日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く 2021 - ふらの

2021-11-05 19:55:13 | 居酒屋
北海道へ渡れる機会は一年につき一度か二度がせいぜいです。それしきで道都札幌の店を征服できるはずもありません。なじみの店を二、三持ち、そこで一杯やれれば十分です。ところが去年は目当ての二軒に揃いも揃って振られました。その教訓を踏まえ、いつまで開いているかについて事前に問い合わせたところ、返答はいずれも十時というものでした。ただし「ふらの」の店主からは、九時から十時頃という、含みを持たせるような答えが返ってきました。その返答から窺われたのは、状況により早仕舞いもありうるということでした。今回は「ふらの」を先に訪ねます。
事態がひとまず沈静化したことを受け、週末だけは平時に近い賑わいです。しかし、札止めという事態も一応覚悟の上で暖簾をくぐると、先客皆無の店内に拍子抜けさせられました。カウンターの席数はさらに減らされて、今は実質三席です。これでは仕入れも少なめにせざるを得ないということか、肴はおまかせのみになるとの説明が。二月もの長きにわたる休業を余儀なくされ、ようやく再開してもお客が戻らないという状況に、苦境のほどが窺われます。二千円か三千円の二者択一で、せめてもの支援を兼ね後者を選ぶという顛末です。

ふらの
札幌市中央区南5条西4
011-521-6611
1700PM-2100PM
不定休

サッポロクラシック
法螺吹
吟子物語
大法螺
玉子サラダ
自家製トーフ
お造り盛り合わせ
ほっけ開き
青つぶ煮
たちポン酢
鰊切り込み
お新香
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晩秋の大地を行く 2021 - もめんどき

2021-11-04 23:24:08 | 居酒屋
旭川では「独酌三四郎」に行ければそれで十分と思う一方で、二泊するならもう一軒というのも本音ではあります。そのようなときに好適なのが三六街の「もめんどき」です。
一軒目で腹は満ちています。お通しを肴にジョッキを干した後、北海道の地酒とともにもう一品というのがここでのお約束です。その一品として好適なのは白菜山わさびですが、毎回それでは芸がありません。今回は鶏ささみ一夜干しなる珍品を選んでみました。鶏わさよりも凝縮された旨味が肴には好適です。一見すると簡素な品にも一工夫が凝らされているという点で、この店らしい一品でした。

もめんどき
旭川市三条通7
0166-22-1655
平日 1700PM-030AM(LO)
日祝日 1700PM-2230PM(LO)

サッポロクラシック

お通し三品
鶏ささみ一夜干し
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晩秋の大地を行く 2021 - 独酌三四郎

2021-11-04 21:02:59 | 居酒屋
五月に函館四連泊という経験をしたときは、「てっ平」に三度も世話になりました。函館ではここへ行ければ十分という気がしたからです。同様に思わせる店の一つとして「独酌三四郎」が挙げられます。三日前、神懸かり的な強運をまたも発揮して、滑り込みを果たせたことには満足しており、是非もう一度というほどの強い執着まではありませんでした。その一方で、あわよくばという考えもありました。物騒なご時世の影響により看板が早められている今、遅くとも九時までには訪ねた方が賢明です。その九時を目前にして乗り込むと、女将直々の出迎えを受け、三日前と全く同じ席に収まるも、よく見るとそこが最後の椅子でした。先客が帰った後にたまたま重ならない限り、今夜は敗退していたのかもしれません。またも強運に恵まれました。

独酌三四郎
旭川市2条通5丁目左7号
0166-22-6751
1700PM-2130PM(LO)
日祝日定休

ケイマフリ
麒麟山三合
酢大豆
〆さんま
寄せ豆腐
にしん漬
大根煮もの
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晩秋の大地を行く 2021 - 鳥松

2021-11-03 21:35:12 | 居酒屋
はしご酒は年々厳しくなりつつあるものの、別腹に入るものならその限りではありません。旭川におけるラーメンが、釧路ではザンギに替わります。「鳥善」がまたも早仕舞いしていたことにより、「鳥松」の暖簾をくぐるという顛末です。

鳥松
釧路市栄町3-1
0154-22-9761
1700PM-030AM
日曜定休
ザンギ一人前600円
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晩秋の大地を行く 2021 - こやま

