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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山陣場平の貝母が咲き出しました。満開は10日ごろから(妻女山里山通信)

2021-04-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山陣場平の貝母が咲き出しました。昨年より少し早いですね。満開は、10日頃でしょうか。20日頃までは充分に見頃が続くと思います。既に毎年訪れている方たちが何人も来ています。これだけの群生地は、日本中でここだけです。私が主宰する妻女山里山デザイン・プロジェクトでは、保護活動で球根や種の植え付けを行っており、群生地は現在の二倍ぐらいになる予定です。貝母が満開になると、カスミザクラ、オオヤマザクラ、ウワミズザクラ、ヤマザクラなども咲きます。

 陣場平入り口の小道の脇に咲く貝母。西日が当たるので、ここの貝母が毎年真っ先に咲きます。

 下から見ると和名の編笠百合という名前の意味が分かります。4月の茶花です。

「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集)
 これが貝母のことであるという説があります。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。
 意味は、季節ごとに花は咲くのに、どうして母という花は咲かないのだろうか(咲くのだったら摘み取って共に行くのに)。防人というのは、21歳から60歳までの健康な男子が徴兵されました。任期は三年で、延長もされたそうです。食料・武器は自弁で帰郷は一人で帰るため、途中で野垂れ死ぬ者も少なくなかったとか。人民には重い負担になったようです。

 4日の日曜日は、花散らしの雨になりそうです。杏や桜は散るでしょうけれど、貝母は大丈夫です。ご覧のように日当たりの良い場所から咲き始めています。貝母は下の花から咲き始め、徐々に上に向かって咲いていきます。

 森の中の貝母は、日当たりが悪いのでまだつぼみです。時間差で咲くので長く楽しめるのです。

(左)枯れて種が飛ぶのは7月頃。その時に東風(こち)が吹くので、貝母は西へ西へと増えていきます。ただ増えていくのは、昔畑だったところだけです。(右)最高気温は20度。あまりの暖かさにアマガエルも出てきました。

(左)妻女山の駐車場から右の林道を15分ほど上り、長坂峠に出たら分岐を左へ。300mほど歩くと陣場平入り口へ。(右)この看板が目印です。小道を数十メートル歩くと貝母の群生地に出ます。

 妻女山松代招魂社のソメイヨシノも満開です。

 陣場平の分岐を右へ300m下ると堂平大塚古墳。その脇のログハウスにある枝垂れ桜も咲き始めました。

(左)陣場平下のズミも咲いていました。(右)タチツボスミレも咲いていました。

 高速のトンネルを抜けて妻女山へ。入り口の上杉謙信槍先の泉の上の桜も満開。薬師山トンネル入口のレンギョウも満開です。

 翌日の4日(日)の貝母です。たった一日ですが随分と開花が進みました。何組かの人たちが訪れてくれました。

 来週末の10日(土)、11日(日)には、間違いなく満開になっているでしょう。私は撮影や保護活動をします。訪れた方にはガイドもいたします。また、17日(土)には、妻女山里山デザイン・プロジェクトの保護活動を実施します。

(左・中)陣場平の看板の近くに毎年咲くスミレ。同定できていません。コスミレの仲間でしょうか。この株以外に近くに同じ花が見られないのも不思議です。スミレは日本に200種以上あるアリ散布植物です。トゲアリとか山のアリはたくさんいるのですが。(右)シロバナケマンも咲き出しました。6月に舞う、氷河期の生き残りといわれるウスバシロチョウの食草です。

昨年2020年4月の記事のアーカイブ。貝母の記事がいくつもあり、貝母の発見と、その保護活動の歴史がご覧いただけます。

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本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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