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川中島合戦:上杉謙信布陣の妻女山と斎場山への行き方(妻女山里山通信)

2012-04-12 | 歴史・地理・雑学
 例年より2週間以上遅れて妻女山の梅がほころび始めました。このままだと梅、桜、杏がほぼ同時に咲くかもしれません。暖かくなって妻女山を訪れる人も増えてきました。鞍骨城跡まで登る人もいます。そんな人達のために、昔の航空写真を使って現在との比較をしてみたいと思います。現在のものは、Googleマップの写真を見てください。見比べると面白いと思います。

 モノクロの写真は、昭和23年にGHQが撮影したもので、20年近く前に買った掛け軸スタイルの大きなものです。妻女山へは現在、北から登るので南を上にしてあります。黄色い線は、現在の林道です。千曲川河道跡の文字から舗装路が妻女山まで通じています。招魂社奥の広い駐車場から先は林道で、二手に分かれますが、悪路なので一般車は入れません。

 写真左下の赤坂山とあるのが現在の妻女山(さいじょざん:411m)です。展望台と招魂社、駐車場があります。ここは本来は赤坂山といい、旧妻女山は写真中央の斎場山(さいじょうざん:513m)のことです。そもそも戦国時代には妻女山という呼び名はありませんでした。

  『甲陽軍鑑』にある川中島合戦の「西條山(さいじょうざん)」とは、「斎場山(さいじょうざん)」のことなのです。妻女山は江戸時代に命名された俗名です。本来は斎場山のことを指したのですが、後年地元でも下の赤坂山を妻女山という様になり、現地形図でもそう表記されています。事の詳細は、妻女山(斎場山)について研究した私の特集ページ「「妻女山の真実」妻女山の位置と名称について」をお読みください。

 妻女山を斎場山ともいうと書いてあるサイトがありますが間違い。斎場山が妻女山と改名され、尚かつ位置が赤坂山に移ったのです。ですから戦国時代の「さいじょうざん」とは「斎場山」のことなのです。決して現在の展望台のある妻女山のことではありません。ほとんどの歴史家や小説家は、この事実を知らずに考証したり本を書いています。

 上杉謙信が最初に本陣としたのは、現在の妻女山ではなく、斎場山と伝わっています。斎場山へは、林道を歩いて15~20分ぐらい。頂上は円墳です(斎場山古墳)。今の林道がなかった頃は、白い線が見えますが、真っすぐ南へ登り右へ折れて東風越に出ました。斎場越という文字が三カ所ありますが、左の清野小学校から赤坂山に登り、斎場山を巻いて、右の土口将軍塚古墳から土口へ下りる道を斎場越といって千曲川が洪水で笹崎が通行できない時に、大名行列も通ったという歴史ある尾根道です。現在は林道で分断されてわずかに残る程度です。

 東風越近くに現在の長坂峠があります。そこから南へ向かうと陣場平という広い台地に出ます。写真では広い畑になっていますが、現在は落葉松林や草原です。ここは、上杉謙信が陣城七棟を建てたところと伝わっています。その左下が千人の兵を潜ませたという千人ヶ窪。千人窪、千ヶ窪ともいいます。

 『甲越信戦録』等の記述や地元の伝承による上杉軍の布陣の形を想像図にしてみました。写真は、今度は北が上になっています。一万以上の上杉軍が、斎場山一帯に広く布陣していた様が想像できるでしょうか。

 妻女山松代招魂社の南に句碑があるのですが、「志ら雲に果ては」まで読めたのですが、その後がと思っていたら、案内看板が立ちました。「しら雲に 果てはつつみて 花深し」鸞生(らんせい)文化七年中沢村生 明治五年没。現在はソメイヨシノが中心ですが、幕末の頃から妻女山は桜の名所だったことがうかがえます。花の頃にぜひおいで下さい。
 ソメイヨシノはクローンのため個体差が少ないのです。異常率で放射能との因果関係は証明できていませんがが、いずれ貴重な資料となる可能性は大です。
 たんぽぽ舎「サクラ調査ネットワーク」

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