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monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

藤(ふぢ)

2010年03月27日 | 日本古典文学-和歌-春

むらさきの糸縒りかくる藤の花この春雨にほころびにけり(堀河百首)

濡るるさへうれしかりけり春雨に色ます藤のしづ くと思へば(金葉和歌集)

うすく濃くみだれて咲ける藤の花ひとしき色はあらじとぞ思ふ(拾遺和歌集)

むらさきのふぢ咲くころの朝ぐもりつねより花の色ぞまされる(風雅和歌集)

ふぢのはな宮(みや)のうちにはむらさきの雲かとのみぞあやまたれける(拾遺和歌集)

ここのへに咲けるを見れば藤のはな濃きむらさきの雲ぞたちける(千載和歌集)

ゆく月日おもほえねども藤のはな見れば暮れぬる春ぞ知らるる(貫之集)

藤の花おもへばつらき色なれや咲くと見しまに春ぞ暮れぬる(風雅和歌集)

咲きそめていく日(か)もへぬを藤のはな春のものとや今日のみや見む(壬二集)


松上藤

2010年03月27日 | 日本古典文学-和歌-春

咲きぬれば水なき松のこずゑにも波をりかくる藤の初花(宗良親王千首)

春風に匂ひふかめて松が枝(え)のこずゑをこゆる花の藤波(草庵集百首和歌)

紫ににほふ藤波うちはへて松にぞ千代の色はかかれる(続千載和歌集)

むらさきの雲うちなびく藤のはな千歳(ちとせ)の松にかけてこそ見れ(兼盛集)

ここのへの池の藤波かけてこそみぎはの松も色まさりけれ(宝治百首)

松風も枝をならさぬやどなればかかれる藤のかげぞのどけき(風葉和歌集)

水(み)ぎはなる松の緑もうづもれて紫ふかくにほふ藤なみ(宝治百首)

かげうつす松もこだかき春の池に水底かけてにほふ藤波(風雅和歌集)

暮れてゆく春のなごりを人も見よ水際(みぎは)は松にかかる藤波(宝治百首)


胡蝶(こてふ)

2010年03月26日 | 日本古典文学-和歌-春

うすくこく苑(その)の胡蝶(こてふ)はたはぶれてかすめる空に飛びまがふかな(後鳥羽院御集)

わづ かなる春の胡蝶の羽風(はかぜ)にも にほひをちらす花園の梅(草根集)

わがやどの春の花園みるたびに飛びかふ蝶(てふ)の人馴れにける(夫木抄)

おもしろや花にむつるる唐(から)てふのなればや我も思ふあたりに(夫木抄)


かはづ/蛙

2010年03月25日 | 日本古典文学-和歌-春

山吹の花かげ見ゆる沢水にいまぞ蛙(かはづ)のこゑ聞こゆなる(古今和歌六帖)

山吹の花のさかりになりぬとやをり知りがほにかはづ 鳴くらむ(六百番歌合)

水(み)がくれてすだくかはづ のもろ声にさわぎぞわたる井手の浮き草(後拾遺和歌集)

真菅(ますげ)おふる荒田に水をまかすればうれしがほにも鳴くかはづ かな(風雅和歌集)

瀬をはやみ落ちたぎちたる白波にかはづ 鳴くなり朝宵(あさよひ)ごとに(万葉集)

春ふかみ花散りかかる山の井のふるき清水にかはづ 鳴くなり(夫木抄)

暮れてゆく春を惜しとやもろごゑに井手のかはづ のすだくなるらむ(永久百首))

夏ちかくなりにけらしな山城の和泉の里にかはづ 鳴くなり(夫木抄)


山吹/款冬

2010年03月24日 | 日本古典文学-和歌-春

ちはやぶる神奈備川にかげ見えていまや咲くらむ山吹の花(古今和歌六帖)

玉藻刈るゐでのしがらみ春かけて咲くや川瀬のやまぶきの花(新勅撰和歌集)

咲きにけり苗代水にかげみえて田中の井戸のやまぶきのはな(続古今和歌集)

くちなしの色にぞ澄めるやまぶきの花のしたゆく井手の河みづ(千載和歌集)

色も香もなつかしきかなかはづ 鳴くゐでのわたりの山吹の花(小町集)

沢みづ にかはづ 鳴くなりむべしこそ岸の山吹さかりなりけり(後拾遺和歌集)

ひとへだに飽かぬこころをいとどしく八重かさなれるやまぶきの花(詞花和歌集)

春風はのどけかるべし八重よりもかさねて匂へ山吹のはな(拾遺和歌集)

春ふかみ井手の川波たちかへり見てこそゆかめ山吹の花(拾遺和歌集)