2021-11-03 19:30:11 | 居酒屋
絶望的な状況で行きずりの店に救われたのは、先々月の輪島以来となりました。「こやま」の暖簾をくぐります。
新幹線の開業により、北海道への汽車旅が不便かつ高額になってからというもの、釧路を訪ねる機会は秋の一度限りに絞られました。貴重な機会を生かすべく、釧路には最低二泊を割り当てて今に至ります。しかし、夜の部のことだけ考えると、今回は二泊する必要がありませんでした。「しらかば」が廃業してしまったからです。女将も高齢だっただけに、あと数年がどのみち限界だったのでしょう。しかし、一連の騒動が寿命を早めてしまったことは残念です。これにより、「万年青」に行ければ釧路へ来た目的を果たせることとなったため、天候も踏まえた上で、今回は一泊限りにしようと決めたのでした。それだけに、「万年青」の明かりが消えているのを見たときは心底面食らいました。店先にあるのは定休日を知らせる張り紙だけです。それが正だとすれば、昨日までの二日が連休で、今日は営業するはずのところ、何故か明かりは消えています。不可解な現実の真相は知る由もなく、なおかつ今更知ったところで意味はありません。本降りの雨に祟られ、ようやく着いた釧路でも目当ての店に振られてしまい、道東編は歴史的な惨敗に終わったとその瞬間は思いました。しかし、気を取り直して飛び込んだ店が、幸いにして当たりだったという顛末です。
「しらかば」があった通りから中の様子を窺えるのは、一見のこちらにとって助かります。意を決して暖簾をくぐると、丸顔、白髪、早口の店主に出迎えられました。L字のカウンターはざっと数えて12席ほど、それに加えて半個室の小上がりが二、三あり、店主と女将が二人で仕切る店にしてはやや大きめと見受けられます。それに加えて特筆すべきは品書きの幅広さです。刺身、焼物、煮物、揚物、酢物、酒肴、さらにはグラタン、シチュー、ステーキなども品書きに上り、全てを店主が調理します。煉瓦造りの囲炉裏が鎮座する厨房で、店主が機敏に立ち回る様は一見の価値ありでした。
明確な難もあるにはあります。照明は「わじまんま」と同様明るすぎ、俗なTV番組が流されるのもいただけません。印刷済みの品書きも個人的には野暮に感じます。明らかに季節外れの品々が散見されることからも、通年使い回しているのが明らかで、季節感が全くないからです。ただし穿った見方をすれば、あえてそうしているのかもしれません。そう思うのは、店主が勧め上手だからです。正確にいうと、勧めるべきものは勧める一方で、そうでないものはお勧めしないと明言し、いずれについても理路整然とした理由とともに語られます。旬の食材を取り揃え、こちらの好みも見定めた上で提案するところは、「浜長」を彷彿させるものがありました。
そのようなわけで、全体を通じて見ればよい店だったと言い切れます。釧路を訪ねる機会が年に一度となった今、既出の店ばかりを贔屓にしてしまい、新規の店を開拓できないことにつき、ややもったいなく思っていたのは事実です。次こそ「万年青」に寄りたいというのが第一ではありますが、「しらかば」の穴を埋めてくれる存在として、覚えておきたい一軒でした。

こやま
釧路市栄町3-2
0154-25-5625
1730PM-2200PM(LO)
日曜定休

北の勝
司牡丹
大七
ホッキのぬた
刺身盛り合わせ
カスベ煮こごり
銀鱈みそ漬け
ビーフシチュウ
かにシューマイ
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晩秋の大地を行く 2021 - 独酌三四郎

