むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

今回中東に行っていた---収穫豊富

2011-06-27 18:31:40 | 中東
今回中東に行っていた---収穫豊富

6月7日夜に台北を出発して24日夜に台北に戻るまで、中東を旅してきた。
今回はカタール航空を使ってレバノン、チュニジア、カタールの3カ国を回った。
今回で4度目となるレバノン滞在が一番長く10日間(6月8日から17日)、チュニジアが5日間(6月17日から21日)、カタールが2日間(6月21日から23日)。

詳しくは追々ブログでレポートするが、要点だけをあげておくと。

★総評

*中東民主化ドミノ情勢取材が主目的だったが、非常に収穫が多かった。

*日本の津波と原発事故への関心と同情が強かった。やはりアラブ人は親日的。しかも地震のインパクトからか、日本人への認知が進んだようで、旅先で以前のように「中国人?」といわれるケースは減り、最初から「日本人?」といってくれることのほうが多かった。

*日本アニメ導入は一時代遅れ、欧州経由で時間差?ワンピース、ナルト、ブリーチの3大定番どまりで、2006年以降のヲタク系は入っていない。ただしレバノンではフェアリーテイル、黒執事あたりも入っている模様。レバノンは中東の情報センターなので、ここでアニメをもっと宣伝すれば中東全体に広がると思う。

*アラブ人はアラブ人に対して対応悪い(チュニス空港でレバノン人旅行客へ)

*wifiあったが、速度遅い

*ケータイって、飛行機で使っていいの?着陸前に使うチュニジア人、着陸するやいなや電源入れるレバノン人

*レバノン出国とチュニジア入国時に、また例の同姓同名の国際指名手配犯と間違われた。

*中国人観光客けっこう見た、台湾人皆無(この辺が外交に反映、単なる中国政府の策謀ばかりではない、台湾人の自助努力不足、90年代は台湾人はもっとがんばっていた)

*中国が格差社会で、資源を求めてがめついことをやっていることは知っているが、中東に来ている中国人が紳士的で、対米対決的な外交だから、一定の好感を持っている様子(このへんが、アラブ人の甘いところか)。なので、今後台湾と日本は、中国についてはムスリムを弾圧している無神論国家であり、イスラエルと仲がよく、ネオリベでは米国と連携している、本質的にはアラブとイスラームにとって敵国であることを宣伝していく必要があると思う。

*チュニジアは太陽光発電推進、日本も参画、ただし他の中東は原発に傾斜(イスラエル、イラン、トルコが建設、ヨルダン、UAE、シリア、エジプト、サウジなども構想)

★民主化

*やはり日本などで流れている中東民主革命関連の情報とイメージは、米国の英語メディアに歪曲されていて、実態と違っていた(完全に間違っているわけではないが)。

*フランス語メディア情報はマシ(チュニジアやレバノンはフランス語が流通)

*中東の市民社会運動は、人権運動が主体で、環境保護運動は少ない。

*1987台湾よりも韓国、インドネシアに近い、東欧を意識、東欧の団体と連携深い、イスラーム民主化のインドネシアも今後脚光浴びる?

*秘密警察など旧体制勢力がどう動いているのか不透明

*チュニジアとレバノンには、無神論やゲイの人権を堂々と主張する人がいた。

*イエメン、リビア、シリアの民主化は困難。シリアは世俗化・都市化しているが、イスラエルに近すぎる点がネックとなる。イエメンとリビアは部族社会の色が濃い。ただしイエメンは意外に社会運動が活発(特に女性人権運動)。

*各国で革命や運動の主体になっている若者は、世俗的で、自由と尊厳とパンを掲げている。むしろイスラーム原理主義は退潮しつつある。

*アラブ民主化要求側は、欧米は石油のために独裁体制を支援してきて、本質的にはアラブ民主化を支援したくはないと見ている(この点はアジアとは異なる、地政学的問題)。イスラエル問題も大きい。そのためアラブ民主化陣営は、独裁体制とともに、欧米とくに米国との対決することになる。

