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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

寒風が厳しい中を妻女山から陣場平へ登りました。暖冬ですが春はまだ遠い?いや早そうです(妻女山里山通信)

2024-01-26 | アウトドア・ネイチャーフォト
 8日に積雪5センチの妻女山に登って以来の堂平大塚古墳と陣場平です。この冬最大級の大寒波が襲来しました。関ケ原では高速道路で車が大雪に閉じ込められましたが、善光寺平は雪がちらつく程度で善光寺で5センチ、妻女山は1センチにもなりませんでした。戸隠連峰などが雪雲をブロックしてくれるのです。飯山は北の信越トレイルの山々が低いので豪雪地帯なのです。

 北側の林道は日陰なので少し雪がありましたが、ガチガチに凍結している感じではありません。まず堂平大塚古墳のログハウスへ。異常がないか見ました。日当たりの良い斜面に福寿草が出ていないか見ましたがまだでした。ちなみに昨年は2月4日に福寿草が咲いていました。今年も早いと思います。花粉の飛散も早いでしょう。抗アレルギー剤とナザールスプレーは必須です。ナザールスプレーはコロナウィルスにも効くそうです。

 横穴式の堂平大塚古墳。杉の落ち葉と落枝が多い。春に掃除したいですね。

 陣場平入り口に昨年設置したインセクト・ホテル。昆虫の越冬のための施設です。近づいたら羽虫が何匹か飛び立って行きました。中に甲虫がいるかは、いたら可哀想なので確認していません。

 川中島の戦いで上杉軍の陣地となった陣場平。積雪があればアニマルトラッキングができるのですが。何もいません。冬鳥も少ないですね。離れたところからヒヨドリの鳴き声がしただけです。飯山の方から寒風が吹いてくるので寒い。冬芽もまだ固く膨らみ始めてもいません。

 妻女山里山デザイン・プロジェクトで保護活動をしている貝母(ばいも・編笠百合)の群生地の場所。雪がないので地面が凍結して霜柱ができています。貝母の芽吹きは3月上旬でしょう。昨年メンバーと多くの球根を植えたので開花が楽しみです。

 柏(カシワ)の落ち葉。他にはクヌギやゴヨウアケビなど。よく見ると緑色の葉も見えます。

 長坂峠に戻りました。斎場山(旧妻女山)。枯れ葉が落ちないで残っているのはヤマコウバシ。受験生のお守りです。

 長坂峠から北の眺め。眼下に千曲川。右向こうに飯縄山。雪がないのもあってか週末にイノシシ狩りのハンターも入らなかった様です。轍もハイカーの足跡もありません。積雪があるとファットバイクやマウンテンバイクの人やハイカーも訪れるのですが。

 妻女山展望台から西の茶臼山。右奥に虫倉山。晴れていれば左奥に北アルプスの白馬三山が見えるのですが。ピーカンになったら北アルプスの撮影に行くつもりですが、なかなかなりません。前回は8日でした。気温が上がると立ち昇る水蒸気で霞むので厳寒でないとだめなのです。

 北の飯縄山。雪は少ないですね。川向うに長野パルセイロのホームスタジアム。今年こそJ2に上がって欲しい。

 北東には高社山。あの山の向こうは木島平や飯山。豪雪地帯ですが今年は少ない様です。高社山の麓に広がる白い部分はブドウやリンゴの果樹園です。左手前にはホワイトリングとエムウェーブが見えます。緑の橋の左側の手前の堤防脇には武田典厩信繁の墓がある典厩寺があり、そこの博物館は歴史マニア必見です。武田信玄や信繁、上杉謙信の本物の遺物が展示されています。

グリーグ ピアノ協奏曲 第1楽章(アリス=紗良・オット) :こんな風景にはノルウェーの作曲家グリーグのピアノ協奏曲が似合います。現在、私が最も大好きなピアニスト。難病を乗り越えたからには、さらにグレードアップしてくれると信じています。彼女のショパンのノクターンは鳥肌が立つほど素晴らしい。



 東の松代方面。今日は根子岳や四阿山は見えません。積雪があると湿度が高いのですが、雪がないのでカラカラに乾燥していて寒風が身に堪えます。乾燥が凄いので口角炎になってしまいました。やれやれ。患部には熊の油を塗っています。

 松代方面の望遠カット。左には大きな奇妙山。麓の斜面は杏畑。4月はじめの満開時はそれは見事です。2014年の大豪雪のあと2018年が最後の冬らしい冬で、その後は暖冬続き。2020年の初積雪はなんと2月9日でした。そして数日後には最高気温が17度と4月並み。今年もかなり早い春になりそうです。

「野沢菜のおやき」暖冬で野沢菜漬けの乳酸発酵が進んで古漬けの様になりました。そこでおやき。一気に作れる挟みおやきです。野沢菜はある程度塩抜きして刻み、地大根、人参、えのき茸とごま油で炒めます。味付けは昆布鰹出汁顆粒、炒り粉、牡蠣ソース。生地は伊賀筑後オレゴンにとろろ、炒り粉、卵でややゆるめに溶きます。両面中弱火で6分づつ蓋をして焼いてできあがり。鶏ひき肉や海老、牡蠣などを入れるとさらに美味しくなります。
 具をたくさん作って常備菜に、チャーハンにも使えて便利です。あんかけにして海苔を加え卵を流すと福建風チャーハンに。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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善光寺平にこの冬の初積雪。妻女山から陣場平へ車で登りました。アニマルトラッキングも(妻女山里山通信)

2024-01-08 | アウトドア・ネイチャーフォト
 7日の夜から信州の善光寺平では雪がちらつき始めました。明けて8日の朝にはほぼ止んで8時すぎには晴れてきました。妻女山の麓では積雪5センチ程度でした。能登半島地震の被災地でも相当の降雪があった様で、二次災害が心配です。今回の大地震の前には群発地震が続き、2023年5月5日には震度6弱の地震がおき被害が出たのです。専門家はさらに大きな地震が来る可能性もあると警告していました。しかし、政府と石川県は備蓄や災害対策の増強を何もしてこなかったのです。救助や復旧が困難という地理的条件も分かっていたはず。五輪や万博には何百億も財源など言わずにさっと出すのに、災害対策費は削減したのです。なぜでしょう。自民党議員にお金が入らないからです。こんな利権まみれのカルト政権は一日も早く潰さないと次に犠牲になるのは私達、あなた方です。

 雪による倒木がないかなどを偵察に陣場平まで車で登りました。まず妻女山展望台で撮影。西の茶臼山方面。北アルプスは雲の向こう。暖冬で今回が初積雪でした。幹線道路はすでに溶けていますが、明朝は水溜りはアイスバーンになります。

 北方の川中島と長野市街地方面。積雪は18センチとか。南北でかなり違います。飯綱山と戸隠連峰は雲の中。豪雪地帯の信濃町は55センチの積雪とか。

 北東の中野、飯山方面。やはり豪雪地帯です。今日は高社山も信越トレイルの山並みも見えません。

 東方の松代方面。四阿山の山頂が見えます。雪不足だった菅平のスキー場は喜んでいるでしょう。

 望遠で茶臼山。成人の日で休日なので国道18号も上信越自動車道も車は少なめです。

 北方の富士ノ塔山方面。ほぼ山頂まで車で登れます。山頂は古い山城。

 松代方面には奇妙山。ここも山頂は古い山城。左手前は真田幸隆に攻略された東条氏の尼厳山。拙書でも載せていますが展望が素晴らしくハイキングで人気の里山です。

 陣場平。無風で静かです。時々シジュウカラのさえずりが聞こえるだけ。貝母の芽吹きが待ち遠しい。気温はマイナス2度か3度ぐらい。

 3月の重い雪と違ってまだ軽いので落枝もありませんでした。ほぼ無風です。

 アニマルトラッキングを。これは足跡が真っ直ぐに続いていたのでホンドキツネでしょう。

 こちらは、ニホンカモシカの足跡。彼らが通る獣道にありました。冬はもっとも餌になるものが少ない季節。シダ類や枯れ葉も食べます。春先に蕗の薹が出ればそれも食べます。他にはタヌキ、ホンドテン、ノウサギなどがいるのですが見られませんでした。

 陣場平入り口のインセクトホテル。昆虫の越冬のために設置したのですが、なにかいるでしょうか。

 長坂峠に戻ります。右のエノキ(榎)の樹下にはオオムラサキの幼虫が越冬しているはずです。それもあって昨年に伐採と除草を行いました。

 長坂峠から北の千曲川と川中島。手前には茶色の枯れ葉のヤマコウバシ。

 林道にはガードレールが無いので徐行スピードで慎重に下ります。これが一度溶けて凍結するとスタッドレスでは登れません。スパイクアタッチメントかチェーンが必要になります。

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今年最後の妻女山へ。陣場平へ。堂平大塚古墳へ。玄関に飾る松をとりに登る(妻女山里山通信)

2023-12-29 | アウトドア・ネイチャーフォト
 玄関に飾る松をとりに妻女山へ。御用納めも済んだので森林組合や獣害駆除のハンターも入らないでしょう。ついでに陣場平や堂平大塚古墳へ異常がないか見に行きました。それにしても暖かい。

 妻女山松代招魂社でびっくり。なんと拝殿がありません。前回瓦屋根を壊していたので屋根を葺き替えるのかなと思っていましたが建て替えるのですね。驚きました。どんな立派な社ができるのか楽しみです。

 妻女山展望台へ。西方の長め。右に丸い茶臼山。右奥に虫倉山。標高1000mぐらいの里山には雪がまったくありません。今日の最高気温は9度。無風なので日向は暖かく感じるほどです。

 茶臼山の左奥には白馬三山。手前の尾根にはJAの建物と左には信里小学校の校舎。あんな山の上に小学校!?と思うかもしれませんが、結構広い校庭もあります。手前には葡萄畑とワイナリーも。中腹を左へ行くとバスクチーズケーキで有名なロンディネッラがあります。森でないところは多くが林檎畑。

 東の松代方面。奥の根子岳や四阿山にも雪は少ないですね。菅平のスキー場はオープンした様ですが。昨年から世界中で豪雨や大干魃が続いていますが、気象学者は2022年1月16日に起きたトンガの海底火山の大噴火の影響を挙げてています。なんと大気中の水蒸気の10%にあたる膨大な量の水蒸気が大気中に放出されたのだそうです。リビアの大豪雨とかありました。豪雨の横では乾いた下降気流が起きるそうで、そのためアンデスやアマゾン川が干魃になっています。チチカカ湖は2メートル、アマゾン川は10数メートルも水位が下がっています。

 展望台から後方、南側。下に松代藩が建てた善光寺地震の慰霊碑があります。

 展望台の地図はあまりにひどくてでたらめなので載せません。松代城へ行くと近くの観光案内所で御城印が買えるそうです。

 長坂峠手前から北の眺め。千曲川の向こうに川中島。飯縄山と戸隠連峰は雲の中。

 長坂峠から見る斎場山(旧妻女山)。上杉謙信が最初に本陣とした山頂は古墳(円墳)です。左には榎(えのき)が何本かありおます。根本の落ち葉の下にはオオムラサキの幼虫がいるはずです。

 陣場平入り口のインセクトホテル。越冬のための昆虫のホテルです。鞍骨山へ向かうという二人が登ってきました。熊は大丈夫でしょうかと。普通なら冬眠する頃ですが今年は暖かいので。でも里に下っても食べ物はないので大丈夫でしょうと。

 冬枯れの陣場平。上杉謙信が七棟の陣小屋を建てたと伝わる場所。妻女山里山デザイン・プロジェクトが貝母(編笠百合)の群生地を保護しているところです。夏に球根を大量に移植したので来春が楽しみです。満開は4月の10〜20日頃です。開花情報はこのブログでお知らせします。満開の様子は左のアーカイブで4月をご覧ください。

