日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

最後のランチ(18)

2014-04-07 23:43:58 | B級グルメ
花見に追われて中断していたランチの記録が、二週ぶりの復活です。
赤坂において、手頃な値段でいただける正統派の和食はどこかと問われれば、「該当なし」というのが自分の答えになります。金に糸目を付けなければいくつか心当たりはあるものの、日頃から通えるような店は皆無というのが実態でした。しかしながら、過去に存在した店まで対象を広げると、ズバリこれだという店が一つだけあります。その店こそ本日紹介する「丈太郎」です。

場所は氷川公園の目の前、二階にあるアーチ型の窓を目印にして、瀟洒な建物の外階段を上がると、中にあるのはこれまた贅沢な空間です。外から見えるアーチ型の窓のそばにテーブルが一組、右手の壁際にもテーブルがいくつか置かれ、左手には中央で二分割されたカウンターが雁行して、奥には個室があります。床に段差をつけ立体感をもたせた造りも、調度品の一つ一つも洒落ており、純和風というよりも、モダンなカウンター割烹とでも形容する方がお似合いです。
日替わりの定食は、おまかせの主菜と小鉢がいくつか、それに香の物に味噌汁という、文字にすればごくありふれたものです。しかし、ご飯一つとっても粒の立ち方と艶やかさが全く違い、白飯だけで一膳いただけてしまうのですから、料理の質の高さについても推して知るべしでしょう。器と盛り付けが美しく、調度品の一つ一つも高級感と上品さを併せ持っており、それらを含めて考えれば、1200円という価格設定はまさに破格。それでいながら、大々的に宣伝していないこともあるのか、さほど混み合うことがなく、一番の穴場といえるのがこの店でした。

まさにお値打ち品というべきランチでしたが、やはり採算が合わなかったということか、短期間で取りやめてしまったのは残念でした。しかし、たとえ短期間とはいえ、夜には手の届かない高級店で、これほど上等な和食がいただけたのですから、むしろそのことに感謝しなければならないでしょう。もしこの店がランチを再開するなら、もちろん自転車を飛ばしてでも駆けつけるつもりです。

丈太郎
東京都港区赤坂6-6-29 サンバレー赤坂2F
03-3505-5321
1730PM-2200PM(LO)
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