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孫崎 享さんの『不愉快な現実』発売に関してのツイートまとめ

2012-03-16 | 歴史・地理・雑学
孫崎 享 @magosaki_ukeru
著書:『日本の国境問題ー尖閣・竹島・北方領土』『日本人のための戦略的思考入門』『情報と外交』『『日米同盟の正体』、『日本外交 現場からの証言』(第2回山本七平賞受賞)、今、東アジアの安全保障『不愉快な現実』(3月16日発売)


 冒頭:東アジアで今、大変革。それも、日本に不利な大変革。後世、歴史家は2010年を東アジアでの大転換の象徴的年とみなす。2011年1月朝日新聞は「中国、GDP(国内総生産)世界2位へ 日本抜く」「日本は1968年に西独抜き以来“世界2位の経済大国”。この看板降ろす」。
 中国がGDPで日本を抜いた現象は、「世界2位の経済大国」の座をめぐる戦いに終わらない。中国が米国を追い抜く序章。日本は第二次大戦以降、米国との関係を重視で生きてきた。米国との関係重視すれば、日本の繁栄があると思ってきた。しかし「日本が米国に全面的に依存する。
 その結果、日本が繁栄する」図式には、コインの裏側に、第二次大戦以降、米国が東アジア戦略で日本を最も重視の事実。今中国が台頭。2010年中国GDPは日本を抜く。当然、米国は東アジアで最も重視する国を日本から中国に移し変え。第二次大戦から今日まで続いた日本の環境は一変。

 この中、日本はどう生きるべきか。日本の環境が一変、当然、日本国内には、この歴史的大転換を前に、新戦略の在り方が真剣に論議されるべき。その議論はない。何故。政治家、官僚、マスコミ、「過去の政策の延長線上で全てがうまくいく」という幻想の中。「日米同盟強化」というスローガンを取り憑かれたように、ただ繰り返し。中国の大国化という歴史的大変化を前に、日本では変化に対応する戦略の用意が全くない。「現状維持でよい」「日米強化をすればよい」とみなす人々は次のように言う。

 「中国には問題。中国が大国化することはない」「米国は、中国に対抗するために、日本を必要。だから日本は米国への依存体質を強めれば安心」「独裁国家の中国と日本が連携することはありえない。我々の課題は独裁国をとるか、民主主義国家米国をとるか」論は勇ましい。
 しかし、今やこの論は実態から遊離。中国は大国化する。米国は日本よりも中国を重視する。」 我々日本人にとって、極めて「不愉快な現実」である。しかし「不愉快な現実」から目をそむければ「不愉快な現実」が消えるわけでない。見極め、日本としてどうするかを考える勇気が必要である。それがこの本の目的。

 多くの人は中国の核兵器に対して米国の「核の傘」があると思っている。ない。もし中国が日本を攻撃したら米国は中国に核攻撃すると脅しても、その時は米国の都市(例えばシアトル)に報復すると言った途端、米国は脅せない。米国有力学者、元CIA長官等発言してきていること。

 次は尖閣諸島。多くの人は米軍が出てきてくれると思っているが出ない。先ず法律論。安保条約は「日本の管轄に攻撃があった時」。今尖閣を最初に守るのは日本で合意。自衛隊守り切れなかったらどうなるか。管轄は中国に移行。その際は最早、安保の対象でない。この事、アーミテージ元国務副長官明言。次に軍事。今中国の300機以上の戦闘機は台湾に向けて配備。これは全て尖閣の行動圏内。これを日米で排斥できるか。出来ない。中国の潜水艦50隻以上。これ瞬時に排斥出来るか。米国が尖閣守るには中国との大規模戦争の覚悟が必要。
 米国の戦闘機が日本の基地から出れば、中国、ミサイルで簡単に在日米軍滑走路を破壊出来る。軍事的対応はない。それを前提に考えるべし。世界の戦争は 国境問題、米国の民主化のための戦争を除けば、今日ほとんどない。戦争でえるものと失うものの比較では圧倒的に失うものが多い。

