「迷ったら買え」の原則通りに行動できず、臍を噛むことが年に数度はあるものです。過ちをまたもや繰り返してしまいました。復帰はひとまず延ばします。
このような結果に陥る典型的な状況を、いくつか挙げることができます。目的地が近過ぎて、油断の末に出遅れるという状況が一つです。体力に陰りが出てきた近年は、活動に次ぐ活動で疲れ切り、再出発する気力が湧かないこともあります。もう一つの典型として挙げられるのが、野暮用を放置したまま発つのが憚られる状況です。今回はこれが敗因となりました。
半月で戻るつもりが一月に延び、帰京後に片付けるべき野暮用もそれに応じて増えました。立つ鳥跡を濁さずの諺通り、片付けてから出られればそれに越したことはありません。しかし、放置したまま出たところで、それによる弊害など大したものではないのが常です。そうと分かっていながら出られずに、好天を一日棒に降ったのは痛恨の極みというほかありません。とはいえ、今更嘆いても仕方のない話でもあります。せめてもの埋め合わせとなってくれるのが土曜恒例の晩餐です。
金沢の新居へ乗り込む
前の晩、富山で一献傾けました。「親爺」の暖簾をくぐり、席に着くなり反射的に注文したのは刺盛りです。しかし、一年近い間が空いたにもかかわらず、印象は若干弱く感じられました。その日の刺身が平時に比べて格落ちだったということではありません。「魚真」の刺身を毎週いただいていたため、たとえ「親爺」の刺身といえども歴然とした違いまでは見出せなかったということです。毎晩のように地物の刺身をいただいてから戻った今も、当店の刺身に見劣りするところは一切感じられません。北陸で一月生活したことにより、実力のほどを再認識した次第です。
刺身盛り
ふぐ皮ポン酢
子持昆布
鱧照焼
稚鮎と松茸の天麩羅