今度のヒト

2010-09-16 02:16:46 | 2輪

ZZR250とお別れする決心をしたのは今年に入ってから。

ZZRは通勤用に買ったようなもので、市営駐輪場に停めていていつ傷をつけられても悔しくない程度の中古。
ぎっくり腰の時も、虫垂炎疑いの時も、ほんの少しだけ前傾した楽々ポジションのおかげで乗る事ができるほどの良いコでした。

250ccのわりに大きくて取り回しは面倒、しかも購入した段階でワイヤ類はサビだらけ、あちこち動きが渋くなってて、実際は2輪初心者の牛がメンテナンスの大切さを学ぶのに最適だったというのが実情だったりして。
できる事は自分でなんとかして、できない部分は助けてくれるヒトにお願いしたり。
それでもこのままじゃ危ないなと思ったのは、ある日、大した速度じゃないのにリアが振られて、しかもそれが路面がちょっと濡れてるだけの直進時だったからだった。

それっきり遠出はしなくなって、近場で乗るにも恐る恐る。
風の中を行くのは心地よくて、エンジンが足元で働いてくれるのも嬉しかったけど、コーナーの一つ一つで後頭部あたりにぼんやりした不信感が常にあって、心から楽しめるような状態じゃなかった。
信頼関係はなくなってた。
それから間もなく、ZZRは実家の玄関の前でひとり暮らす牛母のための防犯バイクとしての日々を過ごすことになったのだった。

このまま乗らなくなるのは辛い。乗れなくなるのも辛い。
手放さなくちゃ。次のバイクはどうする?
いっそバイクじゃなくて他のものにしようか。
パラグライダーは今でもやりたいと思ってる。モーターパラならエンジンと一緒に空を飛べるのは魅力かも。

結局。

Fun Ride Garageに足を運んだその時も、牛は次のバイクを決めてたわけじゃなかった。
何かを選ぶ時決めるのはいつも自分自身と心に誓っていても、だからこそ迷い始めた牛の向かう先はなかなか定まらない。
こういう時にすべきことはわかってる。言葉にすること。

「ねぇ、私、何に乗ったらいいですか?」
「何に乗りたいの?」
「わかんない。乗りたいと思えるものが無くて。」
「限定解除したら幅が広がるよ」
「でも今、時間的な余裕は無いんですよねぇ。」
「たとえばコレとかコレとか…コレとか。」
「うーん…」

Fun Ride Garageの須藤さんは馴染みのヒトなので気後れせずにこんな話ができる。なじみの串焼屋でよくやる「お酒、どれ飲んだらいいと思う?」みたいで非常に乱暴ではあるけど(笑)
案の定、(彼自身全く意識してないだろうけど)牛に必要な「言葉にする」作業を上手に手伝ってくれた。
迷っていることを自覚すること。
今できることとできない事をはっきりさせること。
そして本当に心の中に何も無いのか、何があるのかを確認すること。
結局その会話の流れの中で何がきっかけだったのかは覚えていない。

「好きなバイクに乗るのが一番だよ。」
「…昔、憧れてたのはカタナだなぁ。一度、あるショップのヒトがカタナに跨らせてくれて、嬉しかったけどすごくポジションが辛くって、首悪いし、こりゃ乗れないなぁと思って諦めたの。」
「それ1100でしょ。あれはタンク長いから大変だよね。でも400だったらそうでもないよ。ほら、中古でだいたいこの位。」

思い出した。
BMWもドカティも憧れのバイクは排気量的に無理。
現実的に乗れるもので、牛が欲しいと思ってたバイクはカタナだった。
でも、乗れるの?

古い腐りかけバイクで苦労するのはモウ嫌、なんて言いつつ、程度の良いのを探して見つかったら連絡するよという話になってから、本当に連絡が来るまではすぐだった。
確実に診てくれる須藤さんの仕事ぶりはすぐ近くで見ていたから良く知ってる。彼の人柄も。
たぶん、他の店にふらりと立ち寄っても同じようには絶対にいかない。
誰にだってそうであるように、信頼できることが何よりも大切。

そうしてついに。

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ちょっと色黒だけどとても美しいヒト、「ハイパーさん(通称)」が牛の新しい相棒になりました。
ちょっと待ってよ、SUZUKIだよ。
SUZUKIとご縁があるとしたら、スイスポかSX4(もしくはカプチーノ…)だと思ってたのに!