 堂平大塚古墳へ。以前傷ついた子鹿が中に隠れていたことがあったそうです。今日はだれもいませんでした。

 その脇にあるログハウス。今月の納会で使わせてもらいました。一応掃除もして草も刈ったのですが、周りの藪や雑木は処理した方が良さそうです。

 下山の途中で森林組合が伐採した大きな赤松が。根本に木材腐朽菌の大きなキノコがあるので、いつ倒れてもおかしくないものでした。クヌギやヤマザクラも伐採されていました。春先に湿雪が大量に降ると倒木が出るのでそれも処理しないといけません。来春はどんな気候になるのでしょう。

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直木賞作家、山崎豊子の『沈まぬ太陽』のモデル小倉寛太郎さんの思い出『サバンナの風』。「自然の中の人類の位置を見直す」(妻女山里山通信)

2023-12-23 | アウトドア・ネイチャーフォト
■2009年10月21日にアップした記事です。アクセスが結構あるのでリライトと追記して再アップします。私には人生で身内以外で生き方を揺さぶられた人が二人います。一人は作家になる前の村上春樹さん。もう一人が小倉寛太郎さんです。限られた人生は出会いが全てなのかなと思います。彼ら二人との出会いは私の人生をある意味決定づけたといえるかも知れません。


『サバンナの風』1993年3月30日刊   写真集『サバンナの光』1996年10月1日刊  サバンナクラブ編

 映画『沈まぬ太陽』(原作:山崎豊子)が10月24日(2009年)に公開されます。そのモデルが小倉寛太郎さんであることは有名です。作品は、「モデル小説」という事実を元にしたフィクションですが、巷やマスコミの関心は、各登場人物が実在の人物ではだれか、事実はどうだったのかというような点に集約され、報道も過熱しました。
 基本的に私は、『沈まぬ太陽』は、あくまでもフィクションだと思っています。真実に近づきたいならば、あらゆる立場の人に取材した緻密で公平なノンフィクションの本を作るべきでしょう。
 ここでは、氏の経歴とかではなく、私が二冊の本を通じて関わり、体験したことを綴ってみようと思います。

 私が小倉さんと出会ったのは、確か1991年の後半か92年の初めだったと思います。氏が主催していた「サバンナクラブー東アフリカ友の会」の本を作りたいということで、仕事をすることになりました。私はアートディレクター、デザイナー、エディトリアルディレクターとして参加しました。

 なんといっても(JALで)ナイロビ左遷の憂き目にあった小倉さんですが、「捨てる神あれば拾う神あり」。アフリカの水は氏にピッタリと合ったようです。もし、アフリカに出会わなければ氏の人生は、労働運動活動家としてだけの、実に味気ないものになっていたに相違ありません。「アフリカの水を飲んだものは必ずアフリカに帰る」という言葉があるように、氏もまたその幸せなひとりだったのです。

 本の名前は、『サバンナの風』。クラブの会員には、いわゆる有名人も多く掲載順や写真の選定、トリミングなどには非常に神経を使いました。既に高名なプロの写真家もいらして、そういう方の写真はギリギリまで寄って余計なものが全く写っていないので、基本的にノートリミングで使うしかないのですが、本の版形と写真の版形は違うため、版面いっぱいに断ち切りで使おうとすると、周り3ミリのどぶ(製本の際に断ち切られてしまう部分)でさえとるのが難しいという状況さえ出てきます。絶対に切れない一方に白場を設けてキャプションを入れることにしました。

 ある日小倉さんから、「岩合さんの所へ行って写真借りてきてください。」と言われました。「岩合さんといえばライオンですね。ぜひ、これといういい写真を借りてきてくださいね。」
 いい写真ねえ。ライオンなんて動物園でしか見たことがないし、どういう写真があるかも分からないし。ええいままよと岩合光昭さんの事務所に出かけたのでした。

 岩合さんの事務所では、ご自身が膨大なライオンのまだマウントもしていない撮りたてのリバーサルフィルムをゴソッと出してくれました。私はルーペを片手にライトボックスに次々にフィルムを乗せて膨大な量のカットを見ていきました。さすがです、『ナショナル・ジオグラフィック』にライオンの写真が特集された方ですから。どのカットもライオンの姿形の迫力が手に取るように伝わってきます。しかし、もうひとつピンッとくるものに出会えない…。共通の知人の話や、アフリカと私が行ったアマゾンの違いなどを話ながら、選定を進めましたが、どうにも出会えません。思わずひとりで唸ってしまいました。

 そんな時、赤ちゃんライオンのカットを見ていて、「赤ん坊のライオンて、親とは毛質がぜんぜん違うんですね。」と岩合さんに話しかけました。「ああ、そうなんだよ。分かる?」といって、奥から別のフィルムを持ってきてくれました。それは、4頭のライオンがやっと倒して仰向けになったバッファローに食いついているというものでした。しかも、天を向いたバッファローのアゴ先には、子供のライオンが必死の形相でかみついています。これだ!と思いました。連写の中から一番のカットを選び出し、「これお借りします。」と言って意気揚々と帰路に就きました。
 「よくこの写真借りられましたね。いい写真ですよ。」小倉さんの笑顔を見て、私は一気に苦労が吹き飛びました。


 困ったのは、会長をされていた作家の戸川幸夫さんに『サバンナの風』の題字を書いてもらってきてと言われた時でした。動物を主人公とした「動物文学」を確立させた方で、イリオモテヤマネコの学術的発見の手がかりを得た方でもあります。子供の頃に『少年サンデー』や『少年マガジン』の原作や学校の図書館にあった小説で、私にも非常に馴染みの深い方でした。それだけに、毛筆で題字を書いてもらうなんて、気むずかしい人だったらどうしようと思いながら出かけたのでした。

 ところが、氏は非常に物静かな方で、こちらの無理なお願いにも心易く書いてくださいました。ところが、ところが、なかなか題字にできそうな字があがってこないのです。特に風という字がしっくりこないんです。何度も何度もお願いして書いていただき、最後は風という文字だけたくさん書いてもらいました。書道ではないので、結局たくさん書いていただいた文字から「サバンナ」「の」「風」の文字のいいものを選び出して組み合わせることにしました。この件に関しては小倉さんも苦笑していたのを覚えています。

 小倉さんは、非常に緻密な方で、「写真もまず標本写真として通用すること」が基本です。まあ面白くもない写真にもなりがちですが、いわゆるイメージカット風はダメなんですね。また、私が全編写真ばかりなので奥付にはイラストを使いたいと思い、昔の欧州の画家が描いたアフリカの動物の木版画やエッチングを持参し、小倉さんに見せたのですが、全てボツになりました。理由は生物学的に間違っているからということでした。そして、ひとつひとつのイラストを指し示し、その生物学的な間違い箇所を説明してくれました。納得せざるを得ませんでしたが、私は困ってしまいました。すると見かねたのか、「私の絵を使ってください。」とのこと。「えっ! 絵も描かれるんですか?」と伺うと、「つたない絵ですけど。」といって後日何点かペン画を持ってきてくださいました。そして、その中から私が気に入った一点を使わせていただきました。


 仕事が一段落すると、小倉さんとはよく雑談をしました。アフリカや私が放浪したアマゾンの話、自然保護の話、ハンティングを銃からカメラに持ち替えた話、アフリカの動物はほとんど食べたという話、アフリカを撮る写真家は多いのに、なぜアマゾンを撮る写真家は少ないのかという話、アフリカンに嫁いだ日本女性の話、アフリカを訪れた日本人観光客の面白い話など話題は尽きませんでした。前者の女性は、東京でアフリカ人の男性に出会って恋に落ち結婚したのですが、アフリカの彼の家に行ってみると奥さんがすでに10人ぐらいいたとかいう話です。一夫多妻を知らなかったのですね。後者は、ある朝サバンナに行くと向こうから明らかに日本人旅行者と思われる男性が物凄い形相で駆けてきたそうです。車を降りるとパニックの形相で、昨日ツアーで来たが置いていかれた。岩陰に隠れたが、獣の唸り声が聞こえて一睡もできなかったと英語でまくし立てたそうです。私は日本人です大丈夫ですよと言ったが、彼はそんなことは頭に入らず英語でわめき続けたそうです。今でも人なつっこい小倉さんの笑顔と、アフリカを語るときの情熱的な眼差しは忘れることができません。

 70年代のアフリカの話ですが、「田舎の娘がナイロビのクラブにほとんど裸で出勤してくるんですよ。そして服を着て舞台に出る。踊りながら裸になって踊る。家に帰る時は、また裸になって帰るんです。」急速な近代化を迎えたアフリカのちょっと哀しい笑い話もしてくれました。
 ナイロビに住んでいても野生動物を見たことがない人もいるんです。実際、来日して上野動物園で始めて実物のライオンを見たというアフリカンもいるんですよ。」と。

 『サバンナの風』の氏の文章の一節に、好きな言葉として、こういう一文があります。
「ここ東アフリカの大地に立つと、夜空を仰いでは天文学者になればよかったなあと思い、大地の亀裂、大地溝帯の不思議さを見て、ああ地理学者でもよかったなあと思う。原野を走る動物を見て、そうだ、動物学者という手もあった。目を落として足元の花を見て、植物学者でもよかった…と。」
 こんな風に思わせるのが、東アフリカの自然なのです、と。

 アフリカを通じて、「自然の中の人類の位置を見直す。」ということを訴え続けた方でした。

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 映画『沈まぬ太陽』は、2009年に主演・渡辺謙が主人公の恩地元を演じました。
「日本のナショナル・フラッグ・キャリアである大手航空会社「国民航空」社員で同社の労働組合委員長を務めた恩地元と彼を取り巻く人々の描写を通して、人の生命にかかわる航空会社の社会倫理を表現した作品である。日本航空とその元社員である小倉寛太郎、単独機の事故として史上最悪の死者を出した日本航空123便墜落事故などがモデルとされている。実在の複数の人物が登場人物のモデルとなったとの推測があるが、山崎豊子は公式には認めていない。しかし、山崎豊子は多くの日本航空関係者にインタビューを実施している。」Wikipedia
 ただ氏は事故原因や事故後の補償問題も含めて、JAL123便墜落事故には一切関わっていません。
「定年退職後は長い僻地勤務の経験からアフリカ研究家、動物写真家、随筆家として活躍。ケニア政府とウガンダ政府からは野生生物保全管理官(名誉ウォーデン)に任ぜられた。1976年には戸川幸夫、羽仁進、渥美清、田中光常、小原秀雄、増井光子、渡辺貞夫、岩合光昭ら東アフリカの自然と人を愛する同好の士を集めて「サバンナクラブ」を発足させ、事務局長を務めている。2002年(平成14年)10月、肺癌で死去(72歳)。 Wikipedia
 他にメンバーではいかりや長介、岡崎友紀、見城美枝子、久保田利伸など。個人的には『サバンナの風』の出版記念パーティーで岡崎友紀さんと少しお話できたことが最高の思い出でした。大ヒットした「おくさまは18歳」(最高視聴率33.1%)とか長野の田舎でテレビで見ていた国民的アイドルであこがれのスターでしたから。出版記念パーティーは、著名な方々やクラブの会員の方々が大勢集まり、掲載された写真が飾られ、それは賑やかなものでした。小倉さんから私も紹介され栄誉をあずかりました。『サバンナの風』には、上記の方々のアフリカの写真やアフリカへの熱い想いが載っています。ネットで中古本が買えます。