*アラブ民主革命の意味は大きい。欧米の研究者はこれまで中東では起こらないと思い込んでいたが、起こったからだ。

*一連の動きの本質は、尊厳と社会正義・公平を求めたもの。ネオリベの格差不公平社会への不満の爆発。したがって、この動きは欧米にも拡散する可能性が高い。民主的な社会主義的なシステムを求めている。

*アラブ民主化は、ネット、テレビ、それから伝統的口コミの3者連携プレーであって、ネットだけの力ではない。ただネットがなければ、シディブジドでのモハメド・ブアジジの焼身自殺の動きは知られることはなかった。ただ基本はアルジャジーラと口コミ。アルジャジーラは旧体制のチュニジアでは表向きは禁止だったが、衛星などで見れた。

*レバノン、チュニジア、エジプトなどの民主化運動では、国旗が振られ、ナショナルな意識が前面に出ている。

*チュニジア(場合によってはエジプトも)は現在新たな国づくりにある。

*チュニジアは、少なくとも表面的には自由な感じがした。

*チュニジアでは、今回の民主化の発端となった焼身自殺があった中部の町・スィーディーブーズィード(Sidi BouZid)(シディブジッド)に行ってきた。失業率が40%超える町だという話だったが、それほど殺伐とした雰囲気ではなかった。

*チュニジアで焼身自殺したムハンマド・アル=ブーアズィーズィー(モハメド・ブアジジ)の実家を見たが、小さく風呂などもなさそうな貧しい家だった。しかし民主化以降、政府の援助で母親はチュニス近郊の高級住宅地マルサーに住居を提供され、引っ越したらしい。

*チュニジアでは焼身自殺はこれまでも何例かあったが、今回臨界点を超えていたから爆発した。イスラームでは自殺、しかも焼身は異常なことで、それだけ尊厳が傷つけられたと受け止められた。

*チュニジアでは人権団体や学生などに話を聞いた。ビン・アリー(ベンアリ)が去った後も旧体制組織が動いていて、不透明な部分はある。しかし市民社会も相当に強く、憲法制定や過去清算などの委員会に市民団体が参与するなど先進的・肯定的な側面が強い。その意味でもまさに革命。東欧、アジアの民主化と比較するといろいろと面白いものがある。

*チュニジアの場合は、大学を出たのに就職先がないことが、不満になった。この点は他のアラブと若干異なる。

*チュニジアでは、民主革命関連のアラビア語、フランス語書籍がたくさん出ていた。

*チュニジアを代表する歌手ラティーファは、ベンアリと親しく最後まで革命を支持しなかったことで不人気。CDショップ(ほとんど海賊版)でもCDは売られておらず、名前を出すと店主は嫌な顔をしたw。レバノンでMVをよくみたことから、レバノンに「亡命」したのかも?

*チュニジアとエジプトの民主化は、韓国・台湾などと同じで、ある程度の時間がかかりそう。チュニジアは近代化・都市化・世俗化が進んでいて、米国の妙な影響も少ない分、民主化が有望。だがエジプトは複雑、不透明で、逆戻りの可能性もある。エジプトの現在の軍事政権はあくまでも暫定で、それ事態は心配することはない。エジプト軍部は兵器近代化のおかげでそれほど政治に関心があるわけではない(韓国などとの類似?)。

*チュニジアではヒズブ・ッタハリールなど数個のイスラーム過激政党は非合法、穏健派政党が最有力

*チュニジアの民主化が進めば、レバノンは、アラブで唯一の自由な社会ではなくなる。イスラエルのアドバンテージもなくなる。

★レバノン

*レバノンでは昔から念願だったLBC放映のオーディション番組Star Academy 8のスタジオ生中継を見ることができた。

*やはりレバノン女性は一番綺麗、スターアカデミーのスタジオにもたくさんの高校生から大学生風の女の子がいたが、みんな綺麗だった。その夜、ナンパする夢を見たくらいだったw。