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土日は残念ながら雨のせいで乗れなかったけど、須藤さんが連れてきてくれた「ハイパーさん」はやっぱりとても美しかった。
果たして乗りこなせるんだろうか。ずいぶんブランクがあるしすごく不安。

この間、エンジンの音を聞きながら思ったこと。
牛はどうして乗りたいのかな。
車もバイクも飛行機も。
特にバイクはそれほど大好きなわけじゃないと思ってたのに。
でも乗れなくなると思ったら、それは嫌だと思ったんだよね。

誰よりも速く、誰よりも先を行きたいヒトがいる。
牛はゆっくり走るから、いつも追い越されていく。
追い越してゆく彼らの後姿はとてもキレイで、やっぱり走りたくなっちゃうんだ。
牛はいつだって見ていたいんだもの。

エンジンに火が入って、液体が爆発する刹那が連鎖して、その動きが唸りになって、それぞれの音を奏でて回転運動になる。その先へ繋がるもろもろの間に魔法のほうに伝わって、タイヤは廻る、プロペラも廻る。車は走る、バイクは駆ける、飛行機は飛ぶ。そのスロットルを操る人たちの見つめる先に広がる景色がいったいどんなふうなのか。世界は、どんなふうに翳り、輝くのか。
たとえ牛は追いつけなくても、彼らの瞳に映るものの切れ端を探したい。探求するヒトたちの姿を見ていたい。

今まだ言葉にできない事もあるけど。
それでも、どこまでも続く道をたどれるように。


おとなしくしてました

2010-09-14 02:15:18 | 日記・エッセイ・コラム

ここ数日、電話で複数のヒトから言われた言葉…「今日は結婚式じゃないの?w」
…絡んでくれてありがとう(笑)これからも牛は牛らしく生きていこうと思った次第です。

さて、RallyJapan。終わっちゃった。
Day3スタート時点で首位に立っていたソルベルグをかわして勝ったのはオジェでした。
ソルベルグはステアリングにトラブルがあったそうで。それにしても風邪っぴきのわりにすごかったよね。
(決して風邪っぴきだから超っ速かったとかは言いたくないし言われたくない!)
でも2位ですよ2位。やったね!スバルからシトロエンに乗り換えても、ワークスのシートを失っても、応援せずにはいられないのですよ。

ところで、RallyJapan関連のイベントで見つけたのが「ライコネンとカートで勝負、Red Bull Raikkonen Challenge」というもの。
ショッピングモール内にコース作って元F1ドライバーのキミ ライコネンと競えるとかって…シトロエントタル、ジュニアのレッドブルのカラーリングには多少食傷気味なんだけど、レッドブルってホント面白い事しかしないですよねぇ。

あーあ。ホントに終わっちゃったんだな。
やっぱり行きたかったな。十勝開催だったら絶対行ってたと思う。
でもしょうがないよね。

…とかなんとか雨降りの土日、ヒコウキを見ずに比較的おとなしく過ごした週末。
なんとか「ぐるぐる欠乏症」の発作も起こさずにいるのはラリーウィーク、とりわけRallyJapanだったからに違いない。(ラリーの速報で大騒ぎはしてた。。。)
少し前に夏風邪をひいて治ったと思ったら、数年前に始まった謎の咳が再発気味なのが気になるけど。ゲホゲホ。

でもね。
もう一つ、おとなしくしていた理由があるんです。
だって、牛の大切なあのヒトがようやく来てくれる事になったんですもの。

あのヒトとかあのヒトではありません。
今度のヒトはね…むふふ。

牛、ついに銃刀法違反。待て次号(笑)


天然系ポジティブ派

2010-09-11 10:33:32 | 日記・エッセイ・コラム

ラリージャパンDay1はなんと!我らがペターソルベルグがトップに立って終えたようです!
やりやがったあの男!ああ、サービスパークで彼の走りを讃えたかった!
…と思ってたら実はすごく体調悪いんだって。ええぇ?!それでトップって。

でもPWRCではインプレッサを駆る新井選手が…速報のメールを受け取って「立ち木にクラッシュ、ロールオーバー、競技は一時中断」を読んだ瞬間泣きそうになったけど、クルーは無事ってことでホッ。
映像を見る限りではバンプで車体が大きくはねた後、姿勢の制御ができないまま木に突っ込んだみたいだった。
スーパーラリーでDay2の再出走は…ダメかぁ…無念だ…はぁぁぁ。