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 知り合って間もない頃、打ち合わせをしていて小倉さんが、「アフリカ行ったことないですよね。でも若いのになんでそんなに世界の事知っているんですか」と言われたことがありました。そこで、南米、アマゾンとアンデス200日の放浪のことを話しました。あーなるほどと頷かれ、それから仕事の話が一気にスムーズに運ぶようになったのです。
 ある時、本に載せる小倉さんの写真を選ぶためにご自宅にお邪魔したことがありました。アフリカや生物学、動物学などの膨大な書籍が収められた書架が並ぶ氏の書斎で膨大な量のリバーサルフィルムを観ながら選定を始めました。驚きましたその膨大な量に。そして氏の几帳面さを感じさせる図鑑に載せてもいいほどのクオリティ。私はそうではない遊びのある写真も好きなのでいやあ本当に生真面目な人なんだなあと思いました。アートディレクターの目線はもっと幅が広いのです。ただ、氏の写真は動物に対する愛があるので冷たくはないのです。それが本当に素晴らしいなと思いました。奥様も写真を撮られていて写真集に載っているのですが、タイトルがユーモアがあって好きでした。その後、だんだん打ち合わせ以外の話が増えていったのを懐かしく思い出します。それは楽しい充実した時間でした。彼が常々言っておられた「自然の中の人類の位置を見直す。」それは今にも通じる命題です。


 小倉さんの写真。

1999年駒場祭講演会・小倉寛太郎「私の歩んできた道」:ぜひ読んでほしい講演です

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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ピーカンの善光寺平。妻女山展望台から北アルプス、戸隠連峰、飯縄山、根子岳・四阿山の絶景。アオツヅラフジとノイバラ(妻女山里山通信)

2023-12-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 朝窓を開けると東はうろこ雲でしたが西は快晴。これはピーカンになると10時頃に晴れ渡ったのを見届けて妻女山に登りました。週末に行う今年最後の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業と納会の下見も兼ねています。

 仁科三山の爺ヶ岳(2670m)。南峰と本峰の間の白沢の上部には、春に種蒔きをする老爺の雪形が見られ、山名の由来となりました。雷鳥も生息します。爺ヶ岳には、栂山・栂谷ノ峯・後立山・五六ヶ岳・爺岳・爺子岳とたくさんの別称があります。手前の里山は、茶臼山などがある西山。

 鹿島槍ヶ岳(2889m)。山頂の右手の陰になっている谷には、平家の落人が隠れたというかくね里があり、上部の雪渓は2018年に長野県初の氷河であると認定されました。かくね里の人々は、やがて大川沢を下り鹿島川の辺りに住み、それが今の鹿島集落とか。ただ、鹿島神社には807年(大同2年)には集落があった記述があるそうで、平家追討以前にすでに集落があったことになります。戦国時代の天文年間の大地震で鹿島槍が大崩壊し、麓が大被害を受けたため、地震の神様である鹿島神社を勧請したともいわれています。

 北へ。白馬三山の左から白馬鑓ヶ岳(2903.11m)、杓子岳(2812m)。信里小学校とJAの建物や民家が見えます。最近ワイナリーの建物ができました。周囲には葡萄畑が広がっています。

 白馬三山全景。手前右は茶臼山の崩れた南峰。中腹から下には林檎畑が広がっています。サンふじなどの収穫は終わっていると思います。今年は猛暑で贈答用のリンゴが充分に集まらなかったそうです。

 これらの写真はこの妻女山展望台から撮影しています。411mと低いのですが、北アルプス、戸隠連峰、信越トレイル、笠ヶ岳、四阿山までの大パノラマが見られます。

 左斜め後方には斎場山(旧妻女山)。これから撮影機材と山仕事の道具を積んで林道を登ります。

 陣場平へ。第四次川中島の戦いで上杉軍が本陣の陣城を建てた場所です。先日、SBCの「ずくだせテレビ」に出演した時に島田秀平さんを案内しました。週末はチカラシバの除去作業をします。来春の貝母の開花が楽しみです。満開の様子は各年の4月の記事をアーカーイブでご覧ください。それは見事です。満開は4月10〜20日頃。手前の樫の木で作ったベンチに腰を掛けてゆっくりと鑑賞してください。高句麗人の積石塚古墳の横にも3つあります。下の駐車場から歩いて30〜40分ぐらいです。保育園児でも登れます。開花状況はこのブログでお知らせします。

 陣場平の中央にあるクマノミズキ。樹冠にはまだ実が残っています。実がついている枝の赤が鮮やか。小鳥の餌になります。ここで顔見知りの鳥に非常に詳しいご夫婦と邂逅。鳥談義をしているとイカルが来てきれいな鳴き声を聞かせてくれました。冬鳥がたくさんいてあちこちから鳴き声が聞こえます。

 先週から長野森林組合が松枯れ病対策で赤松の伐採と薬品の燻蒸をあちこちで行っています。被せてあるビニールは昔と違って自然分解性です。

 陣場平の入り口から林道。落ち葉で分からなくなりましたが、ベンチの手前は左右にニホンカモシカの獣道があります。時間が合えば見られます。左の三角のものは昆虫が冬ごもりするためのインセクトホテル。右手前の緑はゴヨウアケビでニホンカモシカの冬の餌になります。

 堂平大塚古墳のログハウスへ。週末使わせてもらうので掃除をしました。逆光の紅葉が美しい。麓は13度になった様ですが、山上は4度でした。寒風がないのが何よりでした。

 長坂峠に戻って歩いて斎場山へ。クヌギの枯れ葉と手前下にはヤマコウバシの枯れ葉。ヤマコウバシは春の新葉が出るまで落ちないので、受験生のお守りになっています。

「ずくだせテレビ」でも紹介した斎場山(旧妻女山)上杉謙信が最初に本陣としたと伝わる山。山頂は古代科野のクニの古墳です。

 円墳なので山頂は平で円形です。ここに盾を敷き床几を置いて陣幕を張って本陣とし、鼓を奏でたといわれています。ただ信玄が全軍を海津城にいれてしまったので、本陣を陣場平に移したと伝わっています。

 鮮やかなアオツヅラフジ(青葛藤)の青い実。毒草ですが、漢方では利尿、鎮痛薬として、民間薬では神経痛やリウマチ、通風、むくみ、膀胱炎などに用いられます。アルカロイドの一種が含まれるため、多量に接種すると呼吸不全、心臓麻痺、腎機能障害になる危険があります。クリスマスリースを作る時にも用いられます。
 万葉集では黒葛(つづら)という名で登場します。
「駿河の海 おしへに生(お)ふる 浜つづら 汝(いまし)を頼み 母に違(たが)ひぬ」東歌
(駿河の海に生えている浜つづらのように、長くいつまでもそなたを頼りにしていて母と仲違いしてしまった)

 ノイバラ(野茨)の赤い実。いわゆる野薔薇で芳香のある白い小さな花を咲かせます。しかし繁殖力が強く地下茎をのばすため、陣場平では貝母のために有害なので除去しています。また、これが登山道を塞ぐと登れなくなってしまいます。この赤い実は食べられますが。下剤としてつかわれる生薬なので過食は禁物です。アオツヅラフジもノイバラの実も食べる小鳥がいます。

 妻女山松代招魂社。戊辰戦争以降の戦没者を祀っています。瓦が落ちたりしたので屋根を葺き替える様です。
「戊辰戦争」の戦没者を祀る妻女山松代招魂社と松代藩の戦没者名簿(妻女山里山通信):戊辰戦争以降の経緯と明治時代の招魂社の貴重な写真も掲載。

 展望台に戻って北方の別名戸隠富士の高妻山(2,353m)。左奥に乙妻山。手前の戸隠山の崖が見応えがあります。その手前は富士ノ塔山の尾根です。

 飯縄山(1917m)。山頂は右の頂きです。左の南峰には飯縄神社の奥宮があります。祭神の飯縄権現(飯綱大明神)は、管狐(くがきつね)を使って術を行う飯縄遣(いいづなつかい)の仏神。山岳信仰が発祥といわれる神仏習合の神です。その姿は白狐に乗った烏天狗で、大日如来の化身の不動明王のさらなる化身といわれています。上杉謙信の兜の前立てにもあります。冬山登山は雪がしまる2月中旬以降がおすすめです。もちろん冬山装備は必須。アイゼンも必要です。手前の里山の左下に見える大きな四角いものは電波反射板です。

 東方には根子岳(2207m)と四阿山(2354m)。四阿山は真田の修験の山で、山頂には麓の山家神社の奥宮が二つあります。麓の神社には、真田幸隆が奉納した奥宮の漆塗りの扉が現存します。拙書では四阿山と真田の関係を詳細に記しています。菅平牧場から四阿山、根子岳をまわるループコースは拙書でも紹介していますが、大人気です。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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久しぶりに堂平大塚古墳へ。モミジの紅葉と落葉松の黄葉。クマノミズキの珊瑚色の実が落ちる陣場平へ。イワシ雲(妻女山里山通信)

2023-11-23 | アウトドア・ネイチャーフォト
 先週ロケを行い22日にSBCの「ずくだせテレビ」で、手相見芸人の島田秀平さんを案内して斎場山と陣場平を歴史解説しながらご案内したものが放映されました。ご覧になった方もおられるかも知れません。『甲陽軍』の編者といわれる小幡景憲の合戦絵図を初公開できたのが何よりの収穫でした。あけて23日は案内できなかった堂平大塚古墳へ久しぶりに行きました。

 堂平大塚古墳の脇に、今は亡き山仲間のKさんが昔植えたモミジが今年も見事に紅葉していました。

 見上げるとイワシ雲の空に落葉松の黄葉が映えています。もう少し冬まって茶色になると木枯らしが吹く度にチリチリと落葉松の葉の雨が降るようになります。

 古墳脇の柿。昔からあるのですが渋柿なのか熊が食べに来たことはありません。藪の中を近づいてくる熊は音で分かるので追い払ったことが3回ぐらいあります。拙書のエッセイに載せている鏡台山の例。他に根子岳、聖山で追い払っています。戸隠自然植物園では横の笹薮の中に熊がいて私に向かって唸っていたのでその時はおとなしく去りました。下の陣場平では、5月中旬に子熊と鉢合わせ。私もですが子熊も驚いて逃げていきました。その向こうには母熊が確実にいるので、その日はおとなしく山を下りました。この古墳脇にはログハウスがあるのですが、デッキで昼を食べていたら上の山で子熊がギャーギャー鳴いていました。でも母熊が子熊を置いて崖を下って蟹沢の泉に水を飲みに行ったのだろうと分かったので待っていると、10分ぐらいで母熊が戻ってきた様で深山へ帰って行きました。

 薮山へ登って倒木にムキタケ。例年なら大袋に入りきれないほど採れるのですが、今年は小袋一杯だけ。ハナイグチもムラサキシメジも全く見られません。本当にキノコが凶作の秋でした。唯一ハタケシメジが大量に採れたのは奇跡の様でした。

 島田秀平さんを案内した陣場平。今日は象山から鞍骨山経由で来られた男性と、その後で天城山(てしろやま)から下りてきた女児を連れた夫妻を案内しました。来春の貝母が満開の時期にぜひまたおいでください。開花は4月初め、見頃は10日から20日頃です。同時にカスミザクラ、ヤマザクラ、オオヤマザクラが咲き、ウグイスが鳴き、運が良ければサンコウチョウも月日星ホイホイホイと鳴きます。エンゴサクの群生地や希少なハナヤスリの群生地もあります。

 番組で紹介した『甲陽軍鑑』の編者と言われる小幡景憲彩色の「河中島合戰圖」(部分)。マスコミ初登場です。陣場平に陣小屋が七棟建てられた図が描かれています。かなり大雑把な絵ですが、それでも大体の地名は当てはめることができます。上杉軍は赤で、武田軍は白で描かれています。上杉謙信は、短い布陣でも必ず陣城を構築したといわれています。築城前には、「乱取り」といって麓の寺社や家屋を壊して建築材料や食料を得ていました。合戦後50年位に描かれた絵ですから、正確な描写は無理としても、内容はかなり信憑性が高いかも知れません。小幡景憲の祖父虎盛と叔父光盛は、海津城で春日虎綱の副将を務めました。そういう経緯から景憲は『甲陽軍鑑』原本を入手しやすい立場にいたということでもあり、実際に合戦当時の話を聞いていたのではないかと思われます。この絵図は、東北大学狩野文庫に所蔵されているもので掲載の許可を得ています。

