日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 22:06:29 | 居酒屋
期待通りの絶大なる安定感を見せてくれた「親爺」でしたが、その一方で手痛い誤算がありました。その前に立ち寄ろうとしていた「観音湯」が、先月限りで閉店していたことです。目抜き通りに面して奇跡のように残った入母屋造りの名建築が、富山の呑み屋街の名物でもあっただけに、時代の流れとはいえ残念というほかありません。長い間おつかれさまでした(最敬礼)

気を取り直して二軒目に移行しましょう。満を持して登場するのはもちろん「あら川」です。
教祖が「親爺」と並ぶ富山の双璧として激賞するこの店ですが、店内の造りには明確な違いがあります。決して広くはない敷地にカウンターと厨房を巧みに配置した「親爺」に対し、こちらは全体的に広々しており、自身なじみの深いところでいうなら、横須賀の「中央酒場」と「銀次」の関係によく似ています。その広い厨房は完璧に整理整頓され、大勢の料理人がきびきびと仕事をこなしており、カウンターの頭上には黒板と経木が整然と並ぶなど、こちらも眺めは上々です。
二軒目ということで、盛り合わせを注文するほど腹具合に余力はなく、ここは潔く絞ってホタルイカを注文。胴体とわたと足とを別々にした刺身は、春先だけの貴重な味です。うるかと白エビを和えるなど、酒呑みのツボを押さえて一捻り加えるところは心憎いものがあります。
前回主に接客してくれた板長に対し、今回は店主が自ら登場。軽妙洒脱な客あしらいはさすがです。その話術と一手間加えた酒肴のおかげで、二軒目というのにそこそこ飲み食いしてしまいました。「親爺」である程度まで腹を満たした後、「あら川」で酒肴をなめつつ酒を汲むという流れは、結果として理にかなっていたことになります。今後この黄金リレーが定着しそうな悪寒

あら川
富山市桜町2-2-22
076-441-9369
1700PM-2300PM(日祝日定休)

風の盆・勝駒
突き出し(きんぴら)
ホタルイカ刺身
たらの芽天ぷら
白海老和え物
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 20:59:32 | 居酒屋
毎度おなじみ富山駅前の呑み屋街にやってきました。まず「親爺」をのぞいたところ、カウンターがびっしり埋まる大盛況。「あら川」もかなりの盛況で、さてどうしたものかと逡巡しつつ、呑み屋街を一周してからもう一度のぞくと、幸いにして「親爺」のカウンターに空席が。それも玄関近くの特等席です。これで今夜の一軒目は決まりました。とはいえ、三つ並んでいた空席も、自分が入ってから五分としないうちに埋まってしまったのですから、相変わらずたいそうな繁盛ぶりです。
この席のよいところは、目の前にはおでん舟、右側の壁にはおすすめの黒板という理想的な配置になっていることです。その黒板にはホタルイカ、白海老、さよりに鱒など、見るからに春らしい食材が書き込まれ、早春の頃とは全く様変わりしています。冬こそ北陸という定説は明確な事実ながら、春もなかなか捨てたものではありません。当然ながら一つや二つに絞ることなどできず、結局今回も盛り合わせを注文。がんど、めじ、〆鯖、昆布〆に甘海老、それにお待ちかねの白海老、さより、鱒を加えた八点盛りは、見るからに豪勢でなおかつ彩り豊かです。盛り付けがやや大雑把なのは当店流。盛り付け云々よりもネタで勝負という潔さがむしろ好ましく思われます。
この品書きはもちろんのこと、鏡のように磨かれた清潔で機能的な厨房、なみなみ注がれたコップ酒、快活な女将と若主人による歯切れのよい客あしらい、常連客で終始賑わう店内の活気など、どれをとっても申し分なく、今回も横綱相撲を思わせる絶大な安定ぶりでした。

親爺
富山市桜町2-1-17
076-431-4415
1630PM-2300PM(日祝日定休)

ふたかみ桜・幻の瀧・三笑楽・白鷹
突き出し(いか大根)
おでん二品
お造り八点
ホタルイカ昆布焼
げんげ汁
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 19:59:28 | 北陸
夜桜を小一時間で切り上げ、只今宿に戻りました。
あっさりと完結したのは、松川公園の見所がある程度限られていたからでもあります。東西へ流れる川に、二本ある電車通りが直交し、その電車通りの内側が最も賑わうのですが、何分中心街だけに両側の建物が視界を遮り、それに加えて見物客も多いため、撮影対象としては今一つなのです。宴会がしたいならともかく、桜をしみじみ眺めたいなら、建物が低くて人通りの少ない電車通りの外側が断然向いており、そこに絞れば見所も自ずと限られてきます。昼夜二度にわたり歩いてそのことに気付いたため、明日も電車通りの外側を中心に歩くこととなるでしょう。