と、一喜一憂している牛ですが全く別の話題に変わりまして。
話は先週土曜日に遡ります。

牛の友人Tが結婚するというので、その日は挙式に参列と披露宴に出席予定。
服、服は何着よう。いつものロングタイトのドレスでいいよね。
昼間だし、上に鮮やかなロイヤルブルーの薄手長袖を羽織って、アースカラーの琥珀のチョーカーと、例のアイヌ文様のかんざしで髪を結って、と。
昔買ったバックが古くて崩壊してたので、前日にタイの小さなアタバックを入手。

朝からバッタバタで準備。
友人Tは高校時代の大切な友人。
彼女のさっぱりとした性格、思慮深く聡明、それでいて女性らしいおちゃめさも持ち合わせている、牛の友人の中ではかなり正統派でまっとうなヒトなのです。(他がどれだけ…とかは置いておく。)
よく晴れた土曜日の午後を建物の中で過ごすのはもったいないけど、大切な友人のためだからせいいっぱいお祝いしに行こう、と。
挙式の賛美歌は何だろう。2曲かな。知ってる曲だったらいいな。
そして今日はPitts見にいけないから、明日はスカイパークに行こう。
週末に飛行機を一機も見ないで来週を迎えたら、たぶんヒコウキ欠乏症で水曜日あたりに死んじゃうだろうし。

とか何とか考えてたら、PittsのMikeさんからメールが届きます。
「仙台空港にアントノフが来てますよ」
え。そうだったの?!知らなかった!見に行きたいけど無理だなぁ。
(それよりPittsを見ていたいのが本心w)
残念ながら行けませんメールを送信しつつ、アイラインOK、マスカラOK、口紅OK!
とりあえず離陸可能な状態にはなりました!

普段着で会場まで行って、現地でドレスに着替えればいいやと思い荷物を持ったら、うわ!時間ギリギリだよ!急がなきゃ!受付も頼まれてるのに!
急げ~!こうなったら、必殺、お金で解決!
「タクシー!」

…このとき、既に事件は起きていた事に牛は気づかなかったのです。

そう。事件。
牛がその渦中に居るという事を知ったのは、どのタイミングだったんでしょうか。

さぁさぁ、早く着替えなきゃ。更衣室どこだろ?
フロントのおねえさんに聞い…ん?

なんだか雰囲気が違う。
普通、結婚式の披露宴があるっていったらもっとこう、華やかな雰囲気とか人通りとか、せわしなくもおめでたい空気が漂うもんじゃないかい?

会場を間違えた?と一瞬思ったけど、そんなはずない。3回くらい確認したし、タクシーに乗ってすぐにも確認したはず。
と、言う事は…もしか、し、て。
(ここで何となく気づくならもっと早くに気づく事ができたんじゃないかと。)
牛は一頭でこの事態を飲み込まなきゃいけないのか?
いやいや、こういう時のツッコミ役…それがフロントのおねぇさんだ、きっと。

牛:「あのぅ、XX家の披露宴に出席するんですが…」
フロントのおねぇさん:「ハイ!XX家…です…か?」

ああやっぱり。(泣)

おねぇさん:「お客様、招待状はお持ちですか?」
牛:「これです。」(←バックの中にあるソレに視線は移さずに差し出す牛)
おねぇさん:「拝見いたします…お客様w」

ハイ来た!(笑)

おねぇさん:「明日になっておりますね!」

よく晴れた土曜日、おねぇさんの笑顔がまぶしかった。
だから牛も負けずににっこり笑って言ったんだ。

牛:「過ぎてから気づくよりよっぽどいいですよねっ!」(注)
おねぇさん:「そうですねっ!!」

ああ、さわやかだ。
9月初めの風のようにさわやかだ。
注:こういうのを「ポリアンナ症候群」といいます。何があっても「なぁんて素敵なんでしょう!」で受け流す。仕方ありません、実世界は可能なすべての世界の中で最善のものなんです。神様のベストチョイスって事にしといたらいいんです。究極に無敵で最悪にタチの悪い考え方とも言えますね。

さて、ホテルから出た瞬間、牛はその事件に気づいてしまったんです。
そう。事件ですよ。
むしろここからが事件の本質ですよ。

<牛の予定>
今日土曜日:結婚式出席 (←今ココ)
明日日曜日:飛行機見に行く

<牛の現実>
今日土曜日:結婚式じゃなかったからフリー (←今ココ)
明日日曜日:結婚式出席…つまり飛行機見に行ケナイ
来週水曜日:ヒコウキ欠乏症により死亡(←事件)
来週木曜日:通夜
来週金曜日:告別式
来週土曜日:みんなサヨナラ、無限と混沌の世界へ出発

…!
どうしよう!死んじゃう!牛、死んじゃうよ!!(涙)
はっ。病院行こう病院。予約の電話入れなきゃ!!