 ほぼ中央にあるクマノミズキの珊瑚色の実がたくさん落ちています。紺色の実は森の動物や昆虫の大事な餌になります。

 陣場平の入り口に設置したインセクトホテル。昆虫の越冬用の棲家です。まだ暖かいので宿泊者はいません。

 林道から見る陣場平。貝母(編笠百合)の群生地はあの落葉松林の向こうになります。

 陣場平の北東の角にある高句麗人の積石塚古墳。高句麗から帰化した豪族が篠ノ井の地名の元という話は、春の夢空間主催のハイキングで必ず説明しています。

 ゴヨウアケビの葉は冬でも緑なので、ニホンカモシカの餌になります。

 アサギマダラが花で吸蜜していたマルバフジバカマは種ができています。

 陣場平の北東にチカラシバが繁茂してしまいました。この夏に貝母の球根を植えたところなので、もうすぐ行われる妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業で全部掘り返します。帰化植物だけでなくイネ科の植物も厄介です。

 そこにあある菱形基線測点。松城群発地震の時に大活躍した地球の歪みを測る機器を置く台です。ブログでも紹介しています。菱形基線測点でブログ内検索を。

 陣場平の出口から林道を見たところ。天気の良い日には鞍骨山へ向かうハイカーもよく見られます。マウンテンバイクやトレランの人も来ます。

 見上げるとオニグルミ。今年は猛暑と少雨で実があまりなりませんでした。

 下って妻女山展望台へ。先週の13日と15日に清野の林道倉科坂線で熊が目撃されたので立てられました。麓の柿を毎年食べに8キロ先の鏡台山から来るのです。いつもならクリスマスの頃なんですが、一ヶ月以上早く下りてきました。やはり実が不作なのでしょう。ハイキングには熊鈴とホイッスルを携行してください。

 妻女山展望台から白馬三山と茶臼山と右奥に虫倉山。眼下の畑では長芋堀りが盛んです。野沢菜の濃い緑も見えます。

 北の飯縄山と戸隠富士の高妻山。暖かい日でした。展望台とその周辺は県外ナンバーの車やカメラの三脚がたくさん。そうです今夜は長野えびす講煙火大会なのです。5キロほど離れていますが、遠花火もまたいいものです。

「スペアリブと天然ハタケシメジの中華炊き込みご飯」スペアリブはオイスターソース、中国醤油、ごま油、五香粉、胡椒で味付け。天然ハタケシメジ、椎茸、れんこん、人参、白葱、干しエビ。自家栽培の干し椎茸をもどしてその汁でご飯を炊く。味付けはシャンタンスープの素、牡蠣油、醤油、本味醂、姜葱醤。スペアリブは豚バラや鶏肉でも。ラムにするとモンゴル風に。天然ハタケシメジと干し椎茸の旨味がスペアリブとご飯に染み込んで超絶美味です。

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晩秋の米子大瀑布へ。権現滝(男滝)と右に不動滝(女滝)の夫婦滝。根子岳山荘カフェで至極の絶景コーヒーを(妻女山里山通信)

2023-11-05 | アウトドア・ネイチャーフォト
 米子大瀑布は、根子岳、四阿山、浦倉山が形成する大カルデラの最北部の秘境にあります。古くから不動信仰、山岳信仰の聖地として有名です。また、主に硫黄を産出する鉱山としても古くから知られていました。
 米子鉱山の起源は古く、江戸初期ともいわれています。日本三大不動尊のひとつ米子不動尊(瀧澤山家原院如来寺→米子瀧山威徳院不動寺)は、奈良時代に行基により開山された古刹といわれています。また、奇妙滝のある奇妙山は仏教用語の「帰命」が転訛して奇妙となったもので、木食信仰遺跡があることからも、深山でありながら人の出入りはかなりあったと考えられます。8世紀の「続日本紀(しょくにほんぎ)」に、当時信濃国から朝廷へ石硫黄の献上があったことが記されているのですが、これは米子鉱山のことと推察されます。

 鉱山跡地から左に権現滝(男滝:落差82m)と右に不動滝(女滝:落差89m)の二条の大瀑布が迎えてくれます。紅葉のピークは過ぎましたが、今年は暖かく冷え込みも浅かったためどこの山でも紅葉はイマイチで燃え上がる様な紅葉は見られませんでした。秋雨も少なく滝の水量も半分ぐらいでしょうか。そんな年もあります。

 1.まず駐車場を出てウラノ沢の熊野権現橋を渡ります。多くの人はそのまま川沿いに進むのですが、すぐ先から左へ山登り開始。ウラジロシャクナゲの群生地があります。 2.約30分で四阿のある仁礼小学校分校跡・鉱山事務所跡に着きます。 3.林道を歩いてほどなく鉱山製錬所・社宅・大浴場・食堂跡の広大な平地へ。向かいは泉坑山。 4.山の神の社。右手前に長男が5才近くに登った時ペシペシした木製の男根が腐って倒れていました。 5.滝を見ながら林道を下って米子不動尊奥ノ院へ。 6.米子不動尊。1743年(寛保3年)に、米子村の竹前氏によって本格的な採掘が始められたということですが、その竹前氏の墳墓が裏手に。 7.根子岳山荘カフェ。 8. 不動滝と権現滝を訪れて下山。台風19号で流された奥万橋は吊り橋になりました。 9.お昼少し過ぎに駐車場に戻りました。満車で待っている車も。9時半前に来ないとだめです。紅葉最盛期は自家用車規制があります。

 製錬所跡の広場から不動滝。滝だけでなく岩肌を観ても見飽きません。ここの広場の地名はお花畑。
「秋山の、黄葉(もみぢ)を茂み、惑ひぬる、妹を求めむ、山道(やまぢ)知らずも」柿本人麻呂 万葉集
 秋山の黄葉(もみぢ)が繁っているので、迷ってしまった妻を探そうにも、山道が分からない。(妻を亡くして哀しむ歌)


 V字に切れ込む大黒沢。拙書ではこの沢を登り右手へ滝上に登って根子岳へ。大隙間に下って四阿山へ。更にパルコールスキー場から浦倉山へ。この大黒沢へ戻るカルデラ一周23キロ、約10時間のコースを載せています。沢を左へ登るとソブ池(野猿田池)への分岐も。

 根子岳山荘カフェと、滝を背にして鎮座する米子不動寺奥ノ院の屋根が見えます。権現滝と不動滝。右に冬にはアイスクライミングのメッカとなる黒滝の黒いシミも見えます。

 北方の善光寺平方面。須坂市街地も見えます。ここに暮らしていた鉱山の1500人の家族は毎日この風景を見ていたわけです。しかもここから須坂まで索道(ロープーウェイ)がありました。人を乗せるためのものではなかったのですが、チャッカリ乗った人もいた様です。

 不動滝。手前に柵がありますが、直下まで行くのは自己責任で。滝行は許可がないとできません。見上げて撮影する時が最も危険。バランスを失うと転落の危険。

 滝の落ち口。

 滝壺はありません。水量が少ないので少し濡れる程度でした。

 不動滝の谷。

 権現滝。

 根子岳山荘カフェで美味しいコーヒーを絶景を観ながら。贅沢な至福の時間です。

 新しくできた不動滝の展望所。眼の前に覆いかぶさってくる様な大迫力。

 帰路で見られる坑道の大きな穴。

 様々な色合いが美しい落葉松の黄葉。

 お花畑にある米子硫黄鉱山跡の説明看板。見ない人が多いのが残念です。鉱山の経営者は度々変わり、1934(昭和9)年に中外鉱業(株)が本格的な営業採掘を始めました。労働争議も起きており仕事は過酷だった様です。1973(昭和48)年に全面閉鎖されました。

晩秋の米子大瀑布 2023.11.4


信州最古の不動霊場・日本三大不動尊の米子不動尊からレンゲツツジ満開の米子大瀑布へ(妻女山里山通信):満開のレンゲツツジ。

日本のギアナ高地、米子大瀑布へ。薄雪を踏んで幻のソブ池へ(妻女山里山通信):冠雪した滝の上部。

錦秋の米子大瀑布へ。瀑布の上にある幻のソブ池探索も。「続日本紀」に記述のある米子硫黄鉱山(妻女山里山通信):幻のソブ池へ。

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ハタケシメジを大量にゲット。ホンシメジに最も近いという美味しいキノコ。秋の里山。銀嶺の北アルプス(妻女山里山通信)

2023-10-22 | アウトドア・ネイチャーフォト
 一昨日雨が降ったので出ているかもとハタケシメジのシロへ。はじめは草に覆われて出ていないかなと思ったのですが、よく見るとあちこちに出ていました。ハタケシメジは毎年同じ場所に出るので、シロを知っていれば畑で採る様に収穫できるのです。近年の研究によって、10ミクロンほどのきのこの胞子が、大気中で雨の核(氷晶核)となり、降雨の主要な要因となっている可能性が示されています。 また、樹木はリグニン、セルロースとそれらを結びつけるヘミセルロースからできています。セルロースを分解するのは菌類や昆虫などですが、極めて硬いリグニンを分解できるのはある種の腐朽菌や細菌だけです。よってキノコがなかった古代ではリグニンが分解されず堆積しました。それが石炭です。ついでに石油は生物由来であと40年で無くなるを繰り返してきましたが、近年は地球深部(上部マントルや地殻深所)で無機的な反応により炭化水素を形成し続けていて、ガスや石油はほとんど無限になるという無機起源説が主流になりつつあります。

 苔むした岩の陰にハタケシメジ。周囲を見るとあちこちに出ていました。ハタケシメジは、非常に美味で栄養も豊富、βカロテンも豊富です。ハタケシメジは腐生菌ですが、菌根菌のホンシメジに最も近いキノコです。その気になれば栽培も可能です。

 コムラサキ(小紫)の実。ムラサキシキブ(紫式部)の実より小さいのですが、たくさんなります。有毒ではないのですが美味しくなく、鳥や昆虫もあまり食べません。

 日溜まりでヤマトシジミが何頭か舞っていました。秋に出現したものはやや小型です。

 ハナニガナは終わっているのでヤクシソウでしょう。キク科オニタビラコ属の二年草で、葉などを傷付けると乳液が出るためウサギノチチ(兎の乳)などの別名があります。

 堂平大塚古墳へ。昔ここに怪我をした子鹿が隠れていたことがあったと聞いたことがあります。横穴式の古墳時代後期のリユースできる古墳です。

 古墳の斜面に柿。これを求めて月の輪熊がやって来ます。この辺りで熊には何度も遭遇しています。いつどういう目的でどのルートを来るのかも分かっています。突然の出会いが最も危険なので大きな音や熊の嫌がる煙などで知らせます。3月上旬、5月上旬から6月は淡竹の筍目当て、クリスマスの頃。ここから8キロ山奥の鏡台山から食料を求めて出てきます。月の輪熊の行動半径は15キロほど。山の凶作だけでなく、人を恐れない熊が増殖しているのが問題なのです。当地では獣害駆除でイノシシ狩りが行われているので、熊はまだ人を見ると逃げます。人と熊は共存はできません。棲み分けが大事なのです。私は鏡台山、聖山、根子岳で藪を近づいてくる熊に気づいて追い払ったことがあります。普通の人は気づかないでしょうし追い払う術も知らないと思います。難しい問題です。

 セイタカアワダチソウ。環境省が要注意外来生物リストに載せている植物で、都会の空き地から里山や耕作放棄地で見られますアレロパシーを持ち、根から周囲の植物の成長を抑制する化学物質を出しますが、最後は自分の出したそれで消えていきます。デトックス効果が高いので、薬草としても用いられます。花は天ぷらで食用に、オリーブ油に漬けるとデトックスオイルに。ただ成分が非常に強力なのでしっかり勉強してから利用を。

