〔ちょっと追記〕
「未納が増えると年金が破綻するという話」がなぜ引っ掛け問題なのか、
国会の中で細野氏は説明していないので追記しておきます。
年金制度は集められた保険料に税金を乗せて払うしくみで、保険料を納付しないと
もらえません。
細野氏は、未納者には年金を払う必要がないため、税金を上乗せして払う必要はない。
未納者が増えても一時的に立て替えるだけだから年金財政は悪化しない。
こういうことです。
(細野氏の本にはこのように書かれていたと思います)
____(追記ここまで)____
02.27衆議院予算委員会 参考人質疑
平成24年2月27日 衆議院 予算委員会 参考人質疑
①参考人の意見陳述(開始から1時間)
駒村康平 氏 (慶応義塾大学経済学部教授)
西沢和彦 氏 (株式会社日本総合研究所主任研究員)
森信茂樹 氏 (中央大学法科大学院教授)
細野真宏 氏 (社会保障の教育推進に関する検討会委員)
②参考人に対する質疑(1時間55分)
玉木雄一郎 議員 (民主)
馳浩議員 (自民)
古屋範子 議員 (公明)
笠井亮 議員 (共産)
豊田潤多朗 議員 (きづな)
服部良一 議員 (社民)
山内康一 議員 (みんな)
中島正純 議員 (国民)
松木けんこう議員 (大地)
細野真宏氏が参考人として国会に出ていたので動画を紹介します。
なかなか面白い話が聞けました。今回目からうろこだったのは、「人口構成の図」について。
あの図は年金の計算の時に使ったもので、あれを前提として年金制度は考えられているんですね。
当然といえば当然ですが、やっぱり騙されますよね。
長い動画ですが、細野氏の最初の話の部分だけでも良いですからぜひ見てください。
細野氏は39分に登場(文字起こしはいつものように要約版です)
なぜ、年金不安は広がっているのか・・・
年金の話に加わってだんだん分かったのは、ものすごい勘違いが起こっているということ。
先週の社会保障教育推進に関する検討会で配られた資料には、
社会保障は、常識と現実の乖離が大きい。天動説と地動説ぐらい違うから注意が必要だ。
と書いてある。
例えば未納が増えると年金が破綻するという話がある。さすがに今は信じている人はいない
だろうが、2008年ごろは大手新聞をはじめ、私も信じていた。
こんなに上手く出来た引っ掛け問題は無い。
年金、社会保障の分野ではこういう引っ掛け問題が多い。
同様な引っ掛け問題としては、
「年金は400兆円以上の債務超過を抱えている」というものもある。
これは積み立て方式と仕送り方式の概念をとり違えている話。
なんでここまで混乱が広がっているのかというと、引っ掛け問題で
スタートから誤解が起きているからだ。
結果から言えば、未納者がいくら増えても年金財政にはほとんど影響がない。
人口構成の図もよく出来た引っ掛け問題。
そもそもこの図に使われているデータには、今の年金の想定が使われている。
今の年金制度はこうなっても支えられる制度だということ。
今の担当大臣は「今の年金制度は人口増を前提としている」なんてもっともらしく
語っていて目を疑った。
初歩的な話だが、今の年金制度は出生率を1.26で計算している。人口増を前提と
するには出生率を2.06で計算しないといけない。
幸い、5年に1度の見直しをしたら1.35に上方修正された。年金財政はプラスに
動いている。未だにテレビが深刻だと言っているのはあまりにも勉強不足。
続いて未納問題。
これも大きな教育問題。そもそも未納、未加入者が存在することがおかしいことに気づく。
基礎年金の2分の1は税金から出されている。年金の未納者には二通りが考えられる。
1.所得があるのに未納の人 2.所得が無くて未納にしている人
所得があるのに未納の人は、単に税金の払い損。
年金保険料を払うということは権利を手に入れるということ。
年金に必要な税金は納めながら、権利を放棄しているということになる。
「払い損になるから早く払った方がいいよ」と説明すれば良い。
所得が無くて払えない人については、4種類の免除制度が用意されているから、
税金分の年金はもらえることになっている。
だから、
そもそも未納未加入が存在すること自体がありえない話だ。
なぜここまで誤解が広がったのかといえば、やはり
選挙の道具に使ったから。
民主党の制度になろうがなるまいが、未納者は救われない。未納は損だということを
広報することが必要だ。
年金は難しいと思われているが、実はシンプルだ。
国から老後にもらえるお弁当みたいなもの。それだけで生きてはいけないが、
食べるぐらいはできる。
定年の無い自営業者はお米代だけもらえる。定年のある人はおかず付き。
おかずが欲しい人は国民年金基金という制度もある。
最後に、年金に問題がないかといえばそうではない。派遣の人たちは問題。
本来なら厚生年金に入るべき。派遣の人たちも厚生年金に入れるようにしないといけない。
2007年に出された被用者年金一元化法案が通っていれば問題は解消されていたが、
民主党の反対にあって廃案にされた。
民主党が具体案を出さないから与野党の協議も止まってしまった。
民主党は期限を区切って具体案を出してくれ。
1時間12分30秒~
馳 職業が変わったら自動的に切り替わる年金制度が良いと思うが、それについてどう思う?