2021-11-01 20:41:07 | 居酒屋
旭川に到着したのは七時、予約客が最も集中する時間です。多少なりとも空いてきそうな時間帯まで待機することについては迷いがありませんでした。その一方で迷ったのは、事前に一報入れるかどうかについてです。前もって空いているかを確かめれば、仮に満席だったとしても空き次第知らせてもらうことができます。しかし、それは結局見送りました。このところ神懸かり的な強運によりどうにか滑り込んでいるものの、それらはいずれも一か八かで訪ねた上での結果です。いわば捨て身の突撃が奏功してきたにもかかわらず、戦術を変えたばかりに失敗しては悔いが残ります。その結果、あえてそのまま向かったわけなのですが、再び駆け引きを迫られます。わずかに開いた窓の隙間からのぞいたところ、手前のカウンターに先客が二組いるのが見えました。物騒なご時世を受けて席数が減らされている現状では満席です。奥のカウンターなら空いているようではあるものの、一年ぶりの再訪なら、竃が見える手前のカウンターの方がよいに決まっています。前日行われた総選挙になぞらえるなら、比例復活など考えず、あくまでも選挙区で勝つことを目指すようなものといってもよいでしょう。選り好みさえしなければ入れるところをあえて見送り、しばらく時間稼ぎをしました。しかしながら、物騒なご時世を受けて看板は早められており、注文は九時半までで打ち止めです。心置きなく一杯やるという前提で考えると、延ばすにしても八時半までがせいぜいでしょう。それまでに状況が変わらない限り、四の五の言わず飛び込むという方針を固めました。その八時半を過ぎたところで乗り込むと、手前側にいた先客が目の前で二組続けて席を立ち、片付けが済んだところへ収まるという顛末です。またしても神風が吹きました。

独酌三四郎
旭川市2条通5丁目左7号
0166-22-6751
1700PM-2130PM(LO)
日祝日定休
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晩秋の大地を行く 2021 - あら川

2021-10-29 21:40:21 | 居酒屋
居酒屋が総じて早仕舞いの富山では、九時を過ぎると最終盤の様相です。宿の部屋には入らず駅前へ向かい、「親爺」の前も素通りしました。まだ入れるとすれば「あら川」ですが、店長からは刺身が平政しかないという第一声が。仮に一年ぶりの富山なら、おそらく躊躇したでしょう。しかし、先々月から通算して三度目ならば刺身にそこまでこだわることもありません。承知の上で着席するという顛末です。
刺身が捌けてしまったのは、予想を超えて賑わったということでもあります。非常時は店長と助手の二人で回していた店内が、今夜はさらに助手一人とお姉さんを加えた四人体制です。自分の後に来たお客は、四組続けてお断りでした。事態がひとまず沈静化し、本来あるべき姿を取り戻してきたようなのは幸いです。

あら川
富山市桜町2-2-22
076-441-9369
1600PM-2230PM(LO)
日祝日定休

太刀山
三笑楽
満寿泉
冷奴
白身魚松前蒸し
地鶏の山猟師焼
げんげ干物
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四谷赤坂麹町 - あて

2021-10-27 21:09:51 | 居酒屋
お門違いな「要請」はひとまず撤回されたものの、飲食店に全責任を擦り付ける施策が横行する限り、同様のことはいつでも起こり得ます。鬼の居ぬ間に洗濯です。「あて」の暖簾をくぐります。
前夜訪ねた「まるしげ」の様子からして、事前に一報入れてからにした方が無難と見ていました。幸い空いているとのことではあったものの、六席のカウンターは衝立により三分割され、左右はいずれも埋まっていました。一組が帰った直後にもう一組が入ったため、一つを除き埋まっているという状況は変わらなかったことになります。仮に順番が前後すれば、満席で振られていたのかもしれません。そうなれば、次の帰京までお預けになるところでした。最後の椅子を勝ち取れたことを幸いに思います。

あて
東京都千代田区九段南4-8-34
03-3262-0044
平日 1700PM-2200PM(LO)
土曜 1400PM-2200PM(LO)
日祝日定休

米鶴
田人
奈良萬
握り寿司・ちりめんじゃこ
てっぱい
えびいも唐揚
煮こごり
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四谷赤坂麹町 - 創や

2021-10-26 20:20:27 | 居酒屋
もう一杯、もう一品という状況で「まるしげ」を辞去。浮いた余力を「創や」の露店に注ぎ込みます。非常時だからこそ入れたのは「まるしげ」ですが、こちらは正反対でした。お門違いな「要請」により飲食店の多くが休業に追い込まれる中、当店は何故か対象外とされ、そのまま営業していたのです。行き場をなくした人々がここへ殺到し、取り付く島もない状況を遠巻きに見て、そのまま退散する状況が続きました。その狂騒がようやく去ったことにより、年初以来の再訪なるという顛末です。

★創や だし巻き玉子の店
赤坂三丁目みすじ通り沿い
1800PM-2400PM
土日祝日定休


豚バラと白菜の塩昆布炒め
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四谷赤坂麹町 - まるしげ夢葉家