花見が思いの外早めに終わったため、あとは心置きなく酒場めぐりに注力できます。今回新規開拓したかった教祖推奨の「やつはし」は残念ながら予約満席、前回世話になった「真酒亭」もさほどの間が空いていないため、今日は昨秋以来となる「親爺」と「あら川」の黄金リレーが順当でしょう。「観音湯」で一風呂浴びて上がれば「あら川」は目の前、「親爺」も目と鼻の先です。どちらを先にするかは混み具合などとも相談して決めたいと思います。
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 18:40:03 | 北陸
その後富山で列車を降り、不要な荷物を宿に置くやいなや一目散に飛び出して、松川公園と富山城址でひとしきり撮影し、只今ようやく一息ついたところです。
六時に夜桜の投光器が灯り、それから程なくして日が沈み、今は夕空が茜色から紫色に変わりつつあります。この空が暗くなるにつれて、今度は夜桜が浮かび上がってくるでしょう。日没前に正味二時間花見ができ、さらに夕方から夜にかけての移り変わりの一部始終を見届けて、限られた時間の中で最大限のことはできたと納得しています。
松川公園については駆け足ながらも一周し、その先にある神通川の桜並木の状況もおおよそつかめたため、明日はこれらを明るいうちに再訪することになるかと思います。夕日に染まった桜と青空の下で眺める桜は、当然ながら全くの別物だからです。急ぎ足で一周するのに二時間半ということは、周辺も含めて心ゆくまで見物すれば、丸一日消費する可能性も十分にあるでしょう。桜は少しずつ散り始めてはいるものの、まだまだ十分見頃ではあり、結局今回は高田を切って富山に注力する可能性が高くなってきました。
それにしても、富山に着いてからというもの、息つく暇もありませんでした。日が傾いて秒読み段階に入ってくると、花見も俄然慌ただしくなり、blogどころでなくなる場合が往々にしてあります。日没まで粘れるだけ粘って、暗くなるのを見届けつつ夜桜見物に移行し、終わり次第そのまま呑み屋へなだれ込むというのが、花見の旅にありがちな展開です。三時か四時頃を境にblogの更新が突如として途切れ、翌朝まで放置状態になるのは、まず間違いなくそのような展開に陥っていることを意味します。いわば前哨戦というべき位置づけだった九州、四国の花見から一転、今日は夕方以降典型的な花見の展開をたどりつつあります。今年の花見もいよいよ佳境に入ってきたようです。
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 15:30:27 | 北陸
親不知の天険が尽きると、車窓の右手に仲間内での通称「北陸本線キャンプ場」 が現れ、そこを始点に富山平野が一気に広がり、日本海は視界の彼方へ遠ざかります。それを見届けてから左側の席に移るのは、冬場に旅したときと全く同じ展開です。
田圃の向こうに残雪の山々という光景は越後でも眺めはしたものの、やはり立山連峰の迫力はまるで違います。加えて直江津を出てからというもの、どこへ行っても桜が満開で、降りられるものならここで列車を降りたいと思う場面の連続でした。時節柄、暗くなるにはまだまだ時間があるため、富山に着いたら日没まで時間の許す限り花見に注ぎ込むという方向に傾きつつあります。これほど見事な桜なら、明日は高田を切って終日滞在してもよさそうな気がしてきました。
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 14:46:24 | 甲信越
三時間の旅も半ばを過ぎたところで直江津に着きました。長岡以上にまとまった数の乗客が下車し、路線は北陸本線に、乗務員は西日本に変わって後半戦に突入です。右手には、冬場に眺めたのと全く違う凪いだ海が午後の日差しを受けて輝き、左手には残雪の山々が屏風のように続いて、満開の桜が彩りを添えます。富山まで息をつく間はなさそうです。
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 13:03:11 | 甲信越
結局さらなる心変わりをすることなく、「北越」で一路富山へ向かうことにしました。高田高田とあれほど騒いでおきながら、結局かすりもせずに終わるのですから、見方によっては本末顛倒といえなくもありません。
実際のところ、新潟まで北上したからには潔く富山を切って、高田を中心に「週末パス」で動ける範囲に絞るという選択も考えはしたのです。しかし、そもそも今回の旅の趣旨とは、日本海縦貫線の乗車を兼ねて北陸で花見をすることにあり、高田は後付けで浮上してきたに過ぎません。改めて原点に立ち返った結果、今日は富山という結論に至りました。
長野から乗車してきた国鉄色に代わり、運用につくのは仮面を被った3000番台です。とはいえ、長野から新潟、さらにそこから富山まで、延々400km以上も国鉄型の特急電車に乗る機会など、今後再び訪れるかどうか分かりません。花見の旅としては中途半端にならざるを得ないものの、少なくとも汽車旅としては十分すぎるほどの上出来といってよいでしょう。