細野 自営と会社員は分かれていてもかまわない。一人ひとつの基礎年金番号があるので
そんなに心配しなくても良いと思う。
1時間26分~
古屋 現行制度の評価について
細野
色々な批判があったが、本当に考えられた強い制度になっている。
しかし、派遣労働の問題があるので、厚生年金の適用拡大を早くしなくてはいけない。
マクロ経済スライドをきちっと機能させなくてはいけない。
1時間30分20秒ごろ 資料を破る音が聞こえます
〔民主党が都合の悪い資料を破って捨てているという話があるようで…〕
http://rubese.net/twisoq/target.php?tag=kokkai&id=173987703724048384
1時間33分~
古屋 国民の中には、今の制度ではダメだという意識が根強くあるようだが・・・
細野 夢のような最低保障年金7万円は、政権交代したら直ぐに貰えるかのように
みんな思っていた。しかし、実際組んでみるとそんなことにはならない。
抜本改革なんて存在しないことを分かってもらえるように、民主党案を具体的に
出してもらいたい。
賦課方式だとダメだが積み立てなら良いというのも、ある種の幻想。
積み立て方式の年金だとAIJの様な話が出てくる。個人積み立ての401K
の運用を見ると、約6割の人が元本割れをしている。
インフレなどを考えると相当危ない。
1時間37分20秒~
古屋 若い世代にどのような教育をすれば良い?
細野 この国の年金不安がどうしてここまで大きくなったかと言えば、政治の道具に使われ
たから。早く民主党に案を出してもらって白黒つければ良い。
1時間42分50秒~
笠井 一体改革が国民にどう受け止められていると思うか。
細野 教育が行き届いていない。消費税5%がすべて社会保障に使われることが国民に
伝わっていない。社会保障にはこれぐらい必要だという理解が高まれば国民の考えも
変わる。
2時間4分10秒~
豊田 消費税の増税の前にやるべきことがあるのではないか
細野 歳出の削減はやるべきだが、両輪で一気にやらないといけない。
2時間15分40秒~
服部 払いたいけど払えない人が大勢いるのも事実。
細野 今の日本の社会保障制度はかなりしっかりしている。より弱者に優しい制度にする
ことは重要だと思う。
2時間26分20秒~
山内 どうすれば学校や子どもの負担を増やさず教育できるか
細野 社会保障教育は絶対に必要。基礎的な知識をきちんと教えること。
応用と2段構えで教育することを考えている。
2時間34分30秒~
中島 政府の社会保障制度についての所見をうかがいたい
細野 与謝野さんが社会保障と税の一体改革をまとめた責任者として言っていたが、
現行制度の補修に終わっている。
先ずは民主党に具体案を出してもらって議論していただかないといけない。
議論すれば現行案に落ち着く。
2時間44分40秒~
松木 増税より先にやることがあるのでは?
細野 ムダとりは永久に終わらない。それだと一生増税できない。両輪でやるべき。
2020年までにプライマリーバランスを黒字化するということを国際公約
している。
経済成長しても増税しなくてはいけない。国際公約に則って議論することが大事。
____(文字起こしここまで)____
細野氏による良く分かる年金制度解説
〔年金を選挙の道具に使う民主党〕
【賢者紹介】「年金」権丈善一がマスコミと民主をフルボッコ.part1
【賢者紹介】「年金」権丈善一がマスコミと民主をフルボッコ.part2