トゥルルルルル。
牛:「あのぅ、Mike Whiskyさんですか?牛ですが…えぇと、今日、飛びますか?」

事の次第を説明するにあたって「ちょっと、牛ってすごくないですか?自分がこんなに面白いヤツだったなんて知りませんでした!いやぁ、でもホント、前の日でよかったぁ!過ぎちゃってから気づいたら大変ですよねぇ♪」という論調だった牛に、
「…それはすごいね」
と言ってくれたMikeさんはとても優しいヒトなのだと思う。
(意味が違うとか解釈がとかはこの際捨て置く。)

翌日、挙式で賛美歌「慈しみ深き」(What a Friend We Have in Jesus)を歌う時、牛は今までに無く本当に大切に歌いました。
おめでとう、T。
牛は前日からこんなに祝う気満々だったんだよ(笑)

牛のヒコウキ欠乏症?
Mikeさんのおかげで未然に予防することができましたとさ。

どっとはらい。


今年もRallyJapanが始まりました。が。

2010-09-10 07:49:03 | 4輪

今年のWRCは忙殺されていてなかなか状況を追いかけられずにいたけど、そうこうしてる間にRallyJapanです。

いつもなら既に「インプレッサwと一緒に太平洋フェリーに乗ってます」的な話しになってるハズですが、今年は現地観戦は断念。
諸事情とフトコロ具合の都合ですが、それでも日本でのラリーシーズンというだけでワクワクしてます!

二人のセバスチャンが主役となってそうですが、ラトバラもヒルボネンもお馴染みの選手。
その中もちろん…我らがお祭り男!ペターソルベルグがプライベーターとして4位に居るのは誇り高いことです。
シトロエンに乗っても彼にはがんばって欲しい!
ハデだったり賑やかだったりするだけじゃない、あなたのその不屈の精神を牛は心から応援してるから。

そして永遠のヒーロー、ローブ!
相変わらず強い。強すぎる。
ううううう、やっぱり観たい。観たいなぁ。
なんかジワジワ来たなぁ。
やっぱり行けばよかったかなぁ。
日常生活をかなぐりすてて旅にでるのは得意なはずなのに。

う゛゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛観たいよぅ~(暴)


恋するという事。

2010-09-05 22:02:09 | 飛行機

さて、と。

「えっ、なになに牛が恋?珍しい事もあるもんだね何かイイ事あったの?イジらせなよ」的な好奇心で集まった友人の皆さん、こんにちは。なんとなく見かけちゃったかたもこんにちは。

今回、タイトルを書くのに躊躇したので恋にしました(笑)
最初「無機物に恋するという事」にしてたんだけど、よく考えたら有機物だったので無機物だけ外しました。
今までだったら「セグウェイに乗ってきました。」だの、「仙台空港に着陸してきました。」だの、温泉いい湯加減だったよ感覚のタイトルになったわけですが。

今回はマジパネェっすよ。(←「聖☆おにいさん」のペトロとアンデレ風味)
そのへんのヌルい温泉とは違います。冬でも夏でもガッツリ猛烈に暑い飯坂温泉のお湯のような…だから温泉の湯加減じゃなくて。
牛の友人諸氏、及び偶然目にしてしまった皆様、最初にお詫びしておきます。
ごめんなさい。
牛が…牛ごときが…ただの白黒の偶蹄目がこんな機会に恵まれるなんて身の程知らずと思われるかもしれません。
が、この情熱と好奇心と深い愛は誰にも負けないつもりなのです。

このヒトに乗せてもらってきました。

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よく見えない?
しょうがないなぁ、モウ。

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Pitts Special。
ふくしまスカイパークで出会い、淡い想いをよせていた美しい複葉機。
乗っている方はずいぶん熱心に練習していらっしゃるなと思いつつ、スカイパークに行くたびに空を舞う姿を見かけていました。
今回、その方…MikeWhiskyさんのご好意によって牛はPittsに乗せていただく事になった、という事です。

Pittsに乗れる。
Pittsに乗れる。
Pittsに乗れる。
Pittsに乗れる。(以下繰り返し)