 陣場平へ。入り口に妻女山里山デザイン・プロジェクトで作ったインセクト・ホテル。冬になるとテントウムシなど色々な昆虫が棲家とします。カリバチやベニヒラタムシを確認しています。

 陣場平。中央にクマノミズキ。ヤマグワ、キリ、クサギ、ヤマザクラ、カスミザクラ、オオヤマザクラ、サンショウ、カラマツ、アカマツ、イボタノキ、ノイバラ、オニグルミ、シナノガキ、ゴヨウアケビなどが自生します。妻女山SDPが貝母(編笠百合)の保全活動をしている場所です。そして、川中島の戦いで上杉謙信が陣城を築いた場所です。貝母の群生地は日本でここだけです。当ブログやマスコミで知られて、毎年訪れる人が増えています。県外からも。見頃は4月10日から20日頃です。開花状況はこのブログでお知らせしています。

 ノコンギク(野紺菊)の群生。秋の里山でもっともありふれた野菊ですが、もっとも好きな花です。

 菱形基線測点の手前にはエノコログサ(猫じゃらし)の群生があったのですが、全部こいで貝母の球根を植えました。ところがチカラシバが生えてしまいました。これは厄介です。貝母が芽吹く頃には枯れるので様子を見ますが、また全部掘り起こさなければならないかも知れません。

 キシメジ科のキノコ。いくつか候補はあるのですが、確実な同定はできません。

 倒木に多孔菌科のキノコ。サカズキカワラタケかと思ったのですが、傘の根本にサカズキのお椀がない。なんでしょうね。まあ日本のキノコは10000以上あるといわれていて、同定できているのは4割もないのですから。

 サンショウの森で山椒の実を見つけました。色づいています。父はこれで七味唐辛子を作っていました。

 妻女山松代招魂社のソメイヨシノやヌルデの紅葉。低山なのでまだ色付き始め。

 長らく工事中だった妻女山展望台が完成しました。北アルプス、戸隠連峰、信越トレイル、志賀高原、菅平の四阿山などの大展望が見られます。

 そこから北アルプスの白馬三山。一昨日の雨は北アでは雪となり一気に銀嶺に変わりました。右に虫倉山、手前に丸い茶臼山。今年はスーパー・エルニーニョが発生で暖冬とか。2015〜2016の冬の様になるとか。当時は雪が降らずスキー場が開業できない事態に。当地では1月に1センチ、月末に10センチのしかも上雪という有様。2月上旬には梅が咲き、貝母も芽吹きました。この冬もそうなるかも知れません。

 北には左に戸隠連峰と戸隠富士と呼ばれる高妻山、右に飯縄権現の飯縄山。遠目でも紅葉が見頃だと分かる色合いです。千曲川河川敷では長芋のつる落としが始まり、枯れると焼却します。それが終わると長芋堀りが始まります。

 クマノミズキの紺色の実は鳥や昆虫の大好物。赤い小枝は森の珊瑚の様です。

 ハタケシメジ。写真ではよく分かりませんがかなり厚みがあり、100本以上はあります。洗って掃除には小一時間かかりました。

 友人が作った幻の小麦、伊賀筑後オレゴンをメインにホームランをブレンドして手打ちうどんを作ります。小野式の製麺機で。信州の家庭には昔は普通にありました。

 昨年採って冷凍しておいたジコ坊(ハナイグチ)と採ってきたハタケシメジ、豚バラでキノコうどん。天然キノコは味が強いので出汁は強めに。塩皮鯨、鰹、炒り粉、アゴ、貝柱、昆布で。本味醂と醤油で味付け。馬鹿旨です。

 カニカマとハタケシメジ、野良坊菜と幻の小麦伊賀筑後オレゴンの手打ちうどんで小田巻蒸し(苧環蒸し)。うどんの入った茶碗蒸し。大阪船場の商家のハレの日の御馳走料理だったもの。つゆは白出汁で。具は蟹、海老、帆立、蒲鉾など自由に。舞茸は卵が固まらないので茹でてから。寒い夜にはぴったりの料理です。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
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ツル性トリカブトを探して冠着山(姨捨山)と聖山へ。三種類のトリカブトが混生か。イヤリトリカブトか。鞍骨山と天城山のトリカブト(妻女山里山通信)

2023-10-18 | アウトドア・ネイチャーフォト
 前の記事でツル性トリカブトを載せました。花期は終わっているだろうとは思いましたが登ってみました。まず冠着山へ鳥居平登山口から登りました。山頂までは30分ですが、途中北面巻き道の群生地へ。その後で山頂へ。次に聖山へ向かいました。冠着山では、どうも三種類のヤマトリカブトが混生しているのではないかということが分かりました。ひとつは、大町で発見されたツクバトリカブトの変種イヤリトリカブトかも。
 トリカブトは全国的に変種が多く、ヤマトリカブト、オクトリカブト、ツクバトリカブト、イブキトリカブト、タンナトリカブトに加えて長野県北部特産として茎の長さ300cm、上部はツル状のイヤリトリカブトがあるそうです(1~1.5mという記述もあり)。結論からいうとトリカブトには変種が非常に多く、そのためか詳細な分布や研究は充分には行われていないということ。おそらく九州のハナカズラと当地のツル性トリカブトは別種でしょう。トリカブト亜属でも40種以上あり、花弁の舷部が距に向かって膨大するキヨミトリカブト節には、アズミトリカブト、ハナカズラなどがあります。
「トリカブト亜属に属する種は、多年草のなかの疑似一年草に分類される。地上部と地下の母根(塊根、「烏頭(うず)」)はその年の秋に枯死するが、母根から伸びた地下茎の先に子根(嬢根、「附子(ぶし、ぶす)」)ができ、その子根が母根から分離して越冬芽をもち、翌年に発芽し開花する。地上部と地下の母根から見れば一年草であるが、子根が翌年にも生存するため、擬似一年草のカテゴリーにはいる。分離型地中植物とも呼ばれる。」トリカブト(Wikipedia)
  今回取り上げた北信のトリカブトについても、専門的な研究機関がDNAレベルまで調べてくれるといいのですが。

 冠着山北面巻き道の群生地のトリカブト。ツル性ではなく直立性ですが、ここのものは全て斜めに倒れています。

 一瞬つる性のトリカブトと思いましたが、葉を見てマメ科のクサフジの仲間と分かりました。

 ツル性のトリカブトでしょうか。花がないのではっきりしませんが、クサフジの葉ではないですね。ヤマブドウの葉かしら。

 左向こうにツル性かと思われるもの、手前に斜めに太い直立性のもの。さらに手前にはツル性と思われるものがあります。

 それを引いて撮影したカットです。やはり花が満開の9月に来ないと判別が困難です。

 冠着山北面巻き道の入り口。倒木があり藪でとても道には見えません。北面の久露滝コースが合流するのですが、その登山道が廃道になりこの巻き道も廃道となっています。群生地はここから15mほど入ったところですが、あちこちで道が崩落していて大変危険です。

 山頂すぐ手前にある冠着権現の祠。前の記事に載せた2020年9月にあったツル性のトリカブトは完全に除草されて無くなっていました。ショックで写真がぶれてしまいました。

 山頂にわずかに咲いていたトリカブト。高さは70センチぐらいで上部がツル性です。左下には別のツル性植物が絡みついています。イヤリトリカブト(居谷里鳥兜)でしょうか。300センチはありません。ただ、草丈1~1.5mの多年草。 茎はよく分枝し、枝はつる状に伸びる。葉は互生し、長さ10cm程度の心形で3深裂し、裂片の縁は鋸歯状になる。花柄には屈毛が生える。花は散房花序につき、青紫色で長さ3~4cm。と書いてあるところもあります。環境省の絶滅危惧ⅠA類(CR)です。大町市の居谷里湿原で最初に採取されたのでこの名前があります。大町以外には戸隠高原や飯綱高原に自生していることが確認されています。
 ただ前の記事に載せた聖高原のトリカブトは全部がツル性の様で、そうするとイヤリトリカブトではなく新種か、変種ということになるのではないでしょうか。『長野県植物誌』には載っているでしょうか。

 冠着山山頂から北方の眺め。眼下に姨捨サービスエリアと棚田。千曲川の向こうは茶臼山。奥の戸隠連峰や飯縄山は雲の中です。

 下山の途中で撮影した直立性のトリカブト。風が強くなってきました。夫婦が一組、次いで養護学校の生徒たちが7,8人。トリカブトに触ったり匂いを嗅いだりしないでねと伝えました。さらに登山口で神奈川から来た男性が。聖山に登ってきたそうです。ハウチワカエデの黄葉が綺麗だったとか。聖湖に下り聖山へ向かいました。

 聖山山頂北面のハウチワカエデの紅葉。山頂付近には直立性のトリカブトしかありませんでした。かなり北風が強く寒くなってきたので下山します。前回撮影した車道脇のツル性のトリカブトは分かりませんでした。今年は花期が終わってしまったので、来年また観察したいと思います。

 下山途中から見る三峯山と眼下に聖湖。左奥に噴煙を上げる浅間山。右奥にさっきまでいた冠着山。

 冠着山と聖山は千曲川左岸の山です。以下にあげるのは、千曲川右岸の鞍骨山と天城山(てしろやま)です。
■2012年10月30日【天城山十人平】 冠着山山頂で見たものと似ている上部がツル性のトリカブト。これもイヤリトリカブト(居谷里鳥兜)でしょうか。

■2015年10月10日【鞍骨山】 鞍骨山の鞍骨城本郭手前の尾根で。ツル性かといわれれば悩むところです。ただ左下の向こうに地面をはっている茎が見えます。これがトリカブトのものであれば完全にツル性ということになります。これも確認したいところです。

■2015年10月18日【鏡台山】 暗い林床で。全体を写したものがないのでなんとも言えません。

■2016年10月21日【天城山十人平】 三枚上のカットと同じ場所。高さは100センチほど。やはり上部がツル性です。トリカブトの仲間は北半球に約300種が分布し、日本にはヤマトリカブトなど30種ほどがあるそうです(もっとあると思います)。トリカブト(鳥兜・草鳥頭、学名:Aconitum)は、キンポウゲ科トリカブト属の総称です。つまりトリカブトという名前の植物はありません。

 ハナイグチ(ジコ坊)と里芋の親芋、大根、砂肝の煮物。ハナイグチから甘く極上の出汁が出ます。あとは鰹と昆布出汁に本味醂と醤油だけ。天然キノコで、秋の里山の滋味を堪能。キノコの胞子が雨を生むという説があります。いずれキノコの記事の時に記します。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 インタープリターやインストラクターのお申込みもお待ちしています。シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。
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ツル性のトリカブトを冠着山(姨捨山)と聖山で発見。絶滅危惧種のハナカズラが信州に?(妻女山里山通信)

2023-10-06 | アウトドア・ネイチャーフォト
 ひとつ前のアサギマダラの記事で、ツル性のトリカブトを載せました。環境省のレッドデータブックー日本の絶滅危惧種で、絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されている離弁花類キンポウゲ科の猛毒の植物です。学名はAconitum ciliare。国内では九州の一部だけに極稀に自生するとされています。それが信州の山に自生しているのです。牧野植物園では、九州、朝鮮半島、中国東北部、ロシア沿岸地域に分布とあります。発見した冠着山(姨捨山)と聖山は何度も登っているので開花時期の9月の写真をすべてチェックしてみました。以下はその記録です。見られた標高は、1100〜1400mぐらいです。

■2011年9月27日【冠着山】
 山頂の北面のトリカブト。急斜面から横に長くツルが伸びています。

 コバルトブルーの青く美しい花。9月下旬なので結実しているものもありました。

 樹木がない開けた斜面に群生地があります。結実しているものもたくさん見られます。茎は長いもので2mぐらいです。上の2つのカットと同じ場所なのですが、直立性で斜めに倒れているものと。明らかにツル性と分かるものがあります。ここは北面巻き道ですがほとんど廃道となり崩れていて危険です。

