岩手県久慈市 つたや旅館 

2009-03-07 01:02:22 | 旅行記

ナッチャンWorldらしき船を眺めつつ、青森港にほぼ予定通りに入港したあさかぜ5号。

その日青森はどしゃ降りでした。

下船後、ワイパーを激しく動かして青森市内の某店の駐車場でルートを確認した後、意を決半端な雨じゃない。しかも雷雨。慎重に行こう。今日中につけばいい。
目的地は…

岩手県久慈市。

そうです。牛が大好きな、あの久慈市です。
だってこのまま南下するのもったいないもん。
せっかく北にいるんだから寄ってかなきゃ。

走り始めて間もなく、こっちから連絡する前に宿から電話がきた。しまった、電話するの忘れてた。
連絡が遅れたことをお詫びしつつまだ時間がかかる旨、そして必ず伺う事を伝える。

ようし、がんばろうぜインプレッサw。
ラリージャパン的にはたぶんDay5くらいだ。むしろスイーパーかもね。
ハイドロプレーニングの世界へ引きずり込まれないように、心の中でタイヤのグリップの神様に祈りながら…あ、GR9000、雨には弱いんだっけか…いいや、気づかなかった事にしよう(汗)

鳥肌が立って毛が逆立つほどの雷。
真っ白い稲光が一面を照らして、ワクワクするくらいに幻想的…なんだけど、やっぱりそこはヒタヒタの路面と視界をさえぎる雨粒の世界なんだよねぇw
今までの道中の天気の良さのツケを、今このときに全部払ってると考えると実に納得できる。

ま、これも長旅の一夜よ。
恐れ多き自然を讃えつつ、さぁ歌えっ!
「♪太陽も雨もか~ぜ~もっ、いずれ味方に…」
雷雨まで見方につけたらあと怖いのは地震と津波だな、とかよくわからない事を考えつつ、岩手へ。
…道中そんな感じで必死だったわりに、久慈に着いたら晴れてました。ナニソレ。

昭和28年創業「つたや旅館」。宮造りの建物。
初めて久慈に行った時から気になってた宿です。
絶対牛好みの宿に違いないという確信と共に、今回こそ泊まる!と意気込んでたんです。
宿泊料金は某格安サイトにて、直前予約素泊まり税込みで2,849円のステキ価格。(普段はもっとします…。)

路肩に寄せて駐車場を聞きに行ったら、宿のご主人が出てきてくれて「お疲れさまです、正面につけちゃっていいですよ!」と誘導されたんだけど。
えっ、いいの?ここに?本当に?

↓翌朝撮影。
Tutaya_01

や、スミマセンねぇ。
確かに平日だったし、他にお客さんほとんど居なかったし。
なんかすっかりインプレッサwの家みたい。

左側の白い建物はティールームになっていて、喫茶店として営業しているみたい。
まずそっちに通されて、先払いで会計を済ませました。
ご主人はお茶を入れてくれた。ああ、ノド渇いてたんだ、そういえば。

牛:「遅くなって申し訳ないです。予定してた船に乗れなくて。」
ご主人:「いえいえ、道中大変だったでしょう?八戸自動車道の上り線は崖崩れだそうですよ。」

う゛。そういえば途中何かの表示を見た気がする…悩んだ挙句、安全策で遠回りルートをとったおかげで遭遇しなくて済んだ…危なかった(汗)

ご主人:「船っていう事は函館から?」
牛:「ええ、札幌でラリーを観て、函館まで下って来たところです。」
ご主人:「あ!ラリー!お好きなんですね!お客さまの車もスバルでしょう?いや実は私もずっとスバル車を乗りついでまして…やっぱり雪が降るとスバルの四輪駆動がいちばんですよ。今乗ってる車が初めてスバル以外の車なんですけど、雪道が怖くてたまらないんですよねぇ~!」

…楽しそうに滔々と語るご主人。
確かに東北の雪深いエリアでは、二駆と四駆じゃ雲泥の差。
いや、そうなんだけど、でも久慈に来てスバリスト(笑)
世の中スバルヲタやラリー好きよりも、ホンダかトヨタなF1好きのほうが多いと思ってたんだけど;

ラリー開催中の道内でラリー好きに出くわすのはわかる。
けど、ユースでも居酒屋でも宿でも、エリアどころか開催中でも無いのにかたっぱしから車好きラリー好きスバル好きに出くわす率が良過ぎるってもんだ。ただ好きなんじゃない、妙に濃いヒトばっかりなんだ。(しかもみんな年上のオジサマと来た。)
ああそうか、「出会いの回数保存の法則」があるとしたら牛はこういう所で出会っちゃってるから別の出会いが無いんだな。激しく納得w

そんなワケで歓迎していただいて(笑)部屋に案内されました。
車にあった食料とビールで夕食を済ませてシャワーを使って、その日は終了。

この宿、本当に昔ながらの雰囲気を残した宿だったんですよ。
牛にとっては、郷愁の感・わびさびのある良宿でした。

081105214136

廊下からふすまを開けるとすぐ部屋で、天井が高くて、天井さがりが出そう(笑)だけどいかにもな和室。
たまに、純和風建築なのに無理に改装してちぐはぐになっている宿があるけど、ここは建物をありのままに活かしている感じ。
床の間にテレビとヒーターが置かれているのはやむを得ない。むしろ庶民的w

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飾られた花にさえ昭和の雰囲気が。

Tutaya_03

暗いけど明かりを感じさせる廊下とか板の間。
立派な木の廊下も好きだけど、古くなっててギシリと軋んだりすると、ああパネルじゃなくて本当に木を接いでいるのだなと実感できて好きです。

別の部屋の入り口に門のような囲いをつけるリフォームをしてたから、それができたら「廊下と部屋の間がふすま一枚」という無防備さは緩和されるかもしれない。
(この時は廊下にスリッパを置く状態だった。)

Tutaya_04
(インプレッサw、やっぱ邪魔…)

エクステリアは派手さも無いし、目立つのは軒だけ、むしろ隣の喫茶店部分のモダンな白壁のほうが目を引く。
いかにも昭和だなぁ。

たぶん近代化された民宿やシティホテルしか使ったことのないヒトには理解しがたいと思う。けど、年月を経た本当のふすま、本当の畳、本当の木の床や階段の質感や欄間の細工を愛でる事ができるヒトにはとっておきの宿だと思うんです。

次は食事もつけて、サイフォンで淹れるというコーヒーもいただきたい。
唯一困るのがお風呂だけど、ちょっと離れたところにある温泉施設を利用すればいいや。

ああ、久慈。久慈に行きたい。