2021-10-26 18:41:10 | 居酒屋
地方へ転居したことによる代償を感じる場面は、全くといっていいほどないのが実情ではありますが、しいていうならなじみの店と縁遠くなったことでしょうか。たまの帰京を活かして再訪したのは「まるしげ」です。
お上による強硬策が撤回され、「要請」の根拠が失われた後も、都内ではなおも卑劣な「要請」が罷り通ってきました。それも昨日でひとまず終わり、今夜は年初以来の平常営業です。もちろん歓迎すべきことではあるものの、新たな懸念も浮上します。九時台に訪ねても満席は当たり前、十時過ぎでどうにか入れるのが往年の姿でした。七時前に訪ねて入れるか、何ともいえない状況の中、最近事実上の定位置と化していたカウンターの角に首尾よく収まったものの、後から次々お客が入り、カウンター、テーブルともにほぼ埋まるという経過です。
これだけのお客が入れば当然忙しくなります。せめてもの支援にかこつけて、翌日分の肴も持ち帰ってきたものの、もはやその必要はなさそうです。むしろ今は手早く飲み食いして失礼し、席を譲るのが最善でしょう。本来の姿を取り戻したのを見届けて席を立ちました。

まるしげ夢葉家
東京都港区赤坂2-14-8 山口ビル2F
03-3224-1810
平日 1700PM-100AM(LO)
金曜・祝前日1700PM-300AM(LO)
土日祝日定休

ブラウマイスター
白隠正宗
しらす沖漬け
刺盛り
ぶりあら大根煮
祇園風明太子
くじら竜田揚
油そうめん富田流
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金沢移住顛末記 完結編 - 居酒屋たかまさ

2021-10-24 19:08:23 | 居酒屋
一週間まで無料で使える高岡駅の駐車場には散々世話になってきました。車を止め、持ち帰る荷物をまとめて帰りの列車の切符を買い、一杯やるのに過不足のない時間を残すことができたのは、経験の蓄積によるところが大です。「たかまさ」で一杯やって締めくくります。

居酒屋たかまさ
高岡市末広町42
0766-24-5745
1500PM-2400PM(日祝日 -2200PM)
第一日曜及び年末年始休業

獅子の舞

突き出し(冬瓜あんかけ)
造り盛合せ
里芋
とうふ
秋カマス天プラ
みそ汁
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金沢移住顛末記 完結編 - みなと

2021-10-23 20:56:21 | 居酒屋
先週末に一旦帰京するつもりが土壇場の逆転劇で延長され、業務にかこつけさらに延び、今日も天気の関係でもう一日とどまる結果となりました。ただし、少なくとも現時点では今度こそ最後の晩というつもりです。その一夜をどこで飾るかと考えたとき、出てきた答えは「みなと」でした。
お昼については新規開拓が一段落し、既出と新規を織り交ぜる余裕がようやく出てきました。同様のことが呑み屋についてもいえます。これでひとまず仕舞いなら、得体の知れない初見の店へ飛び込むより、手堅いところを選びたくなるのが人情です。ただし、土曜の晩という条件を考えると、有名店より穴場の方が無難でした。「わり勘」には一昨日行ったばかりだったため、当店に飛び込んだという次第です。
こちらへ戻ってきた当初は、お門違いな「要請」の後遺症が色濃く感じられ、繁華街は毎日が日曜のように静かでした。しかし最近は徐々に人出が戻りつつあり、先週末もそこそこ賑わっていました。それだけに、先客皆無のカウンターには拍子抜けさせられました。洗面所が故障してしまったため、何組も断らざるを得なかったというのが店主による説明です。よりにもよって週末にとんだ災難ではありますが、そのおかげで上席に収まることができました。
店主から、品書きにない酒もあると聞かされました。その酒が冷蔵庫の最上段にに並んでいるのは、着席したままでも見える位置に置くことで、お客に勧めやすくするための仕掛けでしょう。中盤で差し出されたのは、薄切りにされたチーズの小皿でした。チーズについては勉強中だと断りつつ、酒にもよく合うものを厳選したというのが店主の弁です。へしこについても試行錯誤を重ねた末、野々市にある農家から取り寄せているとのことでした。即席の味噌汁の味をあげつらっているこちらとは、当然ながらまるで次元が違います。名店ぶりを再発見した次第です。