牛の人生にいったい何が起きたのか。
ええ、そうですよ、にわかには信じ難いこの事実。
「物」と恋に落ちるのは牛の特技(というか病気)ですが、インプレッサwをはじめとして、漆黒のThinkPad、マツネシリ民芸店のアイヌ文様のかんざし、アルファロメオ155、琥珀、ローゼンバウアー社の消防車、ブラリーノさんの999R、JUKAなどなど…今まで恋に落ちた相手を思えば、今回だって何の不思議も無い。
(最初の2つが並んでいる段階で牛のカオスっぷりが。)

だがしかし。
今回は非常に中毒性が高くて牛も困ってます。
いえ、浮気じゃありませんよ。インプレッサwへの愛にはいささかの変化もありません。
それにインプレッサwならわかってくれているはず、長い付き合いだし。
このヒコウキ、たたずむ姿は牛が昔かわいがっていた三つ尾金魚みたいで可愛らしいのに、大地を離れたその瞬間、その音と姿と挙動は牛の心を捉えて離してくれません。

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もちろん、相手はタダモノではないのでポンと乗れるわけじゃありません。
Mikeさんは牛がPittsに乗っても大丈夫かよくよく考えてくれてたみたいです。
経験した事の無いGでパニックに陥ると、目の前にある操縦桿にしがみついてしまうヒトもいるんだそうです。
Pittsは前後に座席が並んでいて牛は前に乗る事になるんですが、こちらにも操縦桿とペダルがあるわけです。
飛んでいる間に牛がそれらの動きを妨げてしまったら大変な事になるわけで。
まずはエアロスバル-FA200で仙台空港から山形空港に連れて行ってもらったり、ふくしまスカイパークへ行ってみたり。
FA200での水平飛行、ちょっとした急旋回は全く問題なくEnjoy。(というより、6連星のついたエアロスバルに乗るだけでも牛は大感激!)
しかもSUGO上空でロードレース選手権観戦という素敵オプション付き。もちろん走行中のマシンは点のようだけど、コーナーで競ってたりストレートでものすごい速度になってるのがわかります。ヒコウキから「バイクって速いですねぇ」とw 楽しかったぁ♪

Pittsに乗る前日、今までの経験に照らして一生懸命似たものを考えてみました。

「横転したラリーカーのオンボード画像なら何回転がったか数えられる」
→これ、自分転がってないもんなぁ。
「富士急ハイランドでフジヤマに乗った時は、動き出す前から両手を上に上げて一度もバーにつかまらずに乗り終えた」
→ちょっと近くなってきたかも。
「パラグライダーでアクロやってもらった時はうれしくてウヒャヒャヒャヒャ」
→結構いけそうな気がしてきましたよ(笑)

当日。

朝、Mikeさんと仙台空港で待ち合わせ。
空はなんだか白くってあまりコンディションは良くなさそう。ぜんぜん見えないじゃん…。
今日はダメかなぁ、と半ば諦めつつハンガーへ向かいます。

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仙台の空を舞うPittsを、実はまだ見た事がありませんでした。
週末はヒマさえあればスカイパークに行っていたし、何より仙台空港周辺へ行く事が…通っていた乗馬クラブ「スズキランチ」がなくなってしまってからは、草ばかりが元気に生えた馬場を見るのが切なくて、行かなくなっていたから。
ジーナとハヤテは無事新しい地へ旅立ったようだけれど、牛を育ててくれた彼女達に会えなくなってしまったのは、牛の毎日に少なからず影響してました。
そうだった、Mikeさんとは彼女たちの件でもお話した事があったっけ。

注意をよぅく聞いて、パラシュートの装着方法を教えてもらい、愛しいPittsを蹴飛ばさないようにゆっくり乗り込んで、実際にシートに座ってベルトの締め方を教わって。
ベルトは7点式。逆さまになっても平気なように固定しなきゃいけないんだ。
カチャリ、カチャリと金具を締めて、最後はラチェットでお尻をむぎゅむぎゅ動かしても動けないくらいまで締め上げる、と。
座った状態でスティックとペダルを動かしてもらい、操縦のジャマにならない範囲を確認して牛の足の置き位置を覚えます。キャノピー閉めるとつかまるところは無し。
足の位置を変えないようにするのと、とっさに手が出ないように手は自分の膝の裏あたりを掴んでおくことにします。

その後、上空の様子を見つつ「スカイパークまでは行けないけど仙台空港の周りなら大丈夫」ということで、いざ!