■2014年9月15日【聖山】
 聖山で。15日だとまだつぼみも見られました。

 聖山の標高1300mぐらいの尾根道。

■2017年9月16日【聖山】
 ツル性とよく分かるカットだと思います。根は林の縁にあり、光を求めて伸びてきたということでしょう。直立した後に横に伸びていることから、イヤリトリカブトでしょうか。*大町の居谷里湿原で発見された種。

 聖山山頂直下からの北アルプスの仁科三山。双耳峰の鹿島槍ヶ岳。

■2020年9月5日【冠着山】
 山頂近くの冠着権現の石の祠の脇に咲くトリカブト。ツルは長いものは2mぐらいあり地面をはって横に伸びています。咲き始めなので花の色がやや薄い。つぼみもたくさん見られます。短いものは直立しています。突風で倒れたものではありません。根本も折れていません。新種のツル性トリカブトかも知れません。

 鳥居平からのコースの山頂下にある北アルプス展望所。右にアンテナのある聖山が見えます。近いので植生は似ていますが、冠着山には山梨やヤマボウシがありますが、聖山には見られません。

■2021年9月23日【聖山】
 このツルは非常に太く長く2m50cm以上あったと思います。トリカブトのツルが絡みついているのは山葡萄のツルです。

 鳥兜は舞楽で使用する伶人の冠に似ていることからつけられた名前です。全草が猛毒なので素手で触るのも厳禁です。

 ハナアブが吸蜜。毒は大丈夫なのでしょうか。大丈夫だから吸蜜しているのでしょうけど。猛毒のキノコを食べる昆虫もいますし自然のメカニズムは不思議です。

 聖山から下って眼下に聖湖。向かいの三峯山にはないでしょうか。来年は調査しないといけませんね。右後方に見えているのが冠着山です。聖湖対岸から一本松峠経由で冠着山登山口の鳥居平へ行くことができます。

■2023年9月26日【聖山】
 2021年と同じ場所ですが、夏が猛暑で少雨だったので細いツルが数本あるだけでした。右の花は残花になり結実しています。その下にはだれかに食べられた様な痕跡が。

 結実して葉が枯れ始めているものが多く見られました。花の見頃は、9月10〜20日ごろだと思います。

 2011年に発見して絶滅危惧種と知ったのが今年ですが、絶滅危惧種に指定されたのが2020年なのです。今回ツル性のトリカブトの希少性を知り、北海道以外で本州では上田の半過岩鼻にしか自生しないモイワナズナの例があるので、もしかしたらこれもと思い色々調べてみました。来年はもう少し調査の範囲を広げてみようと思います。私のブログはgooブログ300万以上ある中で常にアクセスランキング1000〜2000番にいます。でも最もアクセスが多いのはBABYMETALやハロプロや80年代ポップスの記事ですが。でもネイチャーフォトの記事もかなり人気があります。私が里山観察で最も重要視しているのは、蝶とかある種の昆虫とかに特化するのではなく、樹木から山野草、哺乳類から昆虫、蜘蛛、鳥類、藍藻類、菌類、粘菌、地質、歴史までと総体で里山を観るということを最重要視していることです。それで里山の全体像が浮かび上がって来るのです。特に日本の里山で妻女山の陣場平にしかない貝母(編笠百合)の記事には毎年凄いアクセスがあります。4月のアーカイブをご覧ください。

●聖山は、長野県の長野市、千曲市、東筑摩郡麻績村の境に位置する山で、標高は1447メートル。
●冠着山(かむりきやま)は、長野県千曲市と東筑摩郡筑北村にまたがる標高 1,252メートルの山。別名は姨捨山(おばすてやま)。両山とも拙書に載せています。

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大海を渡り2500キロ旅するアサギマダラ。アキノキリンソウ、ハナカズラ!?、シシウド、サラシナショウマ、ウバユリ(妻女山里山通信)

2023-09-26 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山の陣場平へ登ったらマルバフジバカマで数頭のアサギマダラが吸蜜していました。忘れていました。そうだ聖高原へ行かなければと翌日向かいました。天候はあいにく曇り空。しかし、これを逃すとフジバカマは散ってアサギマダラは飛び去ってしまいます。

 曇り空で撮影条件はよくありませんが、ほぼ無風なのが救いです。早速フジバカマで吸蜜するメスを撮影。アサギマダラ(浅葱斑)は、チョウ目タテハチョウ科マダラチョウ亜科の蝶です。成虫は、春から夏にかけて南から北へ移動し、移動先で世代を重ねた後、秋になると南へ海を渡って移動します。数千キロもの移動をするため、全国でマーキングをして調査をしています。アニメ『鬼滅の刃』にも登場して話題になりましたが、植物学者牧野富太郎をモデルにした朝ドラの『らんまん』のオープニングにも出てきますね。

 吸蜜するメス。アサギマダラはガガイモ科キジョラン属の常緑のつる植物のキジョラン(鬼女蘭)に卵を産み付け、幼虫は越冬します。ただガガイモは信州の里山にもあるのですが、キジョランの北限は東京なので、これらのメスはまもなく南下して産卵するのでしょう。6月に飛来したメスが長野県内で産卵しているのが確認されたそうですが。産み付けられた植物はおそらく新芽が山菜のイケマ(牛皮消)でしょう。その卵は夏には羽化して産卵し、その子供達が晩秋に南下するのでしょう。では秋に産卵して育った個体は? どうも雪のない西日本に南下し産卵して一生を終える様です。

 上のメスを捕まえて撮影。お腹の膨らみから卵を持っているか見ました。この膨らみからすると卵を抱えていますね。マーキングの際もこんな風に捕まえますが、傷つけない様にコツが必要です。撮影後は放します。

 この個体は、後翅下部に黒斑があるのでオスです。これは性標で、メスにはありません。オスはこの性標に性フェロモンを蓄えていて、尾部のヘアペンシルをここにこすりつけて、性フェロモンを移しとります。

 オスのアップ。アサギマダラと言われるのは翅の白い部分が浅葱色を帯びているからです。黒から茶色にかけてのコントラストが綺麗です。前翅の中程は半透明で透けて向こうの景色が見えるものも。個体差があります。

 吸蜜する2頭のオス。浅葱色(あさぎいろ)というのは、薄い葱の色という意味で、日本の伝統色の名前です。翡翠色、江戸紫、群青色、銀鼠などは聞いたことがあると思いますが、瓶覗とか高麗納戸、甚三紅とかは聞いたことがないと思います。日本の伝統色にもっと興味を持っていただけると嬉しいです。

 メスのアサギマダラ。アサギマダラは暑さに弱く北上し、寒さを避けるために南下するといわれています。それぞれの移動先で産卵し成虫は死ぬので、南下と北上の個体はまったく別のものといわれています。真夏に四阿山のカルデラの中の浦倉山から下った渓流で大きな群れを見たことがあります。

 そのクローズアップ。草間彌生の水玉模様の様な胸部が可愛い。この浅葱色の部分は構造色です。この部分の鱗粉は、開かずに縮んだままで細長い形です。

 フジバカマで吸蜜するのはアサギマダラだけではありません。これはキタテハ(黄立羽)。幼虫はカラムシなどのイラクサ科の葉を食べます。

 おそらくこれもキタテハだと思います。いや違いますね。これはヒョウモンチョウの仲間です。種類までは同定できません。フジバカマ(藤袴)は、キク科ヒヨドリバナ属の多年生植物。「秋の七草」の一つで、万葉の時代から人々に親しまれてきた植物です。
「萩の花 尾花葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 あさがほの花」 山上憶良(巻8-1538)
 萩の花、ススキ、葛、ナデシコ、オミナエシ、そしてフジバカマとキキョウの花と秋の花を並べています。咲く花の情景を思い浮かべると秋の趣が感じられます。

 ホソヒラタアブのオスも来ていました。体長は9〜11ミリ。小さいです。撮影は大変です。幼虫はアブラムシを食べます。

 吸蜜に訪れる小さな昆虫を捕らえに来たアキアカネ。ナツアカネとの見分けは胸部の黒い模様ですが、尖っているのでアキアカネとしました。今年は赤トンボの発生が少ない様に思いました。小雨が降り始めたので帰ります。

 前回の茶臼山自然植物園の記事でソリダゴファイヤーワークスがアキノキリンソウの仲間と紹介しましたが。これがアキノキリンソウです。

 薄紫のノコンギ(野紺菊)の脇にシラヤマギク(白山菊)の群生がありました。これにユウガギク、ヨメナ、ゴマナとかあるので、秋の野菊の同定は大変です。『らんまん』のオープニングには薄紫の野紺菊も出てきます。

 センニンソウ(仙人草)かボタンヅル(牡丹蔓)の花後の実。葉に鋸歯縁が無いのでセンニンソウでしょう。どちらも毒草です。センニンソウは山野草の中ではトップクラスのいい匂いがします。花はブライダルブーケの様に清楚で豪華ですが、茎や葉の汁は皮膚炎を起こすので要注意です。

 久しぶりに見ました。ツル性植物のトリカブトでハナカズラ(花葛)といいます。牧野植物園では、九州、朝鮮半島、中国東北部、ロシア沿岸地域に分布とあり、絶滅危惧IB類なんですが。信州にあるんですけど。大発見ですかこれ。環境省でも九州にしかないと。でもあるんですけど。どうしましょ。ただ朝鮮半島にあるなら信州にあっても変ではないですよね。右上の花は結実しています。見頃は20日頃でした。その下は花がありません。こんな毒草を食べる動物がいるのでしょうか。妻女山陣場平の貝母も薬草で毒草ですが、ニホンカモシカは花を食べることがあります。トリカブトは猛毒です。山菜のニリンソウと似ていて誤って食べると死に至ります。素手で触るのも避けなければいけません。

 シシウド(猪独活)でしょうか。すぐ近くにある2m以上のシシウドは花後ですでに立ち枯れし始めています。これは高さ50センチぐらい。シシウド属の別種なのかまだ小さいのか。ノダケ、シラネセンキュウ、ウバタケニンジン、イワニンジンとかありますが、分かりません。

 サラシナショウマ(晒菜升麻)で吸蜜するクロヒラタアブ。

 今年は山栗が不作です。猛暑と少雨が原因です。松茸も不作だそうですが、森に入っても食菌はおろか毒キノコさえありません。先週かなりの豪雨があったのですが出ません。地温が高すぎるのです。松茸、ショウゲンジ、ウラベニホテイシメジ、ホンシメジ、天然舞茸は不作でしょう。10月下旬に雨が続けばハナイグチ、クリタケ、ムキタケ、ムラサキシメジは出るかも。

 ウバユリ(姥百合)が結実しています。枯れると割れてプレパラートの様な薄い膜のついた種を大量にばら撒きます。真夏に咲くラッパ状のユリの花は美しい。オオウバユリは高さ2mぐらいになります。

 小雨に煙る三峯山(1131.4m)。眼下にへらぶな釣りで有名な聖湖。小さなスキー場とスライダーがあります。麓には蒸気機関車やジェット機も展示されています。右奥は冠着山(姨捨山)。

 千曲川展望台から眼下に姨捨の棚田。稲刈りはこれからのところと終わったところも。千曲川の向こうに五一山脈。その向こうには私のホームフィールドの妻女山、斎場山から鞍骨山、鏡台山へと続く戸神山脈。
 今回は聖山へは登りませんでしたが、拙書でも紹介しこのブログでも何度も記事にしています。北アルプスから中央アルプス、美ヶ原、八ヶ岳連峰、志賀高原の山々に戸隠連峰と360度の大展望が魅力。県外からもハイカーがたくさん訪れる本当にいい山です。