みなと
金沢市柿木畠2-8
076-208-3305
1700PM-2230PM(LO)
月曜定休

ヱビス
常きげん
天狗舞
突き出し二品
車鯛昆布〆
ふろふき大根
白エビのクリームコロッケ
ぶったさんのへしこ
たこの春巻き
一番だしまき玉子
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金沢移住顛末記 完結編 - わり勘

2021-10-21 20:42:51 | 居酒屋
業務にかこつけ滞在を何度も延ばしてきましたが、主因がひとまず解消されたことにより、今週末に一旦帰京する公算が高まりました。明日は大和の特売日です。新居で晩酌するとなると、店で呑めるのは今夜がひとまず最後になるかもしれません。とりわけ愛用してきた店で締めくくりたいと思うのは人情というものでしょう。飛び込んだのはわり勘です。
旅の途中に訪ねていた頃、注文は固定化されつつありました。席に着くなり刺身と牛すじ煮込みを注文し、おでんを二つほどいただいて、腹具合に応じ一品か二品追加するというものです。しかしこちらに越してからというもの、その定跡は封印しました。日参できる環境を最大限に生かすべく、よりどりみどりの品書きを片っ端から試していこうというわけです。それを通じて気付いたのは、大皿の惣菜がよいということでした。今日は二品いただきます。
季節を先取りして動くのが居酒屋の品書きです。牡蠣と白子に続いては香箱蟹が出てきました。地物が出回る時期にはまだまだ早いものの、先取りしたい人々が多いということなのでしょう。TVでは白山の冠雪が報じられています。しばしの帰京を経て戻れば、さらに冬らしくなっているのかもしれません。北陸での新生活は佳境にさしかかってきました。

わり勘
金沢市野町4-3-6
076-244-2280
平日 1600PM-2215PM(LO)
日祝日 1600PM-2115PM(LO)
月曜定休・月一回日曜休業

常きげん
いわしぬた
ナス肉味噌炒め
油揚と蕗の煮物
とり皮いため
魚あら汁
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金沢移住顛末記 完結編 - 山ぼうし

2021-10-20 20:59:43 | 居酒屋
難攻不落だった店を、ついに訪ねることができました。「山ぼうし」で一献傾けます。
物件の下見でこちらを訪ねたついでに、繁華街を再度探索してみたことは既報の通りです。着眼点の一つとしたのは、看過していた名店が物件の近くにないかということでした。情報誌で当たりをつけた店の一つは湊屋でしたが、それと並んで目に留まったのが当店です。こうして現地を訪ねたところ、驚くべきことが分かりました。川を挟んだ向かい側に当店の明かりが灯っていたのです。呑み屋が並ぶ通りに唯一背を向けて、暮れなずむ川の畔に明かりを灯す様子が印象的でした。転居が実現した際に新規の店を訪ねるなら、まずはここだとその時点では思いました。それが今の今まで延びたのは、話せば長い事情によります。

こちらが転居する直前から、お門違いな「要請」がお上によって発せられ、呑み屋の多くは休業に追い込まれました。しかし、開いている店が二十軒に一軒もない状況の中、当店の様子が違うことを察知します。昼頃になると毎日車が横付けされ、夕方から縄暖簾らしきものが架かるのです。店先にも休業を告げる張り紙はなく、どうやら営業しているらしいと気付いてきました。
その一方で、飛び込むのが憚られる事情もありました。提灯と行燈の明かりは灯されなかったからです。その様子から窺われたのは、素性の知れた常連客だけ受け入れて、一見客を断っている可能性でした。「要請」の撤回までは静観しようと思い至り、そのまま今に至ります。一旦帰京して戻ると、明かりは灯っていたものの、なおも一筋縄にはいきません。意を決して訪ねようとしたのは、立往生で足止めされた先々週の土曜日でした。しかし、開け放たれた扉から先客で鈴なりにカウンターを見て退散し、湊屋の世話になったというのがそのときの顛末です。翌週に再挑戦を試みたものの返り討ちに。こうなると、「二度あることは三度ある」の諺通りになりかねません。俄かに寒くなり始め、玄関の扉は締め切られたままです。先客らの歓声が漏れてくるのを聞いて、敬遠した日もありました。
そして今夜、意を決して暖簾をくぐったところ、先客はわずかに一人だけでした。しかし、その時点で嬉々とするのは早合点です。そろそろ仕舞いだという断りつきながらも通され、そこでようやく安堵しました。第一声まで一瞬の間合いがあったことからすると、先客が帰ったところで仕舞いにするつもりだったのかもしれません。店主の気分次第では、断られてもおかしくはないところでした。そうなればますます入りづらくなったでしょう。紙一重のところで滑り込めたのは幸いです。