 中国共産党が支配を継続するためには国民の経済水準向上が唯一の手段。そのためには市場の確保等安定した外的環境が必要。この判断は米国国防省の見解。我々には中国に軍事的に対抗出来る手段はない。ないのにあるかの如き幻想に浸るべきでない。ないことを前提にどうするかを考えるべき。
 実現出来ない選択をあたかも、存在するかの如く話す人は国を滅ぼす。戦略比較では第2次大戦前の日米バランスより、今の日中バランスの方が遙かに悪い。軍事的に中国と対峙は日本の生き残りにはない選択。 打つ手なければ他を捜す。囲碁や将棋の常識。無い手考えるは負けに直進。

 もし、日本の将来を真剣に考えて見ようと思うなら、読んで見て下さい。考える材料は詰めました。

 後書き部分:新しいパラダイム変化の中、日本の生きる道を模索。独仏は第一次、第二次大戦を戦った.今誰も独仏が戦いと思わない。EUを中心に複合的相互依存関係が出来た日本が東アジア諸国を自国の繁栄の核心であることを認識し、複合的相互依存関係を強化する必要がある。では日本はその道を歩むか。私は、悲観的。日本人は本来、知的水準の高い国民。客観的情勢を把握すれば、正しい方向に歩む国民。しかし、日本は今、独自に自己の戦略を考えれぬ。

 筆者は2009年『日米同盟の正体』記述。ここで日本が米国戦略の中に取り込まれ、世界的な範囲で軍事的な貢献をすることを指摘。今、この事態は一段と進む。日本社会が全面的に米国システムを導入する事が求められてる。典型がTPP。TPP騒動で極めて異常な事態。2011年11月TPPで紛糾。この中、ペリー元米国防長官、米戦略国際問題研究所所長、前駐日大使、アーミテージらが野田首相と会談。さらにキッシンジャー。圧力以外の何物でもない。日本が自分の進路を考える際に、過去米国は介入。今後も、節目節目で米国の強力な圧力あろう。
 圧力中、日本の首相が客観的に自己の行く末を選択するのは容易でない。無理。首相本人が頑張ろうと思っても、引きづり降ろされた。政界、官界、経済界、マスコミ、ここには米国に従属するシステムが出来上がっている。日本が中国との関係を構築しようとすると、「米国とるのか中国をとるのか」という声。この言葉で、一気に冷静な情勢判断が出来なくなる。今、日本人に求められているは「日本の隣国中国は、経済・軍事両面で米国と肩を並べる大国になる」という事態を直視出来るか否か。そして「“米国との協調を求めれば日本の繁栄があるという時代は終わった」という事態を直視出来るか否か。

 日本は明治時代以降、過去一五〇年間「中国に未来はない」「西洋の文明國と進退を共にし、正に西洋人が之に接するの風に從て處分す可きのみ」(福沢諭吉著「脱亜論」と思ってきた。一五〇年の歴史の中、この考え方は日本人の中に深く浸透。
 その中筆者の論、多分、多くの国民の耳に届かない。昔、私は米国情報関係者と「犬死」論争。「国家機関で働く者には犬死とみられる任務が課せられることがある。その時どう対処」が筆者の問。答え「ノルマンディへ行け。墓標を見ろ。多くの戦士は崖をよじ登った。上から機関銃。兵士は上るだけが精一杯。反撃すら出来ず。ノルマンディはその人達の墓標。しかし、“犬死”とみられる行為の積み重ねの上に、誰かが登りきった。そして勝利を得た」この言葉はその後、何となく私の生き方に影響を与えていると思う。この本も、「犬死」なら犬死にの役目。
(まとめはここまで)

 黒船来襲以来、欧米への劣等感に苛まれてきた日本が日清日露に勝って大恐慌後の1930年(前年後藤新平死去)から軍国主義に邁進。敵うはずのない米に宣戦布告して完膚なきまで叩きのめされ隷属。その結果が今日。この対米トラウマを払拭しないと日本の再興はない。


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