★新潟1302/北越6(1056M)/1602富山
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 12:19:24 | B級グルメ
二時間弱の乗車を終えて新潟に着きました。折り返しの列車を待つ間に腹ごしらえを済ませます。
これが長野ならば、選択肢は駅そばに自ずと決まってくるところ、新潟で駅そばというのはどうにも食指が伸びません。そうすると次に思いつくのはみかづきのイタリアンですが、あれは一度試せばそれでよく、わざわざ駅から歩いて行くほどのものではありません。ならば何にするかと考えたとき、浮かんでくるのは最近傾倒している老舗のラーメン屋です。駅から歩けるという条件で探した結果、南口の「三吉屋」を選びました。

この店の特徴を端的にいうなら、質実剛健の一言に尽きるでしょう。たとえば、整然と区画整理された駅前の一角に構えた店舗には飾り気がなく、しかしいかにも老舗というべき佇まいです。七席ほどのカウンターにテーブル二つの店内は、簡素ながらも機能的に造られ、ぴかぴかに磨かれた厨房ともども気持ちのよいものがあります。カウンター席の背後にある経木は、中華そばを基本にその派生型であるチャーシューメン、もやしそば、それぞれの大盛に餃子という簡素さで、 磨き抜かれた定番だけで勝負しようとする矜恃が一目瞭然です。
注文したチャーシューメンは、透き通ったスープに極細の縮れ麺を組み合わせ、腿肉のチャーシュー、なると、メンマに白ネギを組み合わせた、見た目からして美しい一品。見た目通りの薄味にもかかわらず物足りなさを感じないのは、吟味した食材の持ち味が引き出されているからでしょう。日本そばにも通ずる極細麺の喉越しが特に秀逸です。当然ながら汁一滴残さず完食と相成りました。店主夫妻と手伝いのおばちゃんで差配する家庭的な雰囲気も好ましく、地元客が引きも切らずに訪れるのも納得できる名店でした。

三吉屋 駅南けやき通り店
新潟市中央区米山1-6-10
025-241-0937
1100AM-1400PM/1730PM-2130PM(火曜定休)


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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 11:19:57 | 甲信越
長岡を出た列車は越後平野をひた走ります。一時途切れていた桜が再び出現したものの、早咲きの木が五分、遅咲きの木は昨日か今日開花したばかりといったところで、梅の方が見頃なのは長野と同じです。
水田がひたすら広がる、ともすれば単調にもなりかねない眺めではありますが、右手には雪山が連なり、左手には弥彦山が鎮座し、田圃にところどころ水が張られた光景は、まさに越後の春そのものといった感があります。そんな車窓越しに眺める桜もまた印象的です。
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 10:47:45 | 甲信越
列車は柏崎を出て、長岡へ向かって走行中です。内陸へ分け入ったこともあり、直江津で満開だった桜がまたしても蕾に戻りました。桜前線をこれほど頻繁にまたいだ旅も、自身ほとんど記憶にありません。
ちなみに、現時点の構想としては、このまま新潟まで乗り通し、一時間後に出る「北越」で来た道を引き返して、そのまま一気に富山まで移動しようかと考えています。そうすると、こちらが着くのを見計らったかのように「親爺」が開くため、まず一献傾けてから夜桜を見物し、その後河岸を変えて呑み直すという、まことに理想的な時間配分になるというわけです。明日の昼頃までに富山を出れば、高田との掛け持ちは十分可能なので、今のところはこれが最も妥当な落とし所ではないでしょうか。
もっとも、新潟まで移動する間にこれ以上の妙案が浮かぶ可能性はあり、そのときはひらめきに従うのも悪くないでしょう。気楽な一人旅の真骨頂というべき展開になってきました。
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 10:15:55 | 甲信越
この展開を予想できた方はいらっしゃるでしょうか。結局悪魔のささやきに負け「くびき野」に乗り込んでしまいました。直江津到着から30分、激しく葛藤した上での選択です。決心がつかぬまま時間に迫られ飛び乗っただけに、果たしてこれが適切な選択だったかどうかは、自分自身でもよく分かりません。
これにより、 高田で花見をしてから富山に泊まるという選択は事実上なくなったため、富山を切って高田を明日に回すのが順当ではあるのでしょう。しかし、全体の構成を白紙に戻す大幅な変更だけに、この先どう動くかは全く流動的になってきました。新潟まで乗り通すか、切りのいいところで引き返すかを含めて、現在様々な選択肢が浮かんでは消えています。車窓の桜を眺めつつ思案を巡らせれば、そのうち新潟に着いてしまうという展開も十分にありそうです。