●2021年9月23日に撮影した「ハナカズラ(花葛)」に似ているツル性のトリカブトです。今回と同じ場所です。こちらの方がツル植物ということがはっきりと分かると思います。山葡萄のツルにからみついています。

●拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林の冠着山(姨捨山)のページにトリカブトの写真があるのを思い出しました。見るとどうもツル性のトリカブトらしいということで、写真データを探すと4枚ありました・2011年9月27日の冠着山です。場所はほとんど人が通ることのない北面巻き道で、ほぼ廃道になっています。山頂付近にもツル性のトリカブトがあります。冠着山や聖山、聖高原以外にも探すとツル性のトリカブトはあちこちにあるのかも知れません。探してみようと思います。

■2500キロ海を渡り旅する蝶、アサギマダラ


あいみょん – 愛の花【ACOUSTIC MUSIC VIDEO】 :あいみょんのアコースティックギターが心に響きます。

 昔、神田の古書店で『牧野植物図鑑』と『原色牧野植物大図鑑』を見つけて欲しいと思ったけどあまりに高額で諦めた思い出。今回古本の縮刷版を買いました。私もアートディレクターやデザインプロデューサー時代は仕事大好き人間で2度ほど死に損なったことがありますが、彼の仕事量は比べ物になりません。しかもアナログで全て手作業。交通の便も良くないのに日本中を飛び回り。想像を絶します。そして、そんな彼を支えた妻・壽衛さん。史実はドラマとは違いもっと過酷だった様ですが、彼女がいなければこの歴史に残る偉業はなし得なかったでしょう。
「家守りし 妻の恵みや わが学び」
「世の中の あらん限りや スエコ笹」


『原色牧野日本植物図鑑』北隆館が届きました。定価は4800円ですが新古本で3000円で買えました。さらに2、3とありますがとりあえず1を。コンパクト版なので携帯できます。大型本だと中古でも45000円はするので、昔、神田の古書店で見つけて諦めたことがあります。雨などで山に行けない日などに読むのもいいと思います。ただ植物の同定には使いません。近年,植物の分類体系が「新エングラー体系」や「クロンキスト分類体系」などから「APG 分類体系」とよばれる別のシステムに変わりつつあるのです。よって今まで形象学的に分類されていたものがAPG 分類体系によって、エッ!これがこれの仲間?ということがたくさん起きています。興味ある方は調べてみてください。
 朝ドラ「らんまん」で牧野富太郎が一般の人にも知られましたが、実際は二重婚で酒蔵の実家の金を絞り出して倒産させたり、お手伝いに手を出し、金が無いのに遊郭三昧とクズ男の見本。まあ妻の壽衛さんありきです。彼女がいなかったら稀代の植物学者牧野富太郎は間違いなく生まれなかった。

APG 分類体系と植物の進化 横浜国立大学教育学部 倉田 薫子:難解ですが、図版も豊富でじっくり読むといいでしょう。山野草好きにはおすすめです。APG 分類体系で、なんでこれがこれの仲間なの!?って思った方も少なくないと思います。

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ハンミョウに会いに茶臼山へ。自然植物園では珍しいホウジャクと邂逅。外来種の植物のオンパレード(妻女山里山通信)

2023-09-16 | アウトドア・ネイチャーフォト
 2週間ぶりにハンミョウに会いに茶臼山へ。前回は穴から出てきたばかりでたくさんいたのですが、今回は森の中に散ってしまった様で、4匹ぐらいしかいませんでした。代わりにクロメマトイが大量に発生していて鬱陶しいこと。結局15分ぐらいで退散しました。そして茶臼山自然植物園へ。

 ハンミョウ(斑猫)はナミハンミョウともいい、コウチュウ目オサムシ科のハンミョウ科の甲虫。アリとか小さな昆虫が餌ですが、まだ捕食シーンを見たことがないのでいつか見てみたいと思います。

 成虫の天敵は肉食の昆虫(ムシヒキアブ類、ジョウカイボン類、徘徊性クモ類)や鳥ですが、ハンミョウが食べられているところも目撃したことはありません。

 かなり鋭い牙なので不用意に掴むと痛い目にあいます。ハンミョウの生態については、前の記事をご覧ください。クロメマトイがあまりに煩いので自然植物園へ向かいました。

 花を撮影しようとしたら突然ホウジャクが吸蜜に訪れました。慌てて撮影。もう少しいいカットを撮りたかったのですが突然のことで。すぐに何処かへ飛び去ってしまいました。残念。ホウジャクはスズメガ科の蛾の一種です。長い口吻でホバリングしながら吸蜜します。

 ホウジャクが吸蜜していた花は、トリコステマ・ラナタム。南カリフォルニアとメキシコに自生する芳香性の植物です。

 クマバチ(キムネクマバチ)も何匹も訪れています。黄色い花粉がたくさん付いています。トリコステマ・ラナタムの花粉でしょう。クマバチはハナバチの仲間でオスには針がなく刺されることはありません。クマバチ(クマンバチ)は強靭な顎を持っていて枯れ木に穴を開けて巣を作ります。そこへ蜜と花粉の団子を運んで子育てをします。

 ガウラ。アカバナ科の多年草です。和名をハクチョウソウ(白蝶草)といいます。北アメリカ、メキシコ原産。

 ツマグロヒョウモンのオスがたくさん舞っていました。縄張りを維持するために占有行動をとることが知られています。

 激しい戦いの跡でしょうか、翅がボロボロです。

 ハナツクバネウツギ(花衝羽根空木)。スイカズラ科ツクバネウツギ属の園芸品種です。別名は、アベリア、ハナゾノツクバネウツギ。

 親子で昆虫採取。男の子はツマグロヒョウモンのメスを捕まえました。しばらく観察した後で放してあげました。ハンミョウの写真を見せたらすぐに「ハンミョウだ!」と。昆虫好きの様です。

 ヘリアンサスの仲間。別名は宿根ヒマワリ。原産地は北アメリカ。2m以上の大きなものもありました。

 ルリマツリ。イソマツ科ルリマツリ属(プルンバゴ属)の常緑性低木です。原産地は南アフリカ。熱帯性の花木のため、暑さには強い様です。

 ソリダゴファイヤーワークス。キク科の宿根草(耐寒性多年草)です。日本に自生するアキノキリンソウの仲間。名前の通り花火の様に咲き乱れます。

 ソリダゴファイヤーワークスのアップ。

 植物園から望む松代方面。中央に奇妙山。その奥に根子岳と四阿山。右手前にプリン型の皆神山が見えます。最高気温は32度。9月半ばとは思えないほどの暑さでした。帰りに茶臼山動物園の横を通ったのですが大人気ですね。県外ナンバーの車にもたくさんすれ違いました。

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ヤマトシジミ(大和小灰蝶)が大発生。特定外来生物のアカボシゴマダラ。クズの花にウラギンシジミの幼虫。ザトウムシ(妻女山里山通信)

2023-09-09 | アウトドア・ネイチャーフォト
 久しぶりに妻女山山系へ。7月30日以来です。この猛暑で樹液バーにはなにもいませんでした。かわりにアブとクロメマトイが大発生。では昆虫たちはどこへ行ったかというと、谷筋の渓流沿いや貯水池や沼などの周辺です。ツバメも里にはいませんでした。高原に行くとたくさん見られます。昆虫の中にも標高の高い山へ移動したものがいるはずです。最高気温はまだ30度を少し超えますが、最低気温は20度を下回る日も出てきました。

 ある開けた場所でヤマトシジミ(大和小灰蝶)が大発生していました。ノボロギク(野襤褸菊)で吸蜜しています。ノボロギクは、明治初期に渡来した欧州原産の帰化植物で、野に咲くサワギクの意味です。毒草です。ヤマトシジミの複眼には瞳の様なものが見えますが、これは偽瞳孔です。

 ヤマトシジミのメス。オスは淡い青紫色をしています。

 カントウヨメナ(関東嫁菜)で花粉を食べるコアオハナムグリ。似ているノコンギクやユウガギクはまだ咲きだしていません。野菊は他にもヨメナ、シラヤマギク、ノジギク、ゴマナなどあり同定はなかなか困難です。

 コムラサキ(小紫)の緑の実が紫に染まり始めました。ムラサキシキブ(紫式部)より実は小さいのですが、数がたくさんなります。我が家の庭にもあるのですが鳥は食べに来ません。有毒ではないのですが、食べると無味に近く美味しくありません。でも庭にあるということは、何かの鳥が山から運んできたということでしょうね。誰でしょう。

 ツユクサ(露草、鴨跖草、鴨跖)。ツユクサ科ツユクサ属の一年草。朝咲いて午後にはしぼんでしまう半日花です。おひたしなどで食べられます。水で色落ちするので友禅の下絵に使われます。
 万葉集には9首詠まれています。儚い命や移ろいやすい心の例えに使われた様です。
「月草の うつろひやすく 思へかも 我が思ふ人の 言も告げ来ぬ」大伴坂上大嬢
「月草に  衣色どり 摺らめども うつろふ色と 言ふが苦しさ」詠人知らず


 堂平大塚古墳に寄ってみました。大事な山仲間だったKさんが亡くなってもう10年。彼の友人達も高齢になって手入れが行き届かなくなりました。

 陣場平へ。クロメマトイの大群に襲われました。そこら中にいます。貝母は枯れて倒れた茎だけが少し残っています。ミンミンゼミが鳴いています。あちこちにジョロウグモの巣があります。貝母(編笠百合)の里山での群生地は日本でここだけです。見頃は4月10日から20日頃。カスミザクラ、ヤマザクラ、オオヤマザクラなどが咲いてさながら桃源郷。妻女山駐車場から登って30分ぐらい。県外からもたくさん訪れます。満開の様子は去年以前の4月のアーカイブを御覧ください。

 乱れ咲くミズヒキの花。水引は、信州飯田の伝統工芸で、全国の70%を生産しています。秋を知らせる代表的な花のひとつです。

 ミズヒキ(水引)。タデ科イヌタデ属の多年草。あまりに花が小さくてかなりアップにしないと分かりません。まだつぼみですが、開くと紅白の4つの花びら(萼)に。おめでたい花なんですが、なぜか万葉集や和歌には詠われていません。

 入り口に設置したベンチにザトウムシ。節足動物門鋏角亜門クモ綱ザトウムシ目で日本には80種類ぐらいいます。アメリカでは足長伯父さん(Daddy Longlegs)と呼ばれています。「千と千尋の神隠し」の釜爺(かまじい)のモデルであり、また「新世紀エヴァンゲリオン」のマトリエルのモデルとなっています。8本足なんですが3本ほど欠損しています。

 クサギ(臭木)の実。染色に使えるそうです。

 イチモンジチョウ(一文字蝶)。 幼虫はウツギ・スイカズラなどの葉を食べます。

 コミスジ(小三條)。羽ばたきと滑空を繰り返し軽やかに舞うチョウ。幼虫の食草はクズ、フジ、ハギ、ニセアカシアなどのマメ科植物。冬は3齢幼虫で越冬します。人の気配に敏感です。

 サンショウ(山椒)の実が色づいてきました。

 今年はシナノガキ(信濃柿・豆柿)が豊作の様です。鈴生りになっていました。この青い実を水に浸けておくと柿渋ができます。柿渋は平安時代から使われていたそうで、防虫剤や民間薬、染料として使われました。我が家では昔、虫除けのために畳の下に染み込ませた厚い和紙を敷いていました。買うと結構いいお値段がします。

 イヌザンショウ(犬山椒)の実。山椒と違っていい香りがしないので食用にはなりません。

 センニンソウ(仙人草)が満開です。今回の目的の花なんですが樹冠に咲いていてアップで撮影できません。センニンソウは、キンポウゲ科センニンソウ属に分類されるつる性の半低木(木質の多年草)。ただ、茎や葉の切断面から出る汁や濡れた花粉に触れると炎症を起す有毒植物なので、要注意です。別名は、ウマノハオトシ(馬の歯落とし)、ウマノハコボレ(馬歯欠)、ウシクワズ(牛食わず)、ハコボレ(歯欠)、ハグサ(歯草)など。毒草ゆえの名前なのでしょう。

