球形ダイスの目

90%の空想と10%の事実

苦しくない日々は辛くもある

2007-01-15 | たぶん難解な話
※事実をもとにしていないフィクション。


"そんなに甘えたいんだったら、すごい年下の人を奥さんにしたら。"
"あなたがそんなのでキレてたら、私は何回キレればいいのよ!?"
しらねぇよ、そんなこと…

まったくどいつもこいつもなんてザマだ、一体俺が何をしたっていうんだ。
親に似た息子。

一郎は親の過度な期待をそれ以上に過度に感じ、部屋の中ではいつも一人で震えていた。俺はそのことを知っている。
三郎は、おそろしくマイペース(←これを『遅い』という意味で使う用法)な奴で、
いっつも皆にグズだののろまだの言われていた。いっつもぐずついているように見えたけど、
本当に泣くのは、誰かが助け舟を出すときなんだ。そうだよな。
そんなときアイツは、"優しい言葉をかけるな"と思っていたかどうか、俺にはよくわからない。
でも、本当はみんなをぶっとばしたかったんだろうな。誰にも意志なんかありゃしねぇよ…
本当にやったら、俺みたいになってしまうけどね。

さて、俺の名前はさておき、俺は親から特別な期待を受けることもなく、
かといって三郎のように特別なあだ名を持ってすらいなかった。

でも、だからこそ家での居心地はうちの誰よりも悪かった。
どんなに求められても、子ども時代の自分を話すことができない、
本当に何もない毎日だったから…



コメント (2)
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