宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

巨大質量ブラックホールの高速自転を計測

2013年04月11日 | 宇宙 space
2つのX線天文衛星を駆使した観測で、
銀河の中心にある巨大質量ブラックホールの高速自転が、正確に計測されました。

多くの銀河の中心には、太陽の数百万~数十億倍という、
とても重いブラックホールがあると考えられています。

ブラックホールはその強い重力で、恒星やガスを飲み込んだり、合体したりして成長し、
周囲には引き寄せられた物質の円盤が形成されます。

こうしたブラックホールの自転速度は、ブラックホール自体と母銀河全体について知る手がかりになります。

回転が遅ければ、いろいろな方向からランダムに小さな塊を引き寄せてきたということだし、
回転が速ければ、物質の流入が均一で安定していたか、
あるいは銀河同士の合体の際に、中心ブラックホールも合体した過去があったと推測できるんですねー

そして、自転速度を知るには、円盤から放射されるX線に含まれる鉄の輝線の“ゆがみ”を見ることになります。
これは、自転が速いほど重力の影響で空間が曲げられ、円盤の内縁がブラックホールにより近づけられ、ゆがみは大きくなるからです。





銀河中心からのX線は、
ブラックホールの
重力効果(上)を
反映したもの



でも、やっかいなことに、この“ゆがみ”が起こるのは重力だけじゃないんですねー
周囲のガス雲でX線がさえぎられることでも起こる可能性があります。
なので、この2つの要因を区別することが課題でした。

今回観測されたのは、ろ座の方向にある銀河“NGC 1365”。
その中心にある太陽200万個分の大質量ブラックホールです。

このブラックホールも高速自転しているとみられていたのですが、
“ゆがみ”が起こる要因が区別できないので、高速自転が確実とは言えなかったんですねー

そこで、今回行ったのが、それぞれ違うエネルギーのX線を観測する方法。
2つのX線天文衛星“XMMニュートン”と“ニュースター”で、同時に観測したんですねー

すると、X線はガス雲にさえぎられておらず、
鉄輝線の“ゆがみ”は、そのままブラックホールの重力効果を反映したものということが、はっきりしました。

っということで、“NGC 1365”の中心ブラックホールは、実際に高速自転していることがわかったのですが、
すでに、同じ方法を他の銀河中心ブラックホールにも応用して、観測研究は進んでいます。

そして、重力の時空への影響を見る今回のような研究は、
一般相対性理論の検証にもつなることになるんですねー


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