あれ?さっき教わったばかりのパラシュートの装着方法が???…う。それで気づいちゃった。
牛、緊張してる。
滅多なことでは緊張しない(その代わり終わった後に緊張する)タチの牛が。
だって、Pittsに乗ってるんだもん。
スカイパークで見かけるたびにいつもいつも見上げてたあのPittsに、何故、どうして自分が乗っているのか。
怖い?ううん、怖いんじゃない。
Mikeさんとはいろいろと話をしたけれど、牛は信頼してる。
パラグライダーの時もそうだった。飛ぶ前にお話させてもらってたからこそ心から楽しめた。
あらゆるヒトと出会って牛が心に刻むもの。
それはそのヒトの、物事に対峙する時の姿勢。
ドライバー、ライダー、メカニック、木彫り職人、鍼灸師、串焼屋だってそうだ。
ムツカシイ言葉じゃなくても、会話しているとそういったものが伝わってくる。
会話じゃなくてもいい。その対象へ注がれる視線、空気。
たとえどんなにふざけてたって、ある一瞬ピリッと伝わる何か。
それが、それこそが牛の見たい世界そのもの。
だからこの緊張は恐怖じゃない。
その世界を垣間見る事ができる喜び、畏敬の念だ。
そう思える瞬間、緊張は心地よい期待に変わる。

尾輪式のヒコウキは、乗ると既に空を見上げる状態になってます。
薄い雲が広がる仙台空港上空の青空。
前方は見えないし、横ばかり向いていると気持ち悪くなるかもしれないので、タキシングの間も牛はずっと空ばかり見てました。
後ろからこまめに声をかけてくれるMikeさん。
管制とのやりとり。

ああ、YさんやSっちゃんが牛をここに繋いでくれたんだなぁと思いながら、背中にGを感じた後。

ゆるい弧を描く二ノ倉の波打ち際、細く伸びる貞山堀、阿武隈川と田園風景。
…………………………飛んでる!
エアロスバルじゃなくPittsで!!!

当初、Mikeさんは水平飛行だけにしようと言ってましたが、モウうれしくて言葉も無く笑い顔の牛に「ちょっと背面飛行してみようか?」と。

   (゜▽゜*)
     ↓
  /(。△。*)
     ↓
ヽ(+∇+)ノ

「大丈夫?」「ハイ♪」「じゃループね」

(^_^) (^-^) ( ^ ) (。 。) (・_・) (^▽^)

牛、形容詞喪失。
無条件完全幸福。

キャノピー越しに広がる景色…空が、山が、牛の頭上を流れて、なんて鮮やかに見えるんだろう!
ああ、大地が牛の頭の上にあるッ!!

ループの間、牛は胸の前で手を合わせてうっとりしてました。
もちろん、それほど強烈なGがかかるようなマニューバではないからですが(あ、最初のアレは牛の中でノーカウントになってるので大丈夫ですw)、とにかくその景色を、一瞬たりとも見逃したくなくて。
♪瞬きする事も惜しむような…ああそうだ、きっとこのヒトもまた旅人なのだ。

少し傾げて滑走路へ戻るPitts。ランディングの様子はスカイパークで何度も見てるけど、Pittsからはこんなふうに見えるんだぁ。
地上に降りた後、牛は感動のあまり言葉がありませんでした。
わかるでしょう?本気で感動すると言葉なんて出てこないんです。

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Pitts S2B。
アイヌモシリの空を行くピリカチカプ。
あの音が、Gが、流れた景色の記憶が今もまだ牛の血液の中に残っていて、眠る前によみがえります。
あれから数日の間、牛は食事もろくに取れず、ずっとPittsの写真を見つめてました。ため息をついては空を見上げる毎日。これってやっぱり恋でしょ?(笑)

近頃の牛の毎日はとてもエキサイティングで、ジェットコースターみたいにいろんな事がおきてます。
だけど大丈夫。Pittsから出てきた1セント硬貨をお守りにして、空を見上げたら牛はいつも元気です。

牛をMikeさんに引き合わせてくれたYさん。本当にありがとね。
牛の興奮を分かち合ってくれるSっちゃん、牛は幸せモノです。

もちろんPittsとMikeWhiskyさんにありったけの感謝と敬意を。
そして祈りを。
レラカムイがいつも見守ってくれますように。