屋号には「食べ処」の枕詞があるものの、網代天井、洗い出しの床、止まり木付きのカウンター、横長の黒板による品書きには大衆割烹然としたものを感じます。黒龍と久保田を二枚看板にした酒の品書きからしても、料理が主役の店なのでしょう。しかし、その手の店にしては珍しく、全ての品に値段が書き入れられており、情報誌でもそのことが美点の一つとされていました。割烹の味を居酒屋と同じ値段でいただけるという点では、金沢らしい一軒ということもできます。料理一筋四十年という店主と、お身内らしきお姉さんによる老練な客あしらいも上々です。唯一難癖をつけるとすれば、店主自身が煙草を蒸すことでしょうか。御常連にも愛煙家が多いとすれば、もうもうと漂う煙に難儀することはあるかもしれません。そのような事情もあって、日参できる店かどうかは未知数な面があるものの、ともかく一度表敬できたことを幸いに思います。

山ぼうし
金沢市十三間町81
076-262-0013
1800PM-2300PM
不定休

五凛
常山
鰹たたきポン酢
しめさば
はす蒸し
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金沢移住顛末記 完結編 - 赤玉金劇パシオン店

2021-10-19 21:29:35 | 居酒屋
幸か不幸か業務は依然切迫気味です。それにかこつけ帰京も見送りました。今後の予定を考えると、週内に帰京する実益がなくなったため、少なくとも金曜まではこちらに滞在する見込みです。当面の見通しが立ったところで一献傾けます。
お門違いな「要請」により休業に追い込まれていた呑み屋が再開されて以来、既出の店を見舞いがてら訪ね歩いてきた結果、主なところは一巡したものの、わずかに残った店の一つに赤玉金劇パシオン店がありました。要因として大きかったのは、何といっても先週末まで延々続いた季節外れの陽気です。一日中扇風機を回し続ける状況では、おでんで一杯やろうなどという気分にもなりませんでした。満を持して向かった一昨日も、長蛇の列ができているのを目の当たりにして退散しました。実は昨日も、三幸へ行くに先立ち様子を窺ったものの、一見して混み合っていたため敬遠しました。二度あることは三度あるともいうだけに、またもや返り討ちにあうことも覚悟の上でのぞいたところ、幸い今夜は空いており、カウンターに無事収まるという顛末です。
昨秋ここを訪ねたとき、嘆かわしい現実を知るに至ります。急造しただろう仕切り板が立てられて、カウンターからの眺めが台なしになっていたのです。事態の膠着化を受けて、応急処置では乗り切れないと判断したか、仕切り板はある程度の期間にわたる使用に耐えうるものとなりました。しかし、隣の席との間を隔てる衝立がカウンターの奥行き以上の長さに延び、袖に障るかのような形になっているのは残念です。
このような仕切りが全くない店もいくつか訪ねてきたものの、そこで集団感染したなどという話は聞いたことがありません。しかるにお上の意向に合致した意見が「専門家」のお墨付きを得て正当化され、「新しい生活様式」など称して今なお叫ばれ続けています。それが無用な混乱をもたらしているという現実を、改めて見せつけられる出来事です。それでも暖簾をくぐったのは、朝令暮改に振り回されながらも奮闘する当店を、見舞いにかこつけ再訪したかったという一言に尽きます。不動の四人組による一糸乱れぬ立ち居振る舞いは健在でした。早期の正常化を陰ながら願います。

赤玉金劇パシオン店
金沢市片町1-7-23
076-221-6655
1700PM-2330AM(LO)
水曜定休

福正宗
池月
サバヌタ
牛すじ
いわしつみれ
さといも
ロールキャベツ
がんもどき
茶めし
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