 特定外来生物のアカボシゴマダラ。国立環境研究所のサイトによると、「“放蝶ゲリラ”による人為的な放蝶によると考えられている。」とあります。タテハチョウ科は、植物防疫法で検疫有害動物に指定されています。ゴマダラチョウやオオムラサキと競合するので、それらの減少を招く危険性があります。

 ヨウシュヤマゴボウ(マルミノヤマゴボウ)。有毒です。繁殖力がもの凄く、妻女山では林道脇に繁茂し、在来植物を淘汰しています。オオブタクサ、セイタカアワダチソウと共に駆除すべき植物です。

 クズ(葛)の花に何かの幼虫がいました。ウラギンシジミの幼虫の様です。刺激すると触覚から花火の様なフラッシュブラシを出すそうです。触覚のある方がお尻です。

 枯れ木にシュタケ(朱茸)ヒダナシタケ目サルノコシカケ科でしょうか。けっこう肉厚です。もちろん食べられません。

 妻女山展望台裏手の四阿から望む茶臼山。右奥は虫倉山。両山とも拙書で紹介しています。北アルプスは雲の向こうです。

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『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。地形図掲載は本書だけ。立ち寄り温泉も。詳細は、
『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

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七色のハンミョウを求めて猛暑の茶臼山山系へ。ヨメナで吸蜜するベニシジミ。ワレモコウ、ゲンノショウコ、クマノミズキの実で初秋の趣(妻女山里山通信)

2023-09-04 | アウトドア・ネイチャーフォト
 ブルービー(ナミルリモンハナバチ)は、ノアザミが咲き終わったのでいません。そろそろハンミョウの羽化のシーズンなので生息地へ。湿った南風が入って森は酷い蒸し暑さでした。ただ千曲川の堤防上にはアキアカネの大群が舞っていました。茶臼山では桜やクヌギの紅葉が始まりました。耐え難いほど蒸し暑い日でしたが、小さな秋はあちこちに見られました。ただ10月まで気温は高めとか。9月に入っても30度以上が続きそう。今年のキノコは難しいかも知れません。たとえ雨が降っても地温が高ければ秋のキノコは出ないからです。ただ好気性の松茸はそこそこ出るかも知れません。

 ハンミョウ(斑猫)はナミハンミョウともいい、コウチュウ目オサムシ科のハンミョウ科の甲虫です。動作は機敏で、アリや蛾などの小型の昆虫を捕らえて食べます。幼虫は1年から2年の期間を過ごし、夏の終りに羽化します。周囲には羽化したばかりと思われる成虫が20〜30匹ぐらいいました。冬は土中で集団越冬します。そして、翌春に交尾産卵をします。

 大きな複眼とメタリックで鋭い大顎が目を引きます。飛び出た複眼で後方も見えるのでしょう。後ろからそっと近づいてもサッと逃げます。複眼でどういう景色を見ているかは実は確実には分かっていません。おそらく脳でひとつにまとめて魚眼レンズで見るような景色だろうとか、色はどこまで識別できているのかとか想像の世界で、当事者でないと分かり得ないことです。

 ハンミョウの幼虫も大きな顎を持ち、穴の中に隠れて獲物を襲い体液を吸います。食べ終えた昆虫は巣の外に捨てます。それをアリや他の昆虫が食べます。ハンミョウの天敵は、幼虫の初期の頃はホソツヤアリバチで、ハンミョウの幼虫に針を指して麻痺させ卵を産み付けます。やがてハチの幼虫の餌になります。成虫の天敵は肉食の昆虫(ムシヒキアブ類、ジョウカイボン類、徘徊性クモ類)や鳥ですが、この七色の体も目をくらます効果があるといわれています。

 近づくとすぐに逃げて1mぐらい先に止まります。これを繰り返すので「道教え」とか「道しるべ」とかいわれますが、撮影しようとすると逃げまくるので非常に厄介な被写体です。撮影が難しい昆虫のベストテンには必ず入るでしょう。ハンミョウの仲間には、ヒメツチハンミョウの様に猛毒を持つものがあるので絶対に触ってはいけません。

 ヨメナ(嫁菜)で吸蜜するベニシジミ(紅小灰蝶)。幼虫の食草は、タデ科のスイバやギシギシなど。翅に構造色を持っている為、角度によって銅のような金属光沢を放つ事があります。夏型(6〜9月)は春型(3〜5月)に比べて翅の表の色が黒くなります。

 久しぶりに棚田の一番上まで行ってみました。遠く拙書でも紹介の虫倉山が見えます。2014年(平成26年)11月22日22時8分ごろ発生した神城断層地震で山頂は4割が崩壊。さらにクラックが入っています。山頂直下に崩れた跡が見えます。棚田の稲は例年より早く黄金色になっています。帰りにひとつ稲刈りしてはぜかけしてある田んぼがあって驚きました。

 ワレモコウ(吾亦紅、吾木香、吾妹紅)バラ科ワレモコウ属。別名には酸赭、山棗参、黄瓜香、豬人參、血箭草、馬軟棗、山紅棗根などたくさんあります。上から咲き始めています。ミズヒキやキンミズヒキと共に、古代より愛された初秋を感じさせる植物です。
「老いを忘るる菊に、おとろへゆく藤袴、ものげなきわれもこうなどは・・・」源氏物語 42『匂宮(匂兵部卿)『吾亦紅・ワレモコウ』。
(匂宮は不老の菊、衰えてゆく藤袴、見ばえのせぬ吾木香(ワレモコウ)などという香のあるものを霜枯れの頃まで愛し続ける様な風流をしておいでになる方であった)
「吾も亦 紅なりと ひそやかに」 高浜虚子

 ゲンノショウコ(現の証拠)フウロソウ科フウロソウ属。胃腸、下痢便秘の薬草として有名です。センブリ、ドクダミなどとともに日本の民間薬の代表的なもの。

 アオイトトンボ(青糸蜻蛉)。茶臼山は棚田や溜池が多いので色々なトンボが生息します。オオアオイトトンボ、モノサシトンボ、オツネントンボも見られます。

 アキアカネ(秋茜)。真っ赤なナツアカネ(夏茜)もいました。他にはオニヤンマにシオカラトンボなども。

 クマノミズキ(熊野水木)の花序の枝は緑の実をつけてピンク色になっています。秋が深まると実は紫色から黒紫に。枝もサンゴのような鮮やかな朱色になります。蒸し暑さとクロメマトイの襲来でバテバテです。帰りに温泉に入って生き返りました。

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幸せを呼ぶ青い蜂ブルービー再び。ツクツクボウシ、ムギワラトンボ、ノシメトンボ、ジャノメチョウ。信州の里山の風景(妻女山里山通信)

2023-08-19 | アウトドア・ネイチャーフォト
 二つの台風の襲来で、猛暑なのに天候に恵まれず、約2週間ぶりの撮影に茶臼山山系へ。気温は28度でしたが前日に豪雨があったのでもの凄い湿気です。加えてアブにしつこく付き纏われ、なかなか厳しい撮影となりました。撮影時間は1時間が限度でした。その間に撮影チャンスはたった2回。

 ノアザミで吸蜜するブルービー(Blue Bee)。正式にはナミルリモンハナバチ(波瑠璃紋花蜂)。ハチ目ミツバチ科の昆虫です。全国的に減少傾向で、県によって絶滅危惧Ⅰ類、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種に指定されています。長野県では準絶滅危惧種。

 今年はノアザミが早く咲いてしまったので、ほとんどが既に種になっています。今回も咲いていたのは4つだけ。それも離れているので全部を観察するのは無理。そこで、ここに来るだろうという一輪を決めて観察。すると予想通り来ました。

 ナミルリモンハナバチは、コシブトハナバチ類(スジボソフトハナバチ)やケブカハナバチ類の巣に寄生(労働寄生)し、幼虫は巣に貯えられた花粉などを横取りして育つという珍しい生態をしています。寄生のために卵の数が制限されることも数が増えない理由の様です。

 ぶれたカットですが長い舌がはっきりと分かるので載せました。ニホンミツバチ、セイヨウミツバチも同じ様な長い舌を持っています。舌は蝶の口吻の様な円筒形の筒状ではなく、もっと複雑な構造をしています。「ミツバチの体」で検索を。動画は3つ前の記事の最下部とInstagramで見られます。

 足元にいたツクツクボウシ。ミンミンゼミと共に晩夏を象徴するセミです。周りでアブラゼミ、ミンミンゼミと共にたくさん鳴いています。以前ブログでアップしましたが、朝早く森を歩くと夜に羽化したセミを拾って歩くことができます。そういう森を知っていないとできませんが。

 ムギワラトンボ(麦藁蜻蛉)・シオカラトンボのメスと思ったのですが、腹部の第8節が横に膨らんでいないのと複眼が青いのでオスの未熟でしょうか。
。です。来る途中の千曲川の堤防上には無数のアキアカネの未熟が舞っていました。1000m以上の高原にいたものが下りてきたのです。猛暑ですが確実に秋は近づいています。

 キンミズヒキ(金水引)があちこちで咲いています。バラ科キンミズヒキ属の多年草。これもミズヒキと共に秋を感じさせる花です。止血、止瀉、消炎、強壮の薬草です。

 イチモンジセセリ(一文字挵)。幼虫の食草は、イネ科、カヤツリグサ科の葉。成虫はアザミ、キクやハギ類で吸蜜します。

 ノアザミ(野薊)で吸蜜中。

 ジャノメチョウ(蛇目蝶)も吸蜜中。人の気配に敏感なのでお食事中とかでないと撮影は難しい。周りには何頭も舞っていて縄張り争いをしています。

 ノシメトンボ(熨斗目蜻蛉)。熨斗目(のしめ)は、江戸時代に、武士が小袖の生地として用いた絹織物のこと。赤ん坊のお宮参りの着物。熨斗目蜻蛉は、腹部の黒い斑紋が熨斗目模様に似ていることが名前の由来とか。アキアカネと似ていますが、翅の先端が褐色なので見分けがつきます。

 麓は35度ぐらいでしょうか。ここは29度。下から吹き上げる風が快適です。左は五里ヶ峯。中央の中腹に森将軍塚古墳。麓にある古墳館は必見です。右奥遠くには雲に隠れた蓼科山。

 かなり汗をかいたので温泉へ。田んぼの向こうには、さっきまでいた茶臼山山系。その奥は陣場平山から富士ノ塔山への峰。右奥は戸隠富士と呼ばれる高妻山。

 帰りに妻女山の陣場平へ久しぶりに登ってみました。やはり何もいない樹液バー。しかし、大量のアブがいて車外に出られません。クロメマトイも凄い。カブトムシやオオムラサキ、アオカナブンやミヤマカミキリ、オオスズメバチもまったく見られません。昨年に続き異常な状態が今年も。関東で業者などが大量に捕獲するためにライトトラップや手作り樹液をしたり樹木を傷つけることがニュースになっていましたが言語道断。私も樹に傷をつけますが、これは昆虫の餌を確保するため。薪を取るような木山をしなくなったため、自然のままでは樹液が足りず多くの昆虫が餓死してしまうのです。そのため樹に傷をつけ樹液が出る様にしています。捕獲のためではありません。

 陣場平の入り口へ。ここも大量のアブがウィンドウに体当たりしてきます。陣場平の様子を見たかったのですが出られません。こんなことは初めてです。昆虫の激減が猛暑が原因かは分かりません。4月の度重なる遅霜も原因かも知れません。いずれにせよ帰るしかありません。現在、妻女山展望台を修理中なので暫くの間登れません。

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