


「奇妙な果実」とは、リンチされ木に吊されて焼かれた黒人の歌。アメリカの黒人差別を告発するビリー・ホリデイの名曲ですが、森を歩いていると時々奇妙なものを発見します。粘菌もそうですが、今回見つけたのは、まるで達磨(だるま)のような奇妙なキノコ。白くまん丸い基部から出臍(でべそ)のようなものが飛び出しています。匂いを嗅ぐとかすかにえもいわれぬ異臭が。食毒不明とありますが、この臭いでは食べる人はいないでしょう。
夏のキノコ狩りをする人は、本当にキノコ好きかマニア。暑い夏の森はスズメバチなど危険がいっぱいですからね。夏、サマータイムといえば、ビリー・ホリデイが有名ですが、ジャニス・ジョプリンのもいいですね。70年代の美大のキャンパスには、ジャニスの真似をしてトンボメガネにノーブラでタンクトップの女の子があちこちにいました。ジャニスというと、やはりムーヴオーヴァーを忘れてはいけませんね。
夏は秋以上に猛毒のキノコが多いと感じるのは私だけでしょうか。特にドクツルタケが多い。あちこちに見られます。「死の天使」は、雨がお好きなようです。そして次に見つけたのがシロオニタケ。これも食毒不明とありますが、ドクツルタケと同じ科のキノコですから食べるに気にはなりません。本によっては毒キノコと書かれたものもあります。
そして、赤松林で見つけたのが、ヘビキノコモドキ。名前からしてもう毒キノコと分かります。幼菌は、金属のような光沢があります。見るからに怪しいキノコです。幻視が現れ、昏睡状態になるとか。
やっと見つけた食菌がチチタケ。人が足を踏み入れないような急斜面に群生していました。滑落しないように木に掴まって採取。触ったり柄を折ったりすると白い乳液がたくさん出ます。それで乳茸。栃木県では、チタケともいって大人気のキノコらしいですね。これをナスと油炒めして、うどんや冷や麦、素麺、蕎麦のつゆにすると絶品です。
キノコは、縄文時代から日本人の食料でした。遺跡からキノコの形を正確に模した粘土細工が見つかっています。万葉集にもキノコのうたが。
高松の この峰もせに 笠立てて 満ち盛りたる 秋の香のよさ
(高松之 此峯迫尓 笠立而 盈盛有 秋香乃吉者)
これは、秋の香のよさということから松茸をうたったものといわれているそうです。奈良の高圓山という説があります。
★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、特殊な技法で作るパノラマ写真など。