★直江津1010/くびき野3(3373M)/1205新潟
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 09:37:29 | 甲信越
高田を素通りして終点の直江津まで乗り通します。先ほど高田でかなりの数の乗客が下車して行きました。普段は閑散としたこの列車が、今日に限って混んでいたのは花見のせいだったようです。
とりあえず現時点の方針としては、「くびき野」は残念ながら見送り、直江津で「妙高」との揃い踏みを見届けるにとどめようかと思っています。その代わり、同じ車両で引き返し、高田をもう一度素通りして、二つ先の脇野田まで乗ります。新幹線の上越妙高駅に役目を譲って引退するこの駅を、最後の春に見届けておこうという寸法です。結果としては、脇野田で「妙高」を降り後続の「くびき野」に乗れば効率的だったのですが、あまりに咄嗟のことで的確な判断ができませんでしたorz
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 09:22:05 | 甲信越
一駅隣の新井に着きました。残雪は消え、車窓には満開の桜が姿を現しました。これなら高田でも最高の桜が見られるわけで、気分も俄然高揚してきそうなところではあります。しかしここで見逃せないのが、向かいのホームに停まっている国鉄特急色の六両編成です。新潟行の「くびき野」に、今日は1500番台を先頭にした485系が入っているのです。
週末パスで来た以上、何となればあの列車に新潟まで乗ってもよいわけで、花見以前に鉄道愛好家としての血が騒いできます。高田で花見ができるのも千載一遇の好機とはいえ、国鉄特急色の編成で長野から新潟まで乗り通せるのは、それにもまして貴重な機会です。今のところ予定通りに花見に繰り出すつもりではありますが、この列車を降りる頃には気が変わっているかもしれません。とりあえず直江津まで乗り通すことだけは決めました。果たしてどちらに転ぶでしょうか。
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 09:15:35 | 甲信越
只今二本木を出ました。二月にも訪ねたスイッチバックの駅です。4月から観光のキャンペーンが始まったらしく、「ようこそスイッチバックの二本木駅へ」と書かれた横断幕が、駅舎のホーム側に掲げられていました。貨物列車がなくなった今、無用の長物でしかないスイッチバックですが、むしろこれを観光資源として活用して行くつもりなのでしょうか。スイッチバックだけでなく、雪国らしい無骨な木造駅舎、その脇に鎮座する煉瓦造りの危険品庫、カーブを描く上屋付きのホームに専用線の遺構など、駅全体の造りがよい味を出しているだけに、それらが活かされるとすればまことに喜ばしいことです。
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北陸信越花見の旅 2014

2014-04-12 08:56:32 | 甲信越
妙高高原に着きました。一駅手前の黒姫までは、日陰にところどころ雪が残る程度だったのが、県境の峠にさしかかるやいなや、かなり分厚い残雪が出現したのはさすがです。この雪があと数日ですっかり消えるとも思えず、おそらく大型連休の直前までは残るのでしょう。
去年は雪が多かった上に四月が寒く、東北の市街地でも連休中まで雪が残っていました。最後に雪を見たのは六月の八甲田、それもかき集めた雪などではなく、積もったままの雪が一面の雪渓となっていたのに驚いたものです。今年はいつまで雪が見られるでしょうか。
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