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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

春の儚い命・妖精、スプリング・エフェメラルの節分草が満開の信州千曲市倉科の杉山へ(妻女山里山通信)

2018-03-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
 千曲市のサイトで倉科杉山の節分草が見頃ですというので撮影にでかけました。帰郷してからほぼ毎年撮影に行っていますが、その年の気候により咲く時期が異なります。時には2011年の様に雪中の節分草が見られることもあります。ただ今回は花粉症の症状が酷く、撮影に集中できなかったのが残念でした。
雪中の節分草(妻女山里山通信)

(左)群生地入り口。車はこの左の道路脇に停めます。大きな車は、群生地の上の橋のところでUターンできます。(右)節分草の案内。

 セツブンソウは、キンポウゲ科セツブンソウ属で、本州の関東地方以西に分布する、高さ10センチほどの小さな多年生草本。花の直径は約2センチ。花びらに見えるのは萼です。先が黄色く見えるのが退化して蜜腺になった花びら。山地の落葉広葉樹林の林床に生え、石灰岩地を好む傾向があります。関東では節分の頃に咲くのでこの名がつきました。

 セツブンソウの種は、黄色い蜜と一緒にアリが巣に運んで発芽するアリ散布植物。カタクリなどと同じです。アリ散布植物は、セツブンソウ属やカタクリ属以外にスミレ属、イチリンソウ属、フクジュソウ属、ミスミソウ属、キケマン属、クサノオウ属、エンレイソウ属などがあり、自然界におけるアリの働きの重要さが分かります。日本には、アリが絶滅すると絶えてしまう植物が200種以上あるのです。
 昔は木山や芝刈りのために山に入り、下草や灌木を刈ったので、明るい林床にセツブンソウやカタクリがたくさん咲いたのです。セツブンソウやカタクリのように早春に咲き、2、3ヵ月でその年の生活サイクルを終え消えてしまう植物は、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral、春の妖精、春のはかない命)と呼ばれます。節分草は、万葉集には詠われていませんが、平安時代の「本草和名」や「倭名類聚鈔」に「以倍仁礼(いえにれ)」という古名で登場します。

(左)俯いて咲く小さくて可憐な花。(中)群生地の上には通行止めの標識が。(右)前方に何か大きなものが見えたので行ってみると、林道の真ん中に大きな落石。

 一つの茎から二輪の花。ブックマークもしているブログ「里山の花実」の方と邂逅しましたが、私のブログも見てくださっているとか。このタイプは、戸倉の群生地ではよく見られるとか。

 2月11日のブログで「信州の千曲市のあんずの里倉科にある三滝へ氷瀑の撮影に(妻女山里山通信)」を紹介しましたが、どうなっているかなと見に行きました。まだ少し氷は残っていますね。

 帰りに妻女山奥の陣場平の貝母(編笠百合)の生育状況を見に行きました。ここのところの暖かさで青々としてきました。桜の開花予想も早いですし、今年は開花も早いと思います。満開は4月20日ごろから月末までと予想しています。

 妻女山里山デザイン・プロジェクトで保全活動をしています。昔は各地に薬草として栽培地があった様ですが、放棄されほとんどが絶滅した様です。歴史を残す大切な帰化植物と捉えています。なお、ここは畑地だったため周囲の山地とは土質が全く異なります。ですから、増えていっても畑地であったところから出て生態系を壊すことはないと考えています。拙書でも満開の写真を載せていますが、4月の茶花なので茶道を嗜む女性にはお馴染みの花です。ただし、薬草ですが誤って食べると死亡することもある毒草なので、持ち帰りは絶対に駄目です。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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