*レバノンは4度目。物価はアラブ一高い(台湾より高いくらい)が、やはり魅力的でわくわくするところ。

*2005年のレバノンの杉の革命が、アラブ民主化の発端になったかどうかは、評価が分かれる。あるNGOの幹部は否定的だった。

*バックパッカーが多いTalal、評判が二極に分かれるが、私は良いと思う。ただ対応はアラブ的なゆとりが必要。

★チュニジア

*チュニジア全体情勢は、今のところ平穏で、治安も一部を除いて良好。中南部のガフサの治安はよくないらしい。

*チュニジア行きで、私個人としては初めてのアフリカ大陸入り。

*チュニジア女性も、世界平均よりは綺麗なんだろうが、レバノンと比べるとやはり見劣りした。

*チュニジアの物価は、レバノンの半分か3分の1.でも平均月収は3万円程度だから苦しいかも。

*チュニジアは、カルタゴなど世界遺産による観光立国だが、スンニ派が主体のためか、宗教宗派が多様なレバノンに比べるとやはり面白みに欠けた。女性の顔面偏差値も考えると、チュニジアは今後何回も行きたいとは思わなかった。

*チュニスのブルギバ通り周辺は完全にパリ10区といったところ。料理はイタリア化している。トルココーヒーすらあまりない。ただしメディーナはアラブそのものが残る。

*カルタゴの遺跡は、ほとんどはローマ以降のもので、フェニキア人のものはほとんどない(あまり意味はない)。ローマ遺跡なら、レバノンなどでもごろごろしているので、あまり目新しくはない。

*ベンアリに比べて、初代大統領のブールギーバ(ブルギバ)の評価は高い。独裁者だったが、教育普及などシステム整備に尽力したことが評価の対象となっている。

*チュニジアでよく聞かれているアラブポップスは、レバノンのもの。というか、チュニジアはフェニキア、フランス植民地つながりで、レバノンへの親近感が強い。

*チュニジア人はリビアのカダフィが嫌い。

*チュニジア人は、思った以上にフランス語ができた。特に高齢者ほど達者。若者には英語を話せる人もいる。イタリア語もできる人も少なくない。

*チュニジアの新聞は、中道リベラルなものが多い。

*チュニジア航空の便一度キャンセル、そして遅延、機内あまりよくない、本当に観光立国か?

*Sidi Bou Zidに「中国人」医師在住とか。

*チュニジア太陽光発電事業へ、日本も参画、砂漠地帯に太陽光発電は絶好
(ただしヨルダンは原発計画)

*チュニスのホテルCommodore、安いわりに、良かった。ただし英語は通じにくいが。

★カタール

*カタールは意外に物価は高くない。チュニジアと同じか、若干高い程度。これが今回不満が爆発していない原因?

*カタールはアルジャジーラに行き、旧知の人にいろいろ案内してもらった。民主化を研究する研究所を開設したり、テレビ局に人権担当デスクをおいたりして、アラブ民主化バックアップ態勢を強めている。

*アルジャジーラで知り合った人は、どういうわけかチュニジア人が多かった。

*アルジャジーラのチュニジア人キャスター、ムハンマド・クリシャーンはチュニジア民主革命を「ジャスミン革命」と呼ぶのは観光的で、むしろ「自由と尊厳のための革命」と呼ぶべきだとしていた。

*カタールは、やはり暑い。なので、ほとんどはホテルやショッピングモールですごした。


★パレスチナ問題

*カタールで、パレスチナを扱ったトルコ映画(Kurtlar Vadisi: Filistin)を見た。昨年からトルコとイスラエルの関係が大幅に悪化したこともあってか、パレスチナ寄りの映画。イスラエル人がパレスチナ人を人間として扱わず、殺しまくっている一方、パレスチナ人はユダヤ人全体を敵視するわけではないことを描いていた。それにしてもイスラエルって、あそこまでして何を守ろうとしているのだろうか?

*イスラエルは中国と同じ。かつて自分たちが侵略の被害者だったことを盾にして、いまだにそれを言い立てて、現在のより悪質な蛮行を正当化し、侵略加害者になっている点。しかも批判者をナチス、日本軍国主義の再来などと罵倒する点も同じ。昔の被害を言い立てるのは、現在の加害を正当化したいだけ。シナ人とユダヤ人ははっきりいって悪辣。

*アラブ諸国の書店で必ず見かけるのが、ヒトラーの「わが闘争」のアラビア語やフランス語や英語の翻訳本。レバノン発行のものが多い。

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