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monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

春の田

2011年03月09日 | 日本古典文学-和歌-春

山がつの小田のあらすきひき返し流れもやらぬ薄ごほりかな(夫木抄)

ぬれつつもあへる時かな雨の足もあらすき返す春の小山田(をやまだ)(草根集)

あさみどり野べの荒田(あらた)をうち返しけながき秋を待ちや暮らさむ(元真集)

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忘らるる時しなければ春の田のかへすがへすぞ人は恋しき(古今和歌六帖)

葦の根のおふる荒田をうち返ししたにて思ふ心あるらし(信明集)

荒小田を(あらをだ)を返す今より人知れず思ひほにいでむことをこそ思へ(貫之集)

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春の田をあらうち返しこまごまと思ひくだけば憂きわが身かな(久安百首)

春の田をなほうち返しかなしきはたのみすくなき我が身なりけり(万代集)


寄柳恋

2011年03月08日 | 日本古典文学-和歌-春

春来れば柳の糸もとけにけりむすぼほれたる我がこころかな(拾遺和歌集)

春雨の降りしくころは青柳のいと乱れつつ人ぞ恋しき(新古今和歌集)

あをやぎの糸はかたがたなびくとも思ひそめてむ色はかはらじ(新古今和歌集)

いづ方(かた)によるとかは見む青柳のいとさだめなき人の心を(拾遺和歌集)

あをやぎの糸になき名ぞ立ちにけるよるくる人は我れならねども(後拾遺和歌集)

青柳のいとつれなくもなりゆくかいかなるすぢに思ひよらまし(後撰和歌集)


暮春・三月尽

2010年03月31日 | 日本古典文学-和歌-春

こむ年(とし)も来(く)べき春とは知りながらけふの暮るるは惜しくぞありける(風雅和歌集)

つれづ れと花を見つつぞ暮らしつる今日をし春のかぎりと思へば(新後拾遺和歌集)

馴れ着つるかすみのころも飽かでのみはやく暮れゆく春のわかれぢ(草庵集百首和歌)

吉野川かへらぬ春も今日ばかり花のしがらみかけてだにせけ(続後撰和歌集)

やまぶきの花の露そふ玉川のながれてはやき春の暮れかな(風雅和歌集)

花もまた散りぬるはての芥川かへらぬ波に春ぞ暮れぬる(夫木和歌抄)

花鳥(はなとり)のなごりをあとに残しおきていづ くにけふは春のゆくらむ(大膳権大夫行文五十首)

暮れてゆく春のみなとは知らねども霞におつる宇治の柴ぶね(新古今和歌集)

けふといへば惜しまぬかたもなかりけり暮れていづ くに春のゆくらむ(草庵集)

鳴けや鳴けしのぶの森のよぶこ鳥つひにとまらむ春ならずとも(新続古今和歌集)

ながむれば思ひやるべきかたぞなき春のかぎりの夕暮れの空(千載和歌集)

暁(あかつき)は夏とや告げん夕まぐれ春をかぎりの入相の鐘(後土御門院御百首)

夜もすがら惜しみ惜しみてあかつきの鐘とともにや春は尽くらむ(玉葉和歌集)


惜春・残春

2010年03月30日 | 日本古典文学-和歌-春

行きて見ん深山(みやま)がくれのおそざくら飽かず暮れぬる春の形見に(風雅和歌集)

ふるさとの花のさかりは過ぎぬれどおもかげ去らぬ春の空かな(新古今和歌集)

吉野やま花のふるさとあとたえてむなしき枝に春風ぞ吹く(新古今和歌集)

花は散りその色となくながむればむなしき空に春雨ぞ降る(新古今和歌集)

濡れて居(を)る藤の下かげ露散りて春やいくかの夕暮れの空(玉葉和歌集)

春もはやあはれいく夜にありあけの月かげほそき横雲の空(延文百首)

春のなごりながむる浦の夕なぎに漕ぎわかれゆく船もうらめし(風雅和歌集)


躑躅(つつじ)

2010年03月29日 | 日本古典文学-和歌-春

つつじ咲くならびの岡の松かげにおなじ夕日の色ぞうつろふ(夫木抄)

入り日さす夕くれなゐの色映(は)えて山もとてらす岩つつじかな(金葉和歌集)

入り日さすをちの岡べのをかつつじゆふくれなゐに色ぞまされる(永久百首)

入り日さすむかひの岡の岩つつじいはねどしるき春の暮れかな(現存和歌六帖)
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思ひいづるときはの山の岩つつじいはねばこそあれ恋しきものを(古今和歌集)

なにごともしのぶの岡の岩つつじいはで思ひの色に出(い)づ らむ(夫木抄)

初瀬がは岸の岩ねのしらつつじ知らじな人は身に恋ふるとも(夫木抄)

浅からぬ思ひを人にそめしより涙のいろは濃(こ)つつじの花(夫木抄)