の事情」というなら、いちいち記者会見を開いて事前に宣言せずに、早朝にひっそりこっそりと静かに行けばいいし、熱狂的な崇拝者たちも歓迎行動など控えて、李登輝個人が静かに兄と対話をすることを妨げないようにすべきであろう。
その点で、今回の参拝は純粋な家庭や個人の事情ではなく、政治的な意味が多分に含まれていたということになるし、李登輝自身もまさにそれを狙ったのだろう。そういう意味で、このおっさんの自己顕示欲と私利私欲の強さには辟易させられるし、非常に許しがたいところではある。

ただ、だからといって、中嶋嶺雄が靖国参拝にあまりにも及び腰だったり、中国政府やネット世論が李登輝を罵倒することが許されていいわけではない。
聞くところによると、中嶋嶺雄は自分の首を気にしすぎて日本政府に配慮するあまり、靖国参拝に反対だったようだ。だとすると、これほど相手の気持ちに配慮しない、身勝手さはない。中嶋嶺雄は自分の名声を上げることに汲々とするあまり、完全に男を下げてしまったといえる。

また、中国のネット言論はあまりにも下劣すぎて、噴出すほかはない。これについては別項。

日本アニメ台湾語吹き替え版の売れ行き好調!

2007-06-06 21:43:45 | 台湾言語・族群
きょう(6日)夕方のFTV(民視)ニュースは、このブログで以前取り上げた台湾語吹き替え日本アニメのDVDの売れ行きが好調!という話を取り上げていた。
特に売れ行きがいいのは、齊威國際多媒體( http://www.pimgroup.com.tw/)というところが出している「台語?通系列」の一つ「花田少年史」。これの「国語」(北京語)版は発売4年弱で類型1万本強売れただけに対して、台湾語版は昨年7月発売で1年もたたないのにすでに2万本に達しているという。同シリーズのほかのものも売れ行き好調で、「台湾語のほうが親しみやすく、言葉のあやも面白い」という理由だという。

参照:台湾語吹き替えの日本アニメDVDとVCD 2007-05-15 00:29:34 / 台湾言語・族群